シネマ・1



【恋愛小説家】

初めて愛したのは一匹の犬とウェイトレス


嫌みで毒舌で極端な潔癖症の恋愛小説家のユドール
(ジャック・ニコルソン)と病弱な子供を抱えるウェイトレスの
キャロル(ヘレン・ハント)の決して若くも、美人でも
ハンサムでもない男女が繰り広げる恋愛物語。

ニコルソンが熟年で初めて純愛を経験する男の
とまどいとよろこびを可笑しく・哀しく好演していました。
そして、ヘレン・ハントがあの素敵な笑顔で、
人を傷つけるだけの存在でしかないユドールを
母親のような優しさで包み込んでいます。
又、物語のキーになってる犬のバーデルとユドールとのふれあいが
なんとも可笑しくて暖かくて素敵でした♪

怪優と呼びたくなるジャック・ニコルソンが
屈折した不器用さで懸命に恋する男心をこんなに可愛く演じるなんて・・・・と吃驚した作品です♪
第70回アカデミー賞:主演男優賞,主演女優賞 受賞作品です。    (1997年作品)



【テルマ&ルイーズ】

男たちよホールド・アップ!!

女性二人のロードムービー。
単なる気晴らし旅行の筈が友人を救う為に撃った一発の銃弾。
すべてがここから始まります。
横暴な夫の言いなりになり全てがアバウトの気弱でルーズな
テルマ(ジーナ・デービス)と几帳面でしっかり者のルイーズ
(スーザン・サランドン)と正反対の性格の二人。
しかし、ストーリーが進むにつれ何かを吹っ切ったように強くなるテルマ。
そういう意味では、ジーナ・デービスはおいしい役だった筈です(笑)
また、ルイーズの硬質な雰囲気はスーザンにピッタリでした。

二人の女優がすっきりと格好良く演じてくれました♪
しかし、この映画に出てくる男達の酷さ(勿論、良い人もいましたが)
その男達へ拳銃を向ける彼女達の凛々しさは
一服の清涼剤のようでした!
ラストの砂漠を激走し抜けるような青空へ飛び立つようにダイブする二人
悲劇的なラストの筈なのに、
 胸がスカッとしたのはあの空の青さのせいだったのかしら?
 共演者ではブレイク前のブラッド・ピットの若々しい姿が見られますよ♪  
                                              (1991年作品)



【アンタッチャブル】

舞台は禁酒法時代のシカゴ
私はこの作品で初めてケビン・コスナーという俳優を知りました。「アンタッチャブル」での彼の登場の仕方
家族と何かを話しているその後ろからカメラが回り込み
そして彼(エリオット・ネス)が振り向く。。。。。
この一瞬で私は彼に参ってしまいました(笑)
端正な顔立ち・考え深そうな眼差し・優しげな口元、
全身からオーラが出ていました。
スターとはこういう華がある人の事を言うのでしょうね。
作品的にも良く出来ていたと思います。

共演者がまた素晴らしかった!
重厚で厳しさと優しさを好演した、ショーン・コネリー
アル・カポネ役のロバート・デ・ニーロ
彼は役作りの為、体重を増やし前髪を抜いて
所謂ハゲ頭で登場しました。
アル・カポネが子分をバットで殴り殺すシーンは
迫真の演技で「この人は本当のギャングかぁ」
って思う程でした。
又、この作品でメジャーになったアンディ・ガルシア、
駅の階段の乳母車のシーンは本当に格好良かった!

色恋のない純然たる男達の物語もたまには良いものです。
  (1987年作品)
                                             


