第2回 和歌山県「9条の会」交流集会 開かれる

 2013年9月8日(日)午後1時30分から4時30分まで和歌山市のプラザホープで開かれた交流集会には県下各地から200名に迫る「9条の会」会員と一般参加者がつどい、憲法学者で「九条の会」事務局員の小沢隆一氏の講演と8つの会からの発表に熱心に聞き入りました。

 集会は次のとおりのプログラムで進行しました。
・開会(司会)
・歌声
『日本国憲法第九条』『あの日の授業』
    和歌山うたごえ九条の会(指揮:由井勝さん)
・挨拶 月山桂さん(弁護士)
・講師紹介(司会)
・講演(90分)
  講師:小沢隆一さん(東京慈恵会医科大学教授)
  演題:参院選後の憲法〜情勢と私たちの課題〜
・(休憩)
・「9条世界会議・関西2013」へのお誘い
    梅田章二さん(弁護士)
・各地の「9条の会」からの発言(各会7分)
 @はしもと9条の会(富岡嬉子さん)
 A和歌山うたごえ九条の会(中北幸次さん)
 B守ろう9条 紀の川 市民の会(原通範さん)
 C和歌山大学憲法9条の会(越野章史さん)
 D9条の会・美浜(大谷眞さん)
 E楠見子連れ9条の会(馬場潔子さん)
 F輝け9条!芳養の会(前田一彦さん)
 G憲法9条を守る和歌山弁護士の会(金原徹雄さん)
・閉会(司会)

 まず開会宣言に続いて、和歌山うたごえ九条の会が、9条の条文そのものに力強い曲を付けた『日本国憲法第九条』と、憲法を熱心に授業してくれた先生の思い出『あの日の授業』を心にしみる演奏で披露しました。

 次に開会挨拶で元和歌山弁護士会長の月山桂弁護士は、冒頭に護憲派財界人品川正治さんの逝去を悼み、プラザホープでの品川氏講演会をしのびつつ「戦争をしない」遺志を引き継ごうと訴えられました。つづいて交流集会参加者への歓迎の言葉と講師への感謝を述べられ、自民党憲法案のような上からの目でなく、個人の目、一人の兵士や家族の目で戦争とは何かを考えて行くことが大切だなどと話されました。

 登壇された小沢隆一さんは「参院選後の憲法〜情勢と私たちの課題〜」と題してレジメに沿って約90分にわたり話されました。
 まず、日本国憲法制定以来「最大の危機」が迫っている今、私たちがすべきことは、憲法を学び、活かし、守ることだと前置きして、改憲勢力の論理や改憲反対勢力との対決点について、ここ数年の動きも含めて分かりやすく解明されました。
 項目は、96条改憲論の狙いと困難、自民党憲法案の3つの主要部分(@復古的反動的な国家をめざすA新自由主義の推進をめざすB軍事大国化をめざす)でした。
 具体的に9条関係では、上記のBが憲法9条に関わり、改憲の実現に向けた手法は「明文改憲」「解釈改憲」「立法改憲」といろいろある。「明文改憲」は自衛権発動(集団的自衛権)、国防軍保持で海外にも出かける軍隊(審判所=軍法会議も設置)を作る。「解釈改憲」は現憲法下でも集団的自衛権を行使できるとする。「立法改憲」は法で改憲したと同じ事実を作る。「国家安全保障会議設置法案」「自衛隊改正法案」「国家秘密保全法案」など。
 9条改憲を本命としながらもしつこく既成事実作りをねらっている。しかし幅広い国民に「9条改憲No!」の声がある。東アジアの平和構築のため、9条をもっている信頼感こそが役立つ。
 このような解明の最後に、「改憲の各論点と課題の難易度『診断』(イメージ)表」を示されました。96条改憲、復古的・反動的改憲は改憲派にとって難しく反対する側にはやりやすい、しかし9条改憲は改憲派にも改憲反対派にも難しい課題であり長期の戦いになると話されました。最後にその朝報じられた東京オリンピック2020年開催を引いて、オリンピックを9条をもつ平和な日本として迎えようと締めくくられました。
一同大きな拍手で賛同と講演への感謝を表しました。

