カスパル育成案~ユニット性能を理解すれば推しのことがもっとわかる! かもしれない~


 この記事ではカスパルのユニット性能の紹介と育成の提案および考察っぽいことを行っています。
 「推しの性能や育成方法を語りたい!」という動機で書き始めた記事なのですが、その過程で「彼のこの性能は彼のこういったキャラクター性の表現なのでは?」と感じる部分が多々あり、結果として考察っぽくもなったという感じです。
 攻略サイトや攻略ブログの情報と自身のプレイデータに基づいて書いているため、攻略部分に関しては内容が被る部分が多々あります。ご了承ください。
 これを書いた時点で書き手は各ルートを1周ずつだけプレイしたという状態ですので、あとで内容が変わる可能性もあります。
 無双版の記事はこちら

気がついたことがあったら随時加筆・修正します。



●記事の中で使用しているカスパルのステータスについて

 記事の中で使用しているカスパルのステータスは、特に記述がない場合はルナクラ銀雪ルートにおけるレベル44のウォーマスターのカスパルとなっています。
 「レベルアップ時は全員3ピン以上しなければやり直し」という方針でプレイしているため、ステータスはある程度吟味されている状態です。
 ルナクラという性質上カスパルだけ贔屓するわけにもいかなかったため、ステータスアップアイテムはほかの仲間たちと分配して与えている状態です。
 なので「これが最強のカスパルだ!」というわけではありません。
 とはいえ、プレイヤーがカスパル推しですので比較的良成長なほうのカスパルではないかと思います。また、食事前のデータがなかったため各ステータスが少しづつ上昇しています。
 カスパルを紹介すること自体が目的の記事では「自分で育てたカスパル」のステータスを使用していますが、性能比較を目的とする記事では公平に「計算上の期待値によるステータス」を使用しています。



目次


・カスパルの総評
・戦闘での立ち回り方
・おすすめ育成プラン(簡略編)
 └ドラゴンマスターのカスパルについて
・カスパルの成長率
 ├カスパルはなぜ「化ける」のか?
 └スカウトしたカスパルのほうが強い?


・カスパルの技能
・カスパルの個人スキル「喧嘩好き」
 └「呪縛」を持ったユニットとの連携を試してみる
・カスパルの弱点と対処法


・カスパルの固有戦技
 └外伝の戦闘で演出される「カスパルらしい」戦い方
・カスパルの武器選びと「重さ-3」の重要性
 └確率成長によるステータス差
・序盤のカスパルの性能
・カスパルと斧は相性が悪い?
・難易度別カスパルの使用感


・カスパルかバルタザールか?
 ├ステータスの違い
 ├ユニット特性の違い
 └実戦ではどうなるか?
・ほかの斧格闘ユニットとも比較してみる


・おすすめ習得スキル
 ├カスパルのスキル一例
 └「格闘回避型」の長所と短所


・おすすめ育成プラン(詳細編)
 ├兵種選び
 ├前半での育て方
 └後半からの育て方
・指揮レベル別おすすめ騎士団


・親友、リンハルトの運用についても考えてみる
 ├「男性の魔法ユニット」かつ「ヒーラー」という点を生かす「蛇毒砲台」
 └「幸運の高いヒーラー」という点を生かす「祈り盾」
・カスパルとリンハルトに「攻撃+3」の支援効果がない理由を考えてみる


・カスパルのユニット性能からわかる風花雪月のキャラクター表現の巧みさ
・終わりに……カスパルならではの「うまみ」について考える
・参考サイトとブログ







●カスパルの総評

◎良い点

①個人スキルが優秀
 カスパルの個人スキルである「喧嘩好き」は、隣接する敵の回避を-10します。これによって自身の命中が安定するだけでなく、仲間の命中をサポートをすることもできます。回避の高いアサシンなどと戦わせても攻撃を命中させられるという強みは、高難易度において特に光ります。

②火力を出しやすい
 低難易度では自前の速さから追撃が取りやすく、4回攻撃によって爆発的な火力を出してくれます。また、追撃が取りにくい高難易度では固有戦技の「連打」が扱いやすく、高速が高い相手にも必殺による先制撃破を狙えます。

③耐久の低さを速さとスキルで補える
 カスパルは前衛ユニットとしては耐久が低めですが、速さの成長率がいいので追撃を受けにくく回避値も高めです。DLCで追加された「格闘回避+20」もカスパルの性能と合致しており、2回攻撃の火力と高回避を両立することができます。

△悪い点

①序盤は扱いにくい
 グラップラーやウォーマスターになってからの火力が凄まじい反面、序盤はステータスの低さと得意武器の扱いにくさから立ち回りに工夫を要します。「鬼神の一撃」と「連打」を習得してからはかなり扱いやすくなるでしょう。

②打たれ弱い
 前述したように前衛ユニットとしては耐久が低く、集団を相手取るような戦闘は苦手です。HPと回避の高さからある程度は耐えられますが、歩兵の場合は再移動もできないため敵の攻撃に晒されやすく、位置取りには気を配ってあげる必要があります。

③指揮不得意&魅力の成長率が低い
 低難易度ではあまり気になりませんが高難易度だとかなり響きます。魅力のほうは「補助系の計略を持たせる」「敵の計略はHPで耐える」という形で対処することもできますが、指揮はそうもいかないため意識して上げる必要が生じます。

☆まとめ

 良くも悪くもウォーマスターになるべくして生まれたようなステータス。風花雪月の新要素である「格闘」の醍醐味を遺憾なく味わえる性能になっています。
 初期ステータスが低いため序盤は頼りないものの、得意技能のおかげで成長率の良い兵種を経由しやすく、肉弾戦最強クラスであるウォーマスターとのシナジーも高いため、後半になるほど爆発的な火力を持つユニットとなっていきます。
 ウォーマスター特有の高い必殺と、個人スキルに裏打ちされた高い命中。それによって驚異的なダメージを叩き出す戦闘スタイルは、魔獣などのHPが多い敵に対してとりわけ猛威を振るってくれます。
(この「序盤は非力だけど後半から一気に強くなる」というユニット性能、「小柄なうえに紋章も持たないが、自身の努力によって徐々に周囲に認められていく」というカスパルのキャラにとても合っていますね)



●戦闘での立ち回り方

 カスパルはいわゆるコンウォル病(攻撃に関するステータスばかりが伸びて耐久面が伸びないユニットを指すFE用語)にあたるため、ほかのウォーマスター適性ユニットのように「高い防御力で敵の攻撃に耐え、反撃でダメージを与える」という立ち回りには向きません。
 むしろその真逆で「自分から仕掛けて反撃もさせず相手を倒す」ような戦法が主になります。ただし、DLCがある場合は自前の速さと「格闘術Lv5」「格闘回避-20」のスキルの恩恵によって「受ける」戦闘もこなすことができるようになります。
 最序盤は籠手による攻撃が通りにくいため斧を使う機会も多くなると思いますが、「鬼神の一撃」を習得したあとは籠手のほうが総合的な火力が高くなるため、籠手に切り替えることをおすすめします。籠手はアーマー系に対しては非力なので、対策として重装特攻武器の「ハンマー」や「メイス」を持たせておくといいと思います。
 力と速さが伸びてきた頃には斧も有効活用できるようになるので、槍を持った相手に対しては「槍殺し」と斧を併用したほうが命中と回避が高くなる場合があります。カスパルのステータスに合わせた武器を選んであげましょう。
詳しくは『カスパルの武器選びと「重さ-3」の重要性』で記述しています)
 また、ルナティックでは敵のステータスがインフレを起こしているため、カスパルはおろかペトラやカトリーヌのように素早いユニットであっても敵から追撃を取れない場面が頻出します。
 そんなときは戦技の「連打」や「スマッシュ」を活用しましょう。いずれも必殺に補正がつく戦技のため、「キラーナックル+」や「キラーアクス+」と併用すれば高確率で必殺を出してくれます。攻撃補正はどちらも+3ですが、「連打」は2連撃なので合計で+6の補正となります。
 格闘ユニットは4回攻撃の火力に目が行きがちですが、自分より攻速の早い敵を2回攻撃によってむりやり倒せるのも特徴です。敵の攻速が異様に高い(53とかある)ルナティックではこちらの戦法を取ることも多くなるため、高必殺の「連打」は非常に役に立ちます。



●おすすめ育成プラン(簡略編)

 本人の希望通りにウォーマスターを目指すのがおすすめです。
 ブリガンドになって「鬼神の一撃」を習得したのちにグラップラーに転向し、最終的にウォーマスターにするルートが無難かつ強力です。得意技能だけ育てておけば順当にCCできるので、武器技能をある程度育てたあとは指揮を上げる余裕もできます。
 DLCがあるのなら信仰をC+まで上げてバトルモンクを経由させるのもおすすめです。アタッカーとしての性能はグラップラーに劣りますが、マスターすることによって「格闘回避+20」という強力なスキルを習得できます。
 カスパルはもともと回避が高めのキャラなので、このスキルや騎士団で回避特化型にすれば相当な回避値になります。幸いなことに信仰は不得意ではないので、Cまでであればあまり負担にはなりません。
 ついでに言うと魔法が得意なキャラは得てして「リカバー」を習得せず、後半になるほど回復量が心許なくなってくるため、カスパルが信仰Cで習得する「リカバー」は何気に役に立ちます。

▽「格闘術Lv5(回避+20)」「格闘回避+20」「回避の指輪(回避+10)」「ゴーティエ騎士団(回避+20)」で格闘回避型にしたカスパル。カスパルの回避が109、敵のパラディンの命中が128なので、「警戒姿勢+」を使用しなくとも支援効果や地形効果によって敵の命中を0に抑えられます。


 斧が得意なのを生かしてドラゴンマスターにする手もありますが、その場合は得意ではない槍や飛行の育成が必要になるため指揮を上げる余裕があまりありません。
 また、飛行タイプは装備できる騎士団が限られるため、カスパル用に「不死隊」などの強力な騎士団を用意できない場合はウォーマスターを目指すのが無難です。
 カスパルを格闘回避型として運用する場合は、飛行技能A+で習得できる「警戒姿勢+」が回避+30と便利です。最終的にウォーマスターにする場合であっても、ドラゴンナイトを経由させて飛行技能を上げる手もありかと思います。
 稼ぎをせずプレイした場合はレベル30になるまでにこなせる上級職はふたつ程度だと思われますので、「格闘回避+20」と「警戒姿勢+」の両方を狙う場合は、グラップラーを経由せずバトルモンク→ドラゴンナイトとCCすることになると思います。
 指揮は不得意ですが、できればBまでは上げたいところ。Bあれば必殺+20の「フラルダリウス兵」や、回避+20の「ブリギッド猟兵」といった強力な騎士団を配備できます。



☆ドラゴンマスターのカスパルについて

 ユニット性能とはあまり関係のない話になりますが、カスパルをドラゴンマスターにするメリットとして「サリエルの大鎌」を装備しやすくなるというのがあります。
 「サリエルの大鎌」はカスパル&メルセデス外伝に登場する死神騎士をカスパルで撃破すると、死神騎士からカスパルに渡される武器です(なお、その後のメリセウス要塞で登場する死神騎士はサリエルの大鎌ではなく勇者の槍を装備しています)
 「サリエルの大鎌」の武器種は槍で、武器ランクはAとなっています。ウォーマスターのカスパルでは装備する機会はないと思われますが、ドラゴンマスターにしているということはその時点で槍技能がC程度はあるはずなので、少しは装備するハードルが下がります。
 「サリエルの大鎌」は威力10、命中100、必殺30の超優秀な槍です。カスパル以外のキャラでも装備はできますが、せっかくのカスパル用(?)の武器なので、槍を使える職に就いているのであれば使わせてあげたいところです。



●カスパルのステータス成長率

体力55%、力45%、魔力25%、技45%、速さ45%、幸運40%、守備30%、魔防20%、魅力25% 合計330

 直情的なキャラのイメージに反してステータスは技巧系の伸び方をします。攻撃に影響する力、技、速さの成長率は主人公と同じと高水準です。
 ほかのウォーマスター適正キャラであるドゥドゥー、ラファエル、バルタザール、アロイスと比較した場合、力と守備では劣るものの、技と速さで大きく上回っており、幸運がもっとも伸びやすいのが特徴です。
 速さが高ければ追撃が発生しやすくなり、技と幸運が高ければ必殺が発生しやすくなります。追撃が発生すれば必殺が発生するチャンスも増えるため、格闘の特徴である「2回攻撃」や、ウォーマスターの兵種スキルである「必殺+20」と非常に相性がよいです。
 ほかのウォーマスター適性キャラが「高いHPと守備で攻撃に耐え、力で敵をねじ伏せる」タイプなのに対して、カスパルは「手数の多さと必殺・回避の高さで勝負する」タイプと言えます。
(士官学校時代に「体のでかい相手にどうしても勝てない」と苦悩していたカスパルは、親友のリンハルトの助言によって頭と小手先の技術を使う戦い方を覚えていきます。そんな彼のキャラがステータスにも反映されていてとてもいいですね)

▽ウォーマスターのカスパルに「キラーアクス+(命中+70、必殺+35)」「必殺の指輪(必殺+5)」「斧術Lv5(命中+20)」「斧必殺+10」「フラルダリウス兵(命中±0、必殺+20)」を装備させたもの。必殺123という高さでありながら、命中も124と安定しています。「重さ-3」のスキルのおかげで攻速が落ちないため、追撃を狙えるのもポイントです。必殺の2連撃による累計ダメージは計算上で312となります
「急所への一撃、決まったね。やったな、カスパル(byリンハルト)」


 これだけ盛れば誰でも必殺は高くなる……というのはその通りなのですが、高難易度では敵の回避が高いために、命中が上がるスキルや騎士団を装備せざるを得ない場合がものすごく多いです。
 例えば、ルナクラ銀雪ルートの最終マップの開始地点にいるパラディンは回避が52ありますので、こちらの命中が152なければ命中率は100%になりません。
 とりわけ、ウォーマスター適性キャラは命中に悩まされがちなので、スキル枠のひとつを「命中+20」にしたり、「フラルダリウス兵」ではなく「レスター傭兵団(命中+20、必殺+15)」などの命中補正がつく騎士団を配備するケースが多くなります。
 参考までに、とある攻略サイト様の必殺特化型バルタザール(ウォーマスターレベル37)を見せていただいたところ、キラーアクス+、必殺の指輪、獅子王隊(命中+5、必殺+15)、スキルは「斧の達人」「斧術Lv5」「命中+20」「鬼神の一撃」「斧必殺+10」という状態で、命中135、必殺109という数値でした。
 命中の数値は上記のカスパルと大きく変わりません(カスパルの命中は124ですが、個人スキルによって戦闘中は+10されます)が、騎士団とスキルによって命中に+25の補正をつけた状態です。
 必殺に関しては技と幸運の値で大きく上回り、かつ「フラルダリウス兵」を配備しているカスパルが15高くなっています。そのため戦技を使わずとも高確率で必殺を狙うことができ、戦技を使わないことによって追撃も狙うことができます。
 レベル差が7ありますが、この後バルタザールがレベル44になった場合における技と幸運の成長の期待値は1(バルタザールの技の成長率は25%、幸運の成長率は20%、ウォーマスターのクラス補正がそれぞれ±0%なのでそこから算出)ですので、命中と必殺の値に限っては誤差の範囲だと思います。
 本人の命中が高いために、スキルや騎士団を命中重視のものにする必要がなく、そのぶんを別のものに当てられる点もカスパルの利点と言えます。
 もちろん、バルタザールは力や守備の成長率がカスパルよりも高く、自身のスキルによって力と守備を更に上昇させられるという特性があるため、カスパルとは違った面での強みがあります。とりわけ耐久面に関してはカスパルを遥かに上回っており、きちんと性能の住み分けがされています。

 カスパルの力の上昇率は45%とアタッカー系のユニットとしては控えめですが、カスパルは「格闘という武器の性質と、自身の攻速の高さによって4回攻撃を行える」という特性により、
 自身のレベルアップによる攻撃補正も4倍になります。
 力が1上がれば敵に与えるダメージは4増加し、2上がれば8増加、10上がれば40もの増加になります(敵の守備を考慮しなかった場合の値)ウォーマスターとなったカスパルは必殺の発生率を100%にするのも比較的容易なため、40のダメージが更に120まで伸びます。
 それによって最初はほかのアタッカー系ユニットと比較して非力だったのが、レベルアップに伴ってグングンその差を縮めていき、ウォーマスターになる頃には魔獣のHPゲージを1人で削りきるほどの高火力アタッカーへと成長します。
 カスパルが得意とする「格闘」という武器は、一部から二部にかけて急成長を見せる彼のキャラクター性を体現するのにぴったりと言えますね。
(FEHの水着カスパルは「強化増幅」という自身が受けた強化を倍にするスキルを持っているのですが、格闘という概念のないFEHで「手数が多いために能力補正を倍受けられる」という彼のユニット性能をうまく再現しているなあと感じました)
 守備と魔防は低いものの、速さと幸運が高いぶん回避も高い(物理回避は主に速さが、魔法回避には速さと幸運が、必殺回避には幸運が関わってきます)ので、回避を盛ってあげれば驚くほど敵の攻撃に耐えてくれます。



●グラップラーとウォーマスターについて

 前述した通りカスパルはウォーマスターのみに適した技能を持つキャラですので、彼のステータスはこれらの兵種につくことを加味した上での数値だと思われます。ですので、これらについても少し解説しておきます。

・グラップラー(上級職)

