敗戦国の捕虜たち


 帝国軍の要地であるメリセウス要塞が、王国軍の侵攻を受けて陥落したのは数日前の話だ。
 客観的に見て、圧倒的な戦力と堅牢な布陣を誇る帝国軍が負けるはずのない戦いだった。
 それを覆したのは、天帝の剣を持つあの剣士だった。

「ねえカスパル、僕たちこれからどうなると思う?」
 牢屋の壁に背中を預けたリンハルトは、向かいの牢屋にいるカスパルに声をかける。敗戦国の捕虜とは思えないほど、普段と変わらず落ち着いた――というより、脱力したような声色だった。
 リンハルトが収監されている牢には魔法を封じる細工が施されている。
 一人で脱獄したところですぐに捕まるのは自明の理だ。それならばこんな細工は不必要だろうとリンハルトは思うが、それでも脱獄をはかる者はいるということなのだろう。
「さあな。処刑されるだけならまだいいけどよ……」
 リンハルトの問いに答えながら、カスパルは義理の伯父であるランドルフの末路を思い出した。
 王国軍の捕虜となったランドルフは、国王のディミトリ直々に拷問されて死亡したと聞いている。その報を受けて、独断で王国軍に潜入した彼の妹もいまは行方知れずだ。おそらく、もう死んでいると思ったほうがいいだろう。
 ほとんど面識のない彼らに対して、同族に対する情はないと言っていい。しかし、帝国に憎悪を抱くディミトリが帝国の将にそのような仕打ちをしているという話を聞かされては、やはりいい気分にはなれなかった。
「帝国との交渉に使われたりしたら嫌だよね。僕たち、いちおう貴族だし」
 リンハルトは辟易した様子で腕を組む。
 貴族が捕虜となった場合、それを取り引きの道具として利用するのはよくある話だ。
 ましてや、二人は帝国でも地位の高い軍務卿と内務卿の息子である。特に、ヘヴリング家の嫡子であり紋章持ちでもあるリンハルトは、人質としての価値が高いと言えた。
「そんなの、エーデルガルトが承諾しねえだろ」
 カスパルは床で胡座をかいたまま肩を竦める。
 皇帝エーデルガルトは仲間への情がないわけでないが、必要とあれば切り捨てることができる人間だ。それを承知した上でカスパルもリンハルトも彼女についてきた。だから、彼女が捕虜となった二人を見放したとしても彼女を責めるつもりはない。
 そんな雑談をしていると、通路から複数の足音が近づいてきた。三人、いや四人だろうか。気配を察した二人は目配せをし、脱力していた体を正して口を閉ざす。
 足音の正体は王国軍の兵士たちだった。身なりからして、位の高い者ではない。兵士たちは牢をひと通り見て回ると、リンハルトとカスパルが捕らえられている牢の前へと戻ってきた。
「本当に女みたいな顔してるな」
 兵士の一人がリンハルトのいる牢を覗き込みながら感心したような声を出す。
 リンハルトは自分の顔の造形が中性的であることは自覚している。学生時代よりは精悍になったという自負こそあるものの、その言葉に対して特に思うことはなかった。
「殺すなとは言われてるけどよ、少し使うくらいならいいだろ?」
 兵士はもう一人の兵士に問いかけながら懐から鍵を取り出す。その言葉にリンハルトはぴくりと瞼を動かした。
 この状況において「使う」という言葉がなにを表しているのかわからないリンハルトではない。察しの悪い――というより、性に関してやたらと疎いカスパルは首を傾げているが。
「なんだ、ぜんぜん抵抗しねえなこいつ」
 牢に入ってきた男に衣服を脱がされながらも、リンハルトは抵抗をしなかった。
 抵抗をすればそれを封じるために暴力を振るわれるだろうし、そのあとで行為の続きをされるのだろう。どちらであっても結果が同じなら、抵抗しないほうがこちらの消耗が少ないと判断した結果だった。
「賢いやつは好きだぜ。そのまま大人しくしてりゃあ優しくしてやるよ」
 兵士は下卑た笑みを浮かべながら下着まで剥ぎ取ってしまうと、リンハルトの脚を掴んで開かせる。激しい嫌悪感に襲われながらも、リンハルトは黙って顔を逸らすだけで拒絶の言葉ひとつ口にしなかった。
「おい――リンハルトになにやってんだよ!?」
 声を荒らげたのはリンハルトではなくカスパルだった。ここまですれば、さすがに何が行われようとしているのか察したのだろう。
