帝国将が性玩具にされて破壊されるまでの話 /




 敗残兵の末路は惨めなものだ。
 かつて帝国軍の将であったカスパル=フォン=ベルグリーズは牢に繋がれ、敵兵たちの精液を流し込まれ続けていた。
 連日のように凌辱を受けた体は体液に汚れ、雄と汗と小便の匂いをこびりつかせている。何十本もの性器を咥えさせられた肛門はすっかりと腫れ上がり、閉じることもかなわない。
 もはやカスパル=フォン=ベルグリーズという戦士はどこにもいなかった。薄汚れた牢に繋がれた、哀れな敗残兵の姿があるだけだ。

 そんな日々が続いたある日、カスパルは牢の外へと連れ出された。
 体をしっかりと清められ、上等な衣服を着せられ、馬車に乗せらてどこかへ運ばれる。やがて到着した豪奢な屋敷は、どうやら貴族の私邸のようだった。
「確かにカスパル=フォン=ベルグリーズのようだな」
 邸の主らしき壮年の男はカスパルの顔を確認して愉快そうに口角を吊り上げる。そして、カスパルを運んできた男たちに何かの包みを渡すと、用は済んだとばかりに立ち去らせた。
 その日から、カスパルの生活は一変した。
 邸の一室を与えられ、日に一度は湯浴みをさせられ、食事には肉も付いていた。新しく仕立てられた衣服を与えられ、それが夜毎破かれるようなこともない。
 ただ、カスパルが与えられた部屋には外側から鍵がかけられていた。内側から開くことはできず、カスパルが自由に過ごせるのはこの室内だけだ。それでも、牢に繋がれて兵士たちに凌辱されるよりはよほどましな暮らしだと言える。
 そんな生活を続けてしばらくが経ったある日のことだ。
 夜も更けてきた頃、カスパルに宛てがわれた部屋の扉が開き、邸の主が入ってきた。
 壮年の男はカスパルの頭から爪先までを一瞥すると、「ふむ、随分と肉付きがよくなってきたな」と満足げな笑みを浮かべる。
 獄中での生活でカスパルは痩せ細り、肌も荒れてくすんでいたが、いまや血色を取り戻し健康体そのものに戻っていた。室内で鍛錬を始めても咎められないため、衰えた筋肉もいくぶんか取り戻せている。
「やはりこうでなくてはな、痩せこけた体を抱いてもおもしろくない」
 そう言い放つと、男はカスパルの体を無遠慮に触り始めた。
 腹に、胸に、尻に、そして股間にも、容赦なく無骨な手が伸びてくる。その執拗な手つきは彼を犯していた兵士たちの手を思わせ、カスパルは背筋をぶるりと震わせた。
「よく躾けられているようだな。よし、服を脱いで寝台に四つん這いになれ」
 男は寝台を指差しながら屈辱的な命令を出す。
 カスパルは逆らわなかった。屋敷の中は敵陣のまっただ中に等しい。そんな圧倒的不利な状況で抵抗するほど彼は無謀な男ではなかった。
 いや――「いまの彼は」と言うべきか。
 獄中にいたころ、カスパルは自分の部下たちの前で犯されたことがあった。部下たちは拘束され、轡を噛まされた状態でカスパルの前に並ばされたのだ。
 カスパルが率いるベルグリーズ戦団は、ベルグリーズ家に仕える精鋭の戦士たちである。中にはカスパルを幼い頃から知る者も多く、息子同然に可愛がっていたカスパルが犯される姿に激憤する者もいた。敵兵たちはそんな様子を楽しんでいた。
「跨がれ」と命じられたカスパルがそれを躊躇すると、部下の首がひとつ飛んだ。命じられるまま敵兵に跨り、不慣れな動作で腰を振りたくれば「もっと早く腰を触れ」と要求されて更に首がひとつ飛んだ。
 そのうちカスパルは一切の抵抗をしなくなり、命じられるまま従うようになっていた。「咥えろ」と命じられれば咥えたし、「跨がれ」と言われれば跨った。要求は次第に激化していき、排泄や飲尿を命じられることもあった。カスパルはそのすべてに従った。
