ちょっと気になる作品



【セッション9】

目醒めたのは誰だ?





監督 ブラッド・アンダーソン

出演
 デヴィッド・カルーソー
スティーヴン・ジェヴェドン
ポール・ギルフォイル


   




story

1871年に建てられ、かつて2,400人の患者を収容したダンバース州立精神病院。
そこでは、現在は禁止されているロボトミーやショック療法といった非人間的な治療が施されていた。
1985年に閉鎖されて以来、廃墟と化したこの建物が公共施設として改修されることになり、
アスベスト除去のために5人の男がやって来た。通常は2週間かかる作業ながら、
彼らに与えられた時間は1週間。これを過ぎれば報酬の1万ドルは払われない。
さっそく作業を始める彼らだったが、かつて患者が受けた虐待や狂気、苦痛といった
悪夢の痕跡に触れ、次第に精神が追いつめられていく・・・。




とても怖い映画でした。なによりも舞台となっている廃墟となった病院がセットではなく
実在する病院であるという事・・・この病院なくしてこの作品は成立しないのでは
と思わせるほどの存在感でこの廃墟の病院は迫ってくる!!
前半の登場人物の相関関係を描くあたりは正直言って退屈そのもの・・・
が、ハンクが行方不明になったあたりから目が釘付けになってゆきます。
多重人格であった患者メアリーの22年前の診療テープの流れる中
まるでそのテープに誘われるが如く心を蝕まれていく男。。。。

そして、真実が明らかになる血生臭いラスト!!
このラストは少々唐突な感じがして不満が残りますが
あれはかつてこの病院に幽閉された患者達の狂気が彼に憑依したのでは。。。
と、考えると怖さが一段と増してくる!!

(2001年アメリカ作品)





【グロリア】








監督 ジョン・カサヴェテス

出演 ジーナ・ローランズ
    バック・ヘンリー
    ジョン・アダムス
    ジュリー・カーメン


  




story

マフィアの組織で働く会計士一家が裏切りの制裁を受ける。
ただ一人生き残った少年フィル(ジョン・アダムズ)は、
父親から渡された組織の手帳を持ち、母親の友人グロリア(ジーナ・ローランズ)のもとへ。
その手帳と少年の命を狙ってマフィアは彼女らを追う。


グロリア

兎に角ジーナ・ローランズが強くてセクシーで格好いい!!
この一言に尽きる作品です。
何度見ても飽きることなくその度に新鮮に感じてしまう作品♪
この映画に出演したときローランズは46歳だったとか
決して若くも美しくもないヤクザな女を貫禄たっぷりに演じている。
あの仁王立ちになり追っ手のギャング達に拳銃をぶっ放すド迫力!!
"ハード・ボイルドは男達だけのものじゃないんだよ!"
そんな声がスクリーンの向こうから聞こえてきそう(爆)

ウンガロの衣装を粋に着こなし、ハイヒールで大股に歩き走りそして戦うグロリア。
グロリアの煙草を扱う手がなんとも素敵で成熟した女の色っぽさを感じた喫煙シーン。
決して優しい言葉をかけないで冷たく突き放した感じのグロリアが少年にフト見せる母性。
守る義務など全くない少年を命をかけて守ろうとするグロリア。。。
だからこそ、あのラストシーンに拍手したくなってしまう私です。



シャロン・ストーンのリメイク版も見ましたが・・・・格が違いすぎました(爆)
やはり「グロリア」はジーナ・ローランズのものでしょう!!
余談ですが、監督のカサヴェテスは脚本を書くにあたって日本の「子連れ狼」をヒントにしたそうです(笑)

 【1980年,アメリカ作品






【プレッジ】

そして、約束だけが残った。
【監督:ショーン・ペン 】
【出演: ジャック・ニコルソン、ロビン・ライト・ペン】


プレッジ




story

ある雪の夜、一人の少女の遺体が発見された。引退をその日に迎えていた
刑事ジェリー・ブラック(ジャック・ニコルソン)は、少女の母親に懇願され、
真犯人を突き止めることを自らに“プレッジ=約束”する。
退職まで6時間、彼の運命は静かに狂い始めた。。。



ショーン・ペンにとって三作目の監督作品。彼の監督作品を見るのは
これが初めてだったのですが・・・やりますねぇ、ペンさん!(笑)
一言で言えば「ショーン・ペンによるジャック・ニコルソン映画」です(爆)
それ位の存在感で彼は迫ってきます!

