カスパル公開陵辱


 この時代、罪人の拷問や処刑の見物は娯楽のひとつであり、それはここ帝都アンヴァルでも変わらない。
 その日、罪人として町の広場に連れて来られたのは、帝国では知らぬ者のいないベルグリーズ家の人間だった。
 ――カスパル=フォン=ベルグリーズ。
 現ベルグリーズ伯の次男である彼は、ガルグ=マクの戦いを機に帝国から姿を消したあと、五年後に同盟軍の将として姿を現したのである。そして、先日の戦いで捕虜として捕えられた。
 六大貴族から出た裏切り者として、ベルグリーズ家に泥を塗った者のけじめとして、カスパルは帝都の人々の前で見せしめにされることとなったのである。
 最初は縄で繋がれたまま帝都を歩かされた。カスパルの空色の髪と瞳はベルグリーズ家の象徴とも呼べるものであり、それを持つ者が縄で引かれている姿に町の人々は誰もが足を止めた。
 その後、カスパルは町の中央で磔にされ、衣服をすべて剥がされた。若者らしい瑞々しい肌と、優将の名に恥じない鍛え上げられた肉体に、観衆たちは期待と好奇の目を向ける。
 カスパルの筋肉質な太腿が開かれ、水色の下生えに覆われた性器が露にされる。肛門まで晒される羞恥にカスパルの顔が歪んだが、見目麗しい若者が恥じ入る姿は人々を楽しませるだけだった。
 刑吏いわく、カスパルは同盟軍の参謀と恋仲にあり、だからこそ帝国を裏切ったのだと――そして、その不埒な下半身に断罪を与えようということだった。
 実際にカスパルと同盟軍の参謀がそのような関係だったのかはいささか怪しかった。カスパルの性器や肛門には色素の沈殿がなく、彼の身体が性的に未成熟であることを示していたからである。
 しかし、そんなことは観衆にとってはどうでもよかった。彼らはただ単純に、この逞しく凛々しい青年が衆人環視の中で犯されて泣き叫ぶ姿が見たかった。
 カスパルの肛門に皮袋が押し当てられ、腹の中に薬液が注がれる。薬液がなくなると新たな薬液が追加され、ふたたび体内に注入された。
 自分がなにをされようとしているか察したカスパルは、助けを求めるような眼差しを周囲に向ける。
 しかし、カスパルに向けられたのは嘲笑と欲望に満ちた視線ばかりだった。観衆たちは何回目の浣腸でカスパルの肛門が決壊するかを賭け、「早く漏らせ」などと言っては囃し立てたのだ。
「くっ……ふう……!」
 腹の奥底からごろごろという音が鳴り始め、カスパルは苦悶の声を漏らす。やがて肛門から茶色く濁った薬液が少量だけ溢れ出したが、カスパルは括約筋に力を込めてそれを堰き止めた。
 だが、排泄欲に耐え続けるカスパルにさらなる責めが加えられる。刑吏はカスパルの鍛えられた腹筋に手をあてると、掌底で下腹部を押し込んだのだ。
「ふぐっ……うううぅっ!」
 カスパルは歯を食い縛りながら必死に耐える。額からは脂汗が流れ落ち、開かされた脚はガクガクと震えていた。それでもなお排泄を耐えるカスパルに対して、今度は拳が打ち込まれた。
「ぐううぅッ!?」
 腹を殴打された痛みによってカスパルの腹筋に力が籠る。次の瞬間にはぶびゅっと下品な音を立ててカスパルの肛門が開き、茶色い汚物が噴水のように溢れ出した。
「ああぁあっ! 嫌だ! 見るなあっ!」
 排泄物を撒き散らしながらカスパルは涙を流して絶叫する。
 それでも一度出始めた便は止まることなく、濁音と飛沫を飛ばしながら汚物が流れ続けた。それは湯気を立てながら地面に広がり、カスパルの足元に茶色い水溜まりを生み出す。
 帝国最強ベルグリーズ家――畏怖と尊敬を込めて彼らをそう称したのは誰だったか。いまやカスパルはただの哀れな罪人であり、彼らの象徴である空色の髪ももはやくすんで見えた。
「こりゃいいや、貴族様の脱糞芸だ」