「随分といやらしい穴になっているな。何十人も咥えていれば当然か」
 男の手で尻肉をぐっと開かれ、肛門をまじまじと観察される。カスパルの肛門は度重なる性交によって縦に割れ、開かれるだけで解れるほど行為に順応してしまっていた。
 薄暗い牢屋とは違い、灯光に照らされた室内だ。普段ならば決して他者に見られることのない秘所が、あますところなく露わになっている。その羞恥にカスパルは身を震わせたが、それは男の加虐心を煽るだけだった。
「まだ羞恥心があるのか。いいことだな。……どれ、尻だけで気をやれるように躾けてやろう」
 男はカスパルの肛門に香油を垂らすと、ごつごつとした指を窄まりに押し当てた。ぬるりとした感触とともに男の太い指が直腸に入り込み、カスパルの喉からくぐもった声が漏れ出る。
「ひっ……う……ッ!」
 男はぐにぐにと指で肛門をこねくり回してカスパルの反応を楽しんだ。
 連日の肛門性交によって、カスパルのそこは性器に作り変えられていた。指が直腸を出入りするたびにぞわぞわとした感覚が背筋を駆け抜け、排泄感にも似た快楽をカスパルへと伝えてくる。
「あっ……あぁッ……んッ……!」
「ふむ、感度がいいな。私が躾けるまでもなかったか」
 男の太い指が直腸の一点を押し込み、カスパルは頭を寝台に擦り付けながら悲鳴を上げた。腰がびくびくと震え、性器の先端からじわりと先走りが滲み出す。
「どうやらここが一番感じるようだな。どうだ?  もっと触ってほしいか?」
「ん、ふ……ッ! あッ……い、ぁッ……!」
 前立腺から突き上げてくる快楽にカスパルの頭は真っ白になっていった。
 二本の指で前立腺を挟み込まれ、ごりごりと強く揉み潰される。そのたびに腹の底から快楽が湧き出し、射精欲となってカスパルの脳を焦がしていった。
「ひ……ッ! あッ……も、もうっ……」
「どうした? もう何だというのだ?」
 男の指が動きを変え、前立腺を押し上げたまま揺するようにして刺激を与えてくる。途端に直腸がきゅうっと締まり、さらなる快楽をカスパルへと送り込んだ。
「気持ちが良いだろう? 射精したくてたまらないか?」
「んッ……あッ! あ、はぁッ……!」
 カスパルは無意識に腰を揺らしながらこくこくと頷いた。性器の先端からはぽたぽたと先走りが垂れ落ち、敷き布に斑な染みを作っている。
 そんなカスパルの痴態を眺めながら男は実に愉快そうに笑った。そして寝台へと乗り上げ、背後からカスパルの耳元に口を寄せる。
「なら、ねだってみろ。娼婦のように淫らな態度で私に媚びてみろ」
 男の声は愉快そうであったが、その声色は冷酷そのものだ。
「あ……だ、出したいっ……」
「人にものを頼むのならもっと相応な言い方があるだろう?」
 男の言わんとすることを察したカスパルはそれに従うべきか躊躇した。このままでは理性がどろどろに溶かされ、取り返しのつかないことを口走ってしまうかもしれない。
「どうした? ほら、早くねだってみろ」
「あぁッ! あ゛っ、あ゛ぉおッ……!」
 男はそう問いかけながら、前立腺を指先で何度も叩くように刺激する。そのたびに意識が飛びそうになるほどの快感が襲いかかり、カスパルはくぐもった悲鳴を上げながら身悶えた。
「あっ、待っ、わ、わかんねえッ……あ、あぁッ!」
 従わなければと思うのに、適切な言葉が浮かばない。捕虜になるまでカスパルは性行為とは無縁の武道一辺倒な男であったし、猥褻な書物にすら目を通したことがなかったのだ。
「わからない? 何がわからないと言うんだ?」
「んお゛ッ! お゛ぉっ! あ゛ぁッ!」
 男の太い指が前立腺を押し上げてぐりぐりとねじるように刺激を与えてくる。その瞬間、カスパルの思考が真っ白に染まり、視界がちかちかと点滅した。
