「九条の会・わかやま」 477号 発行(2023年3月26日付)

 477号が3月26日付で発行されました。1面は、「九条の会」呼びかけ人・大江健三郎さんを悼む、総がかり行動「19日行動」に1000人 軍拡やめろ! 軍事費(防衛費)増やすな! 暮らしをまもれ!、九条噺、2面は、朝日新聞世論調査3月20日 岸田内閣の支持率の推移、書籍紹介 『ロシアのウクライナ侵略と日本の安全保障』、朝日新聞世論調査3月20日 放送法の政治的公平性をめぐる首相補佐官の働きかけは・・・  です
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「九条の会」呼びかけ人・大江健三郎さんを悼む

 「九条の会」呼びかけ人・大江健三郎さんが3月3日、死去されました。功績をたたえ、悼む各界の言葉を朝日新聞デジタル(3月13日付)からご紹介します。

蓮實重彦さん(文芸評論家)「ノーベル賞とったからでない」



 「大江さんはノーベル文学賞を取ったから偉いのではありません。ノーベル賞とは関係なく、元々偉い作家なのです」と悼んだ。

平野啓一郎さん(作家)「小説を書くのが嫌になるぐらい」



 「本当に大きな影響を受けた作家で、言葉が見つからない。大江さんがいらっしゃること自体が、日本の文壇に大きな緊張感を与えていた。その時代にデビューできたことは自分にとって大きなことだった。とくに『万延元年のフットボール』『セヴンティーン』などは、小説を書くのが嫌になるぐらい圧倒的。小説ってこういう人が書くんだろうなと思い知らされるような作品だった」と話した。

山田洋次さん(映画監督)「羅針盤を失ったよう」



 物事を考える上で、正しい指針を与えてくれる人がいなくなってしまった不安と悲しみに包まれています。
 加藤周一さんと大江健三郎さんの存在が長い間日本人にとってどれほど大切だったかを思いつつ、今大江さんを失うことが、現在のような混沌としたこの国の、さらに世界の状況にとって大きな損失だということを考えます。
 心ある日本人にとって、羅針盤を失ったような気持ちではないでしょうか。

小森陽一さん(九条の会事務局長)「ノーベル文学賞を受賞後、何度も駒場で」



 ノーベル文学賞作家で、「九条の会」呼びかけ人の大江健三郎さんが御逝去された。
 大江さんとは、加藤周一さんや井上ひさしさんとの御縁で、「九条の会」を発足させるにあたって、当初から御相談にのっていただいていた。私が最初に就職したのが成城学園だったので、同窓生である大岡昇平さんの御紹介で、「御近所づき合い」をされている大江さんとも親しくさせていただくことが出来た。
 東京大学教養学部に、私が転職した二年後に、大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞された後、何度も駒場で学生相手の講演をしていただいた。そうした御縁が重なり、井上ひさしさんと司会をつとめていた「座談会昭和文学史」では、御自身のことを思い切り語っていただいた。そして「九条の会」発足において、中心的な役割を担っていただくことになった。全国の講演も快く引き受けて下さった。
 あまりにも大きな喪失である。しかし、時々の大江さんの言葉を想起しながら、しっかりと「九条の会」運動を前に進めていく決意である。

落合恵子さん(作家)「背中を押してもらった宝物の言葉」



 あまりに大き過ぎる存在でした。東日本大震災の後、「さようなら原発1000万人アクション」のデモでたびたび一緒になり、隣で歩く時もドキドキしました。でも「子どもの本は今、何がおもしろいですか」などと気さくに話しかけて下さった。スピーチをする時、それが5分であっても、しっかりと原稿を用意されていました。原発はだめなんだという思いを届けようと懸命に話して下さった。心から感謝しています。その思いを私たちはしっかり握りしめていかなくては、と胸に刻みました。
 以前、イサク・ディネセン作品の原書をいただき、「小説を書きなさいよ」と言って背中を押していただいたこと。(主宰する子どもの本専門店)クレヨンハウスでの講演を快く引き受けて下さったこと。宝物です。

原広司さん(建築家)「よく電話がかかってきて、ダンテやスピノザの話を」



 あらゆる分野が細分化した現代において、僕らの世代は、世界を考えるためには同時代性を探ることが必要だと考えてきたが、大江さんはその中心にいたと思う。「個人的な体験」以後、光さんと生きることを主題に、四国・大瀬の谷を舞台として演劇を繰り返し上演するように、人間の生死の問題を形而上学的に考え続けた。こういう実験的な態度を貫いた人は大江さんしかいない。
 神なき時代に絶望することなく、人間の存在、世界モデルを捜し求め、世界的に不動の位置を占めている。文学の世界のできごとだったが、建築的に解釈することもできた。
 とにかく人を笑わせようとする楽しい人柄で、以前はよく電話がかかってきて、ダンテやスピノザなど、そのとき関心を持っていることについて話してくれた。覚悟はしていましたが、もう少し生きてくれると思っていました……。
 文学の世界での尊敬にとどまらず、大きな文化の歴史に大江さんを位置づけることがこれからの若い人たちの課題だと思う。

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総がかり行動「19日行動」に1000人
軍拡やめろ! 軍事費(防衛費)増やすな! 暮らしをまもれ!




