鋳金って何?

鋳金(ちゅうきん)=鋳造(ちゅうぞう)・鋳物(いもの)

金工技術の一つで金属を溶解し、これを鋳型に流し込み、冷却してから鋳型から取り出し、表面を仕上げる技術です。
 鋳造品を大別すると二つに分類できます。まず一つはエンジンなど工業機械。もう一つは銅像や梵鐘、花器、置物、ジュエリーなどの美術品や工芸品です。 鋳金の特徴として、一つの原形または鋳型があれば何個でも同じ物ができるということがあります。ですから工業製品に向いているわけです。美術鋳物にしても、たとえば銅像などは彫刻家が粘土で製作した物を石膏取りをし、それを原形とすれば同じ作品が幾つもできるわけです。 しかしながら原形が一個かぎりで消失してしまう技法もあります。 たとえば私は発泡スチロールなどの発泡素材を原形とするフルモールド法や、蝋を使ったロストワックス法で製作していますので、同じ作品は二つとないのです。

それでは私が学生のとき手伝いに行っていた鋳造所で、北村西望さんの彫刻を鋳造した過程を順を追って解説いたします。


これは天女の像です。
原形は石膏像ですが破損を防ぐために着色してあります。
これは真土型(まねがた)鋳造法と言い、土で型を作る日本古来の鋳造法です。 石膏原形を土の上に置き、抜け勾配になるように土で外型になる部分を作っていきます。


これは中子(なかご)と言います。
上の写真からここまで来るのにかなりの行程がありますが、割愛させていただきました。鋳造と言うのは外型だけで行うと簡単そうですが、そのまま溶かした金属を流すと無垢になってしまいますし、厚さが違うとちぎれてしまいますので、金属が均一に3ミリから5ミリぐらいになるように外型から金属の厚みだけ小さい型を作ります。これを中子と言います。


半分の外型です。
筋金が入り、しっかり乾燥しています。 溶けた金属が流れていく湯道(ゆみち)も掘られています。湯流れが良いように炭を塗っています。


中子を半分の外型に戻した状態です。
 中子と外型の間に隙間があいているのがお分かりでしょうか。この隙間が金属になるのです。


鋳型が出来上がりました。
いよいよ鋳型を焼成するための窯を作ります。


窯で鋳型を焼成しています。
ここではガスバーナーを使用していますが、昔ながらに薪を使っているところもあります。型を素焼き状態にするのは強度を持たせたり、水分による爆発をおさえたり、湯流れを良くするためです。


ちょうど良い焼け具合になることを「色が入る」と言います。 そうしたら火口をとめてしばらく蒸らします。それから窯を崩し、穴を掘っておいた所に鋳型を埋めます。こうすることにより金属による膨張を防げると共に金属を流し易い角度、高さに調節することが出来ます。


いよいよ流し込みです。一番緊張する瞬間です。この流し込む行程を「吹き」と言います。その後冷めたら型を崩し、中から鋳物を取り出します。
画像等を無断で転用する事を禁じます