成長率補正…体力+40%、力+10%、技+10%、速さ+10%、魅力+5%
ステータス補正…体力+2、力+1、技+3、速さ+3、守備+1、魔防-1

兵種スキル:格闘の達人、素手格闘
マスタースキル:魔殺し
戦技:猛烈鉄拳

 最上級職であるウォーマスターと比較しても遜色のない補正値を持ちます。ウォーマスターと比較すると、あちらはパワー寄りなのに対してこちらは技巧寄りという印象です。
 CC時の最低保証によるステータスの底上げがかなり大きく、カスパルの場合は守備と魔防が大きく上昇します(具体的な数値は「カスパルかバルタザールか?」で記述しています)カスパルの耐久の低さを補うためにも、レベル20になったら早々にCCさせたいところ。
最低保証…CC時に該当ステータスが一定値を下回った場合に、そのステータスが定められた値まで引き上げられること)
 力、技、速さの成長が10%ずつ上昇するため、もともとそれらの上昇値が高めのカスパルはこの恩恵が大きいです。これらのステータスは攻撃、命中、必殺、攻速など、攻撃に関するあらゆるステータスに関わってくるので、うまく伸びてくれれば火力が大幅にアップするでしょう。
 グラップラーは地形による移動干渉をあまり受けないため、ウォーマスターと比べて機動力が高いのが特徴です。また、専用の戦技である「猛烈鉄拳」が敵に先制して3連攻撃するという超強力なもの。ウォーマスターの下位互換というわけではなく、違った強みのある兵種です。
 上級職であるグラップラーから、格闘職には兵種スキルとして「格闘の達人」が備わっています。「格闘の達人」は格闘装備時に攻撃が+5される効果があるので、この辺りからカスパルの火力はかなり伸びてきます。



・ウォーマスター(最上級職)

成長率補正…体力+40%、力+15%、魔力-5%、速さ10%、魅力5%
ステータス補正…体力+3、力+5、速さ+2、幸運+1、守備+1

兵種スキル:斧の達人、格闘の達人、必殺+20
マスタースキル:切り返し
戦技:戦鬼の一撃

 風花の最上級職は強さと引き換えに成長率が低く設定されている場合が多いですが、ウォーマスターはステータス補正、成長率補正、兵種スキル、マスタースキル、どれを取っても優秀であり、肉弾戦においては最強の兵種と呼ばれることもあります。
 技の補正がない部分はグラップラーに劣りますが、そのぶん力の補正がすばらしい。カスパルはアタッカー系キャラとしては力の成長率が低めなので、「力+5」や「力+15%」の補正を得るためにも最短でウォーマスターにしてあげたいところです。
 ウォーマスターのみに使える戦技「戦鬼の一撃」は命中+30という圧倒的な命中補正に加えて、どんな敵にも有効(武器の威力が2倍になる)という強力な効果があります。「猛烈鉄拳」の破壊力には劣るものの、命中が低い斧にとって命中+30はありがたい効果です。



☆カスパルはなぜ「化ける」のか?

 カスパルのユニット評価としてお見かけする似たような言葉が、「ウォーマスターにしたら化けた」「ウォーマスターになってからが本番」「ウォーマスターデビューできれば無類の強さを発揮する」といったものです。
 ウォーマスター自体が強力な兵種であるため、ウォーマスター適正ユニットはそれだけで一定の強さを見込めると言えます。しかし、なぜカスパルだけこのような評価をされるのか。それをちょっと考えてみました。
 その結果として思い浮かんだのが、カスパルとほかのウォーマスター適正ユニットを差別化している「技と速さの成長率の違い」です。
 ウォーマスターは力の補正がグラップラーよりも4高いため、4回攻撃をすれば与えるダメージは16も増えます。更に必殺が20も増えるので、もともと技と幸運が高めのカスパルであれば4回攻撃のうち何発かは必殺になります。そして、攻撃+4の補正は必殺になると12もの補正になるのです。
 力や必殺の補正自体はウォーマスターになれば全員が受けられますが、前述した通りほかのウォーマスター適正キャラは技や速さがあまり伸びません。そのため追撃や必殺が発生しにくく、カスパルほど劇的にはダメージが増えないのです。
 また、カスパルの上級職としてウォーリアーやドラゴンナイトを選択している方もいると思います。その場合はグラップラーの兵種スキルである「格闘の達人」による攻撃補正を体感していないため、ウォーマスターになった途端に爆発的に火力が上がったように感じられるのだと思います。
 なにせ力の能力補正と「格闘の達人」のスキル効果によって、補正なしの4回攻撃と比べて与えるダメージが40も増加するわけですから。
(カスパルをドラゴンナイト→ウォーマスターと育てた方のプレイ記録を拝読したのですが、その驚愕っぷりがとてもおもしろかったです)



☆スカウトしたカスパルのほうが強い?

 「スカウトしたカスパルのほうが自分で育てたカスパルより力が強い」という話を聞くことがあります。
 これは、自学級で育てていない生徒は成長率の通りにステータスが成長していくために起こる現象のようです。
 プレイヤーが育成する場合はレベルアップ時の確率成長によってステータスが変動しますから、上昇値にはある程度の運が絡んできます。
 それに対して、他学級で育った場合のステータスは、成長率が累積されていくかのように均等に上がっていくようなのです。50%の成長率なら2レベルごとに1上昇、25%であれば4レベルごとに1上昇というふうに。
 他学級の生徒は1節ごとに2レベル成長するので、3節にカスパルをスカウトした場合はレベル21まで育っています。また、兵種は貴族→戦士→ブリガンドと、斧を得意とした兵種にCCしていきます。
 それを前提として、他学級で育ったカスパルのステータスの期待値を「へたれチェッカー」さん(記事の最後にサイトのURLを掲載しています)で計算してみました。
 レベル1~5の兵種を「貴族」、6~10の兵種を「戦士」、11~21の兵種を「ブリガンド」として算出したものです(端数は切り捨てています)

レベル1……HP26、力9、魔力3、技5、早さ6、幸運8、守備6、魔防2、魅力4

レベル5……HP28、力10、魔力4、技6、速さ7、幸運9、守備7、魔防2、魅力5

レベル10……HP31、力13、魔力5、技9、速さ10、幸運11、守備8、魔防3、魅力6

レベル21……HP40、力19、魔力8、技14、速さ15、幸運16、守備12、魔防5、魅力10

 初期レベルが1で力は9なので、レベルアップによって2レベルごとに力が平均で1上昇していることになります。また、戦士とブリガンドの成長率補正によって力が上がりやすくなっているため、同じ成長率の技や速さよりも上昇値が1高くなっています。
 実際にこの数値通りに育つかは未確認ですが、ほかの方の検証によるとほぼ期待値通りに育つそうです。
 自分で育てた場合は2ピンばかりになってしまったり、やたらと同じステータスばかり育ってしまう場合もあるため、結果としてスカウトしたほうが能力が高い場合があるということのようですね。





●カスパルの技能

 得意技能は斧、格闘。不得意技能は弓、理学、指揮です。ほかのウォーマスター適正ユニットたちは全員が重装も得意なのに対して、カスパルは重装に関しては得意でも不得意でもありません。
 「ぜひともウォーマスターにしてくれ」という制作側の声が聞こえてきそうなほど潔いウォーマスター適正ユニットです。
 一見すると不得意技能の多さが目立ちますが、特殊なプレイでもなければカスパルの理学を鍛えることはまずないので、理学が不得意なことはデメリットにはなりません。
 弓が不得意なのはアーチャーのマスタースキルである「命中+20」を習得する際に不利ではありますが、カスパルはもともと技が高いことに加えて個人スキルによって命中を上げられるうえ、得意武器の籠手も命中が高いため無理に習得する必要はないと思います。
もちろん、プレイヤーが必要だと判断した場合は習得させればいいと思います)
 指揮が苦手なのは痛いところ。カスパルは斧と格闘だけ上げておけば強くなるという手間のかからないキャラなので、武器技能はなるべく戦闘で上げて個人指導や自習で指揮を鍛えましょう。
 斧が得意かつ飛行が不得意ではないためドラゴンナイトへのCCが比較的容易で、回避型にする場合に有効な「警戒姿勢+」を習得しやすいです。ほかのウォーマスター適性キャラであるバルタザールとアロイスは飛行が不得意なため、同時に起用しても性能を差別化できるという意味でメリットと言えます。



●カスパルの個人スキル「喧嘩好き」

 カスパルを運用するうえで意識したいのがこのスキルです。効果は「隣接している敵の回避を-10する」という超強力なもの。全キャラをアーチャーにして「命中+20」を習得させるようなプレイヤーであれば、その利便性はお察しかと思われます。
 命中は「本人の技+装備、スキル、騎士団などによる補正値」で算出されるので、「技が10高くなるのと同じ=10~20レベルぶんに相当する補正値」だと思うと、かなりの加算であることがわかりますね。しかもその効果を仲間にも与えるわけですから、バッファーとして非常に高性能です。
 カスパルは近接戦中心のキャラなので、ほとんどの戦闘においてその効果を発揮できます。また、カスパルさえ敵に隣接していればほかの仲間の命中率も上がるため、仲間の攻撃を補助する役割も果たせます。
 数値的には支援Aの命中補正と同等ですので、支援Aの相手に対しては命中+20という大幅なバフをかけることになります。射程1のカスパルの連携攻撃が発動するのは敵と隣接しているときですから、同時にこの「喧嘩好き」も発動しているはずです。
 黒鷲の学級のキャラは全員がカスパルとの支援がありますので、黒鷲での運用においては特にバッファー性能が高いと言えます。この効果を把握しているか否かで、彼のユニット性能に対する評価が大幅に変わるくらい重要なスキルです。
 必殺や回避が高いタイプのアタッカー自体はたくさんいるのですが、ほかのキャラにはないカスパル特有の利点がこの
 「自身を強化しつつ味方の補助もできる」点です。
 敵の横にカスパルを添えるだけで効果を発揮するので、命中率がものを言う高難易度では唯一無二の役割を果たします。
(率先して敵兵の集団に突っ込ませることによって高い効果を見込めるこのスキル、黒鷲の切り込み隊長であるカスパルというキャラに合っていてとてもいいですね。自身だけでなく仲間にも効果があるという部分も、「オレが強くなりゃ、みんなも楽になる」と仲間を大切にするカスパルの性格に合っています)
 また、高難易度では「命中+20」にスキル枠を割く場合も多いかと思われますが、カスパルはもともとの技の高さとこのスキルによって高い命中率を誇るので「命中+20」はさほど重要ではありません。
 そのため「命中+20」にスキル枠を割いたり、それを習得するために弓の技能やアーチャーの職業経験値を上げる必要もないため、スキル枠や育成に余裕ができるのもメリットと言えます。
 カスパルをボスの横に置いてレベルの低い仲間のボスチクのサポートをさせたあと、敵のフェイズで攻撃されないように「引き寄せ」で1マス離れた位置にひっこめる……なんて使い方もありかもしれません。
ボスチク……一部のボスが砦から動かない&地形効果によってHPが自動回復することを利用して、壊れた弓などで安全な位置から攻撃して経験値を稼ぐFE伝統の手法。技能経験値や兵種経験値の獲得量は攻撃を当てようが外そうが変わらないが、経験値は与えるダメージが多いほど多く貰える)

▽銀雪ルートの最終マップ(ルナティック)に登場するファルコンナイト。回避78という厄介な敵ですが、「槍殺し」と「スマッシュ」を活用することによって支援なしで命中100、必殺100の攻撃を当てることができます。


 このスキルのおかげでカスパルは「素手格闘」のスキルとも相性がいいです。
 「素手」は武器の耐久を消費しない代わりに命中が70しかないという武器ですが、カスパルはこの命中の低さを「喧嘩好き」と高い技で補うことができます。また、得意技能が斧であるため「鬼神の一撃」を自然と習得しやすく、攻撃が0の「素手」でも一定の威力が期待できます。
 「素手」は唯一の重さ0の武器なので、「オハンの盾(必殺無効、毎ターンHP回復、守備+6、重さ4)」などと併用してもカスパルの長所である高い攻速と回避を損ないません。逆に、盾と併用しない場合は軽いうえに素手よりも命中が高い「訓練用籠手」などのほうがいいでしょう。
 例えば、「訓練用籠手」と「オハンの盾」を併用する場合、重さの合計は5になりますので、力が25未満の場合は攻速の低下を招きます。その点、「素手」であれば力は20で事足ります(重さシステムについての詳細は『カスパルの武器選びと「重さ-3」の重要性』で触れています)
 「素手格闘」は拳闘士、グラップラー、バトルモンクが兵種スキルとして標準装備していますが、そのうちグラップラーとバトルモンクは「格闘の達人」も兵種スキルとして併せ持っているため、「鬼神の一撃」との併用によって充分な火力を出してくれます。
 一見してネタスキルにも見える「素手格闘」ですが、重さが0のため「格闘回避+20」をもちいた「格闘回避型」と相性が良く、「オハンの盾」などで不意の必殺(ルナティックで頻出する即時行動の敵増援など)への保険をかけながら安全に敵を引きつけられるというメリットがあります。
「格闘回避型」については『格闘回避型の長所と短所』で詳しく解説しています)
 また、ルナティックでは敵のステータスが高いため必然的にこちらの攻撃回数も増えてしまいます。格闘ユニットは2回攻撃という性質上武器の耐久が減りやすいため、それらと交戦しているうちに武器が壊れてしまうこともあるかもしれません。
 「壊れた籠手」は重さが20もあるため確実に攻速が低下し、敵からの追撃を受けやすくなるため非常に危険です。耐久が無限の「素手」は絶対に壊れないため、敵のフェイズに武器が壊れてしまう事故を防ぐことができます。
 ちなみに、4マスユニットである魔獣に対しては、カスパルが左上のマスに隣接していなければ「喧嘩好き」の効果が発動しないため注意が必要です。



☆「呪縛」を持ったユニットとの連携を試してみる

 「喧嘩好き」の類似スキルとしてダークビショップ&ダークメイジの兵種スキルである「呪縛」があります。
 こちらは隣接した相手の回避-20という効果なのでより強力ですが、該当兵種が移動4と機動力に欠けるうえに、間接攻撃が主体の魔法ユニットであるために敵と隣接させにくいという難点があります。
 習得者が前衛タイプかつ兵種を問わず発動できる点が「喧嘩好き」の大きな強みと言えます。
 そしてこの「喧嘩好き」と「呪縛」、なんと効果が重複します。
 つまりカスパルと「呪縛」持ちのユニット、あるいは呪縛持ちのカスパル(カスパルを魔法兵種にする人はほぼいないと思われますが)が隣接している相手は回避-30という特大のデバフを受けることとなります。
 これを利用する機会はあまりないと思いますが、戦法によっては有効かもしれません。例えば「キラーアクス+を持たせたカスパルに無我夢中を使わせて確定で必殺を出させる」とかですね。
 「無我夢中」は攻撃が+10、必殺が+30される代わりに命中が-30される戦技ですが、「喧嘩好き」と「呪縛」の効果によってそのデメリットを相殺できます。なおかつ敵を二人で挟んでいる状態になるため、その二人で連携が発動して命中がより高くなります。
 ダークメイジ/ビショップは男性専用職ですので、呪縛役としてはカスパルとの支援がAまであり魔法が扱えるベレトかリンハルトが妥当かと思います。性能的にはヒューベルトがダークメイジ/ビショップ向けですが、カスパルとの支援はBまでです。
 リンハルトはリブローやレストで遠距離から仲間の支援をすることが主な役割のキャラですので、カスパルの援護のために進軍の足を止めても困らないという意味でも呪縛役に向いています。
 カスパルが敵を仕留め損なった場合、敵のフェイズでリンハルトが攻撃されるという状況が容易に予測できますので、きちんと一撃で仕留めましょう。親友同士である二人のコンビネーション攻撃だと思うと熱いですね。

▽必殺特化型のカスパルとダークメイジのリンハルトで魔獣相手に「無我夢中」を試してみました。カスパル一人では不安な命中率ですが、リンハルトが敵に隣接することによって「呪縛」と支援Aの効果を得ることができ、命中が+30されています。


 とはいえ、命中の補正がない「フラルダリウス兵」ではなく「レスター傭兵団」などを配備すればある程度は命中を補えそうですし、耐久の低いダークメイジを敵に隣接させるリスクも大きいし……と、いまいち実用性には欠ける印象です。
 ということで、あくまで『「喧嘩好き」と「呪縛」の効果は重複するので何かに使えるかも』という話でした。

