嵯峨沢温泉「嵯峨沢館」

中伊豆の嵯峨沢温泉「嵯峨沢館」に行ってきました。私が伊豆に行くなら必ずここと決めていた宿の一つです。時期が一致したこともあり、河津桜を観るのも楽しみの一つでした。

パンフレットを見ると竹藪の中の一件宿という感じなのですが、実際には国道から近いこともあり、そんなに奥まった印象はありません。2:30のチェックイン時間数分前に着いたのですが、すぐに案内されました。電話で住所等はもちろん伝えてあったのですが、宿帳を書かなかったのはここが初めてです。部屋に向かう途中箱庭などもありました。案内の女性が荷物を持ってくれ、館内の案内を受けながら部屋に入りました。「お茶をお持ちします」と一旦下がった後、違う女性が昆布茶と煎茶のセットを持ってきて、たくさんあるお風呂の案内と浴衣のサイズ確認をしてくれました。ここの浴衣は5cmきざみです。もちろんお休み用は別に準備されていました。お付き菓子は嵯峨沢館オリジナル温泉饅頭などでした。早速貸し切り露天風呂の予約を済ませ(フロント近くにある用紙に部屋名を記入します。ちなみに私たちが泊まったのは「豊饒」で、字を見ながらではないと書けませんでした、苦笑)、近くにある「梅月」の温泉饅頭を買いに外出しました。玄関ではすぐに靴が出てきました。余談ですがこの辺の温泉饅頭は鶯餡らしく、田舎饅頭が粒餡、季節がらこし餡さくら饅頭もありました。

帰ってくると3時からのおやつの時間です。コーヒーやお汁粉など無料です。渇きをいやして、予約してあった貸し切り露天風呂「花酔の湯」へ。この宿は狩野川に沿って建ち、縦長なのが特徴なのですが、私たちの泊まった部屋からは両端に位置するお風呂にはそれなりに距離があります。貸し切り露天風呂と到着時女性用の大浴場はロビーから向って右にあります。予約は時間の明示されたフロント脇の用紙に部屋名を記入するだけの簡単なものですが、時間に行ってもちゃんと空いていました。札を入浴中にして入ります。石造りの清潔な露天風呂で、石が大きい分多少閉塞感があります。35分ずつなので、時間が気になるところですが、ちゃんとお風呂から見えるところに時計がありました。ここの入り口は休憩所になっていて、麦茶と冷水器があります。その後、すぐ近くにある大浴場「夢告の湯」と併設の露天風呂「寝覚の湯」へ。ここの脱衣所には浴衣ロッカーがあり、ハンガーに浴衣を掛けておくことができます。もちろん普通の脱衣かごと棚もあるのですが、興味があったので使ってみました。湯小屋調の脱衣所は茅葺屋根でした(ここから見て気がついたのですが、「花酔の湯」も茅葺屋根でした)。「夢告の湯」は木枠の石造り、石臼のような湯口から湯が注がれています。二方向がガラス張りで、開放感のある内湯です。洗い場も仕切られ、数は多くないのですが、宿泊者のみの利用、お風呂の数を考えると問題はないと思いました。脱衣所から「夢告の湯」までの通路、「夢告の湯」からの「寝覚の湯」へのアプローチは自動ドアでした。川をイメージする石造りの露天風呂は、上流から下流に流れるように掛け流されています。そこから幹線道路は近いのですが、植えられた竹と、清水を生かした同じく川をイメージした露天風呂のための庭で、ゆったりと入っていることができます。洗い場や、仕切られたのシャワー室も数箇所あり、冬場でなければ内湯の混雑も防げると思います。なお、湯は芒硝泉ですが、さめるのが早い湯だなと思いました。

そういえば、夕飯の案内がなかったと部屋に帰ってみるとお茶セットが交換されていました。もちろん、冷水ポットも部屋に準備されています。しばらくすると、担当のまたまた違う女性が来て夕食と翌日の朝食の案内をしてくれました。その後気が付いたのですが、テーブルに客の身長、夕食朝食の希望時間、チェックアウト時の精算方法など希望を書く紙がありました。ただ書かなくても、きちんと希望を聞いてくれます。

