(朝日新聞・和歌山 2021.07.26)



空襲の惨状 写真や遺品で伝える
和歌山で戦争展

 戦争体験者の証言や遺品を展示する「平和のための戦争展わかやま」が25日まで、和歌山市北出島1丁目のプラザホープで開かれた。
 1990年に始まって今回で30回目。治安維持法による県内の犠牲者の生涯をふりかえるパネルのほか、和歌山大空襲や原爆を落とされた広島の惨状をしめす絵や写真、遺品が並べられた。
 有田川町からきた竹中栄さん(76)は涙を流しつづけた。和歌山大空襲の日、生後86日だった竹中さんは、和歌山市友田町で氷卸をしていた両親に抱かれて逃げまわり、イモ畑に身を潜めて助かったという。
 空襲後に一家で有田川町に疎開し、父親の岩松さんはなれない暮らしで早世した。竹中さんは「こんなにもにぎやかになった今の和歌山市を父が見たらどう思ったでしょうか。だから戦争が憎い。嫌です。怖いです。むごいです」と語った。(下地毅)