 ところでカスパルのこのスキル、英語版では「bone fighter」という名称だそうです。日本語に訳すと「生まれながらの戦闘家」……かっこいいですね。


●カスパルの弱点と対処法

 カスパルの明確な弱点は「魔防」と「魅力」の低さおよび、「指揮が不得意」という点です。
 魔法回避は「(速さ+幸運)÷2+補正値」で算出されますので、魔防の低さは速さと幸運の高さである程度は補えます。得意技能のおかげで「格闘術Lv5」「魔殺し」「格闘回避-20」といった回避系スキルも習得しやすい。
 信仰をAまで上げてビショップにCCさせ、最低保証によって魔防を15まで上げる……という方法もありますが、ルナティックにおける敵のグレモリィは攻撃70とかですので焼け石に水感が否めません。
 それよりは「格闘回避+20」を習得するついでにバトルモンクの最低保証で魔防を11まで上げつつ、上記スキルで回避を盛るのが育成の負担も少なくていいかと個人的には思います。
 ……といった理由から魔防の低さはそこまでの問題ではないかと思われますが、「指揮」が苦手かつ「魅力」が低めなのは痛い部分です(軍務卿エンドもあることだし、指揮は才能開花して欲しかったなあ)
 指揮レベルが低いと強力な騎士団を配備できません。魅力が低いと計略の威力や命中が低くなり、敵の計略で崩されやすくなります。騎士団の配備によるステータス補正の恩恵は大きく、高難易度では計略を使用する頻度も受ける頻度も高いので、これはかなり大きなデメリットです。
 前述したようにカスパルは斧と格闘の技能だけ鍛えれば充分に強くなりますので、それらを上げる傍らで指揮技能を育てるのは難しくありません。序盤から騎士団を配備しておくことによって戦闘でも指揮を上げることができるので、弱い騎士団でもいいのでとりあえず配備しておきましょう。
 「壊れた武器を装備させ、森の中で延々と敵を攻撃させて技能経験値を稼ぐ」という手法を活用するタイプのプレイヤーであれば、その過程で指揮も上がるため指揮が不得意な点はあまりデメリットにはならないのかもしれません(私はこれをやらないタイプなので、やらない前提で書いています)
 魅力を上げる方法としては、ステータスアップアイテムを使用するかお茶会を開くかのどちらかになります。
 ほかに踊り子にしたいキャラがいないのであれば、白鷺杯に出場させてダンスレッスンで一気に上げるという手もあります。ですが、カスパルはアタッカー性能の高いキャラですので、どちらかと言えば仲間に踊ってもらいたいところです。
 計略による攻撃や壁としての運用をしないのであれば、いっそのこと魅力は捨ててタイマン勝負に専念させる手もあります。
 ただ、カスパルは前衛ユニットのうえに歩兵(ウォーマスターの場合)という都合上ヒットアンドアウェイ戦法を取れないため、敵からの計略を受ける危険性はどうしても付き纏います。





●カスパルの固有戦技

 カスパルを運用する場合は「瞑想」や「スマッシュ」といった共通の戦技を使う場合も多いと思いますが、ここでは固有戦技のみ紹介します。

・無我夢中

 斧技能C+で習得する、攻撃+10、命中-30、必殺+30の1回攻撃。
 命中-30はかなりの痛手ですが、カスパルは個人スキルで敵の回避を-10できるため、「命中+20」や命中補正のつく騎士団と併用することによってマイナス補正を打ち消すことができます。相手が槍装備なのであれば「槍殺し」も有効ですね。
 命中と必殺の兼ね合いだけ見れば命中+20、必殺+20の「スマッシュ」のほうが遥かに優秀ではありますが、「無我夢中」は攻撃+10なので、攻撃+3の「スマッシュ」と比べて必殺発動時に与えるダメージが21多くなるという違いがあります。
 キラーアクス+(必殺+35)を装備させたうえで「無我夢中」を使用すると必殺が+65になり、ウォーマスターの「必殺+20」で+85、「斧必殺+10」で+95となりますので、ここにカスパル本人の必殺の値(レベル40における期待値が23)が加われば必殺は余裕で100を越えます。
カスパルの必殺の期待値は「カスパルかバルタザールか?」で記述している「該当レベルにおけるカスパルのステータスの期待値」から算出しています)
 必殺補正のつく指輪や騎士団を配備せずとも高確率で必殺を狙うことができ、前述したように命中補正も補いやすいといった点から、カスパルは同じ戦技を習得するペトラやラファエルよりも「無我夢中」を有効活用しやすいと言えるでしょう。
 命中させるために工夫が必要なため通常のプレイで使う機会はあまりないと思われますが、カスパル&メルセデス外伝に登場する死神騎士をカスパルで撃破する場合など、一撃の火力が必要な際に使用する方もいるようです。

・全身全霊

 斧技能Aで習得する、武器の残り耐久をすべて消費してその30%を攻撃力に上乗せする1回攻撃。使用後は「壊れた斧」を装備している状態になる。
 30%の加算がどのくらいかと言うと、耐久が50の「訓練用斧」の耐久をすべて消費して+16です。デメリットが大きいので使う機会はあまりないかもしれませんが、ボスにとどめを刺すときなどでは役に立つかもしれません。

・連打

 格闘技能C+で習得する、攻撃+3、必殺+10の2回攻撃。カスパルが習得する固有戦技の中では特に優秀です。
 カスパルのレベル10における必殺の期待値が10ですので、「キラーナックル+(必殺+30)」や「ジェラルト傭兵団(必殺+10)」と組み合わせれば序盤からでも必殺60の2回攻撃を繰り出せます。
 ここにウォーマスターの兵種スキルである「必殺+20」や格闘スキルの「格闘必殺+10」が加われば、敵の必殺回避を差し引いても高い必殺率を維持してくれるため、必殺マシーンとして大活躍してくれるでしょう。
 難易度ハードまでであれば敵から追撃を取りやすいため、通常攻撃で充分な火力が出るという理由からこの戦技の出番はあまりありません。しかし、敵の攻速が高いルナティックでは追撃を取れない場面も多々あるので、純粋な火力アップ手段として重宝します。
 また、「連打」を習得するのは全キャラ中カスパルとカトリーヌの2人だけとなっています。
 女性のカトリーヌは男性専用職であるウォーマスターにはなれないため「必殺+20」の恩恵を受けられません。「キラーナックル連打戦法」はカスパルならではのうまみと言えます。ぜひ必殺連打の爽快感を楽しみましょう。

・豪拳

 格闘技能Aで習得する、攻撃+10、命中-5、必殺+20の補正がつく1回攻撃。
 必殺補正が大きいため必殺を盛ったカスパルであれば確定必殺も狙えますが、「連打」が2回攻撃の上にあちらは格闘C+で習得するので、「豪拳」の出番はあまりないかもしれません。



☆外伝の戦闘で演出される「カスパルらしい」戦い方

 風花雪月には否が応でもカスパルを戦わせなければならない場面が2ヵ所あります。ひとつは銀雪ルートでの「夜明けの追討戦」。もうひとつがカスパル&メルセデス外伝の「隠された素顔」です。
 このマップはカスパルとメルセデスが本体から孤立した位置におり、なおかつ2人の目の前には死神騎士がいます。この死神騎士をカスパルが倒す(カスパルがとどめを刺す)と「サリエルの大鎌」という強力な武器が貰えます。
 カスパルの周囲にはヒーラーのメルセデスしか仲間がいません。しかも、死神騎士は距離に関係なく反撃をする「応撃」のスキルを持つため、メルセデスの魔法で死神騎士のHPを削ってもらうのは危険すぎます。
 また、カスパルとメルセデスの周囲3マスに味方が踏み込んだり、2人をレスキューで助けたりすると敵の増援が現れます。更に一度でも交戦すると敵のAIが突撃型に変化して総攻撃を仕掛けてくるため、
 実質上、カスパルが一撃で死神騎士を倒さなければいけません。
 なぜ「一撃」かと言うと、ルナティックの死神騎士は攻撃60、命中150、高速37という圧倒的なステータスを誇っており、反撃をされればまず命がないからです。
 反撃を受けずにカスパル1人で死神騎士を倒す――そのためにプレイヤーの人々が提案したのが、「グラップラーの猛烈鉄拳による連続攻撃で倒す」「キラーアクス+と槍殺しを装備させ、無我夢中を使って必殺狙い」といった作戦でした。
 先制して敵に3連続攻撃を仕掛ける「猛烈鉄拳」と、一撃必殺を狙う「無我夢中」。いずれもとてもカスパルらしい技です。
 二部ではだいぶ身長が伸びたとはいえ、それでもカスパルはフォドラの男性としては小柄(本編でのリンハルトとの支援会話や、無双でのバルタザールとの支援会話で小柄であることが示唆されている)です。純粋な力勝負では身長193cmの死神騎士には敵いません。
 だからこそ、先制攻撃や急所攻撃で確実に敵を仕留めなければならないのです。
なんてカスパルらしい戦闘を要求されるマップなんだ。
 私はこの外伝をクリアしてしばらくのあいだ「なぜカスパルとメルセデスに支援がないのだろう」と残念がっていました(そして無双で二人に支援会話があると聞いて喜びました)
 しかし、よく考えればそれは
「この外伝のカスパルは本当に実力で(メルセデスの援護攻撃や支援効果を得られないまま)死神騎士を倒さなくてはならない」
 という演出なのかもしれない……思うとなかなか熱いものがあります。
(まあ副官は設定できるのですが)



●カスパルの武器選びと「重さ-3」の重要性

 カスパルとほかのウォーマスター適正キャラを差別化している要素のひとつが攻速(攻撃速度)です。装備の重さはこの攻速に関わってくるので、これについても触れておきます。
 攻速は「速さ-(装備の重さ-力÷5)+スキルによる重さ補正で」で算出されます。端数は切り捨てられ、0未満の場合は0として扱われます。
 例えば、重さが7の「銀の籠手+」の場合は力が35(力÷5=7)以上あれば攻速を落とさずに攻撃ができます。どれだけ力が高くても高速の低下を0にするだけで上昇はしません。
 検証に使用しているカスパルは速さ39、力47ですから、「銀の籠手+」を装備した場合は攻速の低下を受けず、攻速は速さそのままの39となります。
 攻速が敵よりも4高いと追撃が発生し、4低い場合は追撃をされてしまいます。鋼の武器などはとても重く攻速の低下を招くため、軽い訓練用武器を使った方が総合的なダメージが高くなる場合も多いです。そのため、武器の重さは非常に重要になってきます。
鋼の武器はカスパルのような攻速重視のユニットが扱うぶんには不向きですが、重装兵のように攻速を捨てたユニットであればデメリットなく高い攻撃力を生かせます。もともと追撃が発生しない戦技とも相性がいいので、鋼の武器がだめというわけではありません)
 序盤~中盤のカスパルは力の低さに悩まされがちです。カスパルの力の初期値は9(5で割ると端数切り捨てで1)ですので、重さが3の「鉄の籠手」でも高速の低下を招きます。重量のある斧を使用する場合は更に顕著です。
 攻速の低下を防ぐためには重さが1の「訓練用籠手」を使う手がありますが、「鬼神の一撃」すら習得していない序盤ではまったく攻撃が通らない場合があります。
 序盤のカスパルの使いづらさは「斧では攻速が落ちるために敵から追撃されてしまう。かと言って籠手では攻撃力が低くて攻撃が通らない」という二重苦によるものです。
 そこで重要になってくるのが重装Cで習得できる「重さ-3」のスキルです。
 「重さ-3」は装備している武器と防具の重さを数値ぶん減らしてくれます。攻速の低下は力5につき1軽減できるので、このスキルは力15に相当する効果を持ちます。力が低い序盤~中盤は特に有用です。
 「銀の籠手」は威力と軽さを兼ね備えたバランスのよい武器ですが、それでも力が35になるまでは攻速に影響を及ぼすため、力20でそのデメリットを打ち消すことができる「重さ-3」にはスキル枠を使用する価値があります。
 成長の仕方によってはカスパルは終盤でも力が35に満たない場合があります(下記のスクショ参照)ので、成長に応じて適切な武器を選んであげる必要があります。

▽別のデータで使用していたドラゴンマスターのカスパル。兵種と料理による補正を差し引いても銀雪ルートのカスパルより力がだいぶ低いです。同じプレイヤーが育てたのにこんなに差が出るとは……。


☆確率成長によるステータス差

 上記のカスパルのステータスを見て「あれ、銀雪データのカスパルの力が異様に高いのでは?」と感じました。
 この記事に載せている銀雪データのカスパルは力が47あります。ウォーマスターのクラス補正によって+5、食事によって+1の補正がかかっていますので、素の力は41ということになりますね。
魅力も異様に高いですが、これはお茶を飲ませていたからという明確な理由があります)
 参考までに、攻略サイトの方が育てたカスパルの力を見てみると、あるサイトのカスパルはレベル44で力41、別のサイトのカスパルはレベル39で力37といった具合でした。
 これらの数値はウォーマスターの兵種補正込みだと思われますので、実際の力はこれより5低いはずです。期待値ではレベル40で力30となっていますが(『カスパルかバルタザールか?』参照)プレイヤーが育てたためか期待値より高くなっているようですね。
 これでは私がカスパルにばかりゴボウを食べさせたように見えるじゃないか……などと危惧しているわけですが、実はカスパル以外にも一部のステータスが異様に成長しているユニットがいました。セテスです。
 2P目に掲載しているユニット一覧を見るとわかる通り、ほかのユニットの防御が高くても30程度なのに対して、セテスはなんと36あります。
 ドラゴンマスターのクラス補正によって+3、キッホル竜騎士団によって+6、食事によって+1されているため、素の守備は26ということになりますが、これはレベル40におけるバルタザールの守備の期待値(『カスパルかバルタザールか?』参照)を上回ります。
 どうりで硬いわけだよ!
 このために私は「セテスは守備が高いユニットなんだな! 銀雪ルートはアーマーが不在なのでありがたい!」と拝み倒しながらセテスを壁にしていたのですが、攻略サイトを見ているうちにセテスは守備の低さを指摘されがちなユニットであることに気がつきました。
 あれ……? と思ってセテスの成長率を確認してみたところ、守備の成長率は30%です。これはカスパルやリンハルトと同じ数値です。ドラゴンマスターのクラス補正を入れても35%なのでフェルディナントと変わりません。
 つまり運良く守備が伸びただけだったということのようです。
 キャラクターの成長が確率に左右されるFEではしばしばこういうことが起こるため、同じユニットでも運次第で強くなったり弱くなったりする場合が頻繁に起こります。
 せめて同一ユニットにおける誤差は3くらいに収まってくれないだろうか……と個人的には思うのですが、これを利用してステータスを異様に上げることも理屈上は可能なので一長一短というところでしょうか。



●序盤のカスパルの性能

 成長しきった状態のカスパルの話だけをするのもなんなので、序盤のカスパルの性能も見てみましょう。
 カスパルは初期装備として「鉄の斧」を所持しています。「鉄の斧」は重さが7あり、攻速を落とさずこれを振り回すには力が35いります。35と言うとレベル40前後のカスパルに相当します。
 レベル1のカスパルの力は9(これ自体はフェルディナントと同値なので低いわけではない)、速さは6です。ここから攻速を算出すると「鉄の斧」を装備した際の攻速は、速さ6-(重さ7-力9÷5)で0です。
 0!!?? そりゃ追撃されるわけだよ!
 ドゥドゥーやラファエルも鉄の斧をひっさげてきますが、彼らは低耐久(HP26、守備6)のカスパルとは違い、追撃を受けても耐えられるだけの耐久があります。ドゥドゥーはHP30、守備8で、ラファエルはHP30、守備7です。
 というか、彼らは力があるので同じ重さの武器を使用しているなら攻速もカスパルより高いのでは……? と気になったので、具体的に計算してみました。

ドゥドゥー…速さ7-(重さ7-力12÷5)=攻速2
ラファエル…速さ6(重さ7-力11÷5)=攻速1

 3人の中で誰よりも攻速が遅いですカスパル。というか、速さすら重装タイプであるドゥドゥーのほうが高い。
つまり、初期のカスパルは明らかに自身の身体能力に不釣り合いな武器を使用しているのです。
 二次元ではよく小柄な少年が重い武器を軽々と振り回したりしていますが、風花雪月は小柄な少年が重い武器を持つとまともに動けなくなるというリアルさですよ。
 そしてこの「鉄の斧」、個人的には初心者プレイヤーへの罠だと思っているのです。
 その理由を「鷲と獅子と鹿の戦い」のあとにチュートリアルとして発生するフリー戦闘で説明してみます。最初はノーマルでプレイする方も多いだろうという理由から難易度はノーマルです。
 カスパルのデータは上記の戦闘の直後に金鹿へスカウトしたカスパル(下記スクショ参照)のものです。レベルはスカウト時そのままの3、ステータスアップアイテムは未使用、斧技能だけスカウト時から1段階上昇してCという状態です。
 スキルは「斧術Lv2」と「格闘術Lv2」のみ、騎士団は同節の散策時に入手できる「ジェラルト傭兵団(攻撃+3、必殺+10、回避+15)」を配備しています。散策時にうっかり料理してしまったため幸運が1上昇しています。

▽敵のステータス



 この敵にカスパルが「鉄の斧」と「訓練用籠手」それぞれで攻撃した場合の戦闘予測を見てみました。

▽「鉄の斧」で攻撃した場合



「鉄の斧」は重さが7あるため、力が10しかないカスパルでは攻速が5も落ちてしまい、追撃が発生しません。そのため、敵に与えるダメージは16のみとなります。

▽「訓練用籠手」で攻撃した場合



  重さが1の「訓練用籠手」であれば攻速は落ちず、敵より攻速が5上回るため追撃が発生し、敵を撃破することができます。命中と必殺と回避も「鉄の斧」を装備したときよりも高くなっています。

 つまり、序盤のカスパルはプレイヤーの武器選びによって使用感が著しく変化するのです。
 しかし「最初はとりあえずそのキャラが持っている武器を使わせる」というプレイヤーも多いのではないでしょうか? 少なくとも自分はそうでした。
 そのために「カスパルは籠手を装備させれば火力が出る」ということに気づきにくくなっているのです(バルタザールはちゃんと「鉄の籠手」を持ってくるのですが……)
 そういった理由から、カスパルはプレイヤーがシステムを把握していなければ火力を出しにくくなっている(逆に言うと、把握していれば火力が出るようになっている)上級者向けユニットと言えます。
 システムをまったく把握していなくても、自身のスキルで火力を出せるフェリクスなどとは正反対と言えるでしょう。
フェリクスの個人スキル「一匹狼」は「騎士団を配備していないときに攻撃+5」という効果があり、騎士団ギルドが解放されていない序盤はかなり強力です。騎士団を配備できるようになってからは配備するメリットのほうが圧倒的に大きいので死にスキルとなりますが、スキルや騎士団のシステムがまだわかっていない初心者プレイヤーにとってはとてもありがたいスキルと言えます)