書き遅れましたが、部屋は全て狩野川に面しています。川を挟んで建つ家が気になる人もいるかも知れませんが、距離からいってまず覗かれているという意識は捨ててもいいと思います。私たちの泊まったのは一番ランクの低い部屋ですが、10畳の客室に4畳ほどの広縁があり広くとられた窓は開放感があります。バストイレ付きで部屋のアメニティも充実しています。(もちろん各浴場にも男女化粧品がそろえてありました)。シャワートイレでしたが、トイレの戸がやや古く感じられました。改装の時の重点項目にすべきだと思います。入り口から部屋までのスペースもそれなりに広く廊下の音などは気になりません。

食事は部屋出しで、6時半からを希望しましたが、15分くらいから準備を始め開始が30分だったのにはびっくりました。(ちなみにこの食事の時から清算まで担当の方は同じでした)。太夫さんの法則によるとテーブルクロスをかけるここの料理は期待できます(笑)。最初の先付けと酢の物以外は一品ずつ運んできます。タイミングは私的にはOKでした。私には十分な量でしたが、太夫さん的にはもう2品くらいあった方が満足できるのでは?というボリュームだったのではないでしょうか。朝食も並べただけの物ではなく、玉子焼きなどは焼きたてを後から持って来るなどの心配りがあったように思います。

話はお風呂に戻ります。お風呂は男女が夜11時の交替で露天風呂は交替制のところは23時まで、貸し切りも1時までです。内湯は24時間入れます。夕食の後この時間に女性が入れるもう一つの内湯「せせらぎの湯」に行ってみました。前に書いたお風呂とは逆のロビーから向って左に位置しています。余談ですが、ここは金庫が部屋についているのですが、各浴場にも鍵付のロッカーがあります。金庫の鍵の隠し場所(私だけ?)や部屋の鍵が気になる場合にはこれは面倒くさくても利用しやすいシステムではないでしょうか。付け加えますが、部屋の鍵は2つあるので、個人行動OKです。せせらぎの湯は木枠の浴槽で、もちろん狩野川を窓越しに望めます。ちょっとした旅館なら十分な大浴場でしょう。このせせらぎの湯の周囲にはこの時期は入れませんが温泉プールもあり、また今回は入りませんでしたが四季の湯という4つの貸し切り風呂があります。貸し切り風呂はのぞいてみたところ大きくはありませんが、カップルや家族連れには24時間空いていればいつでも入れるので喜ばれると思います。またこちら側用に休憩所があり、冷水器と麦茶も準備され文句のないところです。

23時を回って、寝てしまった友人を放って男女交替した内湯に行きました。「せせらぎの湯」の隣にある「渓流の湯」は、この宿の紹介には必ず登場する代表的な大浴場です。川側は全面ガラス張りで、川に並行するような縦長の石造りの浴槽です。積み上げられた石と、二股の原木を掘った溝から湯が流れています。なお、ここには翌朝も入りましたが、やはり明るい方が眺めもよく好印象でした。夜のうちに、もう一つ「蔵の湯」にも行ってみました。ロビーからはここが一番近く川側ではないのですが、蔵を意識した入り口と楕円形の浴槽は雰囲気があり、脱衣所、浴室双方から見えるように作られた中庭もあるなど楽しめました。

翌朝はロビーでコーヒーなどの無料サービスがあります。その前に女性は朝しか入ることのできない大露天風呂「川の湯」に行きました。多分昔は混浴だったのでしょう、脱衣所も2ヶ所、浴槽も石で2つに仕切られていました。広さのある石造りの露天風呂ですが、浸かってしまうと川面は望めないのが残念です。

チェックアウトは11時半です。清算はあらかじめ部屋とフロントを選ぶことができ、朝食を下げる時に確認されました。聞かれた時は「部屋で」、なんて時間的余裕をみせていたのですが、それからにわかにバスの時間を決めて早めに(といっても10時ですが)出発することになり、電話で会計を急いでもらえるよう電話したところ、すぐに対応してくれました。玄関を出る時は同じ方ではありませんでしたが丁寧に見送りをしてくれました。
ということで、太夫さんには私の報告の賛否を伺いたく、一度行っていただきたいと思っています(爆)

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