 観衆たちは口々にカスパルを罵り、その醜態に歓声を上げる。
 何度か浣腸を繰り返され、透明な液体しか排泄されなくなった頃には、カスパルの肛門はぽっかりと口を開けて女性器のようにひくついていた。
 もちろん、辱めがそれだけで終わるはずもない。
「ひいっ……!」
 開いたままの肛門に刑吏が指を入れ、内部をぐるりとかき混ぜるように動かす。カスパルの口から悲鳴が上がり、肛門からはぶぴぃっと醜悪な音が響いた。
 そのまま二本の指が挿入され、肛門を左右に広げられて腸の奥まで覗き込まれる。カスパルは腹に力を込めて肛門を締めようとするが、それによって腸内の空気が抜けてしまい、余計に恥ずかしい音を奏でることになった。
「うう……もう、やめてくれ……」
 涙を浮かべながら懇願するカスパルだったが、観衆たちの興奮が高まるばかりで誰も耳を貸したりはしない。
 それどころか、もっと恥辱を与えてやりたくなったのだろう。刑吏たちはカスパルを磔台から下ろすと、観衆たちに向けて尻を突き出すような体勢を取らせた。
 排泄を終えたばかりでひくつく肛門に無数の視線を感じ、カスパルは羞恥に打ち震える。淡い色合いをした性器や肛門から推察できるように、カスパルはいまだ童貞であり処女であった。
 肛門に冷たいなにかが宛てがわれ、カスパルはびくりと身体をすくませる。刑吏が手にしていたのは木を削り出して作られた杭だった。その先端がカスパルの肛門に入り込み、そのまま強引に体内へと押し込まれる。
「あああぁっ!」
 木の先端が腸内に埋まっていく激痛にカスパルは叫び声を上げた。杭の先端は削られており、丸みがあるため腸に刺さることはない。だが、杭そのものが太く長いために、カスパルの肛門は裂けて血を流していた。
「さすがに簡単には入らないか」
「おい、もっとケツの穴広げろよ」
 刑吏たちはカスパルの頭や背中を足で押さえて固定し、槌を使って肛門へ木の杭を埋め込んでいく。槌が杭を叩くたびにその衝撃がカスパルにも伝わり、痛みと恐怖から押さえつけられた脚がガクガクと震えた。
「ひっ……ひぃ……!」
 杭が少しずつ体内へ穿たれるごとに、カスパルの口から引き攣った悲鳴があがる。その悲鳴を楽しむかのように、刑吏は調子を刻みながら槌を振り下ろしていく。
 ずぶずぶと飲み込まれていった杭はやがて根元までがカスパルの体内に収まった。杭に押し出されたカスパルの腹は不自然に膨み、鍛えられた腹筋越しにその存在を主張している。
「ううっ、うぐぅっ……!」
 体験したことのない苦痛にカスパルの目から大粒の涙が流れ落ちてゆく。観衆にとってはその姿こそが求めていたものであり、そんな彼の姿に歓喜する者こそいても、情けをかける者はいなかった。
「あ、ぎいいぃ……ッ!」
 刑吏が杭を引き抜くと、その太さに拡張された肛門がめくれて真っ赤な粘膜が露出する。そして再び杭が打ち込まれ、閉じかけた肛門が押し開かれた。
「あがっ、がああぁっ! おごおおぉッ!」
 何度も繰り返される抽挿にカスパルの肛門は腫れ上がり、流れた血液で太腿が赤く染まっていく。筋肉によって生み出された窪みに沿って伝い落ちる血液は、まるで彼の太腿を飾り立てているようだった。
「あうっ……あ……」
 苦痛が許容値を越えたのか、カスパルは両脚を大きく開いた体勢のままびくんびくんと痙攣する。晒された性器からは小水が噴き出し、放物線を描いたそれがびちゃびちゃと地面に散らばった。
「おい、漏らしてるぜこいつ」
「貴族様が人前で粗相か? うん?」
 刑吏たちは笑いながらカスパルの尻を平手で叩く。勢いよく叩かれた衝撃によってカスパルの性器から尿の残滓が噴き出し、それがまた観衆たちの嘲笑を誘った。
 尻穴を穿たれながら失禁するカスパルの姿に歪んだ性衝動を抱いた者もいるらしく、観衆の何人かがカスパルを眺めながら自身の性器を扱き始める。