冒頭シーン、どう見ても尋常でない目をした老人(ジャック・ニコルソン)のクローズアップ
ここで私はこの作品に完全に魅せられてしまいました!
正気と狂気のボーダーラインを演じたら右に出る役者がいない、ジャック・ニコルソン。
彼が折角つかんだ家庭の温もりと刑事としてのプライド
その二つを一瞬にして失ってしまったあの瞬間・・・・
人の心が引き裂かれ狂ってしまうあの瞬間
事件の真実は彼と観客である私達だけにしか分からないと言うもどかしさ!
ジャック・ニコルソン ファンなら必見の一本です!!

ところでジャック・ニコルソン以外の出演者のなんと豪華な事。
ベニチオ・デル・トロ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク
ヘレン・ミレン、サム・シェパード・・・そしてショーン・ペンの妻であるロビン・ライト・ペン
妻役のロビン・ライト・ペン以外はすべて出演時間なんと10分位なんですよ!
しかし、流石芸達者達です。
それぞれかなりのインパクトのある演技で楽しませてくれました♪
それもこの作品の魅力の一つとなっています。

(2001年アメリカ作品)





I am Sam

いっしょなら、愛は元気。
【監督 :ジェシー・ネルソン 】
【ショーン・ペン/ミッシェル・ファイファー/ダコタ・ファニング 】


サム

  story
7歳児程度の知能しかもっていないサム(ショーン・ペン)は、娘ルーシー(ダコタ・ファニング)と
ささやかな生活を続けていたが、彼に養育能力がないと判断したソーシャル・ワーカーが
ふたりを引き離してしまう。サムはやり手の弁護士リタ(ミシェル・ファイファー)を頼り、
裁判でルーシーを取り戻そうとするが…。

サム

知的障害を持つ父親サム役のショーン・ペンはあの「レイン・マン」の
ダスティー・ホフマンと
並ぶ好演でした。これでアカデミー賞を取れなかったのが不思議?
内容は切ないものなのですが不思議な位暗さがなくて、全編ビートルズの曲が
流れる中、所々でクスッと笑ってしまうストーリー運び。
無垢な父と純真で賢い娘の親子関係がなんとも素敵で思わずホロリとさせられました。
また、ルーシー役のダコタ・ファニングの可愛らしさは最高でした♪
冷静に考えれば確かに知的障害の父親にとって子育ては無理な事だと思うのです。
しかし、現実社会を見渡せば子供を殺したり、捨てたり、虐待する、親になりきれない
親のなんと多い事よ! それに比べてサムが娘に向ける真っ直ぐな愛情・・・・
もうこれだけあれば子供は育ってゆくのでは。。。と思ってしまった私です。
(2001年アメリカ映画)






アトランティスのこころ

それは二度と戻ってこない11歳の夏の、奇跡の物語だった。
監督:スコット・ヒックス
出演:アンソニー・ホプキンス/デヴィッド・モース/アントン・イェルチェン




   story
幼なじみのサリーの死を知り、久しぶりに故郷を訪れた写真家のボビー。
今は廃屋となった、自分の生家に戻った彼は、子供の頃の思い出に心を馳せる。
親友のサリーやキャロルのこと、母親のこと、そして不思議な老人テッドとの出会いのこと・・・。


原作はあの名作「スタンド・バイ・ミー」「グリーン・マイル」でおなじみのスティーブン・キング
どこか「スタンド・バイ・ミー」に似たストーリー展開。
なんと言ってもアンソニー・ホプキンスの存在感は流石です。
しかし、人の心を読み取る不思議な力を持ち、それを狙うものに追われているという
設定は今ひとつ説得力がないのが実に残念!