 カスパルが少し育った頃についての性能も考えてみます。
 ブリガンドのマスタースキルである「鬼神の一撃」は「自分から攻撃したとき、力+6」という強力な効果があり、物理アタッカーには必須ともされています。2回攻撃である格闘ユニットは特にこのスキルの恩恵が大きいため、これを習得できる最低ラインであるレベル10で考えてみましょう。
 レベル10の頃には、カスパルの力は13、速さは10程度になっていると予測されます(『スカウトしたカスパルのほうが強い?』参照)また、ブリガンドにCCした場合はクラス補正によって力が+2されます。
 レベル10~12程度で挑むことになるであろう「ゴーティエ家騒乱(ノーマル)」のボスである「黒き獣」のステータスはHP43、攻速4、守備11です。
 レベル10のカスパルが「黒き獣」に対して通常攻撃をしたとします。戦士とブリガンドをマスターしている前提のため、「力+2」および「鬼神の一撃」のスキルを装備していると仮定しましょう。
 クラス補正とスキルによって力が17となったカスパルは「鉄の籠手(威力1、重さ3)」を装備しても攻速が落ちないため、「黒き獣」より速さが6上回り余裕で追撃を与えられます。
 すると攻撃は合計で24となり、一度の攻撃で敵に与えるダメージは13×2になります。更に追撃が発生するため攻撃回数が2回増え、4回攻撃によって52ものダメージを与えます。
 では、同じカスパルに「鉄の斧(威力8、重さ7)」を装備させていたとしましょう。すると攻撃は31まで上がりますが、重さが7あるため攻速は-4されます。それによって攻速が6になってしまうために追撃は発生せず、敵に与えるダメージは20にとどまります。
 やはりカスパルには格闘が合いますね。
 ただし、装備や状況によっては斧のほうが火力が出る場合もあります。
 「ゴーティエ家騒乱」は8月の課題出撃となりますが、8月のフリクエをクリアしていればこの時点で「鍛冶屋」と「東の商人」が解放されているため、「東の商人」から購入した「玉鋼」によって「キラーナックル+」や「キラーアクス+」を錬成できます。
 これを活用すれば、カスパルはルナティックにおける「黒き獣」も一撃で倒せる可能性があります。
 カスパルのレベル10における技と幸運の期待値は9と11ですので、素の必殺は10(技+幸運÷2)です。これに「キラーアクス+(必殺35)」と「ジェラルト傭兵団(必殺+10)」と「スマッシュ(必殺+20)」を併用すれば必殺75になります。
 また、カスパルの攻撃は41(力13、武器威力12、クラス補正+2、「力+2」と「鬼神の一撃」によるスキル補正が+2と+6、騎士団補正+3、戦技補正+3)、ルナティックにおける「黒き獣」のステータスはHP72、攻速9、防御17です。
 そこから計算するとカスパルの通常攻撃で与えられるダメージは24になりますので、必殺が出れば72のダメージとなり、ちょうど「黒き獣」のHPを削り切れます。「黒き獣」は幸運が0なので、必殺の確率はそのまま75となります。
 カスパルの命中は支援なしの場合109(技9、武器命中70、斧術Lv2と仮定してスキル補正+10、戦技補正+20)です。「黒き獣」の回避は9ですから、位置取りの関係でカスパルの個人スキルが発動しなかったとしても回避されることはありません。
 「キラーナックル+」および「連打」は必殺の値が「キラーアクス+」や「スマッシュ」より低いため、必殺の期待値は60で留まります。また、攻撃も32と低めなため与ダメは15となり、2撃のうち1撃が必殺になっても合計は60です。
 カスパルはとりあえず「キラーナックル+」で殴らせておけばいいだろうという気持ちが個人的にはあるのですが、こういった場合もあると思うと難しいですね。風花雪月の戦闘、奥が深い。



●カスパルと斧は相性が悪い?

 カスパルの得意武器のひとつに斧があります。とはいえ、カスパルを起用しているプレイヤーの多くは彼に籠手を使用させている場合が多いように見受けられました。その理由についてもちょっと説明させてもらいたい。
 風花雪月における斧は「威力が高く、重さがある」という特徴を持っており「追撃による累積ダメージより一撃の火力を重視する」「敵から追撃を受けても耐えられるだけの耐久がある」ユニット向きの武器と言えます。力が高く、速さが低く、守備が高い重装兵がまさにそれですね。
 この特徴が「ウォーマスター適正キャラの中では力が低く、そのぶん速さが高くなっている」「守備が低い代わりに速さが高いため、敵からの追撃を受けにくく回避値も高い」というカスパルの性能とすこぶる悪いのです。
 というのも、カスパルが斧を装備した場合「一撃の威力がさほど大きくない」「斧の重さを力で相殺できない」「攻速が大幅に落ちるため追撃を受けるリスクが上がり回避値も下がる」と、負の連鎖とも言える状態になってしまうのです。
 とはいえ、ひとつ前の記事のように「キラーアクス+」「スマッシュ」「騎士団の必殺補正」などを併用すれば比較的序盤から大火力を狙えるうえに「斧の命中の低さを自身の技の高さと個人スキルで補える」という特徴を持つので、実は斧を有効活用しやすいユニットでもあります。
 また、ウォーマスターになる頃には兵種補正もあって力が高くなっているため「重さ-3」や「勇者の斧」と併用することによって「威力の高い斧による4回攻撃を行える」という、ほかのウォーマスター適正ユニットにはない役割を持つこともできます。
 しかし、カスパルに斧を有効活用させるためには上述したようにスキルや戦技をうまく組み合わせる必要があるので、籠手のように「ただ殴らせておけば強い」という使い方はできないという意味で「カスパルと斧は相性が悪い」と言えるように感じました。



●難易度別カスパルの使用感

・ノーマル~ハード

 敵のステータスが低いので序盤における使い勝手の悪さはさほど気になりません。騎士団や計略もそこまで重要にならないため、指揮が不得意なことや魅力の低さはあまり問題にはならない印象です。
 敵の攻速が低めなので追撃が発生しやすく、ラスボスすら高必殺の4連続攻撃によって沈めてくれます。とりわけ「白きもの」のHPゲージを一度の戦闘で削りきる点に関しては定評があるもよう。
 ただ、敵のステータスが低いためにカスパルの特徴である「命中の高さ」は実感しにくいかなと感じました。

・ルナティック

 命中率が超重要になってくるため個人スキルの恩恵が大きいです。
 敵の攻速が高いので追撃は取りにくくなりますが、そのおかげで固有戦技の「連打」が光ります。また、攻速が低くHPの多い魔獣やゴーレムに対しては相変わらずの4回攻撃で猛威を奮ってくれます。
 ルナティックでは敵の攻撃力が異様に高いため「受ける壁」よりも「避ける壁」が重要になり、なおかつ「〇殺し+」を習得している場合も多いという理由から「格闘回避型」としての役割も与えられます。
 ただし、上記の利点はあくまで「育ってから」の話であり、上級職になるまでは初期能力の低さから育成の過程が困難となります。不得意の指揮をどうフォローするかも課題になるでしょう。
 ……といった理由から「高難易度でこそ光る性能なのに、高難易度では育成がしにくい」という印象です。
 やはり上級者向けユニットですね(ドヤ顔)





●カスパルかバルタザールか?


 いろいろな攻略サイトを見ているうちに、「ウォーマスター枠は断然バルタザールのほうがいい」という方もいれば、「技と速さが伸びるカスパルのほうがいい」という方もいることに気付かされました。当然ながら「どちらも異なる利点がある」という方もいます。
 個人的には「どちらも事なる利点がある」という意見に賛成かなと思いました。というのも、2人はステータス配分、個人スキル、得意技能どれを取っても一長一短であり、選んだルートによっても使用感が異なるため、一概にどちらがどうとは言えないからです。
 ……ということで、ちょっと2人の性能を比べてみましょう。

 なぜカスパルとバルタザールなのかという理由を記述しておきますと、ドゥドゥーはルート固定かつ離脱期間のあるユニット、アロイスは加入時期が遅い……という点から育成や出撃ができる期間が限られるため、比較対象にしないサイト様が多いようです。
 また、ラファエルは成長率や得意技能がバルタザールと類似しており、なおかつバルタザールは「個人スキルが優秀」「紋章持ち」「フリースカウト」という点でラファエルに勝っているため、ラファエルのほぼ上位互換である……という理由からのようです。
 参考にしたサイトは「SpicaBlog」「風花雪月の攻略」「vnk-blog」様です。記事の最後にURLを掲載していますので、元記事を読みたい方はそちらからどうぞ。



☆ステータスの違い

・ステータスの成長率

カスパル…………体力55%、力45%、魔力25%、技45%、速さ45%、幸運40%、守備30%、魔防20%、魅力25% 合計330
バルタザール……体力50%、力50%、魔力30%、技25%、速さ30%、幸運20%、守備45%、魔防30%、魅力30% 合計310

 カスパルは技、速さ、幸運の成長率が15~20%バルタザールに勝るため、追撃や必殺の期待値が高めです。また、技の高さと個人スキルのおかげで命中が非常に安定しています。そのぶん耐久はかなり低く、スキルや騎士団で回避を盛らないと打たれ弱いです。
 バルタザールは守備の成長率が15%、魔防が10%カスパルに勝っているため耐久面が強いです。力の成長率は5%上回るのみですが、個人スキル「格闘王」によってHPが50%以下のときに力と守備が+6されるため、もともと高い攻撃と耐久がさらに強固になります。
 高い成長率と優秀な個人スキルによって攻撃と防御の双方が高水準な反面、技の成長率は全キャラ中で単独最下位、幸運の成長率も下から2番目タイという尖ったステータス配分をしているのがバルタザールの特徴です。
 攻撃する場合は命中に悩まされ、攻撃を受ける場合は必殺に晒されやすくなるため、バルタザールを運用する場合はそこをどう補うかが課題になるでしょう。技と幸運が低いので必殺も低いですが、得意技能と兵種のおかげでそこは盛りやすいです。
 攻撃力が低めなぶん命中と必殺が高く、耐久は低いものの回避や必殺回避は高めなカスパルと、
攻撃力が高いぶん命中が低く、耐久は高いものの被必殺のリスクが高いバルタザール
 得意技能には共通点がありますが、ステータスは対象的ですね。

・ステータスの初期値

カスパル…………体力26、力9、魔力3、技5、速さ6、幸運8、守備6、魔防2、魅力4 合計69
バルタザール……体力29、力12、魔力6、技5、速さ8、幸運3、守備8、魔防5、魅力5 合計81

 ステータスの初期値はバルタザールが圧倒的に上です。バルタザールはほかのウォーマスター適性キャラと比較してもステータスの初期値が優れているため、個人スキルの効果もあって序盤では他者の追従を許さないほどの強さを誇ります。

・ステータスの上限(聖人像なし)

カスパル…………体力97、力65、魔力41、技61、速さ62、幸運58、守備51、魔防35、魅力46 合計516
バルタザール……体力100、力71、魔力48、技39、速さ46、幸運35、守備69、魔防43、魅力46 合計497

 順当にゲームを進めた場合はカンストするまで育てないので、ステータスの上限なんて比べてもあまり意味がない……と思ったので最初は比較しないつもりだったのですが、調べてみるとおもしろかったのでこちらも掲載。
 何おもしろいと感じたかと言うと、初期ステータスはバルタザールのほうが圧倒的に上なのに、成長率の合計ではカスパルがバルタザールを上回り、最終的なステータスの総合値もカスパルのほうが上という点です。
 このステータスの違いが、登場時から「格闘王」という肩書きをひっさげてきたものの「年齢というハンデがある」ことを指摘されている(風花無双の支援会話参照)バルタザールと、「成長途上の若者」であるカスパルというキャラを表現しているようでとてもいいなと感じました。

・中盤におけるステータスの期待値

 気になったので中盤のステータスの期待値も「へたれチェッカー」さんを使って調べてみました。どちらも貴族→戦士→ブリガンド→グラップラー→ウォーマスターとCCしていった場合の期待値です(小数点以下は切り捨て)

▽レベル10

カスパル…………体力31、力13、魔力5、技9、速さ10、幸運11、守備8、魔防3、魅力6 合計96

バルタザール……体力33、力15、魔力7、技7、速さ9、幸運5、守備11、魔防6、魅力7 合計100

 すでにステータスに個性が出ていますね。
 レベル1の段階では技と幸運を除くすべての数値でバルタザールが勝っていましたが、レベル10ではカスパルが速さを追い越し、技と幸運の値の差を更に広げています。12もあった合計値の差も4(そのうち2は魔力)まで縮んでいますね。
 力と耐久面は相変わらずバルタザールが優勢です。格闘は2回攻撃なので、力2の違いはけっこう大きい。ここにそれぞれの個人スキルや戦技による違いが加わりますから、実際の戦闘における使い心地はかなり異なりそうですね。

▽レベル20

カスパル…………体力39、力18、魔力8、技13、速さ14、幸運15、守備11、魔防5、魅力9 合計132
バルタザール……体力41、力21、魔力10、技9、速さ12、幸運10、守備15、魔防8、魅力10 合計136

 ステータス配分はそのままに、それぞれの得意分野で差を広げたという印象です。
 この数値はレベル20のブリガンドにおけるステータスですので、この後グラップラーにCCすることによってそれぞれのステータスが引き上げられます。
 カスパルは守備が11→14、魔防が5→7になり、バルタザールも技が9→12、速さが12→14になるため、技、速さ、守備、魔防の値はほぼ横並びになります。

▽レベル30

カスパル…………体力49、力24、魔力11、技19、速さ20、幸運19、守備17、魔防9、魅力12 合計180
バルタザール……体力50、力27、魔力13、技15、速さ18、幸運12、守備20、魔防11、魅力14 合計180

 この辺でカスパルのステータスの合計値がバルタザールに追いつきました。また、ウォーマスターの最低保証でカスパルは魔防が9→10になるため、ステータスの合計値も181となります。
 レベル30というと進行度的には二部が始まったあたりだと思われますが、5年後のカスパルの成長っぷりを鑑みると、ここでステータスが追いつくというのは何とも味わい深いです。

▽レベル40

カスパル…………体力58、力30、魔力13、技23、速さ25、幸運23、守備20、魔防12、魅力15 合計219
バルタザール……体力59、力34、魔力16、技18、速さ22、幸運14、守備24、魔防14、魅力17 合計218

 最終マップに到達する頃のレベルは40前半程度だと思われますので、実質上この辺が最終的なステータスになるかと思われます。

▽レベル50

カスパル…………体力68、力36、魔力16、技28、速さ31、幸運27、守備23、魔防14、魅力18 合計261
バルタザール……体力68、力40、魔力19、技20、速さ26、幸運16、守備29、魔防17、魅力21 合計256

 通常のプレイでは高くてもレベル50になるまでにはEDを迎えると思われるので、比較はこの辺にしておきましょう。
 レベル50にもなるとステータスの差が顕著になってきますね。カスパルは技、速さ、幸運が合計で24バルタザールを上回っており、バルタザールは力、守備、魔防、魅力が合計で16カスパルを上回っています。
 おもしろいことに、初期値はあんなにステータス差があったのに、レベル10の段階ですでに合計値の差が4まで縮み、レベル30ではまったく差がなくなり、レベル40からはカスパルがバルタザールを追い越しています。
 風花無双ではカスパルとバルタザールが1対1で稽古をしているという内容の支援会話がありますが、最初はバルタザールにまったく歯が立たなかったカスパルがそのうち互角に戦えるようになり、最終的には1本を奪うのかもしれない……と思うと熱いですね。



☆ユニット特性の違い

・得意&不得意技能

 バルタザールは剣、斧、格闘、信仰、重装が得意かつ理学が開花得意と、得意技能がとても多いのが特徴です。槍、弓、飛行は不得意となっています。
 技の成長率が低く支援相手に乏しいので、命中の低さを補うために「命中+20」は欲しいところです。弓が不得意なのはそこで不便になりますが、アーチャーへのCCに必要な技能レベルはCなので無理な範囲ではありません。
 カスパルと違って指揮は不得意ではないので、優秀な騎士団を配備することによって命中の低さをある程度は補えます。重装が得意なためアーマーとして育てる選択肢もあり、騎馬も不得意ではないのでグレートナイトの適性も高めです。
 また、バルタザールは信仰が得意なためバトルモンクにもCCさせやすいです。槍と飛行が苦手なのでドラゴン系の兵種にするのは難しく、「警戒姿勢+」も習得しにくいため「格闘回避+20」と併用して格闘回避型として運用するのには向きません。