「あ゛ッ! お゛ッ! お゛ぉおおおッ!」
 ――それは絶頂だった。
 カスパルの陰茎の先から粘度のない体液が溢れ出し、ぱたぱたと敷き布の上に落ちてゆく。射精を伴わない絶頂があるということを、カスパルはこのとき初めて知った。
「あ゛っ……あっ……あ゛ぁあ……」
「ほう、出さずに達したか。なら、まだイけるな」
「あ゛ッ! ま゛っでッ、まっ……んおおぉおおッ!」
 絶頂の直後で敏感になっている前立腺を捏ね回され、カスパルは獣じみた咆哮を上げながら再び絶頂を迎える。
 立て続けに絶頂を迎えさせられる、終わりのない暴力的な快感――それは射精を伴う絶頂では経験できない未知の領域だった。
「お゛っ……おッ! お゛ぉおおッッ!」
 カスパルが何度達しようと、男は責め手を止めようとはしなかった。直腸がめくれ上がりそうになるほど強く指を引き抜き、排泄感に腰が跳ね上がるのを見計らって再び指を突き入れてくる。
「い、イぎだいっ……あっ、あ゛ッ! イがぜでっ、イがぜてくださいぃッ!」
「言われなくとも何度もイかせてやっているだろう。何が不満なんだ?」
 耐えきれずにカスパルが懇願すると、男は言葉で嬲るように問いかけてきた。
 その間も指の動きは止まらず、前立腺を容赦なく責められる。数秒ごとに絶頂しそうなほどの快感がとめどなく襲いかかり、カスパルの腹の底からは濁った嬌声が溢れ出た。
「あ゛ッ! あ゛ッ! お゛ぉっ! イぎだいッッ! 出したいですうっ!」
「声が小さいぞ。もっと大きく言え」
「お゛ぉッ! お゛ッ!  あ゛ッ、あぁあッ!」
 深く抉られたことによってぶちゅりと腸液が飛び散り、カスパルは寝台の上で絶叫した。
 男は指の腹で前立腺を押し込み、ねじりながら引っぱるようにして刺激する。それを何度も何度も繰り返され、ついにカスパルの理性が限界を迎えた。
「あ゛ぁッ! お゛っ! ちんぽっ……ちんぽ汁出したいぃっ!  ちんぽから出させてくださいぃっ! あ゛っあッああぁあぁっ!」
 カスパルは声を張り上げて懇願した。卑猥な言葉などほとんど知らない彼にできることは、語気を強くして同じ語彙を繰り返すことだけだったのだ。
 カスパルの目の前でばちばちと火花が散り、視界には極彩色の火花が飛び込んでくる。寝台がぎしぎしと軋むほどに腰が跳ね上がり、黒目がぐるりと裏返った。
「まあいいだろう。望み通り出させてやる」
 男は屹立したカスパルの性器を握り込んで激しく扱き上げる。それと同時に肛門に突き込まれた指が勢いよく前立腺を抉り、膨らんだそこを押し潰すように刺激してきた。
「あ゛っ……あぁあ゛ッ! あ゛――ッ!」
 男の指が尿道を抉った瞬間、カスパルの性器から熱い精液が迸った。カスパルの体の中で何かが弾け、激しい濁流となって尿道を駆け上がっていく。
「あ……あぁ……あ……」
 深い快楽の海に叩き落とされる感覚を味わいながら、カスパルはがくがくと体を震わせる。
 長い射精を見届けたあと、ようやく男はカスパルの肛門から指を引き抜いた。カスパルの体内はそれを惜しむように男の指に吸い付き、完全に抜け切ったあとも寂しげに口を開閉させている。
「……三十年ほど前だったか、ベルグリーズ伯と会ったことがある。あの頃はまだ軍務卿ではなかったが」
 寝台に倒れ伏してぴくぴくと痙攣するカスパルの姿を眺めながら、男は満足そうに笑みを浮かべた。
 ふいに出された父親の名前にカスパルはぴくりと肩を跳ねさせる。
「あれは良い男だったな……ああいう男こそ、私のもとに欲しいものだ」
 カスパルはその言葉の意味するところを考えようとするが、強烈な快楽の余韻がそれを阻んだ。
「本人を捕縛することは叶わなかったようだが、その息子をこうして手中に収めることができた。これも何かの縁と言うものだろう」