ボビー少年の初恋相手キャロルが可愛くて天使そのもの♪
初恋の人との思い出は生涯で一番、
鮮やかで美しいものとして残るものなんですね(よく分かります〜♪)
お祭りの夜観覧車で初めてのkissを交わす二人
・・・胸キュンなシーンです(笑)
亡き父への想いと母への反抗、いじめっ子に対する勇気、そして大切な友人となった
テッドを守ろうとするボビー・・・少年は11歳の夏確実に成長してゆく!

(2001年アメリカ映画)





アザーズ

その“アザーズ(存在)”が見えた時、全てが変わる。
監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ニコール・キッドマン/フィオヌラ・フラナガン/クリストファー・エクルストン



story
1945年、第二次世界大戦末期のイギリス、チャネル諸島のジャージー島。
広大な屋敷に娘アンと息子ニコラスと3人だけで暮らしていた。
夫は戦地に向かったまま未だ戻らず、今までいた使用人たちもつい最近突然いなくなってしまった。
そこに、突然「求人募集を見た」という3人が訪れ、そのまま使用人として雇う事にしたが・・・
3人が訪れ雇う事になった日から奇妙な事が起こり始める。

ニコール・キッドマンのクールビューティー炸裂! って作品でした。
彼女の冴え冴えとした美しさと強い目線に魅せられつつ、謎解きを楽しみました。
又、二人の子供が光アレルギーの為、カーテンで光と外界から遮断された暗闇で
暮らしているというシチュエーションの素晴らしさ!
「得体の知れない恐怖」にどんどんと追い詰められてゆく母親グレースを
ニコール・キッドマンが好演しています。



もうこの作品は彼女の存在なくしては考えられませんね!
ホラーというよりスリラー映画と言った方が適切な作品でした。
最後のオチはあの「シックス・センス」を思い出させますが・・・・・
それでもなお、とても怖くそして魅力的な作品である事には変わりありません♪
(2001年アメリカ映画)





黙秘


監督:テイラー・ハックフォード
出演:キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リー


story
ニューヨークでジャーナリストとして働くセリーナのもとに匿名のファックスが届く。
それには、母親が殺人事件の容疑者になっているというものだった。
数年ぶりに故郷に帰ってきたセリーナは事件の真相を調べる内に、
20年前に母と自分に虐待をして不審な死をとげた、
父の事故の真相も次第に明らかになっていく・・・・

あのスティーブン・キングがキャシー・ベイツのために書いたミステリーということだけあって
キャシー・ベイツのはまり役といった感じの作品。
閉鎖的な島で起こった二つの事故を巡る人間模様。
この映画はまさに女達の物語でした。
セリーナの父親と言い執拗にドロレスを追い詰める老刑事といい、
男達のなんと情けなく鬱陶しい事よ(笑)
全編、眉間にシワを寄せたような厳しい表情のドロレスが娘を見る時だけみせる
優しい表情がとても印象的でした。

こういう人間関係や友情ってあるんだなぁと思った
ドロレスを家政婦として雇っていた富豪の未亡人とドロレスとの
ちょっと複雑な関係が一捻りされて描かれていました♪
実はこの作品、以前見た時は「ふ〜ん」で終わってた作品だったのですが。。。
今回、改めて見直してみると静かだけれど迫力があるんですよねぇ!
こういう事があるから映画って面白い♪

(1995年アメリカ映画)



【東京物語】

小津安二郎監督作品
東京物語

【出演 /笠智衆 東山千栄子 原節子 山村聰】

地方から老いた夫婦(笠智衆 東山千栄子)が上京し、
成人した子供達の家を訪ね歩くという物語。子供達は最初こそ歓迎するが、
やがて両親が邪魔になってくる。そうした中、戦死した息子の未亡人(原節子)だけが
親身になって面倒をみてくれるという皮肉。やがて老夫婦は田舎に帰るが、
その直後、妻は急死してしまう。ひとり残された老人は、静かに海を見つめるのだった…


この作品が作られたのが昭和28年。まだ敗戦の色濃い時代。
そんな頃に小津監督は家族崩壊というテーマを取り上げ
家族の喪失を描く事によって家族の愛の尊さ・美しさを描いて見せてくれている。
家族崩壊と言う今日的なテーマである事と、50年経た今でも
充分に新鮮な感動を与えてくれる事に驚きを禁じえない!



