宇宙飛行士・毛利さんと音声交信(岳南中学校生徒)


   2月16日午後6時頃から、スペースシャトルの毛利宇宙飛行士と、鹿児島県熊毛郡の屋久町立岳南中学校(岳南中学校のある屋久島は、1993年に世界遺産に登録され、屋久杉で有名です。今年5月に世界自然遺産会議も屋久島で行われます。)と鹿児島県鹿児島郡の三島村大里小・中学校の生徒達と音声による交信が実施されました。

 当日、校長先生から質問者6名の発表後、全校生徒を対象に宇宙開発事業団の方の宇宙授業も行われ、その後、毛利さんとの音声イベントが実施されました。テレビ局・新聞社が何社も取材に訪れ、テレビ生放送があるなど、岳南中はじまって以来の一大イベントでした。

交信の様子(岳南中生徒分)

生徒
毛利さん、屋久島は世界遺産に登録されましたが、宇宙から見てもほかの地域と比べて美しいですか?

毛利
屋久島はかすんであまりよく見えませんでした。昼間その上空を通っていないので、朝鮮半島の方を通った時に、九州、種子島、屋久島が遙かに見えました。ですから、特別美しいかということはわかりませんけれども、これからも見る機会があるので、確かめてみたいと思っています。

生徒
毛利さん、1回目に行った時に比べて、地球全体がどのように変化しているか、何か違いが分かりますか?

毛利
そうですね。環境問題に関しては、汚れが増えたとか、そういうものは8年前と比べてよく分かりません。そんなに(汚れが)増えてないような気もします。しかし、季節が違いますから、たとえば空気のきれいさとかはやはり違いますね。前はシベリアにたくさん緑が見えたのですが、今回は真っ白です。印象的だったのはヒマラヤからモンゴルにかけての砂漠地帯です。とても綺麗に見えました。

生徒
毛利さん、地球を宇宙から見て、緑が減ってきているのが分かりますか?

毛利
8年前と比べては(緑が減ってきているのは)分かりませんけれども、今まで、アポロの時代から含めて30年以上も宇宙から人間は地球を見ています。写真もとっています。特にスペースシャトルの時代になってからは写真を沢山とってますから、それ(らの写真)を比べますと、たとえば南アメリカのアマゾン、熱帯雨林が(緑が減ってきているところとして)あります。あのあたりは明らかに焼き畑農業といいますか、森林を切り倒してですね、宇宙から見ると木のないところは太陽の光が反射しますから、白っぽく見えるんですね。その白っぽいところが随分増えています。それから、なかなかアジアの方は雲が多くて見えないのですが、インドネシア、ジャカルタあたりはかなり茶褐色のところが多くなっています。

(大里小・中学校生が2つ質問;詳しくはNASDAホームページ参照)

生徒
毛利さん、オーロラは見えましたか?どんな感じに見えるのですか?

毛利
はい。夜にはオーロラが何度か見えました。特にカナダの上空ですね。そこを通った時にオーロラがゆっくり近づいてきます。でも、前回は太陽活動がもっと盛んだったので、今回よりもっと高くオーロラが見えたような気がします。今回は少しボワーっとかすんでましたけれども、緑色、白のオーロラが見えました。とてもそれは幻想的です。

生徒
毛利さん、2回目ということで、1回目とは気持ち的にどのような違いがありますか?

毛利
はい、もうすでに自分の体がどうなるか分かっていますから、今回はすぐ宇宙に慣れました。そして、前の時にはちょっと宇宙酔いになったのですが、今回は全く宇宙酔いにはならずに、全く気持ちよく、最初の日からたくさん物が食べられました。そのあたりが違いますね。また、今回は地球をたくさん見る仕事がありますから、前回よりも余裕をもっていろんなことを考えながら地球を見られるような状態です。

イベント終了後、交信をした6名が毛利さんへ出したメールです

   毛利さんへ     1年  巻木 麻衣子(まきぎ まいこ)  

