『…世の中、真っ暗闇じゃござんせんか』と世相を嘆いた歌が昔ありましたが…まさに真っ暗闇で活躍したのが提灯です。
大昔、まだ町中が暗かった時代、人々は魔物が横行すると恐れて夜間の外出を極力避けたものです。しかし、やむを得ない
時には、そう、まさにこの提灯が暗闇で進む道を照らしてくれたのです。
江戸時代以降は実用品として重宝されましたから、当然「雨にも負けず、風にも負けず」実に丈夫に作られています。
その為には、曲げわっぱやシブを塗った和紙が不可欠だったのです。
神社仏閣、祭事のお印や、涼を楽しんだり、果ては赤ちょうちんまで―日本らしき風景に提灯は欠かせません。
吊提灯、弓張提灯など形も大きさも様々なものがあり、今では家紋、名前を入れて贈り物にする方も多いようです。
竹ひご、和紙、蝋燭が作り出す明かりの空間は目にやさしくとても優雅です。
あなたもお部屋の中に一張り置いてみては如何ですか?
ここでご紹介するのは弓張(ゆみはり)提灯です。
竹(真竹)、和紙、経木(薄いヒノキの板)及び若干の金具(上記提示)
材料揃え→型づくり→組み立て→紙張り→文字書き→シブ塗り→金具つけ
作品の構想 今回は、個人の依頼で家紋、名前入りの弓張提灯を作ります
材料をそろえます
1.骨−タケヒゴ(真竹)をつくる。伝統的技術としてはタケヒゴを使用する。代わりに針金を用いることもある。
その場合は和紙を細かく切ってコヨリ風に針金に巻く。糊付けを良くするためである。
2.張紙−あらかじめ用意した型紙に合わせて和紙を切っておく。普通、提灯1個について3枚または4枚。
3.上下輪−経木(木を薄くそいだ板)を曲げて輪にする。これを提灯の上と下に付け、漆を塗る。
また、漆塗りの底板(円形)の中心にろうそく立ての金具を取り付ける。注文があれば家紋を入れる。
型を作ります
所定の大きさに骨組みをする。骨組みは普通6本または8本の糸でかがる。
輪作り−骨一本ずつで輪を作る。
螺旋作り−一本の長い骨を螺旋状に作る。
輪づくり 螺旋づくり
組み立てます 骨組みしたものに、上下の輪を取り付ける。
紙を張ります 前もって切っておいた和紙を骨を広げた状態で張っていく。提灯1個に普通、和紙を3枚または4枚張る。
和紙 は糸目に合わせて貼る。和紙の端の張り目を美しくするのがコツである。
文字を書きます 文字は殆ど江戸文字である。筆太で、隙間の無いように書く。
文字の書き方は、輪郭を最初に書きその中を塗る方法と、直接塗りながら文字を作っていく方法とがある。
また、文字のかすれを強調する書き方もある。
イキに書かなければいけない。
やはり描く時は実に日本的な雰囲気だ
木製のコンパス様器具を使い家紋(曲線)を描く
輪郭を描き終わると、数種類の筆を使い丁寧に少しづつ太くしていく
文字もまず輪郭を書く 江戸文字に作っていく 遠目に映える文字が出来上がっていく
シブを塗ります エゴマアブラを用いて和紙に塗っていく。防水の為である。
金具をつけます 枠や金具を組み立てる。また、必要に応じて持ち棒そのほかをつけることもある。
MY提灯が出来上がりました。 光が入ると幻想的な感じになります。
お部屋の中でちょっと贅沢な気分が味わえそうです。
勿論、玄関に掛けても粋じゃありませんか?
神社仏閣に奉納する大きな物から中型、小型の様々なタイプの提灯を手掛けています
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