 男はカスパルの腰を抱き込むように腕を回すと、自身の下衣を緩めて性器を取り出した。一瞬なにかわからなくなるほど長大なそれは、恐ろしいことにやはり性器のようだった。
「ま、待てっ……あッ……」
「安心しろ。すぐに良くしてやる」
「あッ……ん……うあぁああぁああッ!」
 男の剛直がカスパルの肛門をこじ開けて直腸へと入り込む。太い亀頭が肉の輪を押し開き、腸壁を擦りながら奥へ奥へと入り込んでくる。
「あ゛ッ! お゛ッ、お゛ぉおッ!」
 男はカスパルの腰を抱え込んで容赦なく腰を打ち付けた。雁首が前立腺を押し潰しながらずるずると引き抜かれ、かと思えば再び最奥まで突き込まれる。そのたびに背骨を駆け上がるような快楽に襲われ、カスパルの頭は真っ白に染まっていった。
「あ゛っ! あ゛ぁあっ! ああぁッ!」
「どうだ、気持ちがいいだろう? ほら、もっと締めてみろ」
「あ゛っ! あ゛ぉッ! おお゛ッ……!」
 容赦なく直腸を穿たれ、男の性器が肛門を出入りするたびにぐぽっぐぽっと淫らな水音が響く。腹を突き破られそうなほどの圧迫感と抽挿の激しさに、カスパルは我を忘れて叫んだ。
「あ゛っ、んお゛ぉおっ! いぐっ……イグゥウウッ!」
「ほう、もう達するのか? ベルグリーズ伯の息子ともあろうものが、随分と軟弱なものだな」
 男は腰の動きを更に早め、前立腺を抉りながら腸の奥まで激しく突き上げる。そのたびに足の先から頭の天辺まで快楽が駆け巡り、意識までもが犯されていくようだった。
「あ゛ッ! あ゛ぉおッ! お゛っおおぉおおッッ!」
 びくんっと爪先を痙攣させながらカスパルは絶叫した。だが勃起したままの性器からは精液は出ておらず、漏れるようにしてさらさらとした体液が溢れ出している。
「ほら、私はまだ出してないぞ」
「んお゛っ! お゛ぉおッ! お゛ぉおッ!」
 絶頂の余韻に浸る暇もなく、男はカスパルの腰を抱き込んだまま腰を打ち付けてきた。
 結腸の入り口を亀頭でこじ開けられ、そのままぐりぐりとほじくるように揺さぶられる。得体の知れない感覚がカスパルの体を駆け巡り、気が狂ってしまいそうになるほどの快楽となって襲いかかった。
「まだ気を遣るのは早いぞ。私が満足するまで付き合ってもらうからな」
「あ゛っ! あ゛ぁあっ! あ゛ーッ! あ゛ぁーッ!」
 絶頂に震える直腸を容赦なく突き上げられ、カスパルは獣じみた咆哮を上げ続ける。牢獄の中でも幾度となく犯されていたが、あえて快感を与えながら延々と甚振られるのは初めての経験だった。

 ようやく解放された後も、カスパルは寝台の上でびくびくと痙攣を繰り返していた。肛門はぱっくりと口を開き、ごぽごぽと泡立った白濁液を垂れ流しながらひくついている。叫び続けた喉はすっかりと枯れ、ひゅうひゅうと喘鳴を繰り返していた。
「さすがは戦のために鍛えられた戦士と言うべきか……お前の体は素晴らしいな」
 男は満足げに呟き、汗で張り付いたカスパルの前髪を手で払った。男の指先が肌の上を滑る感覚にすら過敏に反応し、カスパルはぴくっと身を震わせる。
「私は相手を痛めつけて楽しむ趣味はないのでね。お前にもきちんといい思いをさせてやろう」
 男が呼び鈴を鳴らすと、部屋の外で待機していたのであろう使用人たちがカスパルを担いで浴室へと移動させた。
 全身にこびりついていた汗や精液を洗い流され、腹の中の精液も綺麗に掻き出される。過敏になっている体内を擦られる感覚にカスパルは小さく喘いだが、使用人たちは機械的に作業を進めてゆく。
 それは牢に繋がれて一方的に嬲られるのとは別種の屈辱だった。カスパルはただ奥歯を噛み締め、与えられる快感と羞恥に耐えるしかなかったのだ。







