九条の会事務局からの訴えと提案


2015年5月1日 九条の会事務局


 いま憲法9条は存亡の岐路に立っている

 安倍政権は、自衛隊をいつでもどこへでも派兵しアメリカの戦争に加担できるようにする「戦争立法」を、この5月中旬にも国会に提出することを決めました。万一この戦争立法が通るようなことがあれば、憲法9条の下で戦後一貫して自民党政権といえども崩すことのできなかった外交の原則―海外でふたたび戦争しない国、という原則を覆す戦後日本の進路の根本的な転換となります。

 九条の会は、この戦争立法を全力で阻止するために、2月23日にアピール「憲法9条を根底からくつがえす『戦争立法』と改憲の暴走を止めよう―主権者の声を全国の草の根から」を発表し、戦争立法と明文改憲にNOの声をつきつける草の根からの行動を呼びかけました。3月15日には全国討論集会を行って、280の会、452人が集い戦争立法阻止の運動を議論しました。

 すでに、戦争立法を阻止するための共同の取り組みも急速に具体化されています。安倍政権の暴走に反対してきた3つの団体が一つにまとまり「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が結成され、5月3日には、さらに広い人々の共同で集会が企画されているのもその一つです。

 九条の会事務局は、2・23アピールをふまえ、「戦争立法と改憲の暴走を止め」るために全国の会はどんな行動が求められているかを提案します。

 戦争立法を阻むにはどんな運動をすればよいか

 安倍政権の戦争する国づくりを阻むには、戦争立法を何としても阻止しなければなりません。安倍政権のもくろむ明文改憲も、戦争立法を阻むことで挫折に追い込むことができます。
 そのためには、法案強行を許さない草の根からの圧倒的世論と、法案の危険な中味を徹底して追及しその成立を阻止するための国会内外での行動の連携が不可欠です。

 1 戦争立法反対、改憲阻止の一点で、保革を越えて広範な人々が、全国各地で声をあげ可能な行動を起こすこと。

 2 国会議員一人一人への働きかけをさまざまな形で強め、「戦争立法には反対」の多数派をつくること。

 3 マスメディアが法案の本質、国民の声をきちんと報道するよう働きかけること。

 九条の会らしい行動を

 うえの課題を実行するために、九条の会は九条の会らしい行動を起こしましょう。
 一つは、戦争立法と9条の改憲に反対するすべての人々が加われるような幅広い共同の行動を追求することです。これまでの経験だけに頼った行動になっていないか、もう一度ふり返り、原点に立ち戻りましょう。
 もう一つは、7000以上のすべての九条の会が立ち上がり、文字通り全国、津津浦々、自分たちの地域、分野で共同の行動を実現することを追求することです。
 「共同」と「地域」、これが合い言葉です。以下に具体的な行動を提案します。

 戦争立法阻止のための具体的行動の提案

 @ 法案が国会に提出される5月から8月までを「山場月間」に設定し、会の全力をあげて、会独自あるいは共同して可能なあらゆる行動に、創意をこらして取り組みましょう。

 A 世論調査をみても戦争立法には反対の人が多いように、戦争立法に対する漠然とした不安や懸念は広がっていますが、戦争立法の危険性はまだまだ、国民の中に届いていません。
 創意をこらした宣伝行動が何よりも急がれます。また、各地、分野の九条の会は、くり返し戦争立法の学習会を開き、学習しましょう。
 九条の会事務局も、5月16日に、戦争立法を批判的に検討する事務局学習会を開きます。

 B 改めて、戦争立法反対の署名をつくります。この署名を持って地域の中に入り、地域の人々と話しあいましょう。

 C 自分たちの地域・分野で、これまでの発想を大きく越えてさまざまな立場、分野の人々の名を連ねて、戦争立法反対、改憲反対の共同声明を出しましょう。それを地域・分野の人々にくまなく配り、署名と一緒に運動への参加を訴えましょう。

 D すべての国会議員に対し、地元の事務所を直接訪れて戦争立法の危険性を訴え、反対の意思表示をするよう働きかけましょう。
 戦争立法は、アメリカの戦争に地域を動員し巻き込みます。自治体首長、地方議会の議員を訪れて戦争立法に反対するよう働きかけましょう。
 各地域の地方紙、地方放送局に申し入れ、戦争立法の危険性を報道し少なくとも法案には慎重な審議をすることを訴えるよう、働きかけましょう。

 E いま全国では、戦争立法に反対するさまざまな共同が広がっています。これらの動きと連携を強めつつ自分の地域で共同の集会・共同の行動をつくるために、働きかけを強めましょう。
 地域で開かれる共同の集会や統一行動には、九条の会で議論し積極的に参加しましょう。

 F ブロックや都道府県、地域毎の交流を強めましょう。各地の九条の会は事務局に取り組みを知らせてください。

 これから夏にかけて、憲法の正念場です。全力をあげて戦争立法阻止のために頑張りましょう