笠智衆と東山千栄子が実に良い味を出している。
特に東山千栄子・・・暖かく大らかで全てを包容してくれるような大きな母親像は素晴らしい♪
今、こういうタイプの女優がいない事がとても残念な事です。
また、美しい日本語が全体に散りばめられ「端正」という言葉がピッタリする作品でした。
映像・出演者・日本語などのなんと品よく端正な事でしょう!
秋の夜長、小津安二郎の世界にひたってみませんか?

(1953年松竹作品)





【クレイジー・イン・アラバマ】

あの頃、僕は“自由”の意味を確かめようとしていた…
【監督:アントニオ・バンデラス】
【出演:メラニー・グリフィス/デビッド・モース/ルーカス・ブラック 】




1965年の夏。アラバマに住む少年、ピージョーは、
大人になるうえで必要な“自由”といった問題に関して、にわかにいろいろ学ぶことになる。
先生となるのはまったく思いもよらない人物 ――ゴージャスでエキセントリックな叔母のルシールだ
彼女は夫の暴力を逃れ、テレビスターになる夢を叶えようとハリウッドに旅立つ。
殺した夫の首といっしょに…。きらびやかなハリウッドとアラバマの小さな町を舞台に
2つのユニークな物語が交錯する。


アントニオ・バンデラスが監督をし妻であるメラニー・グリフィスが主演した
「クレイジー・イン・アラバマ」は不思議な仕上がりになっている(笑)
コンセプトは自由・・・二つの異質な物語が並行して展開してゆく
これはコメディーと言っていいのだろうか?
内容的には”殺人””人種差別”と
重いテーマを扱っているのだけれど、随所で笑わせてくれる。
メラニー扮する夫の首を持ってハリウッドを目指すぶっ飛びオバサン
ルシールのキャラが実に良い〜♪
そして、そんなオバサンから期せずして”自由”の大切さを学ぶ少年
ピージョー(ルーカス・ブラック)が成長してゆくところも見所の一つ。



また最後の法廷シーンが抱腹絶倒!!
このシーンは判事役のロッド・スタイガーの独壇場と言って過言ではない♪
彼はデンゼル・ワシントン主演の「ザ・ハリケーン」でも味のある判事を演じていたが
この「クレイジー・・・」の判事はその上をゆく迷演技でした〜(爆)


(1999年アメリカ映画)




【ノー・マンズ・ランド】


<監督>ダニス・タノヴィッチ
<出演>ブランコ・ジュリッチ, レネ・ビトラヤツ


ボスニア紛争の最中、ボスニア兵の交代要員が濃霧のために道に迷い、
ボスニアと、セルビアの中間地帯(ノー・マンズ・ランド)に足を踏み入れてしまう。
兵士の一人、チキは命からがら塹壕に逃げ込むが、
偵察に来たセルビア兵士と鉢合わせして銃撃戦となる。
そして、敵対する兵士二人が生き残り、にらみ合う結果となるのだが・・・。

***************

監督は重いテーマを時々ジョークを挿入して観客に分りやすく見せてくれている。
こういう題材をハリウッドが映画化したとしたら
きっと、こんなにも中立的な視線では描かなかったと思う。
ストーリー的に面白くしようとすれば、敵(悪)を作りそれを攻撃する。。。
というシンプルなものにすればいいわけですから。
セビリア兵のニノ(レネ・ビトラヤツ)とボスニア兵のチキ(ブランコ・ジュリッチ)、
この二人が一時ではあるがフッと心を通い合わせる、このままお互いを理解すれば・・・
しかし民族間の憎しみは、そんなに単純ではない事を監督は最後に見せてくれる。
また、体の下に地雷を仕掛けられた兵士という設定。
彼らを巡る国連防護軍の無力さは笑うに笑えぬお粗末さであった!
先を争って戦況の最前線を報道しようとするマスコミの狂態ぶり。
彼らの頭の中にあるのは
”報道する使命”を隠れ蓑にした”視聴率争い”しかないのでは !?