 その様子が視界の端に入り、カスパルは自分の中で何かが砕けるのを感じた。

 数時間後――人々は拘束されて動けないカスパルに媚薬を打ち込み、思うがままに陵辱していた。いまやそこに刑吏の姿はなく、町の人々が群がって帝国貴族である彼を玩具にしている。
「あがっ! ひいいぃっ!」
「こいつ、またイッたぞ」
「おい、早く代われよ」
 肛門に穿たれた杭を興味本位で抜き差しされ、カスパルは喉が潰れるほど叫び続けた。媚薬に侵された体は痛みすら快感と誤認し、勃起した性器から断続的に白濁を噴出させる。
 カスパルが射精すると観衆は面白がり、交代で彼の身体を弄んだ。ある者は自身の性器をカスパルの口にねじ込み、またある者は肛門に性器を押し込んで腰を動かした。
 もはやカスパルが誰であるかなど観衆には関係なく、性欲と嗜虐心を満たすための道具としてその体を消費している。
「ほら、お前の大好きなチンポだぞ」
「うぐっ……やめろ……!」
 何人目かの男に肛門を犯されながらも、カスパルは弱々しい抵抗を続けていた。杭によって拡張されたそこは簡単に男の性器を咥え込み、淫らに収縮する内壁で男たちを楽しませる。
「くそ……殺せ……殺して、くれ……」
「はいはい、お口にもチンポあげようね」
「ぐうっ……んんんっ!」
 カスパルの虚勢など意に介さず、別の男が口腔に性器を突き入れた。執拗に繰り返される口淫によってカスパルの唇の端は裂けていたが、そんなことを気にかける者はこの場にはいない。
「うぐっ! おぐぅっ!」
「こいつ、尻を突かれるたびに喉を締めつけるぜ」
「こっちの穴も、咥えさせてるときのほうが具合がいいな」
 肛門を突かれるたびにカスパルの喉が収縮し、口腔を犯している男を楽しませる。喉の奥を突かれると苦しさのあまり腹に力を込めてしまい、今度は肛門を犯している男を楽しませた。
「うっ、出るっ……ぜんぶ飲めよ!」
「んぶううぅっ!?」
 口淫を強要していた男はカスパルの口腔に精液を吐き出すと、そのまま喉を目掛けて尿を注ぎ込んだ。食道に注がれる生暖かい液体の味と臭いに、カスパルは目を見開きながら呻き声を漏らす。
「げほっ……がふっ!」
 独特の臭気が鼻腔を刺激し、カスパルは咳き込みながらも必死でそれらを飲み込んだ。空っぽの胃を尿が満たし、逆流したそれが唇の端から溢れ出る。
 そんなカスパルの様子をおもしろがった男の一人が、カスパルの顔面に向かって放尿を始めた。勢いよく飛び出た金色の液体がカスパルの顔に降りかかり、整った顔を汚していく。
 目を開けることもできず、カスパルはただその屈辱に耐え続けた。顔だけでなく、ベルグリーズ家の象徴とも言える水色の髪にも尿をかけられて汚されていく。
「こっちの穴も便器にしてやるよ」
「えっ……!? あうっ、ああぁ!?」
 カスパルの肛門を犯していた男も体内に深く性器を埋め込むと、そのまま腸内で放尿を始めた。熱い飛沫が腸内を駆け巡り、その感覚にカスパルは困惑した声をあげながら身悶える。
 入れ代わり立ち代わりに何人もの尿と精液を流し込まれ、カスパルの腹は妊婦のように膨れ上がった。膨らんだ内臓に皮膚をひっぱられ、引き攣るような痛みにカスパルは顔を歪める。
「苦しそうだな? いま楽にしてやるよ」
 男の一人がにやりと笑い、カスパルの腹を蹴り上げた。
「おごおおぉっ!」
 限界まで拡張されたカスパルの肛門から、精液と尿が混ざった液体が勢いよく噴き出す。カスパルは背中を丸めて腹を守ろうとするが、ほかの男たちに押さえつけられて何度も腹を蹴り上げられた。
「あーあ、ケツの穴が開きっぱなしになってるぜ」
「もうゴミまんこだなこれ」
