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買ったばかりのこの家で過ごす初めての夜。
しかし今夜は青い月が昇っている。
青い月の夜は気を付けて。 |
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時計の針は狂いだす。
長針は秒針より早く回るし、短針は長針より長くなる。 |
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掃除機は勝手に洗濯を始めた。
僕のお気に入りのセーターは縮み、パンツは伸びた。 |
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おまけにお金には羽根がはえて飛んでいく始末。
お願いだから戻って来ておくれ…。 |
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さらに椅子や机は走り出す。
でもこれはけっこう楽しかった。 |
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そういえば、この家をとても安く売ってくれた親切なおじさんが言ってたな。
「青い月の夜は気を付けて。」 |
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「この家には以前魔法使いが住んでいて、魔法の実験をしていたのです。
その魔法がまだこの家に残っていて、青い月の夜にちょっと悪さをするのです。」 |
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僕は窓から月を見上げて言ってやった。
「このいまいましい青い月め! 何が起きても、もう驚かないぞ!」
しかし次の瞬間、僕は思わず声をあげた。
「ぎゃ〜っ! 僕の顔、ウサギになってるーっ!!」 |
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青い月の夜は気を付けて。
不思議なことが起こるから。 |
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