ラスト 味方にもUNにもマスコミにも見捨てられ、地雷を身体の下に仕掛けられて
ジッと大地に横たわるボスニア兵士の姿をカメラは写し出す。
。。。。。そして、静かに フェード・アウト
あの兵士を思う時、私は
監督が伝えたかった人間の愚かしさと絶対悪としての”戦争”を痛切に感じる。


(2001年 フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア作品)






【トータル・フィアーズ】

全面核兵器戦争を阻止せよ!
【監督:フィル・アルデン・ロビンソン 出演:ベン・アフレック、モーガン・フリーマン 】

トータル

ロシアの現職大統領が急死した夜、
緊急の呼び出しを受けたCIAのロシア担当情報分析官ジャック・ライアン。
次期大統領であるネメロフについて人格分析を行った経験を持つライアンはCIA長官とともに
彼に接触。互いに友好的な挨拶を交わすのだが、その直後、とある事件をきっかけに
米ソ関係は緊張していき、両国は核の恐怖に怯えてゆく。
************
ネオ・ナチ、中東戦争、核ミサイル、テロ。。。そういう言葉が暗示するように
このストーリーは絵空事ではなくて
”もしかしたら・・・”と思わせてしまう説得力で迫ってくる作品です。
面白い!・・・と言うにはあまりにも重くて怖いストーリー!!
しかし、二時間あまりグングンと引き込まれてゆき
国際政治の舞台裏の駆け引きと、分析を誤った際の怖さをまざまざと見せつける。
テロリスト達によってアメリカとロシアが核戦争に突入しそうになる・・・・
それがあまりにも簡単に運ばれてゆくさまにリアリティがあり実に怖かった!!

ただ残念なのは、放射能汚染についての描き方が実に曖昧な事。
あの状態であれば
大統領もライアンもいづれは白血病となり死んでゆく・・・はずなんですよね。
そういったあたりが曖昧過ぎました。
しかし、モーガン・フリーマンの存在感とベン・アフレックの好青年ぶりが
この作品を支えている事は言うまでもありません。
是非とも見て欲しい作品です。

(2001年アメリカ映画)




【ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア】

天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ!

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
【監督:トーマス・ヤーン 出演:ティル・シュヴァイガー/ヤン・ヨーゼフ・リーファース 】

脳腫痕に冒された青年マーチンと末期骨肉腫のルディ。末期患者の病室で同室となった二人は、
死ぬ前に海を見ようと病院を抜けだし、車を盗んで逃走。
ところが、この車にはギャングの大金が積まれていたことから、犯罪組織や警察が2人の追跡を開始。
一方、大金を見つけたマーチンとルディは豪遊を繰り広げつつ、
危機を乗り越え、目的地である海を目指す・・・。

*************

ドイツ映画はあまり見る機会がなかったのですが。
ドイツ映画がこんなに楽しいものだとは、嬉しい発見でした♪
もうなんて言えばいいかしら・・・とに角、おバカさん達ばかりが出てくるんです。
本当なんです!誰一人としてマトモな思考の人間が出てこないんです!
マーチンとルディを追いかける間抜けなギャング二人組み。
黒のスーツにネクタイ・サングラス・・・まるで「MIB」のあの二人を彷彿とさせるいでたち(笑)
特に若い方のギャング・・・これがもう手の付けようがない位のバカ!
(爆)
とても気になったシーン
二人が大金を手にして泊まる超デラックスな格式高いホテル
が・・・そのホテルの屋根の上に赤々と灯る”コカコーラ”のネオンサイン
こんな事って本当に有りなのぉ〜〜??