「……カスパル、静かにしていてくれよ」
 それまで押し黙っていたリンハルトがカスパルを宥める。
 悪事を見過ごすことができないのはカスパルの美徳ではあるが、彼が怒りを露にするほど相手はおもしろがるに決まっている。
 なにより、カスパルが騒ぐことによって彼にまで危害が及ぶことをリンハルトは危惧していた。カスパルはきっと抵抗するだろうから、ひどい仕打ちを受けることになる。
「僕なら大丈夫だよ。こんなこと慣れっこだし。ああ、でもカスパルには刺激が強いかもしれないね」
 それはただの虚勢だったのだが、中性的な容姿のリンハルトが口にしたために真実味を帯びたのだろう。兵士たちは囃すような声を出すと、露になったリンハルトの素肌を舐めまわすように眺めてきた。
「……やるなら早くしてくれないかなあ? 寒いのは苦手なんだ」
 これ以上カスパルが余計な動きをする前に終わらせてしまいたい。リンハルトは誘うように兵士の股間へ手を伸ばし、下腹部の膨らみを服の上から撫でてやった。
「へえ、意外と乗り気じゃねえか。じゃあ、まずはこいつを舐めてくれよ」
 兵士は下衣の前を寛げてリンハルトに性器を見せつける。
 リンハルトは言われるままに男の股間へと顔を寄せ、差し出されたそれに舌を伸ばした。自分の髪まで一緒に口に入れてしまいそうになったため、手でかき上げて耳にかける。
 口淫などしたことはなかったが、やり方は知識として知っていた。
 唾液を塗り込むようにして全体を丹念に舐めてやれば、男は満足そうに息をつく。尿道口や雁首を舌先でつつくと、先端からじわりと先走りが滲んで口内に広がった。その苦さと生臭さにリンハルトは眉根を寄せる。
 調子に乗った男はリンハルトの頭を掴んで亀頭を喉の奥へと押しつけてきた。苦しさに嘔吐きそうになるのを堪え、リンハルトは歯を立てないように注意しながら男のものをしゃぶり続ける。
「本当に大人しくしてるな。どれ、俺はこっちを使わせてもらうか」
 リンハルトが歯を立てたりする様子がないことを確認していたのだろう。しばらくすると、別の兵士がリンハルトの背後に回って尻を揉んできた。
 双丘を割り開かれ、ぞわっとした感覚がリンハルトの背筋を走り抜ける。リンハルトはそれを振り払うかのように無心に口内のものを刺激し続けた。
「んっ……」
 やがて、背後から伸びた手が後孔の縁をくるりと撫でた。その刺激でリンハルトの鼻から吐息が漏れる。
 それを聞き取った兵士はくつくつと喉で笑うと、指先をリンハルトの体内に挿入してきた。異物が入り込んでくる違和感と圧迫感にリンハルトは低く呻き、無意識のうちにそこを締め付けてしまう。
「う……ふぅ、ンッ……!」
 指先が体内で動かされ、狭い内壁が押し広げられていく。異物を排出しようと分泌された腸液によって兵士の指が濡れ、ぐちぐちと粘着質な水音が牢内に響いた。
「……なあ、俺はあっちを使っていいか?」
 その光景と音が情欲を刺激したのか、それまで行為を眺めていた兵士たちがカスパルに視線を向ける。リンハルトは抗議しようと口を開いたが、それを許さないように喉の奥へと性器が打ち付けられた。
「構わえねえけど、そっちは格闘で騎兵や竜騎士とやりあってたようなやつだぞ。暴れられたら手に負えないだろ」
 リンハルトの髪を掴んで口淫をさせたままの兵士が注意を促す。
 カスパルはその気になれば素手で人を殺せる。その事実をこの兵士も知っているのだろう。それでカスパルへの興味がなくなってくれればよかったのだが、そう都合よくはいかないようだった。
「なに、ちょっと痛めつけて大人しくさせればいい」
 魔道の心得があるらしいその兵士は、身構えるカスパルに向けて鉄格子越しに雷の魔術を放った。狭い牢屋の中では避けることもできず、カスパルは直撃を受けてその場に崩れ落ちる。
「ぐっ……が、あっ」
 感電によって痙攣するカスパルを兵士たちは笑いながら取り押さえた。
 鎧の下に着ていた衣服をたくし上げ、ぴくんぴくんと震える胸筋に手を伸ばす。良質な筋肉は力んでいないときはやわらかいものだが、感電によって筋肉が強ばっているいま、そこは硬く張り詰めていた。
「うわ、硬えな。でも、こういうのが意外と具合よかったりするんだよ」
