草の根からの「改憲発議許さず」の声で安倍改憲に終止符を
2020.2.10  九条の会


 安倍首相は、今年の年頭記者会見からことあるごとに改憲発言を繰り返しています。とくに施政方針演説では、自らの憲法尊重擁護義務を投げ捨てて、改憲案を示すのが「国会議員の責任」、「歴史的使命」などと強弁し、憲法審査会の活動への介入さえも口にして、その執念をあらわにしました。これは、この間の「戦争する国づくり」が9条改憲をいよいよ差し迫った課題としていることへの焦りの現れにほかなりません。
 安倍内閣は、昨年末に防衛省設置法の「調査・研究」名目で自衛隊を中東地域に「派遣」する閣議決定を行い、1月11日にはP3C哨戒機、2月2日には護衛艦の派兵を強行しました。その中東では、年明け早々にアメリカによるイラン司令官殺害とイランによる報復のミサイル攻撃がなされ、戦争を憂慮する国際世論により本格的な軍事衝突はひとまず回避されましたが、アメリカの「核合意」からの一方的離脱に端を発する緊張状態が、依然続いています。今こそ日本政府には9条にもとづく平和的外交努力が求められています。
 ところが、安倍内閣は、中東危機に乗じて9条破壊の既成事実を拡大するために自衛隊派兵に踏み切りました。この自衛隊の活動は、アメリカが呼びかける「有志連合」に直接参加しないものの、米軍などとの必要な意思疎通や連携を行うことで、その軍事行動に事実上加担するものです。
 安倍首相が執念を燃やす憲法9条に自衛隊を明記する改憲の狙いは、こうした自衛隊派兵を追認するだけでなく、自衛隊が堂々と米軍とともに海外で戦争できるようにすることです。改憲勢力は、「災害」を口実にした緊急事態条項や教育の充実など、様々な手口で改憲の糸口をつかもうと躍起になってくるでしょうが、本命は9条改憲であることを国民の中に広めていくことが求められています。
 安倍首相が固執する9条改憲は、その思惑通り進んでいるわけではありません。昨年の参院選では改憲勢力が改憲案発議に必要な3分の2の議席を得られず、自民党が2018年3月にまとめた改憲案の提示も、4回の国会連続でできませんでした。これは、九条の会も加わる「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」など、市民と野党の共同した取り組みの重要な成果です。これに対して自民党は、草の根からの改憲運動を作り出そうと、昨秋から必死に画策しています。
 草の根からの活動は、私たち九条の会が最も大切にし、かつ得意とするところです。今年の年頭からスタートした「安倍9条改憲NO! 改憲発議に反対する全国緊急署名」を大いに広げるとともに、集会、スタンディング、ネットでの配信、など草の根からの対話と宣伝をさらに幅広く大きなものにして、今年こそ安倍9条改憲に終止符をうちましょう。