真からの悪党がいなくて警察の間抜けなあたり
少しあのフランス映画「TAXI」に似ているかなぁ〜?
テンポが良くて可笑しくて・・・そして、爽やかな男同士の友情物語。
笑って「バカねぇ〜!」って見てると急にホロッときたり・・・・

ラスト、二人が海辺に座って黙って海を見るシーン
そして・・・・

(1997年ドイツ映画)




【アントニアの食卓】

そこには、いつも笑いと涙がある

アントニア
【監督:マルレーン・ゴリス出演:ヴィルケ・ファン・アメローイ/エルス・ドッターマンス】

戦後間もないころ、オランダのとある小さな村に、
アントニアが娘のダニエルを連れて戻ってくる。古い道徳観に凝り固まった村人たちは
新しい価値観を持った彼女と打解けられずにいた。しかし、太陽のような温かさと、
大地のような包容力で村人に接する彼女を徐々に慕うようになる。
そして、アントニアの周りには血縁にとらわれない家族の絆が広がっていく。


一言で言いますと”ゴットファーザー女性版”
日本的に言いますと”肝っ玉かあさん”物語です。
オランダの片田舎を舞台に母娘四代にわたる大らかなストーリー。
主人公のアントニアを筆頭にどの世代も皆未婚の母。
大地さえあれば男などは要らない・・・と言い切ってしまう潔く大らかな女達の姿が眩しい!!
しかし、レイプ・レスビアン・近親相姦・殺人・・・・
と内容的には凄まじいものが取り入れられているのだが
それと同じ様にアントニアを慕う人達が集まっての戸外での食事シーンが扱われおり
食欲と性欲がごった煮状態なのが妙に清々しく感じられたのは何故なのか??

常々私は「優しく賢く強い」女性を理想と考えているのですが
まさしくアントニアはそういう女性でした。

(1995年オランダ=ベルギー=英合作)





【ジュリア】

【監督:フレッド・ジンネマン 出演:ジェーン・フォンダ / バネッサ・レッドグレイブ 】

ジュリア

リリアンとジュリアは少女時代からの無二の親友同志。
大人になったリリアン(ジェーン・フォンダ)は劇作家として成功し、
一方ジュリア(バネッサ・レッドグレイブ)は反ファシスト運動の闘士となる。そんなある日、
リリアンの元にドイツで地下活動をしているジュリアから伝言が届く・・・。

全体的にはとてもよく出来た作品だと思いました。
しかし、欲を言えばもっと彼女達の友情の有り様を描いて欲しかった。
映画ではジュリアに対するリリアンの想いがひたすら一方的に語られ
時々挿入される回想場面によって僅かに彼女達の関係を伺い知るだけ
だから、どうしても物足りなさを感じてしまう。
しかし、ジュリア役のV・レッドグレーブが革命に命をかける女の強さ・賢さ
をベルリン駅頭のカフェでのシーン(キャビアを食べるシーン)で見せてくれる♪
あのシーンで見せた彼女の表情の輝きは眩しい程の美しさであった!
又、くわえ煙草でタイプに向かうリリアン役のジェーン・フォンダ
原稿が書けなくて、癇癪を起こし原稿用紙をタイプを投げ捨てる激しさもかっこ良かった。
もう一人、忘れてならないのはリリアンの夫ダシール・ハメット役の
ジェイソン・ロバーツがこれ又かっこ良いのです〜♪ まさに、理想の夫像です。
余談ですが、嫌味な女の役でメリル・ストリープがチラッと出ていましたよ(笑)

(1977年アメリカ作品)





【キャメロット・ガーデンの少女】

教えてくれ。俺の居場所はどこに?。。。それはわたしの手の中よ。
【監督:ジョン・ダイガン 出演:サム・ロックウェル/ミーシャ・バートン】



どこまでも広がる美しく刈り込まれた緑の芝生。ステータスの高い住宅地キャメロットガーデン
そこへ10歳になるデヴォン(ミーシャ・バートン)の家族が越してきた。
生まれつき心臓が悪く、空想に耽りがちな彼女は、魔女の存在を信じている。
そんな彼女が、キャメロットガーデンの住人達に差別されている
草刈りの仕事をしている22歳の青年トレント(サム・ロックウェル)と知り合う。。。