   こんにちは、毛利さん。私は岳南中の巻木麻衣子です。 最初、毛利さんと話ができると、聞いたとき、とてもビックリしました。宇宙にいる人と話ができるなんて、私にとってすごく不思議なことだったのです。そして、毛利さんと話をしてみて、まず思った事は、宇宙に行ってみたくなりました。そして、興味のあるオーロラについて、調べてみたくなりました。毛利さんは、屋久島があまり見えなかったと、おっしゃっていましたが実際、屋久島にいらして身近に自然を、感じてください。最後に、まだ疑問に思った事があります。宇宙は、どこまでつづいているのか?とても、わかりそうにない疑問ですが、この先こんな不思議な事が、分かる日が、くるのでしょうか?そんな事を思いつつ、いつか私たちが宇宙に、いける日を楽しみにしています。

   毛利さんへ     1年  久保 里寿夢(くぼ りずむ)

 私は、オーロラのことを質問した岳南中学校一年の久保里寿夢といいます。 私たちの学校は毛利さんが宇宙にとびたたれる前から、カウントダウンをしていました。それほど毛利さんが宇宙に行かれるのを楽しみにしていました。そして、一度目の打ち上げが延期になったとき、みんな、とてもがっかりしていました。音声イベントをする当日、毛利さんと交信する一人にきまったとき、私でいいのかな?うまくいくかな?と、とても緊張しました。しかし、その緊張も毛利さんの声を聞いたらどこかに吹っ飛んでいってしまいました。音声イベントを通して毛利さんにいろいろなことが、学べたとおもいました。本当にありがとうございました。ぜひ自然遺産の島、屋久島にいらしてください。  

   毛利さんへ    2年 真津 達巳(まなつ たつみ)  

 各学年2人、合計6人による毛利さんへの質問は、とても夢のように感じました。質問する6人の中に選ばれた時は、本当にうれしいと思う反面、少し不安になってきました。なにせ『やってみないか?』と言われたのが前日だったのでしっかり緊張せずに言えるかどうか心配だったからです。自分はとても緊張しやすいたちなので、人前にでるといつものどが詰まったり、次の言葉が出てこなかったりします。 本番では、ミスなしの一発勝負なので緊張しないようがんばりました。自分は5番目に質問をする予定だったので、『もしかしたら発表できないかもしれない』と言われた時はとてもショックでした。でも、無事質問ができたので良かったです。7分間という限られた時間の中で、もしかしたら質問出来なかったかもしれません。しかし、こうやって無事時間以内に質問でき、交信がうまくいった事に感謝したいです。 (自分の質問は『2回目という事ですが、1回目とは気持ち的にどう違いますか?』 というものです。)2月16日に宇宙と屋久島を結んで会話し、とても貴重な体験をすることができました。この事は生涯忘れられない出来事となるでしょう。これからいろいろ大変だと思いますが、がんばってください。あと、お暇な時でもいいですので自然あふれるこの屋久島へ必ず、絶対いらして下さい。お待ちしております。

                                              少し肌寒い屋久島から 平成12年2月23日

     『宇宙の毛利さんと会話して』   2年 内山右士(うちやま ゆうし)

   2月15日の夜、学校から帰ってきて夕飯を食べているとき電話で、技術科担当の脇田先生から「右士、明日の『毛利さんとの音声イベント』右士と真津くんに仮決定したからな。」と、言われたときは、60%の喜びと、40%の不安で頭がパニック状態になりました。僕は、どう言おうか、風呂に入っているときも、寝るときも必死で考えました。しかし、考えている内に寝てしまいました。翌日、学校につくと学校全体が『毛利さんとの音声イベント』のことで緊張と興奮に包まれていました。僕は、「あぁ、どうしよう〜」とかなりの危機感に襲われていました。(音声イベント)「5分前です。」という言葉を聞いた瞬間、冷や汗がどわっとでました。 毛利さんと会話して、一番宇宙との距離を感じたのは、会話の時、少しだけど間があいたことです。かなり緊張したけど、とてもわくわくした7分間でした。そして、僕の将来、就きたい仕事、ベスト10に『宇宙飛行士』がエントリーされました。今度ぜひぜひ屋久島にいらして下さい。僕のおすすめは、屋久島の夏です。冬は山に登ればきれいな 雪が降っていますが、夏は、青い空・海・白い砂浜(一湊海水浴場など)、美しい熱帯魚、そして、美味しい魚(飛び魚など)・酒(三岳など)&おいしい串焼き。ちなみに僕の家は、串焼き屋なので屋久島にいらっしゃることがあったら「串焼『カントリー』」に来て下さい。おまちしてまーーーーす。 