 第2部は、冒頭に梅田章二さん(弁護士)から「9条世界会議・関西2013」へのお誘いがありました。橋本市長でイメージが落ちた大阪だが、イメージを変える明るい話題として多数の参加で成功させようとユーモアをこめた訴えに、一同大きな拍手で応えました。

 続いて8つの会の発表に移りました。

@はしもと9条の会(富岡嬉子さん)は、「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」の活動から、本秀紀名古屋大学教授を迎えての「憲法をめぐる情勢」講演会、映画「渡されたバトン…さよなら原発」上映、10月予定の第5回9条まつり、署名統一行動など多彩で創意的に続けている活動を報告されました。

A和歌山うたごえ九条の会(中北幸次さん)は、9条世界会議が縁で結成、多数の会員が、花見、総会、うたごえをはじめさまざまなイベントで「憲法があるから歌える」と平和の歌を通してつどい、外に発信している多彩な活動を報告されました。

B守ろう9条 紀の川 市民の会(原通範さん)は、スライドで年表を映しながらコンスタントに持続してきた活動を振り返り、署名活動、毎年の憲法フェスタと総会でおこなった主な講演、フェスタと総会を節目に会員が増えている、地域で連携する九条の会が増える見込み、フェスタの写真などを発表されました。

C和歌山大学憲法9条の会(越野章史さん)は、大学教員と学生が参加する『憲法9条の戦後史』(岩波新書)読書会の活動を報告されました。題名だけで選んだ本だったが内容がたいへん良い。学生は色々なことを知らされていない。湾岸戦争以後の生まれになっている彼らに読書会を通して知らせることは大切だと述べられました。

D9条の会・美浜(大谷眞さん)は、有権者過半数署名達成について報告されました。美浜町の有権者6583人(6月1日現在)の過半数3292人にあと57となっていたところに、8月11日午前の二人一組での署名活動で65筆、ついに達成と述べると会場から大きな拍手がわきました。個人で集めた30筆を合わせて累計3330筆で38筆の超過達成。約7年間に町内を3巡した緻密で粘り強い活動の成果を発表されました。

E楠見子連れ9条の会(馬場潔子さん)は、子育て世代のお母さんたちが、ジャーナリスト西谷文和さんのイラク戦争のDVDをきっかけに「無関心はいけない」と子連れで熱心に語り合い学習しはじめた活動を発表。母子での歌の披露、連絡はメールでなども紹介されました。中年層、子育て世代、子ども世代に9条を広げることが重要なので、相談されたら出かけると話されました。

F輝け9条!芳養の会(前田一彦さん)は、今年も8月23〜25日に開催された「紀南ピースフェスタ」の事務局長を務めた立場から報告されました。芳養、田辺、白浜、上富田、龍神など多くの「9条の会」があるが、単独ではなくネットワークで大きなことができる。「紀南ピースフェスタ」は講演、上映、アート、カフェなど多彩な企画が多くの会や個人の協力で実現していると述べられました。

G憲法9条を守る和歌山弁護士の会(金原徹雄さん)は、今年の活動にしぼって発表されました。4月28日政府の主権回復記念式典への新聞意見広告、5月3日和歌山放送特別番組「憲法を考える」提供、5月3日JR和歌山駅前で県民署名行動ののち和歌山城までアピール行進、8月3日紀州踊りに「九条連」を作り参加、さらに6月26日「新リレートーク 立憲主義と平和主義の危機に立ち向かう」と、会員弁護士の無料講師派遣について話されました。

 以上8つの、各地域や分野での特色ある活動の報告でプログラムが終わり、参加人数報告と場内カンパの報告の後、散会しました。
(以上)