「ああ、わかる。こっちにも筋肉がついてるからよく締まるんだよな」
 カスパルの背後に回った兵士は、彼の膝を抱えて脚を広げさせる。秘部を晒されるような屈辱的な体勢にされたカスパルは、わずかに動く体でそれを振り払おうともがいていた。
「なんだ、まだ動けるみたいだな。ならもう一回やっておくか? 今度はこっちにな」
 こっち、と言いながら兵士が示したのはカスパルの後孔だ。湿った粘膜に電流を流せばどうなるか――カスパルはそれを知識としてではなく、戦場での経験から理解していた。
「くそ、やめっ……ぐああぁっ!」
 カスパルの拒絶を無視して、カスパルの体内に指を差し込んだ兵士が魔力を込める。弾けるような音とともに青白い光が瞬き、牢獄にカスパルの悲鳴が響き渡った。
「がっ、あ、あああぁっ!」
「はは、すげえ反応」
「ひぎぃいっ! あ、あが、あ、あああぁあッ!」
 二度、三度と繰り返して放電され、そのたびにカスパルは叫び声を上げながら激しく身をよじる。
 カスパルの悲鳴を耳にしながらも、兵士たちに犯されているリンハルトにはなにもできなかった。ただ、カスパルにそれ以上の抵抗をしないでくれと祈ることしかできない。
「ほら、よそ見すんなって」
「ふぐうぅっ!?」
 背後から後孔を慣らしていた兵士に昂った陰茎を突き込まれ、リンハルトはくぐもった悲鳴を上げた。
 慣らされたとはいえ、男を受け入れたことのないそこは異物を拒絶してきつく締まっている。粘膜が裂ける激痛と内臓が押し上げられる不快感に襲われ、リンハルトの額には脂汗が浮かんだ。
「なんだ、慣れてるって言ってた割にはきついな」
 締め付けの強さを訝しみながらも、兵士は容赦なく抽挿を開始する。腰を打ち付けられるたびに肉同士がぶつかる乾いた音が響き、強引に開かれた結合部からは血が流れた。
「んっ……んんっ、んんん――っ!」
 乱暴に揺さぶられ、リンハルトは痛みに顔を歪める。口には別の男のものを咥えさせられているため、悲鳴を上げることによって苦痛を逃がすこともできない。
 リンハルトが呻くことによって起こる口内の振動が気持ちいいのだろう、男は更に激しくリンハルトの頭を揺さぶる。やがて口腔に熱い体液が放たれ、リンハルトは喉に張り付く体液を吐き出そうと激しく噎せ返った。
「……よし、大人しくなったな。そろそろ突っ込んでも大丈夫だろ」
 カスパルを責め立てていた兵士は体内から指を引き抜くと、代わりに自分のものをあてがって強引に押し込んだ。カスパルはかろうじて意識があるらしく、ぴくりと震えて反応したがそれ以上の抵抗はできないようだった。
「うあ、あ、ああっ……!」
 ほとんど慣らしていないカスパルの後孔に兵士の怒張がねじ込まれていく。硬く口を閉じたそこは異物の侵入を頑なに拒み、容易には受け入れようとしない。
 それに苛立ったのか、兵士は軽く舌打ちをすると、カスパルの脚を持ち上げて体を折り込んだ。格闘を得意とするカスパルは体が柔軟で、男が望む体勢を苦もなく取ることができた。男はそこに覆い被さり、自分の体重を利用して強引に尻穴をこじ開ける。
「い、ぎっ……あ、がっ……あああぁっ!」
 限界まで広げられた後孔に楔が打ち込まれ、引き裂かれる激痛にカスパルは獣のような声で叫んだ。
「うるせえな、これでも咥えてろよ」
「むぐっ!?」
 カスパルを抑えていた男はカスパルの顔を跨いで陰茎を取り出すと、垢にまみれたそれをわめく口に押し込んだ。
 突然口の中に入ってきた異物にカスパルは目を見開く。生臭い匂いとともに口腔内を埋め尽くした性器にえづきそうになるが、地面と兵士に頭を挟まれていては顔を逸らすことすらできない。
「んー! んううぅ!」
 カスパルは涙目になりながら抗議の声を上げるが、男はカスパルの顔に乗り上げるようにして喉奥まで陰茎を押し込む。膨らんだ亀頭に気道を塞がれてしまい、息苦しさにカスパルの目尻にじわりと涙が浮かんだ。
「口の中も熱くて具合がいいな」
「ふぐっ! おぶぅっ!」
 男はカスパルの髪を乱暴に引っ張って自らの腰を動かし始めた。口を塞がれたカスパルは何とか鼻で呼吸をしようとするものの、押し込まれた亀頭が断続的に気道を塞ぐために徐々に酸欠になっていく。
「ぐぶっ……お、う……」