・バルタザールのスキルと紋章

 バルタザールの個人スキル「格闘王」はHPが50%以下のときに力と守備が+6されます。
 6の増加はかなり強力で、とりわけ序盤においては無類の強さを誇ります。反面、敵の攻撃が高いルナティックの終盤では物理受け自体が危険なため、故意に発動を狙うことは少なくなります。「切り返し」と同時に発動できないのも残念な部分。
 バルタザールが持つ「シュヴァリエの紋章」は「戦技使用時、50%の確率で与えたダメージの30%ぶん回復」という効果があります。発動率は高いのですが、「格闘王」の効果と噛み合っていないのでいまいちありがたみが薄いです。
 とはいえ、個人スキルとの兼ね合いは考慮せず、なおかつバルタザールを壁役として運用する場合は、固有戦技の「ドレインブロー」とも併せて「火力を出しながら自己回復できる手段」として有効活用できそうです。
 また、バルタザールの「紋章持ち」という長所は「ヴァジュラの性能および、紋章一致によって使用可能になる戦技がそこまで強力ではない」「火力アップに繋がるような武器以外の英雄の遺産がない」といった理由から、ウォーマスターとして運用する場合そこまでメリットにはなりません。
 しかし、アーマーとして運用する場合は特攻と必殺を無効化する「ラファイルの宝珠」を無傷で装備できるという理由からメリットが大きく、アーマー適正のあるユニットとして頭ひとつ飛び抜けている印象を受けます。
(重装適正のある紋章持ちのユニットとしてはフェルディナントやヒルダもいますが、成長率などの違いから彼らをアーマーとして運用する方は少ないかと思われます。エーデルガルトは紅花ルート限定のユニットなので「ラファイルの宝珠」を入手できません)

・英雄の遺産と戦技

 バルタザール&ハピの外伝をクリアすると報酬として英雄の遺産である「ヴァジュラ」が貰えます。そして、バルタザールは紋章一致によって「ヴァジュラ」の真価を引き出すことができます。
 「ヴァジュラ」の武器種は籠手で、威力7、命中90、必殺10、重さ7、耐久30という性能をしています。命中と重さは「銀の籠手+」と同じですが、威力は籠手の中で最高となっています。
 必殺+10の補正は格闘の特徴である「2回攻撃」や、ウォーマスターの兵種スキルである「必殺+20」と相性がよく、高い威力によって安定したダメージを与えつつ必殺も狙いやすくなります。
 とはいえ、必殺の数値だけで言えば「キラーナックル+」のほうが30と高く、重さも4と「ヴァジュラ」より軽いため、「ヴァジュラの性能はすべての籠手を上回っている」というわけではありません。
 また、バルタザールは「ヴァジュラ」を装備した際、紋章一致によって戦技「魔拳」を使用できます。
 「魔拳」は威力、命中、必殺が+10されるのに加えて、「敵の守備or魔防の低い方でダメージ計算」という特殊効果を持っているため、守備の高いアーマーや魔獣に対して有効に働きます。
 「魔拳」に限らず注意したいのが、前述した「シュヴァリエの紋章」の効果です。これによって戦技を使用した際に意図せずHPを回復してしまい、「格闘王」の発動条件から外れてしまう……なんてことが起こらないとも限りません。
 戦技を活用したい場合はもともと「格闘王」とは併用しないつもりでいたほうがいいかもしれませんね。

・習得魔法

 カスパルの習得魔法は「ファイアー」「ボルガノン」「ライブ」「リザイア」「リカバー」といった物理攻撃ユニットにありがちなラインナップですが、バルタザールは「ライナロック」「エンジェル」「レスト」といった珍しい魔法を習得します。
 とはいえ、魔力の低いバルタザールに攻撃魔法を使わせる機会はほぼないと思われますので、「ライナロック」や「エンジェル」を有効活用するのは難しいでしょう。アーマーを相手にする場合も「魔拳」や「ハンマー」を使ったほうが与えるダメージは大きくなると思われます。
 「レスト」は「動揺」を解除できるという理由から高難易度では利用価値の高い魔法ですが、必要技能が信仰Bと高めです。バルタザールは信仰が得意とはいえ、このために彼の信仰をBまで上げ、なおかつ魔法を使える兵種のままにしておく……というのはもったいない気もします。

・支援相手

 紅花および銀雪ルートにおいてはカスパルのほうが圧倒的に支援相手が多く、戦場のどこに位置取っても支援効果を得られるため、もともと高い命中と回避が更に磐石になります。
 支援Aのある相手も主人公、エーデルガルト(orカトリーヌ、シャミア)、リンハルト、ベルナデッタ、ドロテア、ペトラと多いため、最大40%の命中・回避の補正を容易に得ることができます。青獅子にも支援Aまであるアッシュやアネットがいます。
 バルタザールは黒鷲および青獅子には主人公しか支援相手がおらず、それらのルートでは支援相手の乏しさから命中難に陥りやすいです。金鹿ではクロード、ヒルダ、リシテアとの支援があり、ヒルダとラファエルのみのカスパルよりも支援相手が多いため活躍がしやすいです。
 そういった理由から黒鷲ルートではカスパルを起用し、金鹿ルートではバルタザールを起用するというふうに使い分けている方もいるようですね。青獅子ルートではカスパルをスカウトする方が多いようですが、これは支援関係ではなくメルセデスとの外伝が主な理由です。
 また、黒鷲には壁役に適したユニットがいない(重装が得意なエーデルガルトとフェルディナントは守備の成長率が35%なため壁役としては不安)という理由から、ウォーマスターとしてではなくアーマーとしてバルタザールをスカウトする方もいるようです。



☆実戦ではどうなるか?

・戦闘時のステータス

 レベル40の2人のステータスを見て、「あれ、思ったより数値の開きがないな?」と感じました。
 しかし、これはあくまでステータスそのものの値であり、個人スキルや武器との兼ね合いは考慮していないものです。おそらく実際の戦闘ではもっと個性が出るはず……ということで、個人スキルや武器の補正値も含めた数値を算出してみました。
 兵種はいずれもウォーマスターとするため、HP+3、力+5、速さ+2、幸運+1、守備+1のステータス補正および「格闘の達人」「必殺+20」の補正が入ります。また、スキルはそれぞれ「格闘術Lv5」「格闘必殺+10」「格闘の達人」「鬼神の一撃」と……あとは自由枠(後述)とします。
 バルタザールのスキルは常に発動しているものとし、指揮レベルは得意不得意を考慮せず両名ともBとします。配備している騎士団は物理アタッカーと相性のいい「ゴネリル戦姫隊(物攻+8、命中+20、必殺+15、防御+6)」として計算しました。
(バルタザールのスキルが常に発動しているのはカスパルにとって不利な条件ですが、指揮レベルを同値にして釣り合いを取るということで)
 「銀の籠手+」と「ヴァジュラ」は命中と重さが同じのうえ、「ヴァジュラ」を装備すること自体はカスパルにも可能(紋章持ちでないため自傷ダメージは受ける)という理由から、数値の算出は「ヴァジュラ」と「キラーナックル+」のみとしました。
 必殺の値は(技+幸運)÷2+補正値で算出されます。
 ()内は個人スキルによる補正を含めた数値です。

▽「ヴァジュラ(威力7、命中+90、必殺+10)」を装備した場合の期待値

カスパル…………攻撃66 命中143(153) 必殺78 回避47 攻速27
バルタザール……攻撃70(76) 命中138 必殺72 回避44 攻速24

 どちらも力が35以上あるため攻速は落ちませんが、カスパルは力が1でも下振れしていると攻速が落ちてしまいます。

▽「キラーナックル+(威力3、命中80、必殺30、重さ4)」装備した場合の期待値

カスパル…………攻撃62 命中133(143) 必殺98 回避47 攻速27
バルタザール……攻撃66(72) 命中128 必殺92 回避44 攻速24

 キラーナックル+は重さが4しかないため、バルタザールより力が劣るカスパルでも余裕を持って攻速を落とさずに使用できます。

 数値を比べてみると、2人の個性(攻撃、命中)はステータスそのものではなく個人スキルによるものが大きいことがわかりますね。
 これらの数値から鑑みるに、力が低めのカスパルを使用する場合は攻速が落ちない「キラーナックル+」を、命中が低めのバルタザールの場合は命中が高い「銀の籠手+」や「ヴァジュラ」をそれぞれ装備させるケースが多くなると予測されます。
 更に「連打(攻撃+3、必殺+10)」を習得するカスパルは戦闘で「連打」を使用する機会も多いと思われるため、必殺の期待値がより高まり「カスパルは必殺がよく出る」という印象に繋がるのだと思います。
(バルタザールの「魔拳」にも必殺+10の補正がつきますが、こちらは1回攻撃であるため必殺発動の期待値も半減します)
 また、金鹿においては2人の支援関係には大きな差はありませんが、黒鷲と青獅子においてはカスパルのほうが支援関係に恵まれているため、命中や回避が本人の数値以上に高く感じられると思われます。
 騎士団もそれぞれの長所を更に伸ばすものを配備することが多くなるでしょう。持ち前の守備の高さと個人スキルで防御が高いバルタザールは、防御が10上昇する代わりに回避が15下がる「ダスカー重装兵団」を配備する……といった具合に。
 キャラのユニット性能は単純なステータスだけでなく個人スキルや戦技も大きく影響しており、そこから装備、スキル、騎士団の選び方も変化し、それらが合わさった結果が「そのキャラのイメージ」を造っているのだなと感じました。

・実戦シミュレーションをしてみる

 では、たびたび検証に登場している「最後の戦い(ルナティック)」の開始地点にいるパラディンで実戦のシミュレーションをしてみます。地形効果および支援効果はない状態とします。
 必殺の確率は必殺の値-敵の幸運で算出されます。

▽敵のパラディンのステータス




▽「ヴァジュラ」を装備して通常攻撃をした場合

カスパル…………与ダメージ29+29、命中101%、必殺47% 敵の残HP13
バルタザール……与ダメージ32+32、命中86%、必殺41% 敵の残HP5
(格闘王発動時……与ダメージ39+39、命中86%、必殺41% 敵の残HP-7)

 通常時に与えるダメージではどちらも撃破に至りませんが、バルタザールは「格闘王」が発動している場合は撃破することができます。

▽スキルと装備を変更した場合

 バルタザールの命中が不安なため、次は双方に「命中+20」をつけてみます。もともと命中が100%を越えるカスパルにはスキルの恩恵がないため、武器を「キラーナックル+」に持ち替えるとしましょう。

カスパル…………与ダメージ25+75、命中111%、必殺67% 敵の残HP-29
バルタザール……与ダメージ32+32、命中106%、必殺41% 敵の残HP5
(格闘王発動時……与ダメージ39+39、命中106%、必殺41% 敵の残HP-7)

 カスパルの必殺率が67%のため、2回攻撃のうち1回を必殺として計算しています。1回でも必殺が出れば敵を撃破できますが、67%なので出ない確率も高いです。
 バルタザールは命中が106%になったため、確実にダメージを与えられるようになりました。

▽上記の条件でそれぞれ「連打」「魔拳」を使用した場合

カスパル…………与ダメージ28+84、命中111%、必殺77% 敵の残HP-41
バルタザール……与ダメージ48、命中116%、必殺51% 敵の残HP23
(格闘王発動時……与ダメージ54、命中116%、必殺51% 敵の残HP17)

 上記と同じように、カスパルの必殺率が77%のため、2回攻撃のうち1回を必殺として計算しています。必殺の確率は高めですが、まだ信用はできない数値です。必殺が発動する前提で戦闘をする場合は80%は欲しいところ。
 バルタザールは通常攻撃のほうが与えるダメージが多いという結果になりました。このパラディンは守備と魔防に5しか差がないため、「魔拳」の特性である「守備か魔防の低いほうでダメージ計算」の恩恵があまりなかったようです。

 では、ステータスはそのままで「一度の戦闘でこのパラディンを倒す方法」を考えてみます。
 カスパルは必殺が出れば敵を倒せるため、「必殺の指輪(必殺+5)」を装備させましょう。これで「連打」を使えば必殺82%の攻撃を2回繰り出すことができます。1発でも必殺になれば倒せる計算ですので、よほど運が悪くなければ倒せるでしょう。
 バルタザールは「格闘王」さえ発動していれば倒せるため、「敵からの攻撃を受けた場合にHPが1~最大HPの50%以下になるのかどうか」を計算してみます。
 通常の防御力(守備25+騎士団補正6)の場合に敵から受けるダメージは25です。敵の命中は85%ありますので、回避することはほぼないと思われます。
 最大HPが62で残HPが37なので、1撃目の攻撃を受けた段階ではまだ「格闘王」は発動しません。追撃でさらに25ダメージを受けることによって残HPが12になり、ここで「格闘王」が発動します。
 なお、敵の必殺が17%の確率で出るので運が悪ければHPは0になります。バルタザールの「格闘王」を積極的に活用したい場合は敵の必殺を無効化する「オハンの盾」や「ラファイルの宝珠」を装備させておくと安心ですね。
 バルタザールより守備が4劣るカスパルでは同じ敵に攻撃された場合に残HPが3になってしまう(被必殺の確率は9%と低くなっています)ため、ある程度の余裕をもってダメージを受けられるのはバルタザールの強みと言えます。
 ここでバルタザールが反撃をしても、反撃には格闘の特徴である「自分から攻撃したとき、2回攻撃」や「鬼神の一撃」の効果が乗らないため、敵のHPは33残ります。次のフェイズからは「格闘王」が発動した状態で攻撃が行なえますので、バルタザールの剛腕を遺憾なく振るうことができます。
 ……ここまで書いておいてなんですが、耐久の高いバルタザールの場合は「格闘王」を利用した先制攻撃による敵の撃破を狙うよりも、「オハンの盾」と「切り返し」を装備してカウンターを狙ったほうがいいかもしれないと感じました。
 その過程でHPが50%以下になった場合は「格闘王」と「待ち伏せ」を利用して大ダメージを狙う……というような感じで。バルタザールは剣も得意なので、傭兵のマスタースキルである「待ち伏せ」も習得しやすいです。
 「オハンの盾」と「切り返し」を併用したカウンターアタッカーとしての運用はカスパルにもできますが、カスパルの場合は「速さの成長率が高め」「飛行技能を比較的上げやすい」という特徴を生かして回避型にするほうが向いていそうです。

 ……という感じで、自分から攻めるにしろカウンターを狙うにしろ、カスパルとバルタザールでは「それをどうやるか」が大きく異なるという結論になりました。
 ステータスが大幅に違うわけでもないのに「このキャラでどうやったら敵を倒せるか」を考えていくと、スキルや得意技能の兼ね合いによってそれぞれのイメージに合った戦い方になるのは実におもしろいですね。

 次は別の敵でもシミュレーションしてみましょう。今度は同じマップに登場するグレートナイトです。

▽敵のグレートナイトのステータス



▽「ヴァジュラ」を装備して通常攻撃をした場合

カスパル…………与ダメージ23+69+23+69、命中121%、必殺50% 敵の残HP-105
バルタザール……与ダメージ27+27、命中106%、必殺44% 敵の残HP25
(格闘王発動時……与ダメージ36+36、命中106%、必殺44% 敵の残HP7)

 カスパルは敵より攻速が5上回るため、追撃が発生します。また、必殺率が50%あるので、2発中1発を必殺として計算しています。
 先程のパラディンの場合はいずれも追撃が発生しなかったため、力で勝るバルタザールのほうが与ダメージの期待値が多くなっていました。
 しかし、こちらのグレートナイトの場合はカスパルの追撃が発生するため、カスパルのほうが与ダメージの期待値が多くなっています。また、必殺が出なくとも累積ダメージによって4発目にはとどめを刺すことができます。

▽両名に「キラーナックル+」を装備させた場合

カスパル…………与ダメージ19+57+19+57、命中111%、必殺70% 敵の残HP-73
バルタザール……与ダメージ23+69、命中96%、必殺64% 敵の残HP-13
(格闘王発動時……与ダメージ29+105、命中96%、必殺64% 敵の残HP-37)

 このグレートナイトは回避が低いため、バルタザールもキラーナックル+を装備しての必殺を狙いやすいです。とはいえ、必殺に関しては必殺率と攻撃回数が多いカスパルのほうが期待値は高くなります。
 カスパルとバルタザールの速さの期待値は3しか変わりませんが、この3の差によって追撃の期待値および追撃される危険性がそれなりに変わるので、意外と侮れない差なのかもしれません。

 次はカスパルに「キラーナックル+」を、バルタザールに「ヴァジュラ」を装備させたうえで戦技を使ってもらいます。

▽上記の条件でそれぞれ「連打」「魔拳」を使用した場合

カスパル…………与ダメージ22+66、命中111%、必殺80% 敵の残HP-9
バルタザール……与ダメージ60、命中116%、必殺54% 敵の残HP19
(格闘王発動時……与ダメージ66、命中116%、必殺54% 敵の残HP13)

 グレートナイトは魔防が守備より23低いため、バルタザールは通常攻撃よりも「魔拳」による与ダメージの期待値のほうが高くなります。
 カスパルは通常攻撃で追撃が発生するので今回は「連打」の恩恵は少なめですが、敵の反撃を受けず倒したい場合は「連打」を使う選択肢もありかもしれません。

・まとめ

 カスパルとバルタザールはプレイヤーが彼らを「どういう状況で」「どういうふうに」運用したいかによって「どちらがより適しているか」が変わります。そういった理由から「どちらも異なる利点がある」という結論になりました。