    毛利さんへ           3年   山崎亜希子(やまさき あきこ)

   先日は、宇宙にいる毛利さんと交信できて、とてもうれしかったです。 質問者に選ばれたときは、まさか私が毛利さんと交信できるなんてと、すごく喜びました。交信の時間が近づくにつれ、周りは緊迫した空気に包まれ、私もとても緊張しましたが、イヤホンから毛利さんの声が聞こえたときは本当に感激しました。私たちの声も宇宙に届いているんだと、なんだか不思議な気持ちになりました。毛利さんと交信できて感激したり不思議な気持ちになったり、とてもいい経験をすることができました。学校の授業だと長く感じてしまう7分間が、毛利さんと交信しているときはすごく短く感じました。もっとたくさん話がしたかったです。毛利さんのお話によると、地球から緑が減っているのは事実のようですね。私も、私たちにできる何か小さなことからでも始められたらいいなと思います。私たちが、宇宙にいけるのはいつ頃なのでしょうか。私も毛利さんのように宇宙に行って、自分の目で実際に宇宙から地球を見れたらいいのになーと思います。毛利さん貴重な体験をさせていただいてありがとうございました。是非屋久島にも遊びに来て下さい。

     毛利さんへ       3年 岩川祐子(いわかわ ゆうこ)

  先日の、毛利さんとの交信は、私にとって、そして岳南中の生徒にとって、とても貴重な体験になりました。私にとって宇宙は、とても怖いイメージだったけれど、毛利さんと交信して宇宙へのイメージががらっと変わり、私も一度宇宙に行ってみたくなりました。この交信を通して宇宙へのあこがれやちょっとした疑問などが私の頭の中を横切るようになりました。私は、『地球の緑は減ってきていますか。』という質問をしました。その私の質問に対しての毛利さんからの答えは、ちょっとショックな内容でした。『地球の緑がどんどん減ってきている』という内容だったからです。環境を守るために、私たちにできるほんの小さなことからでも始めていけば、最後には青いきれいな海と緑の豊かな自然が戻ってくると思います。私たち人類にとって、大切な自然を自分たちの努力で守っていきたいと思います。毛利さん、このような体験をさせていただき、どうもありがとうございました。  

イベント終了後の鹿児島の地方新聞(南日本新聞)のひろばへの投書

  これを読むと今回のイベントが学校の中だけのものでなく、広く県内・国内に何かを訴えることのできたイベントだったことが改めてわかったような気がします。本校でも、イベントを今後の環境教育や情報教育などにつなげていきたいと思います。

   故郷の自然を考える好機に 鹿児島市 会社員 Aさん(38)

 「エンデバー」が無事帰還した。夢と希望を与えてくれた毛利さんの笑顔は、とびっきりすてきだった。私は、特に子供たちの「宇宙との交信」が楽しかった。交信したのは、全国で鹿児島県の離島2校だけ、しかもわが故郷屋久島も選ばれた。 眼下に海が広がり、そびえ立つ峰々、澄んだ空気、移りゆく空ー自然のパノラマが凝縮した屋久島に誇りを持っていた私は、とびあがって喜んだ。なぜなら、屋久島では「自然あって当たり前」で、自然に感動することが少ないように感じていた。大人はもちろん、子供もあまりにも身近で、気づかないのかもしれない。 だから、この7分間の「宇宙との交信」は、自然環境、地域ではなく、地球全体の問題として見つめ直すいい機会だったと思う。オゾンホール、森林伐採による砂漠化、温暖化による異常気象・・・。子供たちが、自分たちでできることを話し合い、実行し、自分たちの手でこの地球を守っていく決意を持つことを心から希望してやまない。

※関連Webサイト

NASDA(STS-99関連)
http://jem.tksc.nasda.go.jp/shuttle/sts99/index.html

NASDA(音声イベント関連)
http://jem.tksc.nasda.go.jp/shuttle/sts99/rep_nasda_fd06_kg.html

岳南中学校(音声イベント関連)
http://www.satsuma.ne.jp/kasen-net/gakunan/onsei.htm