リバカップルなリン/カスが避妊具を買う話(現パロ、微エロ)


 夕飯の材料を詰め込んだ籠を手に下げ、カスパルとリンハルトは通い慣れたドラッグストアの店内を二人並んで歩く。
「えーと、あと何か買うもんあったか? あ、卵なかったよな」
 カスパルは手元のメモを見ながら生活用品を手に取り籠の中へと投げ入れた。順番など考えないものだから、野菜の上に飲み物が積み重なったりと乱雑になってしまっている。
「卵は後回しでいいよ。下に入れたら潰れちゃうでしょ」
 リンハルトは籠の中身を検め、カスパルが投げ入れた品を並べ直す。
 自室が散らかっているのは気にしないリンハルトだが、カスパルのこの頓着のなさはどうにも気になってしまった。
 そもそも、自室だって他人から見れば散らかっているというだけであって、リンハルトにとっては効率のいい場所に物を置いた結果としてああなっただけに過ぎない。
「……あ、あれも、もう少なかったよね」
 「あれ」と言いながらリンハルトが指し示したのは、避妊具や潤滑油が並ぶ棚だった。
 同性間での性交であっても衛生面を考えると避妊具は重要であり、二人は「ないときはしない」というルールを儲けたうえで行為におよんでいる。
「これでいいかな? このあいだ使ってみてよかったんだよね」
 リンハルトが手に取ったのは、表面が細かい突起に覆われているタイプの避妊具だ。この手の避妊具は外側にだけ突起があるものと両側にあるものが存在するが、これは外側だけのタイプである。
 先週だったか、興味本位で購入してみたそれの使い勝手を確かめるために、二人はトップとボトムを交代しながら互いに使用してみたのだ。突起で内壁を刺激される感覚は新鮮で、リンハルトとしてはなかなか悪くない使い心地だった。
 ただそれはボトムとしての感想であり、トップとして使用する場合には一般的な避妊具となんら変わりないのだが。
「……オレ、これあんま好きじゃねえ」
 カスパルはといえば、使う前は好奇心で目を輝かせていたものの、いざ使ってみるといまいちだったようだ。どうやら、刺激が強すぎるあまり快感より異物感のほうが勝ってしまったらしい。
「そっか。じゃあ、僕が下のときだけ使う用に買ってもいい? つけるのも嫌?」
「それなら構わねえけど」
 カスパルの承諾を得たリンハルトは避妊具の箱をそっと籠に入れる。
「カスパル用のも買わないとね。カスパルはどれが好き?」
「……普通のでいい」
 カスパルが指し示したのは、なんの変哲もないノーマルなタイプの避妊具だった。
 「極薄」「つぶつぶ」「温感ゼリー付き」といった文字で装飾されたパッケージが多い中で、全体的に白いその箱は見た目の地味さから若干浮いている。
「どうせなら味付きのにしない? これとかおいしいよ」
 リンハルトは棚からもうひとつ避妊具の箱を手に取った。蝶々が描かれた優雅なパッケージの裏側には、「ストロベリーフレーバーゼリー付き」という文面が書いてある。
 性器や排泄器官に味覚があるはずもないので、味付きということはつまり口でするときに使うということだ。リンハルトは、口でするのも好きなほうだった。
 挿入時は先程のつぶ付きの避妊具を付けてもらうとして、口でする場合はこっちのほうを付けてほしい。形状はノーマルタイプと同じだし、カスパルがボトムをする場合であっても邪魔にはならないだろう。
 そういう意味での提案だったのだが――
「それ、甘すぎるんだよな。オレはラムネのやつがいい」
「……そう? じゃあそっちにしようか」
 カスパルの要望に応えて、リンハルトは手にしたストロベリーフレーバーの避妊具を棚に戻し、少し離れた位置に陳列されていたラムネフレーバーの避妊具を籠に入れる。
 味を希望してくるということは、カスパルも咥えてくれる気があるということか――リンハルトはそう思いつつも、カスパルの機嫌を損ねたくないので口にはしないでおいた。





 シェズ♀がカスパル♀のおっぱいを揉む話(女体化)


