サッカーボールは現在の競技規則のようになるまで様々な歴史がありました。
ここではワールドカップの歴史に沿ってボールの変遷をたどってみます。
サッカーの試合球といえば、1960年代までは12枚ないしは18枚の細長い革で構成されるボール(ゲーリックフットボールのボールと同一)が一般的でした。
管理人は1970年前後に小学生でした。このころはマイサッカーボールを持っている人はほんのわずかで、ほとんどの子供は体育倉庫にある学校のサッカーボールで練習しました。そのとき使っていたのがこのボールでした。
1960年代になると、黒塗りの五角形の革パネル12枚と、白塗りの六角形の革パネル20枚で構成された切頂二十面体(実際の面は32あります)の白黒ボールが登場します。
ワールドカップでは1970年のメキシコ大会から、この白と黒のボール(Telstar、テルスター)が採用されています。ちょうどカラーテレビが普及した時代で、ボールが見分けやすいと評判になり、ついた名前がテレビとスターの合体語になったそうです。
ちなみに1970年のメキシコワールドカップ以前は、試合球はそれぞれのチームが持ち寄り、前後半で交換していたそうです。
1978年のアルゼンチン大会ではタンゴという新しいデザインに変更されていますが、五角形と六角形の皮パネルを組み合わせたボールは大人気で2002年の日本韓国共催大会までデザインを変えつつ採用され続けました。
それにしても、アルゼンチン大会以降は試合球が開催国にちなんだネーミングになっているところがしゃれてますねえ。
それと1986年メキシコ大会からはそれまでの水を吸うと重くなる牛革製ボールから、水を吸収せず天候に左右されにくい人工皮革のボールに移行したことも大きな改善点として付け加えておきます。
2006年のドイツワールドカップに+Teamgeist(+チームガイスト)という新構造のサッカーボールが登場します。あれから2年経ちますが、現在でも五角形と六角形の皮パネルサッカーボールの方が市場で幅をきかせているのはなぜでしょう。製造が容易で安価だからでしょうか?
+Teamgeist(+チームガイスト)は1万5千円くらいする高価なボールです。量産化できずに普及しにくいのでしょうか。それとも他の理由がある?
とはいえ・・
この白黒ボール、馬鹿にしてはいけません。
日本のモルテン社がアルキメデスの多面体をヒントに開発したもので、なんと1985年には炭素原子60個でこれと全く同じ構造を持ったクラスターが発見され、発見したクロトー博士等3人がノーベル化学賞を受賞しています。
クラスターとは原子や分子が、ファンデルワールス力などによって集合した状態を言います。ちょっと子供にも大人にも管理人にも難しいです。球形に近く、安定感抜群の形状なんですね。
さて、2006年のワールドカップドイツ大会で採用された、+Teamgeist(+チームガイスト)はこれまでのボールと全く異なった構造です。
このボールは6枚のプロペラ型パネルと8枚のローター型パネル計14枚で構成されており、より真球に近い形状になっています。
今流行の無回転キックも蹴りやすいようですよ。
それからこのボールもモルテン社とアディダス社の共同開発なんです。モルテン社ってすごいですね。
この新型ボールは、今年1月開催のアフリカネーションズカップや今まさに開催されているヨーロッパ選手権でも健在ぶりを示しています。
そして今研究が進められているのがICチップ内蔵ボール。
ゴールラインやタッチラインなどのライン際での審判のジャッジミスを防ぐために、ICチップ内蔵ボールが実用化間近です。
まだ誤作動が多いためドイツ大会での使用は見送られましたが2010年の南アフリカ大会では採用されるかもしれません。
注目しましょう。
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