(朝日新聞・和歌山 2021.05.18)



戦争と憲法を再考
オンライン柳沢協二さん講演会

 内閣官房副長官補を務めた柳沢協二さんの講演会が15日、オンラインであった。米中が相争う世界情勢を語り、憲法の前文にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」「諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持する」を基調とする「日本の生き方」を探った。
 演題は「混迷する世界の中で、改めて考える戦争と憲法」。
台湾や尖閣諸島をめぐって米国と中国とが戦争になる恐れは十分にあることや、日本も戦争には無関係でいられないことを指摘した。続けて、「抑止力」「敵基地攻撃」「ミサイル防衛」といった言葉をもてあそぴ、「戦争はいけないもの」「戦争になったら住民はどうなるのか」といった視点を失った「日本政治の劣化と恐ろしさ」を語った。
 「力に頼らない」国家のあり方として柳沢さんは、米国従属から脱して米中対立の緩和に動くこと▽アジア諸国との外交連携▽非核・非戦・協調のメッセージの発信などをあげた。
 講演会は「憲法九条を守るわかやま県民の会」が主催しユーチューブでも配信した。コロナ対策のため和歌山市の会場は入場者を制限した。
  (下地毅)