●ほかの斧格闘ユニットと比較してみる

 カスパルとバルタザールのステータスを比較してみたらおもしろかったので、ほかのユニットとも比較してみました。
 まず初期ステータスですが、カスパルの初期ステータスの合計は69となっており、これはほかのウォーマスター適性キャラと比較するともっとも低いです。
 具体的にはドゥドゥーが74、ラファエルが73、バルタザールが81となっています(アロイスは途中加入ユニットなのでレベル1のデータがありません)
 比較してみるとその低さがよくわかりますね。
 しかし、そのぶん成長率の合計は330と、ウォーマスター適性キャラの中ではもっとも高く設定されています。ドゥドゥーは290、ラファエルは295、バルタザールは310、アロイスは315となっています。
 ステータスの最大値の合計も516と、ウォーマスター適性ユニットの中ではもっとも高くなっており、合計値が唯一500を越えます。ドゥドゥーは479、ラファエルは498、バルタザールは497、アロイスは485です。
 この「最初は誰よりも貧弱なのに、育てば誰よりも(ステータスの合計は)強くなる」
 という設定は、一部から二部にかけて身体的・精神的に大きく成長するカスパルというキャラを表現しているようでいいなと感じました。





●おすすめ習得スキル

 カスパルを運用するうえで役に立つスキルを抜粋してみました。すべてのスキルを習得すべきというわけではなく、育成方針に合わせて必要なものを習得させてください。

・鬼神の一撃
 ブリガンドのマスタースキル。自分から攻撃をするとき力が+6される。格闘は常に2回攻撃を行うため、与えるダメージが12も増加し、追撃が発生するとさらに12増加する。これを習得することによりカスパルのアタッカーとしての性能が一気に強化されます。

・斧術、格闘術Lv5
 それぞれの技能A+で修得。該当武器を装備しているとき、斧は命中+20、回避+10、必殺回避+10され、格闘は命中+10、回避+20、必殺回避+10されます。技能レベルによって補正値に差異はありますが、序盤から終盤までどちらかは常に装備していることになる定番スキルです。

・斧必殺、格闘必殺+10
 それぞれの技能Sで修得。該当武器を装備しているときに必殺+10。ウォーマスターの兵種スキル「必殺+20」と組み合わせると常に必殺+30の状態になり、「キラーナックル+(必殺+30)」や「キラーアクス+(必殺+35)」を装備するとさらに上昇します。

▽ウォーマスターのカスパルに「キラーナックル(必殺+20)」「格闘必殺+10」「必殺の指輪(必殺+5)」「フラルダリウス兵(必殺+20)」を装備させたもの。必殺が4連続で発動し、なおかつ100%命中するため、計算上は432もの大ダメージを与えます。必殺特化でありながら命中や回避も高水準を維持しているのもポイント。


・斧の達人、格闘の達人
 それぞれの技能S+で修得。該当武器を装備した際、敵に与えるダメージを+5します。ウォーマスターなどの兵種スキルとは効果が重複するので合計で+10される。格闘の場合は追撃が発生するとダメージが合計で40も増加し、斧も必殺が発生すれば30増加します。

・格闘回避+20
 バトルモンクのマスタースキル。格闘を装備していると回避+20。「格闘術Lv5」と組み合わせると回避が+40になる。魔法攻撃に対しても有効なので、格闘をメインに使う場合はぜひとも習得したい。

・槍殺し
 斧技能B+で習得。自分が斧を装備して槍を装備した敵と戦う場合に、命中と回避が+20される。パラディンやゴーレムなど槍を使う敵は多いので、斧を使用する場合はとても役に立ちます。

・魔殺し
 グラップラーのマスタースキル。自分が格闘を装備して魔法の敵と戦う場合、命中と回避が+20されます。格闘はもともと命中が高いため「槍殺し」より重要度は低いものの、格闘回避型として運用する場合など状況によっては役に立ちます。

・警戒姿勢+
 飛行A+で習得。行動時に何もせず待機すると回避が+30されます。アタッカー運用の場合は無理に習得する必要はありませんが、カスパルを格闘回避型として運用する場合は欲しいところです。

・切り返し
 ウォーマスターのマスタースキル。HPが50%以上で敵から攻撃を受けた時、敵が追撃可能な場合は敵の追撃を無効化し、こちらの反撃は絶対追撃になる。
 カスパルを格闘回避型として運用する場合、前述した「格闘回避+20」や「警戒姿勢+」と併用すれば反撃による駆逐力がかなり増します。
 カスパルはもともと速さが高めのユニットなので、低難易度かつ格闘をメインにした運用なのであればほとんど恩恵はありません。
 しかし、ルナティックのファルコンナイトなどは攻速が53もあり、黒鷲でもっとも早いペトラですら問答無用で追撃を受けます。そういった理由から、高難易度ではものすごく役に立つスキルです。

・命中+20
 アーチャーのマスタースキル。苦手な弓技能を鍛える必要がありますが、習得すればもともと高い命中が更に強化され、森の中にいるアサシンなどに対しても安定した命中率で攻撃できます。斧をメインに使用する場合や、不確定要素を極力なくしたい場合にもおすすめ。

・重さ-3、重さ-5
 重さ-3は重装Cで習得、重さ-5は重装A+で修得します。装備している武器と防具の重さを数値ぶん減らします。
 籠手は軽いのでこのスキルの恩恵は少ないですが、防具の重さも減らしてくれるので攻速を損なわずに盾を装備することができます。重装Cまでであればさほど負担にはなりませんし、アーマーナイトにCCしたときの最低保証によって守備も補強できるのでおすすめです。
 重装をA+まで上げれば「重さ-5」も習得しますが、重装が得意ではないカスパルの重装をA+まで上げるかはプレイヤーの方針によります。籠手をメインの武器として使用するのであれば必要性は低いでしょう。



●カスパルのスキル一例

<格闘型>
格闘術Lv5(格闘A+)
格闘必殺+10(格闘S)
格闘の達人(格闘S+)
格闘回避+20(バトルモンク)
鬼神の一撃(ブリガンド)

 攻撃面と回避面をバランスよく補強できるスキル構成です。必要に応じた騎士団を配備することによって、「必殺寄り」「回避寄り」というふうに調整ができます。

<格闘回避型>
格闘術Lv5(格闘A+)
格闘の達人(格闘S+)
格闘回避+20(バトルモンク)
切り返し(ウォーマスター)
警戒姿勢+(飛行A+)

 回避値を重視したスキル構成です。計略の「応撃の備え」やDLCの「始原の宝杯」と併用すれば、遠隔攻撃をしてくる敵にも反撃ができます。敵に魔道士が多い場合は「格闘の達人」を「魔殺し」にするなど、敵の兵種や用途に合わせてお好みで変更してください。
 ここまでしなくても回避100くらいにはなるので(後述)地形や支援効果で補正をつければそこそこ使えるのですが、それなら別にカスパルでなくてもいいわけです。
レベル40における期待値である速さ25+格闘術Lv5+格闘回避+20+回避の腕輪+ブリギッド傭兵団+支援Aの副官で105)
 ということで「ウォーマスター適性があり、飛行が不得意ではない」というカスパルの個性を生かして、回避型には必須とも言える「警戒姿勢+」および、安全性と火力を同時に高める「切り返し」も習得して「攻撃されたらそれを回避したうえで2回攻撃するユニット」にしてしまおうというスキル構成です。
 反撃には「鬼神の一撃」による攻撃補正は乗らないうえ、格闘の持ち味である「自分から攻撃したとき、2回攻撃」という特性も発揮されませんが、ウォーマスターの兵種スキルとスキル枠の「格闘の達人」は効果が重複されるため充分な火力になります。
 とはいえこれはあくまで理想であって、ほかのスキルを習得しながらだと「格闘の達人」を習得するのはかなり終盤になるでしょう。ですので、それまでは「力+2」や「格闘必殺+10」など、ほかの火力アップ系スキルを装備するのがいいかと思います。

<斧型>
槍殺し(斧B)
重さ-3(重装C)
斧術Lv5(斧A+)
斧必殺+10(斧S)
鬼神の一撃(ブリガンド)

 斧はいちばん軽い「訓練用斧」であっても重さが4あるので、「重さ-3」が重宝します。斧を使用する場合は追撃による累積ダメージよりも、「キラーアクス+」と「スマッシュ」を併用した必殺を狙う場合が多いと思われますので、「斧の達人」の習得は急がなくてもいいと思います。

<複合型>
斧術Lv5
格闘術Lv5
鬼神の一撃
自由枠(後述)
自由枠(後述)

 槍を持った敵や重装相手には斧で、そうでない敵は格闘で……と武器を切り替えながら戦えるようにしたスキル構成です。
 斧と格闘のどちらかに特化させられるようになるのは終盤になるので、それまでは汎用性の高いスキルを中心とした複合型の構成がメインになると思います。
 自由枠は序盤であれば「HP+5」「力+2」「重さ-3」「命中+20」「槍殺し」など、スキルが充実しているのであれば「切り返し」「警戒姿勢+」など……というふうに、敵の兵種や戦略によって適宜入れ替えてください。



☆「格闘回避型」の長所と短所

 バトルモンクのマスタースキルである「格闘回避+20」の登場によって、格闘ユニットは攻撃一辺倒ではなく「格闘回避型」という選択肢が増えました。格闘が得意かつ回避の高いカスパルはこの「格闘回避型」と相性がよいため、これについても少し記述しておきます。
 回避型のユニットとしては、剣ユニットに踊り子のスキルである「剣回避+20」や「警戒姿勢+」を装備させた「剣回避型」があります。
 剣が得意なキャラや兵種は格闘タイプより速さが高いうえに、反撃では格闘の持ち味である「自分から攻撃したとき、2回攻撃」の効果が出ないため、「敵の攻撃をかわしつつ反撃を狙う」という役割としては「剣回避型」のほうが優秀と言えます。
 しかし、格闘には2回攻撃という強みがあるため、自分から仕掛けるぶんには「連続攻撃の火力に加えて高い回避性能を持つ」という、「剣回避型」とは異なる役割を持てるようになりました。そういった性質から「格闘回避盾」ではなく「格闘回避アタッカー」と呼ぶ方もお見かけしますね。
 黒鷲には剣が得意かつ個人スキルで回避が上昇するフェルディナントや、剣と飛行が得意かつ速さが高いペトラがいるため、カスパルを「格闘回避アタッカー」として起用することはあっても、回避に特化させた「回避盾」として起用するケースは少ないと思います。
 しかし、「剣回避型」には「剣殺し」という弱点があるため、「格闘回避型」として運用できるユニットを用意しておけば、「剣殺し」持ちのパラディンやファルコンナイトにも対応することができます。
 また、「格闘回避型」に適したスキルとして、ウォーマスターのマスタースキルである「切り返し」があります。
 敵の追撃を防ぎつつ反撃で追撃を加えるこのスキルは、安全性と火力を同時に高めることができます。格闘ユニットはウォーマスターが最終的な目標地点となるため、無理なく「切り返し」を習得することができます。

▽「最後の戦い」に出現する敵のファルコンナイト



 例として、この記事の検証に使っている「最後の戦い」ルナティックのマップは開始地点ですでに「剣殺し+」持ちのパラディンとファルコンナイトに四方を囲まれているうえ、南方から魔獣が無限湧きします。そのため、魔獣とファルコンナイトを引き離すために囮役でファルコンナイトを釣り出す必要があります。
 ファルコンナイトへの囮役として適切なユニットでまず考えられるのは、育成の過程で「槍殺し」と「警戒姿勢+」のスキルを習得しており、兵種スキルに「回避+10」を持つドラゴンマスターです。
 銀雪ルートで加入するユニットではペトラ、セテス、ツィリルがドラゴンマスターに適しています(飛行は得意ではないですが、フェルディナントやカスパルをドラゴンマスターにしている方も多いですね)
 しかし同じマップには「斧殺し+」を持った勇者もいるため斧の装備にも気をつける必要があるうえ、「射程+1」を持ったスナイパーも配置されているので飛行ユニットの位置にも気を配らなければなりません。
 高難易度ではそのような状態になる場合も多々あるため、
「〇殺し」や特攻の対象にならないのは「格闘回避型」の大きなメリットと言えます。
 ただし、こちらの回避が高いと敵は計略を使ってくるのでくれぐれもご用心を。
 ……本当に嫌らしいマップですねここ。



●おすすめ育成プラン(詳細編)

 せっかくなのでより詳細なカスパルの育成プランを書いていこうと思います。
 カスパルの育成の参考に……というよりは、私自身がほかの方の「カスパルのおすすめ育成法」系の記事を読むのが好きなため、自分でも書いてみたいという理由からです。
 カスパルなので主に紅花および銀雪ルートでの運用を想定しています。気を衒った育成法ではなく、「こうしておけば無難に強くなる」+「こうするとよりいいのでは」という方針です。

☆兵種選び

 稼ぎをせずにプレイした場合はレベル10~20までの間に中級職を1~2職、レベル20~30までの間に上級職を1~2職マスターできるかと思いますので、それ前提でプランを立てています。いずれも最終的にはウォーマスターに着地するコースです。

・手間をかけずに育てるコース(プランA)

 貴族→戦士→ブリガンド→グラップラー→ウォーマスター

 寄り道をしないので回収できるスキルは少ないですが、グラップラーをマスターしたあともグラップラーのままでいることによって優秀な成長率補正を受け続けることができます。
 また、CCのために上げる必要のある技能が得意技能である斧と格闘のみなため、不得意な指揮の指導に時間を割く余裕ができます。強力な戦技である「猛烈鉄拳」を積極的に使えるのも利点。
 ただし、グラップラーは斧の技能経験値に補正がつきません。そのため、ウォーマスターになるためには自習や個人指導も活用しつつ意図して斧技能を上げていく必要があります。

・少し手間をかけて育てるコース(プランB)

 貴族→戦士→アーマーナイト→ブリガンド→バトルモンク→グラップラー→ウォーマスター

 アーマーナイトとバトルモンクの最低保証でカスパルの不安要素である守備と魔防を底上げしつつ「重さ-3」や「格闘回避+20」も取ってしまおというコースです。
 カスパルのレベル10での守備の期待値は8ですが、アーマーナイトになることによって12まで引き上げられます。また、レベル20での魔防の期待値は5ですが、バトルモンクになることによって11まで引き上げられます。
ここでの期待値は貴族→戦士→ブリガンドとCCした場合の期待値です)
 レベル40における守備の期待値はプランAより1上昇し、魔防の期待値は3上昇します。守備はバトルモンクやグラップラーの最低保証でも引き上げられるため、最終的な数値にはあまり差が出ません。
 ただ、中級職になる頃にはルナティックにおける難関マップである「ゴーティエ家騒乱」などがありますので、中盤における守備の不安を取り除けるのは大きいかと思われます。
 アーマーナイトは守備の最低保証が目的なのでマスターしなくても大丈夫。個人指導ではなく戦闘で重装技能を上げたい場合はしばらくアーマーナイトで戦うのもありですが、それよりも先にブリガンドの「鬼神の一撃」を習得しておきたいところ。
 グラップラーもマスターは絶対ではありません。ただ、成長率がバトルモンクよりも優秀なので、バトルモンクをマスターして「格闘回避+20」を取ったあとはなるべく早くグラップラーにしたいです。

・回避系のスキルを習得するコース(プランC)

 貴族→戦士→ブリガンド→バトルモンク→ドラゴンナイト→ウォーマスター

 バトルモンクで「格闘回避+20」を習得しつつ、飛行A+で習得できる「警戒姿勢+」を狙います。ドラゴンナイトへのCCは必須ではありませんが、飛行をA+まで上げる場合は戦闘でも技能経験値を稼がないときついかと思います。
 バトルモンクやドラゴンナイトはグラップラーほど成長率が優秀ではなく、いずれも回避型にとって重要な速さの成長率に補正がつかないため、ステータスを下げたくない場合はレベルアップ時に多少吟味してあげるといいかと思います。
 また、バトルモンクには飛行の、ドラゴンナイトには格闘の技能経験値ボーナスがないので「斧と格闘をA、信仰をC+、指揮をB、飛行をA+」まで上げるのはなかなか大変です。狙う場合は戦闘や個人指導を活用して積極的に上げていきましょう。

 「引き継ぎ無しの場合、終盤までに技能レベルをどの程度まで上げられるか」は、本人の得意不得意だけでなく、主人公の指導レベルや聖人像のレベル、戦闘で稼ぎをするかしないか、個別指導をするかしないか……とプレイヤーによって大きく変化するため、一概に「このくらいまでは上げられるだろう」と言うことはできません。
 私が育てたカスパルのステータスを基準にすると公平さに欠けてしまうため、記事の最後にURLを掲載しているある攻略サイト様のカスパルを基準とさせていただきます。
 こちらのカスパルはレベル44で斧S、格闘A+、指揮B、重装A、飛行E+、残りはすべてEでしたので、「得意技能の両方をA以上にしつつ、不得意の指揮もBまで上げることができ、ふつうの技能もA程度までは上げられる」という見積もりができます。
 加えて、弊記事では格闘タイプのカスパルを推奨していますので、斧をAからSまで上げる時間と、重装をAまで上げる時間を使って、飛行をA+にしつつ信仰もC+にすることは可能だろう……という推測を含めています。
上記の重装を飛行に変更したと仮定して、Aの技能をA+にするには760の技能経験値が必要になります。また、信仰をEからCまで上げるには680の技能経験値が必要になります。斧をAからSまで上げるには1840の技能経験値が必要ですので、数値だけで言えば400程度の余裕があります。ただし、本人の得意不得意と兵種ボーナスによって得られる技能経験値は変動します)

