朝日新聞和歌山版 2022年11月04日付



「戦争の惨状語らなければ」
和歌山で集会 田辺の古久保さん

 戦時下の1945年5月5日に米軍爆撃機B29が自宅の裏山に墜落するのを目撃した古久保健さん(85)=田辺市龍神村殿原=が3日、和歌山市の市民集会で平和への思いを語った。
 古久保さんは「戦争はみじめなもの。くりかえさないためにも残酷な事実を語らないといけない」と指摘する。この日も、落下傘で脱出したB29の搭乗兵が大阪に連行されたあと国際法に反して日本軍に殺された史実をふりかえった。
 墜落現場の惨状をおりにふれて思いだすことと、中国戦線で父親が死んだことも語った。これらが背景となって、戦後の自分は「平和」に生きてきたけれども「心の痛み」を抱えたままでいるとも打ちあけた。
 「このような子どもを再びつくらないためにも、武器を持つこと自体が戦争への準備だと考えるべきだ。そう訴えていくことが残された私の命の価値です」と話してしめくくった。
 古久保さんの話は「守ろう9条 紀の川 市民の会」が企画した。
(下地毅)