 腹の中を無機質な玩具に犯される感覚にカスパルはただ耐え続けていた。
 肛門に挿入された張り型は不規則な間隔で振動し、直腸の粘膜を擦り上げてくる。その刺激に直腸は蠕動を始め、肛門は異物を押し出そうと締め付けを強くした。
 しかし、質量のある玩具はそんな抵抗に負けることはなく、奥深くに潜り込んだまま細かく振動を繰り返してカスパルを責め立てる。
「ふっ……ん、ぐッ……」
 カスパルは轡を噛み締めて快感を逃がそうとするが、体は与えられる刺激に反応してびくびくと跳ね上がった。張り型の角度は不規則に変化し、腹の中を抉るように突き上げてくる。
 玩具を外すことは叶わない。カスパルの手首は寝台に括り付けられているからだ。両脚は革帯によって大きく左右に開かれ、膝が肩に付きそうになるまで折り曲げられている。
 男はそんな状態のカスパルに張り型を挿入すると、数人の使用人を置いて自分は部屋を後にした。残されたカスパルは、使用人の監視下のもとでこの恥辱に耐え続けることしかできなかったのだ。
「っ……ん、ふ……」
 張り型の振動が腸壁を刺激し、カスパルは知らず腰を揺らめかせていた。振動に対する生理反応で無意識に肛門を締め付けてしまい、玩具の凹凸まではっきりと感じてしまう。
「んッ……ふぅうッ……」
 強すぎる刺激から逃れるように尻を揺らしてみるが、直腸に押し込まれた張り型は微動だにしない。むしろその刺激が新たな快楽を生み出してしまい、カスパルは必死にかぶりを振って快感に耐えた。
 カスパルの性器は肛門への刺激によってそそり立ち、どろどろと先走りを溢れさせている。使用人たちはそんなカスパルを淡々とした表情で眺めるだけで、カスパルに触れることも玩具を止めることもしない。
「んっ、ふっ……んぐッ……」
 体の奥深くで燻り続ける熱にカスパルは身を捩り、全身を汗で濡らしていた。張り型は決定的な刺激をカスパルに与えることはなく、生殺しの状態が延々と続いている。
「ふッ、ふぅうッ……」
 張り型を咥え込んだ肛門がひくひくと収縮し、直腸は玩具を離すまいと締め付けを強くする。それでも張り型は無慈悲に振動を続け、直腸内を揺さぶりながら掻き回していた。
「ふッ! ふぅっ! んっ、んぐっ!」
 不意に、張り型の振動が激しさを増した。
 腸壁を激しく抉るような振動に、カスパルは目を見開いて身悶える。反射的に肛門を締め付けると更に振動が直腸へと伝わり、頭の中が真っ白になるような快感に襲われた。
「んぉッ! お゛っお゛ッ! お゛ほぉおおッッ!」
 がしゃがしゃと枷を鳴らして身悶えるカスパルの姿を使用人たちはじっと見据えている。カスパルは我を忘れて尻を振りたくり、媚びるような視線を使用人たちに向けた。
 頃合か、と使用人の一人がつぶやき、カスパルを犯す玩具の持ち手に手をかける。
 その手が激しく玩具を動かし、自身を絶頂へと導くことをカスパルは期待した。だが、張り型は無慈悲にも体内から引き抜かれてゆく。
「な、なんで……?」
 同時に轡も外されたカスパルは喪失感に喘ぐように問いかける。
 その問に対する返答はなく、使用人は腸液と潤滑油でてらてらと光る張り型を床に転がすと、カスパルに背を向けて去っていった。
「ッ……待って、くれ……!」
 焦燥感に突き動かされるようにカスパルは叫んだ。
 質量を失ったカスパルの肛門はぱっくりと口を開けたまま卑猥にひくついている。絶頂寸前まで昂らされた体は、もはや苦痛に近い疼きに犯されてしまっていた。
「頼む、からッ……いっ、イかせてくれ……」
 カスパルは唇をわななかせながら必死に懇願するが、使用人たちは無表情のままカスパルに一瞥をくれるだけで何も言わずに部屋を出て行ってしまった。