 とりあえず3コース提案してみましたが、「プランAにバトルモンクを挟む」「命中+20が欲しいのでアーチャーを挟む」など、各自の需要に応じて変えてみてください。

☆前半での育て方

 初期から斧技能がDあるため初級職は「戦士」を選び、そのまま斧をCまで育てて「ブリガンド」にします。個人指導を利用すれば斧はすぐCにできるので、先に格闘を上げて「連打」を習得しておいてもいいかもしれません。
 「貴族」と「戦士」のマスタースキルである「HP+5」や「力+2」は中盤までお世話になるので、きちんとマスターしてから次の兵種になりましょう。「ブリガンド」のマスタースキルである「鬼神の一撃」は格闘ユニットには必須とも言えるスキルなので確実に習得しておきます。
 指導目標は「いま育てたい武器技能」と「指揮」がおすすめです。
 「獅子王隊」などの級長たちが連れてくる騎士団をカスパルに配備する予定であれば指揮はCで充分かと思いますが、そうでない場合は強力な騎士団を配備可能になるBまで上げると戦略の幅が広がります。
おすすめ騎士団については後述します)
 カスパルの育成を円滑にするために、主人公も戦闘や教員研修で必要な技能を適度に上げておきましょう。幸いなことに主人公は格闘と指揮が得意なので、カスパルの得意な格闘を更に伸ばしたり、苦手な指揮を教員補正で補ってあげることが容易です。
 斧技能を上げつつ個別指導で重装をDまで上げて、アーマーナイトの資格を取っておくのもおすすめです。CC時のステータス引き上げによって不安要素である守備を強化できるほか、Cまで上げれば攻速の調整に役立つ「重さ-3」を習得できるので無駄になりません。
 また、カスパルは魅力の成長率が低いので、頻繁にお茶会に誘って魅力を上げておきましょう。一節に最大で2まで上げられます。お茶や話題の好みについてここでは記述しません(この記事を読んでいる方はカスパル好きの方だと思われるため、その辺は把握しているだろうという前提です)
 序盤は威力の低さから格闘が扱いにくいため、戦闘で斧を使う機会もしばしばあるかと思います。斧は基本的に攻撃が当たりにくいので、命中補正がつく戦技の「スマッシュ」をどんどん使っていきましょう。
 初期装備である「鉄の斧」は重さが7もあり、序盤のカスパルにとってこの重さは文字通り重くのしかかります。重さが4の「訓練用斧」を持たせてあげましょう。「訓練用斧」は耐久も高めなので、壊れるのを心配せず「スマッシュ」を連打できるのも強みです。
 「鬼神の一撃」を習得してからは格闘による火力が一気に増えるため、籠手を主力武器にすることをおすすめします。格闘C+で習得する「連打」と組み合わせれば、攻撃+9の2連撃を繰り出せます。さらに必殺も+10されるため「キラーナックル+」と組み合わせれば序盤からでも必殺を狙っていけます。
 8月のフリークエストをクリアすると、鍛冶屋と東の商人が解放されます。東の商人が売っている「玉鋼」を素材にすれば、鍛冶屋で「鉄の籠手」を「キラーナックル」に、「鉄の斧」を「キラーアクス」に錬成できるようになります。
 これらの武器は「個人スキルの効果によって命中の低い武器でも攻撃を当てることができ、技と幸運の高さから必殺の期待値も高い」というカスパルの性能に合致した武器ですので、軍資金が足りるようであればすぐに作ってあげましょう。
 「キラーアクス」は重さが12もありますが、これを使うときは「スマッシュ」や「無我夢中」と併用した一撃必殺を想定している場合が多いと思われますので、こちらから仕掛けるぶんには攻速は気にしなくてもいいです。ただし、敵がそばにいる場合はご注意を。

☆後半からの育て方

 ブリガンドになったあとは格闘をAまで上げてグラップラーを目指しますが、おそらくレベル30になるまでにグラップラーをマスターすると思われます。ですので、DLCがある場合はレベル30になるまでのあいだに信仰をCくらいまで上げてバトルモンクを目指すのがおすすめです。
 純粋なアタッカーとしての性能はグラップラーに劣りますが、マスタースキルの「格闘回避+20」がカスパルと相性がいいです。グラップラーとは異なり斧技能の獲得経験値にもボーナスがつきますので、斧の技能も上げやすくなります。
 行動力に余裕がある場合は、それを見据えて散策時にカスパルを合唱に参加させておくといいかもしれません。
 合唱の相棒は、信仰が開花得意かつ合唱も得意なドロテアが最適かと思います。幼なじみのヒーラーであるリンハルトもいいですね。2人の信仰と主人公の指揮が上がり、さらに3人の支援値も上がるので一石三鳥です。
 回避性能を上げたい場合はドラゴンナイトにするのもおすすめです。ウォーマスターへのCCに必要な斧技能と、「警戒姿勢+」を習得できる飛行技能を戦闘しながら育てることができます。
 飛行は不得意ではないですが得意でもないため、飛行を上げる場合は合同課題にも参加させて積極的に鍛えましょう。課題の相棒は飛行が得意かつカスパルとの支援がAまであるペトラがいいかもしれません。
 バトルモンクはマスタースキルが目当てなのでマスターする必要がありますが、グラップラーとドラゴンナイトはマスターしなくても大丈夫なので、マスターする前にレベル30になった場合は速やかにウォーマスターになることを推奨します。
 斧と格闘以外の技能を上げたくない場合は繋ぎとしてウォーリアーという選択肢もありますが、グラップラーのほうが全体的に能力が優れていますし、グラップラー専用の戦技である「猛烈鉄拳」も強力なので、いっそのことレベル30になるまでグラップラーのままでもいいかもしれません。
 銀雪ルートでは二部の開始時に、カスパルがドロテアと共に登場して主人公たちから離れた位置で敵と戦うことになる「夜明けの追討戦」があります。そのため、一部の終了時にカスパルをグラップラーにしておけば戦闘が楽になります。
「夜明けの追討戦」は戦闘準備を挟まず戦闘に突入するので、「ガルグ=マクの戦い」から準備しておく必要があります)
 ルナティックの場合、カスパルは森に配置して敵の攻撃を回避しながら反撃を狙うことになると思います。回復の手も不足しがちなので「瞑想」で自己回復しながら敵の猛攻に耐えましょう。敵のほとんどは剣を使うため、斧は使用せず格闘で戦うのが安全です。
 主人公の兵種によっては、リンハルトたちと合流するまで白魔法を使えるユニットがドロテアしかいない状況になる可能性もあります。なおかつ敵が落とす回復アイテムでは自分しか回復できないため、回復手段を増やすためにカスパルをバトルモンクにしておく手もありかと思います。ついでに「格闘回避+20」も習得させておけば攻略はぐっと楽にります。
 上級職となったあとは斧をAまで上げてウォーマスターを目指します。
 ウォーマスターになったあとは、武器の技能は戦闘で鍛えることにして、指揮を上げることに専念しましょう。指揮を必要なレベル(C~B)まで上げたあとは、メインで使いたい武器の技能を上げていくといいと思います。



☆指揮レベル別おすすめ騎士団

 種類が多すぎるので黒鷲ルートで入手できるものを中心に紹介していきます。能力補正値はレベル5のもので、特筆すべきものだけを記述しています。なお「カスパルにおすすめの騎士団」ですので、物理アタッカー向けではない騎士団は紹介していません。

・指揮E~Dまで

 指揮Eでは序盤に入手できる「ジェラルト傭兵団」が攻撃+3、必殺+10、回避+15の補正があるうえに計略の範囲も広く強力です。命中に不安がある場合は命中+10の補正がある「セイロス傭兵団」や「ブリギッド傭兵団」もいいでしょう。
 指揮Dからは攻撃+3、命中+15の補正がある「帝国弓兵団」や「セイロス弓兵団」が優秀です。「セイロス弓兵団」は回避が+10されるのでよりおすすめですが、雇える時期が11月からなので、6月から購入できる「帝国弓兵団」より入手可能な時期が遅くなります。

・指揮C

 指揮Cからは外伝で入手できる騎士団が加わって性能も豪華になってきます。
 級長たちが連れてくる「覇鎧隊」「獅子王隊」「不死隊」がとにかく優秀。とりわけ物攻が+10、必殺が+15される「獅子王隊」が物理アタッカーに適しています。
 店売りの騎士団では、物攻+5、命中+10の「帝国弓箭隊」や、物攻+5、命中+5、必殺+10の「帝国竜騎兵団」あたりがアタッカー向けですが、外伝で入手できる騎士団と比べると見劣りするのは否めません。
 エーデルガルトの外伝(紅花ルートのみ)で入手できる「ホルスト勇士隊」は物攻+7、命中+5、必殺+5、防御+7の補正があるため、物攻や防御を補いたい場合におすすめです。
 DLCでのクエストで入手できる「ヌーヴェル侍従隊」は物攻+8、命中+10の補正があります。計略は範囲内の味方の力を+4する「戦場喫茶」です。カスパルの魅力が低い場合は補助系の計略を持たせる手もありますが、この計略はむしろカスパルが仲間に使ってほしいですね。
 同じくDLCの「ヌーヴェル給仕隊」も物攻+5、命中+10、必殺+10、回避+5、耐魔+7、魅力+10、さらに広範囲の計略まであって非常に強力です。特にカスパルの弱点である耐魔と魅力を補えるのが大きい。ヌーヴェル系の騎士団はいずれも優秀な性能を持ちますが、戦力は高くないため壊滅には注意です。
 黒鷲ではないキャラの外伝での入手になってしまいますが、ラファエル&イグナーツの外伝で入手できる「ヴィクター私兵団」が物攻+6、命中+15、回避+10と物理アタッカーと非常に相性がよいです。

・指揮B

 指揮Bからは超強力な騎士団が出揃ってきます。
 まずフェルディナント&リシテア外伝で入手できる「エーギル星騎士団」と、シルヴァンの外伝で入手できる「ゴーティエ騎士団」が物攻+7、命中+20とすばらしい性能です。主人公がベレスであればシルヴァンは無条件でスカウトできるのでお手軽でもあります。
 ベルナデッタ&ペトラの外伝で入手できる「ブリギット猟兵」は物攻+4、必殺+10、回避+20に加えて広範囲の計略もあります。回避を大幅に上昇させつつ物攻と必殺も強化できるので、カスパルを回避型にしたい場合におすすめです。黒鷲であれば自然と外伝が発生するのでスカウトの必要もありません。
 フェリクスの外伝で入手できる「フラルダリウス兵」は物攻+7、必殺+20の補正があります。命中補正がないので扱いにくい部分はありますが、必殺+20は全騎士団の中でトップの性能なので、カスパルを必殺特化型にしたい場合に有用です。
 ラファエル&イグナーツの外伝で入手できる「レスター傭兵団」も物攻+7、命中+20、必殺+15と物理アタッカー向け。命中と必殺を大幅に補強できるため非常に有用です。
 ヒルダ&ツィリルの外伝で入手できる「ゴネリル戦姫隊」は物攻+8、命中+20、必殺+15と、「レスター傭兵団」と似た補正値で物攻が1上です。その代わり、計略の使い勝手は「レスター傭兵団」に劣ります。
 ちなみに、カスパルの家名を冠した「ベルグリーズ戦団」なのですが……物攻が+8、守備が+4されるものの、回避が-10されてしまう上に計略がいまいちなのでおすすめできません。

・指揮A

 指揮Aになると店売りの騎士団にも優秀なものが揃ってきます。
 店売りの「インデッハ剣戟隊」は物攻+8、命中+20、必殺+10、魅力+10と高い補正がつきますが、計略は補助系である「応撃の備え」なので、計略による攻撃には期待できません。
 同じく店売りの「黒鷲戦騎隊」は物攻+7、命中+20、魅力+20に加えて、そこそこ範囲の広い攻撃系の計略を使えます。ステータス補正的には必殺が上がる「インデッハ剣戟隊」のほうがカスパル向けですが、こちらは魅力が大きく上昇するので、計略による攻撃や壁としての役割を視野に入れている場合は一考の余地あり。
 セテス&フレン外伝で入手できる「キッホル竜騎兵団」は物攻+7、命中+15、必殺+15、魅力+10という能力補正値に加えて計略も扱いやすく超優秀。……ですが、貴重な飛行系の強力騎士団なので、カスパルをドラゴンマスターにしていてなおかつ指揮がA以上ある場合以外はセテスなどに回してあげたほうがいいです。



☆親友・リンハルトの運用についても考えてみる

 カスパルを語る上で外せないのが、カスパルの幼なじみでもあり親友でもあるリンハルトの存在です。
 一見すると正反対の性格のようで、どこか似ているところもあるこの2人。支援会話では少年マンガのような友情ストーリーを繰り広げ、主人公と敵対するときも2人一緒に出撃してきます。
 そんなリンハルトのユニット性能についてもちょっと考えてみます。



・リンハルトのおおまかなステータス

 詳細な数値は省きますが、魔防と幸運の成長率が45%と高く、HPの伸びも30%と魔法ユニットとしては高いほうです。とりわけ幸運の成長率は全キャラ中2位タイという高さであり、魔法を主力とするユニットの中では1位となっています。
 耐魔には魔防が、魔法回避には速さと幸運が、必殺回避には幸運が影響しますので、リンハルトは魔法盾としてかなり優秀な成長率をしていると言えます。何気に守備も高めであり、守備と魔防の成長率の合計は全キャラ中1位タイという頑丈さです。
 ただし、「魅力なんて生きるのに邪魔にしかならなそう」と本人が言っている通り、魅力の成長率は全キャラ中最低です。魅力の高さは計略を使う上でも受ける上でも重要になりますから、ここは明確な弱点と言えるでしょう。
 銀雪ルートで加入するフレンは同じく魔法盾として優秀ですが、リンハルトより魅力の成長率が25%高く、幸運が30%低いというステータスをしています。ですので、計略に対する盾としてはフレンのほうが優秀ですが、魔法回避および必殺回避に関してはリンハルトのほうが優秀と言えます。


・リンハルトは「男性のヒーラー」である

 リンハルトは風花雪月に登場する男性キャラの中で唯一の「純粋なヒーラー」です。
 物理一辺倒なカスパルとは反対に「信仰」や「理学」を得意としており、「斧」や「格闘」は不得意です。リンハルトは重いものを持つのを嫌がりそうですし、人を殴る感覚も苦手でしょうから、それらが不得意なのは納得ですね。
 リンハルトは「ライブ」「リブロー」「レスト」といった扱いやすい治癒魔法に加えて、「ワープ」や「エクスカリバー」といった習得者の少ない貴重な魔法も扱うことができます。多彩な白魔法に加えて黒魔法も複数扱えるため、戦場で魔法切れを起こすことがほぼありません。
(お国柄なのか、フェルディナント、ベルナデッタ、ドロテア、ペトラと、黒鷲の生徒たちの多くは雷魔法を習得しますが、リンハルトが扱う黒魔法は炎と風です。なんとなくカスパルが雷を苦手なことを思い出してほっこりしました)
 リンハルトの持つ「セスリーンの小紋章」は回復魔法の効果を高めてくれるため、彼をヒーラーとして起用する以上は決して腐ることがありません。更に魔法の射程を伸ばす「テュルソスの杖」をノーリスクで装備でき、紋章一致によって「カドゥケウスの杖」の真価を引き出せます。



・リンハルトの個人スキル「居眠り」

 何もせずに待機するとHPが10%回復するというこのスキル、現状では「敵の魔法や地形でちょっとしたダメージを受けたときに、仲間の手を煩わせず回復できる」くらいしか使い道が思い浮かびません。
 ヒーラーであるリンハルトは味方から離れていても「リブロー」や「レスト」による回復を行いますし、自身が負傷した場合は待機するより「傷薬」などの回復アイテムを使ったほうが手っ取り早いですから、能動的に使う機会はあまりない印象です。
 「何もせず待機するとHPが回復する」という効果は「何もせず待機すると回避+30」という効果を持つ「警戒姿勢+」と併用できそうなので、リンハルトを魔法盾として起用する際に「多少のダメージは自分で回復しつつ回避率もアップ」という感じに使えるでしょうか。
 ……とはいえ、そのためにリンハルトの飛行をAまであげるのは根気がいりますね。
 単独行動が多い飛行ユニットであれば「警戒姿勢+」との相性もいいのでうまく活用できた気もします。後半になるとリブローだけでは回復量が足りなくなるため、「警戒姿勢+」と同時に使用して仲間のリブローを節約するとか……。
 敵の攻撃に耐える続ける重装兵の場合はビショップのマスタースキルである「回復(ターン開始時にHPを最大HPの20%回復)」を習得させて自己回復させる運用法もあると聞きますし、重装兵であっても便利だったかもしれません。
 うーん、なんだか惜しいですね。



・男性の魔法ユニットは不遇な風花雪月

 風花雪月における男性の魔法ユニットはシステム的に不遇という実情があります。
 強力な魔法兵種である「グレモリィ」「ヴァルキュリア」「ダークペガサス」はすべて女性専用であり、男性専用の「ダークメイジ」「ダークビショップ」はいまいちパッとしない。
 そういった理由からリンハルトの最終的な兵種は「ビショップ」とするプレイヤーが多く、次いで「ホーリーナイト」「ダークナイト」あたりになる場合が多いようです。
 「ビショップ」は移動4と機動力に乏しく、「ホーリー/ダークナイト」はリンハルトにはほぼ不要の槍技能を育てなければならないので、手間の割にリターンが少ない。
 「ホーリー/ダークナイト」の騎馬ユニットならではの機動力は魅力ではありますが、槍技能を育てなくていいうえにスキルが超強力な「ヴァルキュリア」が実装されたので影が薄い。
 …と、やはり不遇な印象を受けます。
 とはいえ、争いを嫌うリンハルトの最終的な兵種として適切とされるのが「ヒーラーとしての性能は全兵種の中でも最高だけど、攻撃面の補正はまったくない」というビショップなのは本当に彼らしいです。
 仮にリンハルトが「騎馬」の技能を得意としていたなら、「リンハルトはビショップにするのが最適」と判断するプレイヤーはもっと少なかったのではないでしょうか。
 前述した通りリンハルトはヒーラーですので、魔法兵種にさえしておけば自分の役割は充分に果たしてくれます。また、貴重な飛行特攻魔法である「エクスカリバー」で敵のドラゴンを刻んだりと、攻撃面でも活躍してくれます。
 ……が、そんなリンハルトの「彼ならでは」の運用法をあえて考えようという番外篇です。