 しばらくするとカスパルの体が痙攣を起こし、萎えた性器からしょろしょろと尿が溢れ出した。男の陰茎によって窒息させられたカスパルは白目を剥き、塞がれた口から泡を吹いている。
「こいつ、漏らしやがったぞ」
「おいおい、その辺にしておけよ。殺しちまう気か?」
 仲間に制止されて男はようやくカスパルを解放した。
 解放されたカスパルは気道からひゅうひゅうと掠れた音を立てて空気を取り込もうとしているが、うまく酸素を取り込めないせいか手足は小刻みに震えている。
 ――カスパルを助けないと。
 カスパルに対する一連の暴挙を見届けることになったリンハルトは、せめて治癒の魔術を行使しようと意識を集中させた。
「ぐぅ――ッ!?」
 そこでリンハルトは、この牢に魔封じが施されていたことを思い出す。そして、この魔封じは牢の中にいる人物が魔術を使おうとすると、術者に激痛を与える仕組みになっているということを身をもって知らされることとなった。
「う、あ、ああぁっ!」
 全身を貫くような痛みに襲われてリンハルトの体が激しく跳ねる。あまりの痛みに視界が真っ赤に染まり、脳裏で火花が散っているような錯覚に襲われた。
「おっと、もしかして魔術を使おうとしたのか? 残念だったな、これはただの魔封じじゃないんだよ」
 体に力が入らずくずおれそうになるリンハルトの腰を背後にいた兵士が支える。次には結合したままの状態で膝の上に持ち上げられ、自重でより深く男の陰茎を咥え込むことになってしまった。
「あッ……あッ」
 腹の奥まで突き刺される感覚に、リンハルトは喉を逸らして悶える。
「大人しくしてたのは油断を誘うための演技か? それならもう遠慮してやる必要はねえな」
「ひぎぃっ!? あ、あぁっ!」
 言うや否や、男はリンハルトの腰を掴み直すと激しく抽挿を始めた。リンハルトの腰を浮かせては落とし、性器を一気に根元まで突き刺す。腹を内側から殴られるような痛苦に襲われ、リンハルトは甲高い悲鳴を上げた。
「はっ……ああぁっ! あうっ! ああぁっ!」
 男の動きに合わせて結合部から血が流れ出し、太腿を伝って床を汚す。容赦なく揺さぶられるたびに後孔が裂け、裂けた箇所から鮮血が飛び散った。
 激しい痛みに堪えながら、リンハルトはカスパルへと視線を向ける。カスパルを犯している男はカスパルの乳首や性器に触れていたが、愛撫を施しているわけでないということは一目瞭然だった。
「こうすると締まりがよくなるんだよな」
「ぎいっ! あぐっ! ひぎっ!」
 カスパルを犯している男は挿入したまま魔術を行使し、感電によって体内が収縮するのを楽しんでいる。戦場を縦横無尽に駆け回るカスパルが掌ひとつで蹂躙され、玩具にされている姿は哀れですらあった。
 男の魔術は初歩的であり、リンハルト相手であれば通用しないような稚拙さだ。だが、魔力の低いカスパルには充分な痛手を与えているようだった。
 リンハルトは焦燥に駆られて身を捩らせる。「殺すなと言われた」と男たちは口にしていたが、いつ加減を誤ってカスパルを殺してしまってもおかしくはない。
「なんだ? お友達が気になるか?」
「……抵抗をする気は最初からないよ。だから、あいつに治癒の魔術を施す許可をくれないかな」
 リンハルトは首を捻って背後にいる男に訴える。
「それはできねえ相談だ。お前、風の魔術も使えるんだろう? 治癒の魔術を使うふりをしてそっちを使う可能性がないっていう保証がない」
 男の言い分はもっともだった。男が言うような行為をするつもりは毛頭ないが、リンハルトにそれを証明する方法がないのも確かだ。
「だが、そうだな……おい、そっちのやつを連れてこい」
 リンハルトを犯していた男は別の男に指示を出すと、向かいの牢で犯されていたカスパルを連れてこさせた。
 抱え上げられたカスパルの後孔には性器が深々と挿入されたままになっており、ぎちぎちに広げられた穴がリンハルトの前に晒される。
「や、だっ……! 見るなっ、リンハルトっ……!」
 カスパルはかぶりを振ってリンハルトの視線から逃れようとするが、男たちがそれを許さなかった。
 リンハルトもまた背後の男に挿入されたままであり、互いが犯されている様子が嫌でも視界に入る状態にされる。
