朝日新聞和歌山版 2022年9月6日付



 市民連合わかやま共同代表の弁護士由良登信さんの講演「新たな改憲の動きにどう立ち向かうか」が和歌山市で1日夜にあった。
 由良さんによると、今ふたつの改憲の動きがある。①敵基地攻撃能力の保有という解釈改憲②憲法に自衛隊を明記する明文改憲だ。
 ①について由良さんは、「陸海空軍その他の戦力」を保持しないと定めた憲法9条2項に基づく「専守防衛」「自衛のための必要最小限度の震カ」を超えていて、憲法にも国連憲章にも反すると指摘した。②にも、国家機関としての軍事組織が誕生することで、平和憲法が課してきた制約が取り払われてしまうこと、その結果は海外への派兵、防衛予算の増額と福祉予算の減額、軍需産業の膨張、徴兵といった形で具体化するだろうと馨告した。
 改憲の動きはアメリカの軍事戦略と結びついているという由良さんは、「中国からのミサイル攻撃を軍備増強で防ぐことは不可能なのだから、外交によって国際紛争を解決していくしか道はない」と語った。
(下地毅)