提灯(ちょうちん)泪橋大嶋屋提灯店

 

村田修一さん(昭和30年生)
は、『泪橋(なみだばし)大嶋屋提灯店』(大正2年祖父村田芳造さんが創業)の三代目だ。昭和48年東京都立工芸高校デザイン科を卒業すると、荒川区登録無形文化財保持者の父欣一さんについて本格的に修業を始めた。欣一さんから
江戸文字
を学び、その一方で18歳の頃から現代書道院で仮名文字を、また28歳ころからは勘亭流を学び家業に生かしている。昭和62年、32歳の若さで家業を継ぎ、奥様である里美さんの強力なサポートを得て、精力的に仕事をこなしている。仕事の範囲は広く、戦後間もなくから歌舞伎で使われる小道具の提灯の殆ど全ての種類を手掛け、更にその文字、紋、印を描く技術を番傘、蛇の目傘、道中傘にも応用し、天水桶の文字も描くなど等、歌舞伎に使われる様々なものに村田さんは心を込めて筆を入れていく。また、台東区竜泉の凧絵師故今井鉄蔵氏に師事し地口絵と凧絵、絵馬の絵付けなどの修行も積み、江戸時代以来のアイデアや駄洒落を伝える 地口絵(じぐちえ)の名手でもある。現在東京には地口絵を描く職人さんは4人だけである。
後継者不足が言われて久しい伝統技術の現場であるが、泪橋大嶋屋提灯店では、既に頼もしい四代目の堅一郎さんが修業を始めているとのこと。



平成18年度
東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞

平成19年度
荒川区登録無形文化財保持者に認定

平成19年1月
伝統的家紋見本集編纂(編集・発行:東京中部提灯業組合、提研会)
 これは、提灯業界に於いて、江戸文字の定義や家紋の描き方を統一するべく編纂されました

平成22年
『江戸手描提灯』(日経映像社製DVD)が(財)日本視聴覚教育協会主催
「平成22年優秀映像教材選奨」DVDの部―動画部門―で優秀作品賞を受賞
 このDVDでは、村田さんの熟練の技、「文字のあたり」「素描き」「塗り込み」
 「紋入れ」などが紹介されています 


                           


仕事場を拝見

   ここで、村田さんの描く地口絵についてご紹介します    


地口とは、諺や格言などを、発音の似た音によって駄洒落のように言い換える一種の言葉あそびです。

(例)
ほうずきのこうべにかにやどる→正直の頭に神宿る
しそのうまさも七十五日→人の噂も七十五日

江戸時代には庶民の間で大いに流行したようです。稲荷神社では初午の縁日に、古くからある地口絵とそれに合わせた地口が行灯に描かれ飾られます。
村田さんは、台東区の江戸凧絵師、故今井鉄蔵氏の弟子として研鑽を積まれました。忠実に地口絵の原画を描く優れた職人さんです。
昨今では、古くからの駄洒落が伝わり難くなってきた為、村田さんは新しい地口文句なども考案しています。
これら新しいものを含めると、村田さんの地口は280種以上に及ぶとのことです。



村田さんの地口行灯をご覧になりたい方は

千束稲荷神社(台東区竜泉)二月の初午祭にお出かけください。 (この神社の初午祭は二月の二の午の日に行われます)  地図



2012年様子はこちらからどうぞ
                    千束稲荷初午祭



奥様の里美さん






塗り込み(提灯の文字の中や地に色を塗る)や
仕立て(枠などをつける)の仕事を補佐する奥様の里美さん




Home

Copyrightc2010 Shokunin-world, All Rights Reserved