▽銀雪ルートのヒューベルト戦ではリンハルトをダークナイトにし、騎馬ユニットの機動力と「ワープ」でカスパルの移動の援護をしてもらいました。
 ヒューベルトのサンダーストームを魔防の高いリンハルトが受け、リンハルトのワープでカスパルをヒューベルトの横に移動させたあと、リンハルトは再移動でヒューベルトを自分の魔法の射程内に入れてカスパルに支援効果を与えています。
 カスパルは相手が反撃する間もなくヒューベルトを倒してくれましたが、「魔殺し」を装備させておけばもっと確実でよかったですね。うまく二人を連携させられて気持ちよかった戦闘です。


・「男性の魔法ユニット」かつ「ヒーラー」という点を生かす「蛇毒砲台」

 男性専用職であるダークメイジはマスターすると「蛇毒」というスキルを覚えます。
 「蛇毒」の効果は「自分から攻撃して命中したとき、戦闘後に最大HPの20%(魔獣の場合は10%)分のダメージを与える」というもの。「最大HP」の20%ですので、すでにHPが減っている相手に対しても容赦なくダメージを与えます。ただし、蛇毒のダメージによって敵を撃破することはできません。
 また、攻撃が当たりさえすれば守備や魔防とは無関係にダメージを与えるため、攻撃性能が低めのリンハルトでも一定のダメージを期待できます。ルナティックでは敵のスナイパーがよくこれを習得しており、重装兵の装甲を貫通してくるため非常に嫌らしいです。
 紋章持ちのリンハルトは前述した「テュルソスの杖」や「カドゥケウスの杖」と相性がいいです。これらの杖はいずれも魔法の射程が伸びるという優れもの。これによってリンハルトは敵の射程外から攻撃することが容易となり、蛇毒の追加ダメージによって安全に敵のHPを削ることができます。
 この「蛇毒」によるダメージは「弓砲台」や「魔道砲台」にも乗るため、超遠距離から一方的に敵のHPを削り続けることも可能です。
 砲台があるマップは「ガルグ=マクの戦い」や「アンヴァル総力戦」など限られていますが、ある場合は積極的に活用したいところです。特に「ガルグ=マクの戦い」では開始地点のすぐ近くに魔道砲台があるため、序盤から砲台を撃ちまくることができます。
 この役割自体はヒューベルトやハンネマンといったほかの男性魔法ユニットにも可能です。しかし、リンハルトは彼らにはできない「砲台がある位置からでもリブローやレストで味方の援護ができる」という長所を持ちます。
 リンハルトに適した職であるビショップは、白魔法の回復量と使用回数が増えますが移動力が4しかありません。ですが、砲台がある位置から攻撃や援護をする役割であれば移動力は関係ありませんし、魔法の使用回数が多いためリブロー切れの心配も少なくなります。
 決して派手な役割とは言えませんが、後方から仲間を援護するこの戦い方は「争いが嫌い、返り血を浴びるのも嫌、いまから殺す相手と視線を合わせたくない」という平和主義者のリンハルトにはぴったりではないでしょうか。



・「幸運の高いヒーラー」という点を生かす「祈り盾」

 リンハルトは魔防と幸運が高いキャラなので、彼を黒鷲における魔法盾として運用している方は多いのではないでしょうか。そんな彼の幸運の高さと、ヒーラーという特徴を生かしたある戦法があります。
 それは俗に「祈り盾」と呼ばれているものです。
 「祈り」はプリーストのマスタースキルです。信仰を得意とするリンハルトはほとんどの場合においてプリーストを経由しているでしょうから、自然と覚えていることが多いスキルだと思われます。
 「祈り」は「HPが2以上の時、HPが0になるダメージを受けても、幸運の確率で死亡せずにHPが1残る」という効果を持ちます。幸運の値は50にも満たない場合がほとんどですので、これ単品であればあまりあてにはできません。
 ですが実はこの「祈り」、同じ効果のある「祈りの指輪」と組み合わせると発動率が「幸運×2」となる仕様になっています。そのため、幸運が50あれば確実に発動してくれるのです。
 そして、白魔法の「リザイア」は敵のHPを吸収する効果がありますので、反撃によってHP2以上を維持し続けることができるという戦法です。

▽「祈り」と「リザイア」で敵の攻撃に耐え続けるリンハルトと副官のカスパル




 武器が威力1のリザイアなので反撃にはあまり期待できませんが、「蛇毒」と併用すればそこそこ削ってくれます。「白魔法射程+1」があれば反撃できる範囲が広がり、「信仰Lv5」をつけておけば命中+10、回避+20、必殺回避+10になるため生存率がより高まります。
(白魔法はリザイアくらいしか攻撃手段がないため、「信仰Lv5」も「白魔法の達人」も「白魔法射程+1」もほとんど使い道のないスキルだと思っていましたが、まさかこんな形で役に立つとは……)
 低HPを維持し続けることになるので、傭兵のマスタースキルである「待ち伏せ」や、ウォーリアーのマスタースキルである「怒り」と併用してもおもしろいかもしれません(斧が不得意なリンハルトの斧技能をAまで伸ばすのは手間ですが)
 素のステータスで幸運を50にするのはかなり意識して育てないと難しいですが、「幸運の応援」によって+8、「特別な踊り」によって+4、「祝福のゼリー」で最大+8(一度の上昇値は+2ですが、休日のたびに食べることによって効果が重複します)になり、お手軽に+20の補正を受けることができます。
 敵のフェイズにリザイアが切れてしまった場合でも、計略の「祝福付与」や副官ガードによって保険をつけられます。
 副官ガードは追撃を受けたときにのみ発動し、ダメージを軽減してくれる効果があります。支援レベルが高いとダメージの軽減率が上昇し、致死ダメージを受ける場合はHP1で踏み止めてくれます。
 副官としてはリンハルトと支援がAまであり、格闘兵種へのCCが容易な(副官ガードは格闘兵種や重装兵種のときに発動します)カスパルがお手軽かつ最適です。カスパル以外だと格闘の得意な主人公かカトリーヌ、もしくは重装が得意なエーデルガルトが妥当なところでしょうか。
 支援レベルが影響するのは軽減率のみなので、保険として配備しておくだけなら支援がないキャラでも問題はありません。一軍起用していない格闘兵種や重装兵種がいるなのら、そのキャラにお任せしてもいいと思います。
 幸運の成長率がもっとも高いキャラはイグナーツなのですが、物理アタッカーとしての性能が高い彼を魔法兵種(得意技能との兼ね合いを考慮するとエピタフになるでしょうか)にしたうえで、スキル枠のひとつに「祈り」を装備させるのはもったいない。
 そういう意味でも、スキル枠に余裕を持たせやすいヒーラーであるリンハルトは「祈り盾」向きのユニットと言えます。また、ビショップは幸運の成長率に10%の補正がつくため、これによってリンハルトは幸運の成長率がイグナーツと同値になります。
 争いごとを嫌うリンハルトに盾役をさせるのはちょっとかわいそうですが、こういう選択肢もあるということで。



☆カスパルとリンハルトに「攻撃+3」の支援効果がない理由を考えてみる

 カスパルとリンハルトは幼なじみであり親友同士でもありますが、似たような関係であるメルセデス&アネットやラファエル&イグナーツのような「攻撃+3」の支援効果はありません。
 もし二人のあいだに攻撃補正があったなら、カスパルの攻速が上がってくるころにはカスパルはかなりの火力になっています。なにせ、格闘の4回攻撃によって与えるダメージが12も増えるわけですから。
 カスパルとリンハルトは得意技能に合わせてCCさせていくと両方とも歩兵になるため、行軍速度が近く副官に設定せずとも連携攻撃を発動させやすいです。なおかつリンハルトは「テュルソスの杖」や「黒魔法射程+1」で射程を5まで伸ばせるため、前衛のカスパルから多少離れていても連係攻撃が可能です。
 「4回攻撃が故に攻撃補正が倍々になる」というユニット性能を持つカスパルが、数マス離れた相手から+3の攻撃補正を受けられるのは、条件のゆるさに対して補正が大きすぎる……という理由から攻撃支援がなしになった可能性はありそうだなと感じました。
 カスパルは主人公やヒルダのスキルによる攻撃補正を受けることはできますが、この二人のスキルは「隣接している相手」という条件があるため、「副官に設定している」「スキルの習得者から離れている」などの状況では発動しないという制限があります。
 そういった理由から、戦闘バランス調整のためにカスパルとリンハルトには攻撃支援がなかったのかもしれませんね。
 とはいえ、友情パワー(リンハルトとの連携)で強化されるカスパルというのも見たかった気もします。





●カスパルのユニット性能からわかる風花雪月のキャラクター表現の巧みさ

 カスパルファンの方は既にご存知だと思われますが、カスパルは一部から二部にかけて劇的な成長を遂げるキャラクターです。
 一部のカスパルは身長159cmという男子生徒の中ではもっとも小柄(生徒だけに限らなければツィリルのほうが小柄)な体格をしており、精神的にも未熟でいかにもやんちゃ少年といった雰囲気をしています。
 しかし、二部になれば身長は173cmとぐっと伸び、顔立ちも精悍になってかなり大人びた容姿になります。二部で再会したカスパルの成長した姿に驚かされたプレイヤーは多いのではないでしょうか。
 精神的な成長も顕著で「オレが強くなりゃ、みんなも楽になる」「ギリギリまで戦って、少しでも勝利に……」「オレが死ぬのはオレが弱いせい……だから気にすんなよ」「気にすんな……負けたら死ぬ、そういう喧嘩だろ」といったセリフの端々から「なんていい人なんだ」と感じさせられたものです。
 カスパルのユニット性能を調べれば調べるほど、彼の性能がいかに「カスパル」というキャラクターを表現しているか、それがいかに巧みなバランス調整によって演出されているかに気付かされ、何度も驚かされました。
 学生時代のカスパルは喧嘩をしては周囲を困らせ(しかも、支援会話を読んだ印象では喧嘩もあまり強いほうではない)、無謀な行動を取っては先生を困らせ……という問題児です。そして、二部の彼はそれを反省し、悩み、考えて精神的に成長していきます。
 そんなカスパルの学生時代はユニット性能においてもかなりの問題児です。
 斧を持たせれば敵に追撃され、格闘をさせれば非力だしでプレイヤーを悩ませます。それがまた「体格に恵まれない少年」や「やんちゃっぷりで周囲を困らせる少年」というカスパルのキャラクターをよく表しています。
 しかもやっかいなのが風花雪月から導入された「騎士団」や「重さ」といったシステムで、これらをよくわからないままプレイしていると生徒たちを窮地に晒すことになり、「先生」としてのプレイヤーの手腕を問われるようになっています。
 わけがわからないままでも強い生徒もおり、それがまたキャラクター性を表現するのに一役買っています。
 例えばフェリクスは騎士団を配備しないことによって強化されるスキルを持っており、これのおかげで騎士団のシステムがよくわからない初心者プレイヤーであっても「フェリクスTUEEEE!!」と彼の強さを理解させられ、それによって「この子に自分は必要ないのでは?」とすら感じられるようになっている。まさに「一匹狼」というスキル名そのものです。
 また、「紋章」や「英雄の遺産」の存在によって兄弟で殺し合うことになってしまったシルヴァンは、「英雄の遺産」を使って戦うよりも戦技の「連撃」で戦うほうが火力が出ます。そのため、彼の「英雄の遺産」を別のキャラに使用させているプレイヤーも見かけます。これがまあ皮肉すぎて巧い。
 更に、ディミトリの持つ「ブレーダッドの紋章」は「戦技を使用した際、稀に耐久の消費が2倍になる」という効果です。これは最初ただのデメリットとしか思っていなかったのですが、ディミトリの「人並み外れた腕力のために武器を壊してしまう」という設定の表現だと気づいてからは「ならしょうがないな」と思えるようになりました。
 ……話をカスパルに戻します。
 カスパルのユニット性能に関して特に巧みだと感じたのが、ウォーマスターという兵種のバランスです。
 それまでは素早いだけのちびっこだったカスパルが、ウォーマスターになった途端に凄まじい破壊力を持つユニットへと変貌する。ほかのウォーマスター適正キャラはステータス配分の違いによってここまで顕著な変化はせず、カスパルだけが「化けた」と感じるほどの進化を遂げる。これがカスパルのキャラクター性とリンクしていて本当にすごい。
 この巧みさに気付かされた時、私は謎の感動すら覚えました。
 カスパルの技能が「ウォーマスター適正がある」というより「ウォーマスター以外の何にすればいいんだ」といったラインナップをしているのも、上記の演出を体感させるための誘導なんだろうな……とも思わされます。
 風花雪月は「キャラやストーリーにしか興味のないプレイヤー」も「育成や戦闘にしか興味のないプレイヤー」も双方が楽しめるようになっている裾野の広いゲームですが、その両方に目を向けるとそれらが巧みにリンクしていることに気付かされ、根強い人気の理由に納得させられました。



●終わりに……カスパルならではの「うまみ」について考える

 いろいろな方の攻略記事を拝読したところ、カスパルはやはりと言うか「キラーナックルやキラーアクスを持たせて必殺マシーンにする」という運用をされている場合が多いようです。
 カスパルの長所としてあげられやすいのが「個人スキルの利便性」と「ウォーマスターにしたときの爆発的な火力」です。逆に、短所として上げられがちなのは「初期ステータスの低さと使用武器の特性からくる序盤での扱いにくさ」です。
 その長所と短所によってカスパルは「大器晩成型」と呼ばれることが多く、「序盤は弱くてどうしようかと悩んだけど、ウォーマスターにしたら化け物になった」というようなコメントをしている方もお見かけします。
 そういった感想を拝見したとき、私は
「問題児の育成方針に悩むベレトorベレスが、それでもきちんと生徒に向き合って教育した結果、生徒はその誠意に答えてくれた」
 ……というようなドラマを感じました。
 カスパルならではの「うまみ」としては、前述した「個人スキルの優秀さ」や「必殺連打の爽快感」といったものがありますが、個人的にはその
「ちゃんと育ててあげたらめちゃくちゃ強くなった」というカタルシスを得られる部分
 が、彼の性能面における最大の魅力ではないかと思っています。
 ……余談の余談になりますが、私はカスパルのファンの方が彼の性能に不満を言っているのを多々お見かけすることがあり、それを気にしてしまってしばらくのあいだ攻略サイトの彼の項目を見ることができませんでした。
 というのも自分はルナクラでも彼の火力に頼りっぱなしで、銀雪ルートではヒューベルトやタレスをほぼ1人(移動は仲間に援護してもらいながら)で倒してもらいましので、そういうコメントばかり書かれていたらショックだなあという気持ちがあったからです。
 しかし、いざ攻略サイトやブログを観覧してみたところ、そんなことはありませんでした。
 むしろ「カスパルの攻撃を食らって生存出来る敵は皆無」「黒鷲ルートで育成しないのは勿体ない」「直接攻撃では絶対に負けないよう育てられる」「力が上がってからの攻撃は100ダメを軽く超える破壊力」といったポジティブな記述がなされている場合が多く、いらぬ心配をしていたのだと安堵しました。
 風花雪月はキャラの魅力もさることながら、戦闘システムも奥深くて攻略のしがいがありますし、なによりキャラクター性がユニット性能に反映されているのがとてもおもしろいですね。
 キャラの性能を調べるほどに、いかに「彼らしい性能にされているか」を発見することができ、それが楽しくてこんなに長い記事になってしまいました。



●参考サイトとブログ(順不同)

 二次創作をしている都合でリンクは貼っておりません。訪問される場合はURLをコピペしてください。

・天馬騎士団(かわき茶亭) 様
 https://www.pegasusknight.com/
 お世話になっている方も多いと思われる投稿型の攻略サイトです。

・SpicaBlog 様
 https://coffeebooklife.com/
 キャラごとの紹介記事、ルート別の最強メンバー考察などの記事があります。

・ワタソン博士の事件簿 様
 https://watasonhakase.com/
 兵種や騎士団のデータがまとめられており読みやすいです。

・風花雪月の攻略 様
 https://kanri.nkdesk.com/fireemblem.php
 各ユニットを2種類の兵種で育成した場合のデータや使用感が掲載されています。

・へたれチェッカー 様
 https://hyperwiki.jp/feth/status-calc/
 キャラ・兵種・レベルごとのステータスの期待値を算出してくれるツールです。

・謎解きとゲームのブログ 様
 https://www.mark-lxiii.com/
 各ユニットのおすすめ兵種とスキルの紹介やコラムなどがあります。

・vnk-blog 様
 https://ynk-blog.com/
 各ユニットの紹介記事のほか、聖戦の系譜に関する記事も取り扱っています。



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