 一人取り残されたカスパルは絶望に打ちひしがれながらも、なんとかして熱を鎮めようと腰をくねらせる。張り型を失った直腸は切なげに収縮し、ぱくぱくと口を開いては腸液を垂れ流していた。
「んっ、ふぅっ……はぁッ、あっ……」
 絶頂を迎えられず、敏感になったままの体を放置されるのは拷問のようだった。しかし拘束されている以上どうすることもできず、カスパルはただ悶々と時が過ぎるのを待つことしかできない。
 ――イきたい。
 質量を求めて疼く穴を熱棒で擦り上げ、思い切り突き上げられたいという衝動に頭が支配される。
 頭の中を占める淫らな妄想と発散することのできない熱に苛まれながら、カスパルは一人きりで時が過ぎるのを待ち続けた。

 そんな思いがカスパルの思考を支配し始めたころ、再び部屋の扉が開いて使用人を引き連れた男が部屋へと入ってきた。
「具合はどうだ?」
 男は全裸のまま寝台の上で身悶えるカスパルの姿を眺めて満足そうに笑みを浮かべる。
「っ……この……ッ!」
 カスパルは男に向かって吠えるが、火照った体はその意志とは関係なく男を求めていた。性器からは先走りが垂れ流しになっており、早く触ってくれとねだるように震えている。
 男はそんなカスパルの姿に口角を吊り上げると、使用人に退室するよう指示を出した。そして自分は寝台へと乗り上げ、カスパルの後孔のふちに指を滑らせた。
「あっ……!」
「だいぶ具合が良さそうだな」
「くっ……ぅうっ……」
 指先で縁をなぞられるだけで、ぞくぞくとした快感が背筋を駆け上がっていく。カスパルの後孔は男の指を欲しがってはくはくと収縮し、媚びるように指の表面に吸い付いた。
「その玩具では物足りなかっただろう? 私の指が欲しいか?」
「そんなことっ……あッ! あぁああぁあッ!」
 男は返事を待たずにカスパルの肛門へと指を突き入れ、そのままぐりぐりと中を掻き回してきた。待ち望んでいた刺激にカスパルは甘い声を上げ、無意識のうちに腰を振りたくる。
 だが男の指はすぐに引き抜かれてしまい、再び焦らすような動きを繰り返すだけとなった。絶頂の直前で放置され続けた体はカスパルの意思とは関係なく男を求め、熱を持った後孔が切なげにひくつく。
「んっ、くっ……ぅうっ……」
 カスパルは羞恥に顔を赤く染めながらも、ゆるゆると腰を動かして自ら快楽を得ようとした。そんな様子を男は面白がるように眺め、指先で何度もカスパルの肛門をなぞり続ける。
「どうした? もう我慢できなくなったのか?」
「うっ……くぅッ……」
 焦らすような愛撫にカスパルは唇を噛み締めた。
 男はそんなカスパルの様子を眺めながら再び指を挿入してくる。今度は二本同時に挿れられ、ぐちゅぐちゅと粘着質な音を立てながら中を掻き回された。
「んぉッ! お゛っお゛ぉっ! おほぉおおぉッ!」
 男の指は前立腺を掠めるように動き回り、凄まじい快感を送り込んでくる。玩具によって過敏になった後孔は刺激を何倍にも増幅して伝え、カスパルは体をよじりながら激しく身悶えた。
 男はそんなカスパルの反応を楽しむように、何度も同じ場所を擦り上げる。そのたびにカスパルの口からは濁った悲鳴が上がり、肛門は男の指を逃さないとばかりにきつく咥え込んだ。
「おっ、お゛っお゛ぉっ! おほぉっ、あぉおおぉッ!」
 激しい手淫にカスパルは腰をがくがくと震わせながら絶頂へと上りつめていく。
 だが男はすんでのところでぴたりと動きを止め、絶頂寸前のところで責め苦を中断した。
「うあっ……あッ……」
 指は肛門に挿入されたままではあるが、決定的な刺激を与えようとはしない。執拗な焦らしに耐え兼ねたカスパルは腰を揺らして快感を拾おうとするが、男はまだカスパルを解放する気はないようだった。