 目の前で揺れるふたつの膨らみから、シェズは目が離せないでいた。
 コンスタンツェの魔法の暴走によって、カスパルとリンハルトが女性の体になってから数週間。カスパルは相変わらず厳しい鍛練に励んでいるし、リンハルトも相変わらず昼寝したり二度寝したりしている。
 そして、シェズも変わらずカスパルの鍛練に付き合っているわけだが――その間、どうしても目がいくのがたわわに実った胸の膨らみである。
 カスパルが突きや蹴りを繰り出すたびに、ふたつの膨らみがぶるんぶるんと派手に揺れる。その光景に、シェズはどうしても釘付けになってしまうのだった。
「……もらったぁ!」
 胸に気を取られているあいだにカスパルはシェズに肉薄し、無防備になっていた脇腹に回し蹴りを繰り出す。
「ぐっ!?」
 シェズは咄嗟に防御の姿勢を取ったものの、体勢を崩して膝から崩れ落ちる。それでもすぐ体勢を立て直し、脇腹を押さえながらよろよろと立ち上がった。
「……シェズ。お前、最近なんだかぼんやりしてるよな? いまも隙だらけだったぜ」
 カスパルは身を屈めてそんなシェズに手を差し伸べる。それによってカスパルの胸が更に寄せられ、シェズは一層目を奪われてしまうこととなった。
「そりゃあ、まあ、こんなものが目の前で揺れてたら気にもなるわよね……」
 シェズはカスパルの胸から視線を外さないまま、差し出された手を握る。
 シェズの視線が自身の乳房に注がれていることに気がついたのだろう。カスパルは自身の胸とシェズの顔を交互に見つめたあと、「そんなに気になるもんか?」と首を傾げた。
「オレはあんま気にならねえけど」
「あなたはそうなんでしょうね。でも、気になる人もいるのよ。むしろ多いと思うわ」
 カスパルはシェズと鍛練しているときも、蠱惑的な胸の谷間を気にする素振りを見せた試しがない。シェズとしては少し不服ではあるものの、そこがカスパルの好ましい部分であることも確かだった。
「いや、男が女をそういう目で見ることがあるってのはオレだって知ってるけどよ。女同士でも相手の胸をそういう目で見ることがあるのか?」
「稀ではあるけど、ないことはないわね」
 シェズは溜め息混じりに呟いた。カスパルはなるほどと頷きつつ、自身の胸をじっと見つめる。
「そんなに気になるんなら触ってみるか?」
「え……?」
 思いがけない申し出にシェズは目を丸くした。
「別に減るもんじゃねえし、構わないぜ」
 カスパルは自身の胸を下から持ち上げて「ほら」とシェズに差し出す。
 シェズはごくりと生唾を飲み込み、恐る恐る手を伸ばした。ふに、と指先に柔らかな感触が触れ、服の上からでもわかる弾力と柔らかさにシェズは思わず息を飲む。
「ん……っ」
 少しくすぐったかったのか、カスパルは僅かに身を捩らせた。
 弾力のあるそれをそっと持ち上げてみると、ふよんとした感触が返ってくる。両手で鷲掴みにしてぐにゃりと揉めば、元の形に戻ろうとするそれがシェズの指を押し返してきた。
「……すっごく柔らかくて気持ちいいわ」
「おう、そうか。それなら良かったぜ」
 シェズはしばらくのあいだ、夢中になってカスパルの胸を揉み続けた。カスパルは特に嫌がる素振りも見せず、くすぐったそうに身を捩らせつつもされるがままになっている。
「……ねぇ、カスパル」
「ん? なんだ?」
「私はどこまでしていいのかしら?」
「どこまで?」
 カスパルは首を傾げる。
 その反応を見て、シェズはため息をついた。
 シェズに悪意があったのであれば、このまま何も理解していなさそうなカスパルを天幕に連れ込んで、猥褻な行為に及んでいたのかもしれない。
 だが、きょとんとした表情を浮かべるカスパルにこれ以上のことをする気は起きず、シェズはそっと手を離した。
「……なんでもないわ。忘れて」
「いや、忘れろって言われてもよ」
 カスパルは納得がいかないような表情でシェズを見つめる。
 こんなに無防備なカスパルが屈強な男だらけの格闘部隊を率いているのかと思うと、シェズは少し不安になった。
「ねぇ、カスパル。あなたの部隊の人って全員男よね」
「そりゃあ、格闘部隊だからな」
「それって大丈夫なの? 貞操の危機とか感じないわけ?」
「なんだそりゃ?」
 言葉の意味がわからないらしいカスパルは疑問符を浮かべるばかりだ。どうやら本気で言っているらしい。
「……まあ、あなたは強いから、きっと襲ってきた相手も返り討ちにできるでしょうけど。でも、警戒はしておいたほうがいいわよ」
「? おう、よくわからねえが気をつけるぜ」
 納得していないながらも頷くカスパルを眺めながら、シェズは再度ため息をついた。



 作品一覧に戻る