 総がかり行動実行委員会は3月19日、「軍拡やめろ! 軍事費(防衛費)増やすな! 暮らしをまもれ! 入管法改悪反対! 3・19国会議員会館前行動」を行い、1000人が参加しました。社民党の服部良一幹事長、日本共産党の吉良よし子参議院議員があいさつ、立憲民主党と沖縄の風、韓国の19日行動のメッセージが紹介されました。
 憲法9条を壊すな実行委員会の菱山南帆子さんが主催者あいさつ。「岸田政権は、自衛隊の基地にミサイルを配備し、4兆円を使って基地を強靭化しようとしている。これは攻撃されることが前提だ。敵基地攻撃能力を保有し危機をあおる、戦争する国にしようとする岸田政権にNO!の声を上げよう。街に出て、大軍拡・大増税反対の署名で対話し、運動を広げよう」と訴えました。
 在日ビルマ市民労働組合のミン・スイさんは、「戦争反対、防衛費拡大反対だ。3月28日に自民党本部前で声をあげる。一緒にがんばろう」と呼びかけました。
 千住九条の会の中田順子さんは「2020年1月に伊藤千尋氏講演会を開催しスペインの島やトルコの街、日本各地に『九条の碑』が建立されていることを知り、『九条の碑を建立する会』を立ち上げ、昨年6月に球体の碑が完成した。今は9条プレートを様々な言語で作成中。戦争のない世界を実現したい」と訴えました。
 移住者と連帯する全国ネットワークの山岸素子さんは、「入管法改定案は非人道的な法案であり廃案にしたい。日本の難民の認定率は1%で、諸外国の認定率は30~40%。3回目以降の難民申請者は強制送還の対象になる。署名、国会前行動や街頭宣伝に協力をお願いする。連帯してたたかっていこう」と話しました。
 戦争をさせない1000人委員会の田中直樹さんが行動提起を行いました。(憲法共同センターNEWS3月20日号)

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【九条噺】

 スモモ(李)は、「李下に冠を正さず」という成句がある果物だ。似た果物にアンズ(杏)がある▼我が畑に桜と同じ時期に、桜より白い花を一面に付けて真っ白になる木がある。今年も綿帽子のようだ。そして7月頃に沢山の実を付ける。ちょっと甘酸っぱいが、自然感覚豊かな果物だ▼この木は、スモモかアンズだとは思っていたが、今までどちらかを調べてこなかった。そこで、図鑑等で調べたら、アンズの花はピンクで実は橙色だが、我が畑の花は白、実は熟すと赤紫色になる。これはスモモの特徴を表しているので、スモモと「断定」した▼「スモモも桃も桃のうち」という早口言葉があるが、桃はバラ科サクラ属、スモモはバラ科スモモ属だから、「桃のうち」ではない。プラム、プルーンという呼び名もあり、ややこしい。プルーンは西洋のスモモ属の呼び名のようだ▼スモモは「酸桃」からきているという。和歌山県はスモモの生産が全国3位だそうだ。みかんや梅、柿に続く果実のようだ。スモモは「Japanese plum」と英名が付いているが、日本での果物人気投票で32位だそうだ。▼メジャーではないが、ビタミンCが豊富で、肌を活性化する働きがあり、高い美容効果が期待でき、ハリを保つコラーゲンの生成に欠かせない成分となっているという。食物繊維も豊富で、腸内環境を整える働きがあり、代謝アップが期待できるという。折角沢山の実をつけてくれるのだから、スモモを見直し活用していきたいと思う。(南)

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朝日新聞世論調査 3月20日
岸田内閣の支持率の推移




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書籍紹介 『ロシアのウクライナ侵略と日本の安全保障』



 いまだ終着点が見えないロシアのウクライナ侵略戦争。「2022年2月24日」以降の現実に戸惑う私たちに何ができるのか。不安・怒り・悲しみと共に抱くさまざまな疑問を、Q&A方式で解き明かしながら、これからの日本を考える。
【目次】
1.ロシア・ウクライナ戦争の真相は何か
2.国際政治の動きから見たロシアのウクライナ侵略
3.なぜ、ロシアはウクライに侵攻したのか
4.この戦争が改憲に拍車をかけるのか――自衛権の行使を口実に戦争発動を認めるのか
5.攻められたどうするか、をめぐって
6.拍車かかる自衛隊国軍化への道
7.こらからの安全保障論議とは
おわりに
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著者:纐纈(こうけつ)厚(山口大学名誉教授・政治学博士)
判型:A5判 204ページ
定価:1,400円+税
発売年月日:2022年11月10日
出版社:日本機関紙出版センター
    TEL:06-6465-1254 FAX:06-6465-1255

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朝日新聞世論調査 3月20日
放送法の政治的公平性をめぐる首相補佐官の働きかけは・・・




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