(毎日新聞・和歌山 2021.07.25)



「切ない思いもういい」
 平和のための戦争展 遺品など展示も

 今年で30回目となる「平和のための戦争展わかやま」(実行委主催、毎日新聞和歌山支局など後援)が24日、和歌山市北出島1の県勤労福祉会館で始まった。県内の戦跡や、広島・長崎の被爆地、沖縄の米軍基地に関する資料などを展示している。無料。25日午後1時まで。
 和歌山市の岡本馨子(けいこ)さん(85)は太平洋戦争で戦死したみなペ町出身の叔父の遺品を出展した。1944年6月に韓国・珍島で戦死したと死亡告知書に記されたが、軍隊手帳には終戦直前まで活動していたとうかがえる記載がある。遺骨はなく、海南市出身の元日本兵、小野田寛郎さん(故人)が1974年にフィリピンから帰還した際は、祖母が「いつかひょっこり帰ってくるんやろうなあ」とつぶやいたという。岡本さんは「祖母も母も家で待つしかなかった。切ないというか、いとおしいというか、こうした思いをさせないよう戦争は起こしたらいけない」と話した。
 この日は、政治学者で京都精華大学専任講師の白井聡さんによる「どこまで続くアメリカいいなり~このまま隷属を続けるのか」と題したオンラインでの講演もあった。
   【新宮達】