明治の女







丸帯だったものを祖母は半幅帯二本に仕立て直して生涯愛用しました。




今から80年以上前、この帯を締めて祖母(父方)はひと回り年の離れた祖父の元へ嫁いできたのです。
”金襴緞子の帯締めながら〜♪”の帯です(笑)
しかし、見てお分かりのように全然煌びやかでなくむしろ地味な帯なんですよね。(まるで祖母みたい)
祖母という人は生涯 質素倹約を良しとした人でした。

明治生まれの女性にとっては珍しくないかもしれませんが、
祖母はこの帯を締めた婚礼の日にしか口紅をつけたことがないという人なのです。まさに一生に一度きりです(笑)
祖父という人がなかなかの曲者でして、飲む・買う・打つ・・・・・
の打つがないだけの頑固で偏屈な明治の男だったものですから、祖母の女としての一生はもしかしたら不幸だったのかもしれません。
しかし、祖母が病に倒れてからの祖父はまるで人が変わったように祖母を大切にしましたから。。。祖母に後悔はなかったと思います。

二人の今となっては楽しいエピソードを一つ。
祖父が珍しく祖母に日傘を買って来たことがあったんだそうです。ある日の事、その日傘をさして出掛けた祖母の前に全く同じの日傘をさした女性(道後の綺麗どころさん)に出くわしたんだそうです。向こうもビックリ、こちらもドキッ!
それ以後、
二度と祖母はその日傘を手にしなかったそうです(爆)

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