 出せるものをすべて出し切ったカスパルの肛門は、ぱっくりと口を開けて閉じなくなっている。その様子に観衆たちは嘲笑を浮かべるが、もはやカスパルには言い返す気力もなかった。
「ああそうだ、雌穴にこれはいらねえよな?」
 これ、と言って男が示したのは、触れられもせず揺れ続けていたカスパルの性器だ。それは媚薬のせいで完全に勃起しており、だらしなく先走りを零している。
「こんなもんなくても困らねえもんなぁ」
「うあっ、ああぁ……ッ!」
 男はカスパルを仰向けに転がし、無防備に晒された性器を思い切り踏みつけた。敏感な部分を足の裏で擦り潰され、カスパルは苦痛の声を上げる。
「どうした、痛いか? そりゃそうだろうな、勃起したままじゃ痛くてたまんねえだろ」
「あがっ、ぎいっ! やめろっ! やめてくれぇっ!」
 ぐりぐりと靴底を押しつけられ、カスパルは涙を流しながら哀願した。
「ほれほれ、もっと強くしてほしいのか?」
「ちがっ! 違ううぅっ! やめてくれええっ!」
 男はさらに体重をかけてカスパルの性器を踏み躙る。潰れそうなほどの激痛を与えられてもなお、カスパルの性器からは粘度のある体液が流れ出していた。
「へえ、こいつ踏まれて感じてるぜ」
「変態貴族様は痛みすら気持ちいいってか」
 観衆たちはカスパルの性器をいたぶりながら彼を罵倒し続ける。それぞれがカスパルの顔や胸を踏みつけ、唾を吐きかけては笑い合った。
「ぐぅっ……頼む……もう……許してくれ……」
 体力と精神が限界を迎えたカスパルは弱々しい声で懇願する。しかし、彼の言葉を聞き入れる者など誰もいなかった。
「なあ、今度はこれをケツに入れてやろうぜ」
 そう言った男が手にしていたのは同盟軍の旗だった。
 すでに破かれ、泥を被っているそれの柄を、カスパルの肛門にあてがって挿入しようとする。クロードたちが掲げる差別のない世界という理想、その象徴でカスパルを辱めようとしていた。
「嫌だっ、止めろ! それだけは……!」
 旗の先端がカスパルの肛門に押し込まれ、括約筋が押し広げられる。カスパルは必死に抵抗を試みるが、両手両脚を踏みつけられた状態では何もできない。
「くそっ、抜け……抜い……ぐうううぅぅっ!」
 力尽くで突き入れられた先端がずぶずぶと腸内に飲み込まれていく。直腸を異物が逆行してくる不快感と、腸壁越しに伝わる冷たく硬い感触に襲われ、それらを振り払うようにカスパルは激しくかぶりを振る。
 柄が中ほどまで入ったところで先端が腸壁にぶつかった。それに気づいた男たちはカスパルの腰を持ち上げて挿入角度を変え、さらに奥まで柄をねじ込もうとする。
「がはぁっ!? 無理だっ、無理だぁっ!」
 下半身を持ち上げられたカスパルは肛門から伸びる旗竿を見て悲鳴を上げた。男達はカスパルのことなどお構いなしに、そのまま串刺しにするかのように柄を突き上げる。
「あがああぁあぁぁぁっ!」
 腸壁をごつごつと抉られる痛みにカスパルの口から絶叫が漏れる。最奥を突かれるたびにカスパルの腹が柄の形に膨らみ、その様子に男たちは愉悦の表情を浮かべた。
「あ……が……ひぃ……っ」
 肉体が限界を迎えたカスパルは白目を剥き、口の端から泡を吹き出す。カスパルの体は陸に上げられた魚のように全身が激しく痙攣し、やがてぴくりとも動かなくなった。
「おい、死んだんじゃねえのこいつ」
「まだ生きてんだろ、さすがに殺しちゃまずいしな」
 カスパルの肛門から伸びた旗を揺らしながら男達が笑う。
 カスパルは意識を失ってもなお犯され続け、男たちが満足するまで解放されることはなかった。
 そして、そんなカスパルの無惨な姿を見ても、彼に救いの手を差し伸べる者はいなかった。



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