青い月と魔法の家
              (2006年制作)















作・絵/ハネ☆



買ったばかりのこの家で過ごす初めての夜。

しかし今夜は青い月が昇っている。

青い月の夜は気を付けて。



時計の針は狂いだす。

長針は秒針より早く回るし、短針は長針より長くなる。



掃除機は勝手に洗濯を始めた。

僕のお気に入りのセーターは縮み、パンツは伸びた。



おまけにお金には羽根がはえて飛んでいく始末。

お願いだから戻って来ておくれ…。



さらに椅子や机は走り出す。

でもこれはけっこう楽しかった。



そういえば、この家をとても安く売ってくれた親切なおじさんが言ってたな。

「青い月の夜は気を付けて。」



「この家には以前魔法使いが住んでいて、魔法の実験をしていたのです。

その魔法がまだこの家に残っていて、青い月の夜にちょっと悪さをするのです。」




こんな夜はベッドに入って早く寝てしまおう。




眠れん…!!



僕は窓から月を見上げて言ってやった。

「このいまいましい青い月め! 何が起きても、もう驚かないぞ!」

しかし次の瞬間、僕は思わず声をあげた。

「ぎゃ〜っ! 僕の顔、ウサギになってるーっ!!」



青い月の夜は気を付けて。

不思議なことが起こるから。






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