平成9年度の活動

 校区内にある2つの川の水質調査をしました。鈴川と二又川で,きれいかなと思っていた鈴川が意外と汚れていたのにびっくりしました。(原因は近くにあるゴミ処理場の影響かもしれないと生徒は考えていました。)

 10月から全国の小中学校26校と酸性雨の共同調査を行っています。
身近な水溶液のPH測定(ちなみにPH5.6以下を酸性雨といいます。)を行い,雨の収集・PH測定を行っています。現在PH4.5前後の雨が屋久島でも降り続いています。このままでは世界遺産の屋久島の森も危ないのではないかと思っています。
今後も調査を続けながら,簡単な酸性雨に関する実験をしていきたいと思っています。先日は町役場が所有している電気自動車にも乗せてもらいました。

音もなく静かなエンジンにびっくり・・・

酸性雨調査の学習活動紹介 平成9年度研究実践記録より
(1) STEP1 出会い  情報発信開始・・・インターネットで本校学校紹介メール発信する。
 学校紹介
  私たちの岳南中はたくさんの山の麓に立ち、校舎から海の見える自然に囲まれた学校です。世界自然遺産にも登録された屋久島(鹿児島)の中でも一番南にある私たちの学校。校区は東西25kmに広がり、屋久島の周囲105kmの4分の1を占めています。
 校区内にある産業の中心は農業で、ポンカン・タンカン・馬鈴薯・エンドウ等の農作物は島外に多く出荷されています。雨がたくさん降り、水にも恵まれています。(月に35日雨が降るといわれています・・・) 
  そんな環境にある私たちの学校に今年からエコクラブが設立されました。毎週土曜日に1時間1年生から3年生までの29名で活動しています。今までは川の水質調査や地球温暖化防止を訴え るメッセージキルト作成、ビデオ鑑賞、紙を再利用したメモ帳作りなどをしました。
 今回、酸性雨調 査の学校に決定して生徒と先生ではりきっています。皆さんよろしくお願いします。
 
交流開始 ・・・本校メールを見て,広島市立中広中学校より岳南中への質問メールが届く。  (意見や質問)
 鹿児島県の屋久島というと、杉の木が有名ですが、その杉の木はどういう様子ですか。
 また、一番長く生き延びている木は、どれくらいたっていますか。
 学校は、どれくらいの広さですか。また、校庭の広さは、どれくらいですか。
 
質問への返事発信 ・・・中広中の質問への返信メールを出す。

 遅くなりましたが質問にお答えします。
・屋久島で有名な杉の木は縄文杉,大王杉,三代杉,万 代杉,ウィルソン株,紀元杉があります。
・一番長く生き延びている木は,縄文杉で樹齢7200年もあるといわれています。
・校舎の面積 2433平方m 校庭20535平方m  合計22968平方mです。
                    

2)STEP2 出会い(様々な水溶液の酸性度の調査をし,報告する) 

11/1にみんなで持ち寄った水溶液を調べました。 
結果 
レモン汁 ミカン汁 ポカリスエット リンゴジュース 醤油 化粧水 宮之浦岳入口川水
2.5
2.8
3.4
3.8
4.1
5.4
5.8
6.3
 
屋久町川水 食器用洗剤 花のえごの水 緑茶
6.9
7.0
7.2
7.4
   
 (生徒感想)自分では思ってもいないところで,酸性の溶液が使われていて,びっくりした。みんなで集めた溶液のほとんどが酸性で,なぜアルカリ性が少ないのかなと思った。

(3) STEP3 雨のpHを調べ,データベースに登録,全国のデータの受け取り 

  雨のpHを調べた生徒の感想
雨のpHを調べた生徒の感想
屋久島には酸性雨は降っていないと思っていたがいがいにも降っていた。酸性雨によって森林が失われつつあります。森林の多い屋久島は何十年後かには世界遺産から世界悲惨になると思います。だからそうならないためにも酸性雨がなくなるように努力したいです。 

屋久島でも酸性雨が降っているけれど,島内の車だけではあまり関係なさそうだから,外国の排気ガスや煙がきているんだなぁと実感しました。これは世界的な問題だからみんなで取り組まななければならない問題だと思いました。


(4) STEP4 自由研究と発表         

酸性雨の原因の1つと考えられる自動車の排気ガスを水に溶かし,その酸性度を比較する実験や,酸性雨を防ぐための低公害車(電気自動車:町所有)への試乗体験学習,校庭の土の酸性度調査などを行い感想などを発信した。 さらに,これまでの活動のまとめとして壁新聞を作り,「’98こどもエコクラブ全国フェスティバルにおける壁新聞セッション」へ応募した。

                

 ●子どもたちの変化・感想  

  • 活動前のアンケートと同じ内容で最近アンケートをとった結果,生徒の意識面・行動面に変化が出てきた。
  • 生徒が環境問題を自分のこととして考え出した。(以下の生徒感想参照) (エコクラブの活動を通してあなたの環境に対する考えはどのように変わりましたか。)
  • 生まれてから,ずっと屋久島に住んでいたので,屋久島の自然がどんなにすごいかわからなかった。今はまだあんまり偉大さがわからないけど,大切にしなくてはいけないなという気持ちになっています。どうやったら酸性雨を減らせるのか。どうやったら自然破壊をせずに屋久島を活気のある島にすることがで きるのか,考えることが必要だと思います
  • エコクラブに入る前までは環境についてはあまり興味はなかったけど,エコクラブに入って環境についてよくわかってきた。これからも環境について調べていきたいです。
  • 何気なく使っている物,していることで環境によくないことがたくさんあることがよくわかった。1つの問題から,たくさんの大きな問題になっていくので,小さなことにも気を配らないといけないなということを感じました。

●教師の対応・活動
  • 調査では地域を生かし,情報交換では学校を越えた共同活動ができたのがよかった。
  • 自分自身,環境調査やコンピュータネットワーク活用(インターネット活用)のおもしろさを感じ取ることができ,新設される「総合的な学習の時間」のモデルの1つとして活用できるめどがついた。
  • 酸性雨に関するエコクラブ通信をクラブ員,職員にも配布したことが,環境問題に対する意識向上に役立ち,職員室での茶飲み話の中で環境問題に関する話題が増えてきた。


●おわりに

 平成9年4月にエコクラブが発足した時は,具体的にどのような活動を行うか暗中模索状態だった。そんな中で環境庁が主催するこどもエコクラブに加入し,「できることからはじめよう」をスローガンに,学校近辺の川の水質踏査,古紙でのリサイクルメモ帳作り,使用済みテレホンカード集め(木の苗に変える)などの様々な活動をしてきた。酸性雨遠隔共同学習は,自分がインターネットでネットサーフィンしていて見つけて申し込み,現在自宅から情報発信して行った。