しかし、デヴォンという少女は実に不可解(笑)
悪ガキには「あんたなんか死ね」と言い放ち、母親の不倫現場に遭遇しても平然としている
かと思うと、森の中には”バビヤガ”と言う魔女がいると信じていたりする。。。。
少女でもなく、かといって女でもない・・・
その中間にいるようなデヴォンをミーシャ・バートンが見事に演じきっていました。
(あまりにも感受性が強いと人はノーマルでいられないのかしら・・・笑)
悪意に満ちた人間が住むキャメロット・ガーデン、その町に馴染めず森の中のトレーラーに
住んでいるトレントにだけ自分の心を開いてゆくデヴォン。
そんなデヴォンを最初は鬱陶しく思いながらも、
段々とデヴォンの中に自分と同じ心の傷を見出し、次第にうちとけてゆくトレント。

最後のシーン(空想と現実の世界が重なり合い起こる奇蹟)には賛否両論あるとか
しかし、私はあのシーンで救われました・・・あれがなければ、この作品はあまりにも後味が悪すぎます。

(1997年イギリス・アメリカ作品)





【僕たちのアナ・バナナ】

“幼なじみ、眠っていた恋が目を覚ます”
【出演:ベン・スティラー、エドワード・ノートン、ジェナ・エルフマン】

アナ・バナナ

ニューヨークに暮らすカトリックの神父ブライアン(エドワード・ノートン)と
ユダヤ教のラビ ジェイク(ベン・スティラー)が、
幼なじみの女性アナ・バナナ(ジェナ・エルフマン)に恋してしまうというラブ・コメディ。
神父は結婚を禁じられ、ラビは異教徒と結婚できない。そんな二人の恋の結末は。。。。


共に聖職者という設定がユニーク。
ユダヤ教のラピのジェイクは早くユダヤ娘と結婚しろとせっつかれ、
神父のブライアンは生涯禁欲を誓った男。宗教が違うとえらい差ですね(笑)
行動的で魅力的なジェイクに比べ、どことなくお人好しの間が抜けた感じのブライアン

私はどちらかと言うと、目から鼻にぬけるような男性は苦手なので
どうしても、ドジで間抜けなブライアンの方を応援してしまう(笑)
「しっかりしなさいよっ!」と何度叫んだか。。。
(^_^;)

二人の心を捕らえて放さないアナ・ライリー
ボーイッシュで行動的・頭脳明晰で魅力的な女の子アナを
ジェナ・エルフマンがとてもキュートに演じていました

彼女どことなく、アン・ルイスに似ていると思うんだけれど・・・ちょっと古かったかしら〜笑
後半、それまでのテンポの良さが減速するのが少し惜しい・・・・
しかし、恋を取るか仕事を取るかで悩む姿を、ユーモラスに描いた映画はとてもキュートでした。
監督はブライアン役のエドワード・ノートンです。
(2000年アメリカ映画)







【ぼくの神さま】

1942年、ナチス占領下のポーランド

ぼくの神さまポーランドの小さな村が舞台。
ナチスのユダヤ人狩りを逃れるため、親と離れひとり田舎の村に送られてきた
ロメック(ハーレイ・ジョエル・オスメント)。
ロメックを預かった農夫グニチオ(オラフ・ルバスゼンコ)には、妻エラと2人の息子
12歳のヴラデック(リチャード・バーネル)とその弟のトロ(リアム・ヘス)がいた。
そして、両親を亡くして目の悪い祖母と暮らすマリア。
子供達の日々がナチスの軍靴に踏みにじられようとした時、もっとも幼いトロが、
誰も予想しなかった驚くべき行動に出た。。。。。

子供達がとても素晴らしかった!
無垢な瞳を持つ子供達それぞれが戦争の為に深く傷付き、
そして罪を犯してしまう・・・
そこにあるのは絶対悪の戦争という怪物!!
神父もそして神までが、この悲しみから救ってくれない。。。。

トロが列車に乗せられる時にロメックとヴラデックに投げかけた視線・・・
あれは果たして許しなのか絶望なのか? 贖罪の為に列車に乗ったんだろうか?
幼い無垢な子供をここまで追い込んでしまった戦争・・・作品は静かに強く反戦を訴えています。
                              
                            (2002年アメリカ映画)