【ムーラン・ルージュ】

真っ赤な舞台の緞帳が開くと、そこはムーラン・ルージュの世界。



19世紀末のパリのナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」が舞台。
輝くダイヤモンドとよばれている高級娼婦サティーン(キッドマン)と
貧しい作家、クリスチャン(マクレガー)の悲恋をミュージカルタッチで描いている
「ムーラン・ルージュ」はまるで異次元の世界に迷い込んだかと思わせるセットの見事さと、
そこに息づく猥雑でエロティック、退廃的な人間模様がそんなに
深刻になる事なく次々と繰り出される20世紀のポップミュージック、
オペラ、スタンダード・ナンバーにのせて観客を19世紀末のパリへ誘ってくれます。
さぁ〜!
「この世で最高の幸せは人を愛し、そしてその人に愛される事」と歌う、
サティーンとクリスチャンの悲恋に酔いしれましょう♪
まるで陶人形かと思わせるニコール・キッドマンのろうたけた美しさには驚きました、
そして何より、彼女とマクレガーはすべての歌曲を自ら歌っている事の驚き!!
二人共、とても魅力的な歌声を披露してくれています。
これぞ映画という作品でした。




【恋におちて】

少し古い作品ですが(1984年)
私の好きな一本をご紹介します(ストリープがとても美しい!!)
街がクリスマスカラーに彩られる頃、ふと思い出す作品です。

場所はクリスマス商戦で賑わうニューヨークの街
その一角にある書店で出会う二人
(ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ)
俗に言う不倫物語であるが、流石演技派の二人
さり気なく演じて全く嫌らしさを感じる事なく
むしろ、清潔感・ストイックさ、そういうものを感じました。
とても雰囲気のある大人のラブ・ロマンスに仕上がってます。
又、共演者が素敵です!
スモーク、ピアノレッスンなどでお馴染みのカーヴェイ・カイテル
デ・ニーロといいカイテルといい、超個性的でアクの強い二人が
全く普通の男性を演じてしまってる事に、
妙な感動を覚えました(笑)

余談になりますが
映画の中でストリープが持ってたバッグがとても素敵で
それに似たようなバッグを買い求めたと言うオマケ付きの映画です



【マレーナ】



最後に流れる
「その後、私は沢山の女達と恋をした。別れる時女達は「私を忘れないで」
と言ったが、私が今でも忘れず愛しているのは少年の頃愛したマレーナだけだ」
。。。。この言葉にこの映画のすべてが語られています。
 
第二次大戦下のシチリア島。 
年上の成熟した女性、マレーナに惹かれることで、 少年から青年へと成長してゆく
少年レナートを描いた物語。
その美しさゆえに、島の人達の好奇の目に曝され何時も目を伏せて歩くマレーナ
その彼女のみを見つめる12歳の少年レナート。
シチリアの潮風と空の下、少年の性愛がのびやかに描かれていて、
そこには卑猥さや陰鬱さがなく、性への目覚めを大人への出発点として捉えることに
成功しているように思いました。そして、とても官能的で美しい作品です。

ショコラにも感じましたがこういう繊細さは、アメリカ映画では味わえませんね。
ヨーロッパ映画にしか作り出せない映像感覚でしょうか。
監督はあの名作「ニュー・シネマ・パラダイス」そして 「海の上のピアニスト」のジュゼッペ監督
(2001年作品) 



【ショコラ】



北風の吹くある日、赤いマントを着た謎めいた親娘
(ジュリエット・ビノシュ、ヴィクトワール・テヴィソル)がフランスの小さな村に
やって来るところから物語が始まります。
それぞれの客の好みにピタリとあわせて勧められるチョコレートは人々を虜にし、
その事が敬虔なカトリック信者の村の指導者レノ伯爵の迫害を受ける事となってゆく。。。。

この映画の主人公はなんと言っても、全編にわたって登場する
おいしそうなチョコレートの数々でしょう♪ 
「バベットの晩餐」「恋人たちの食卓」(台湾作品)「赤い薔薇ソースの伝説」など、
過去の食べ物の名作と同じで、美味しいものを口にする時の人々の陶酔の表情が、
この「ショコラ」にも随所に見られ、それは見ている私達をも大変幸せにしてくれます♪
甘くて暖かくて、まるでお伽話のような映画です。

ヴィアンヌとジプシーの青年(ジョニー・デップ)との恋は少し控えめではありましたが、
程よい色合いを作品に加えていて心地良いものでした。
劇中出てくるチリペッパーを入れたホット・チョコレートを
一度飲んでみたいものです♪

『ギルバート・グレイプ』『サイダーハウス・ルール』の
ラッセ・ハルストレム監督作品です。
(2001年作品)