「ほら、お友達が犯されてるのを見ながらイッてみろよ」
「いあっ……!? やめっ、はぐぅっ!」
 背後の男が笑みを浮かべながら律動を再開し、同時にリンハルトの性器を手でしごき始めた。今度はただの乱暴な抽挿ではなく、リンハルトの弱点を的確に狙った責め方だった。
「ひうっ、あ、あぁっ! だめっ、そこぉっ!」
 敏感な部分を亀頭でごりごりと擦られ、リンハルトは体をしならせて喘いだ。リンハルトの性器はすぐに反応を示し、男に促されるまま硬く勃ち上がっていく。
「どれ、どっちが先にイかせられるか勝負といくか?」
「えあっ……!? おっ、んおっ! おひぃっ!」
 カスパルを犯していた男が競うように腰を打ち付け始め、萎えた陰茎をしごいて強引に勃起させる。前後から同時に快感を与えられ、若いカスパルの体はすぐに快楽に支配されていった。
「はひっ、あ、あへぇ……! あぐうぅっ!」
「んおっ、おっ……んぐっ、ほおおぉッ!」
 男たちは競い合いながらリンハルトとカスパルを追い詰めていく。
 幼なじみが目の前で犯され、あられもなく身を捩っている姿は嫌でもお互いを興奮させた。
「くうっ、あうっ……あっ、ああぁあッ――!」
 それはどちらの嬌声だったのか――リンハルトとカスパルはほぼ同時に絶頂を迎え、性器から放たれた飛沫がお互いの体を汚す。
 絶頂時の体内の締めつけによって二人を犯していた男たちも達したらしく、ぐずぐずに溶かされた内壁へと精液が叩きつけられる。
 それでもなお二人が解放されることはなかった。
 二人を並べて尻を上げさせる体勢を取らせた男たちは、今度は組み合わせを変えて二人を犯し始めた。リンハルトを犯していた男たちがリンハルトを犯し、カスパルを犯していた男たちがリンハルトを犯す。
「あ、うぅっ」
「くうっ……」
 二度目の挿入は比較的容易に行われた。体内に注がれた精液が潤滑油となり、二人のそこを男を悦ばせる穴に変えてゆく。
「お友達のマン汁でべとべとだ。ほら、綺麗にしてくれよ?」
 先程までカスパルの尻穴を犯していた男の性器がリンハルトの口内にねじ込まれる。カスパルもまた口淫を強要されていたが、抵抗する可能性を考慮してか器具で口を固定されていた。
「帝国貴族の肉便器だぜ、こりゃいい拾い物をしたな」
「傷はついてるが綺麗な肌してるよなあ。さぞかし美味い物を食って生きてきたんだろうな。いいザマだぜ」
 二人を背後から犯している男たちが好き勝手に二人をなじる。男の性器を咥え込んだままの尻を軽く叩かれ、その痛みにリンハルトの体がぶるりと震えた。
「肉便器か。なら、それらしく扱ってやらないとな?」
「そりゃいいな」
 口淫をさせている男たちは耳打ちをすると、二人の頭を掴んで亀頭を喉に押し付けた。
「んぅ!? おぶっ、むぐうっ!?」
 次に訪れたその感触にリンハルトは目を見開いた。口内に注がれた粘り気のないその液体は、精液ではなく尿だろう。おそらく、いま直腸に注がれている液体も――。
「げほっ、がはっ!」
 カスパルは反射的に吐き出してしまったらしく、男の手を振りほどいて口内に出された尿を吐き出している。いけない、カスパル――リンハルトがそう思う間もなく、男の膝がカスパルの腹にめり込んでいた。
「ふぐっ……!」
「なに吐いてやがる、ちゃんとぜんぶ飲めよ」
 カスパルの口を使っていた男は彼の顔を地面の尿溜まりに押し付け、後頭部を踏みつける。
 それを横目で見ていたリンハルトは躊躇ったが、意を決して口内の尿を飲み下していった。
「お、全部飲みやがった」
「偉いじゃねえか」
 男たちは笑いながらリンハルトの頭や尻を撫でる。
 口に、直腸に、尿を一滴残らず注がれたあと、男たちはようやく二人を解放した。性器が抜かれた二人の後孔からは、精液と尿が混ざった液体が逆流してごぼごぼと濁音を立てている。
「二人仲良く肉便器になれてよかったなあ?」
 男たちは衣服を正すと、カスパルを元の牢に戻してから錠をかける。
 こうして二人の帝国将は王国軍の捕虜として身柄を拘束され、昼も夜もなく兵士たちの慰みものにされることとなったのであった。



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