 何度も絶頂を迎えそうになっては手を離され、また絶頂を迎えそうになったところで動きを止められる。理性がぐずぐずに溶けてしまいそうなほどの快楽にカスパルは身悶え、もどかしさに気が狂いそうだった。
「あぅッ……う、ぁ……」
 絶頂寸前の状態で焦らされ続け、カスパルの思考は完全に蕩けきっていた。
 男に媚びるようにはしたなく腰を振り、肛門をきゅっと締め付けて愛撫の続きをねだる。頭の中には男の手から得られる快感のことしかなく、早く絶頂を迎えさせて欲しいという思考に埋め尽くされていた。
「……き、たいっ……」
「ん?」
「イかせて、くれッ……」
 カスパルは男に懇願した。もはや恥も外聞もなく、ただこの苦しみから解放してほしいという一心で言葉を紡ぐ。
「ほう?」
 男はわざとらしく首を傾げてみせると、カスパルの肛門に挿入していた指を引き抜いた。突然訪れた喪失感にカスパルは情けない声を上げるが、男は構うことなくカスパルの拘束を解いていく。
「な、なにを……」
「私に何か頼みたいことがあるなら相応の態度というものがあるだろう?」
 男がなにを要求しているか分からずカスパルは困惑するが、少し考えるとその言葉の意味するところは理解できた。男に対して屈服し、娼婦のように浅ましく媚びろと言っているのだ。
 カスパルは屈辱に顔を歪めるが、体の中で燃え上がった情欲の炎を鎮めることはできなかった。
 カスパルは意を決して四つん這いになり、尻だけを高く持ち上げて男に向かって突き出す。そして自らの手で尻たぶを左右に広げ、淫らにひくつく肛門を晒け出した。
「イ、イかせて……ください……」
 羞恥と屈辱に震えながらカスパルは懇願した。しかし男はまだ満足しないようで、更に屈辱的な要求をカスパルに突きつける。
「何を? ちゃんと詳しく言わなければわからんな」
 男の言葉にカスパルは唇を噛み締めた。
 だが、体の中で燻る熱を抑え込むことなどできるはずもない。理性をどろどろに溶かされた頭は快楽しか考えられなくなっており、もはや耐えることなどできなかった。
「オレの……オレの尻の穴を、犯してください……お願いします……」
 カスパルは肛門をはくはくと開閉させながら浅ましく尻を振る。もうどうなってもいい。この男に媚びてでも、この甘い地獄から抜け出したかった。
 男は満足げに口角を吊り上げてカスパルの尻たぶに手を添えた。そのまま割り開くように力を加えられ、ひくつく腸壁が外気に触れる感覚にカスパルは身震いをする。
「っ……」
 羞恥に身を焼かれそうになりながらも、カスパルは男の次の行動を期待してしまっていた。早く触ってほしい、あの太い指で中を掻き回してほしいとねだるように腰が揺れる。
「あっ……あぁッ……」
 男は焦らすようにを後孔のふちを撫で回したのちに、ゆっくりと指先を挿入していった。待ち望んでいた刺激にカスパルは背筋を仰け反らせ、全身を震わせながら歓喜の声を漏らす。
「んっ、ふぅっ……ふーっ、んぉおおッ!」
 男の太い指が内壁を擦り上げ、腸液が泡立つほどに激しく抽挿される。腸壁を押し広げられる感覚と排泄感に似た快感に襲われ、思考が弾け飛ぶほどの衝撃にカスパルは戦慄いた。
「んぉっ! あぉっ お゛っお゛ぉっ!」
 激しい手淫にカスパルは身悶えるが、男は手を緩めることなく責め続ける。ぐぽぐぽと音を立てながら前立腺を擦られ、爪で軽く引っ掻かれるたびに目の前に火花が散った。
「ひぃッ! あ゛ッ、あぉおぉッッ!」
 男の指使いに翻弄され、カスパルの性器からは大量の先走りが溢れ出ている。触れられてもいない性器は限界まで張り詰め、ふるふると震えながら射精の瞬間を待っていた。
「んぉッ! んぉおおッ! お゛っお゛っおほぉおぉッッ!」
 直腸を責められるたびに凄まじい快感が迸り、カスパルの脳天を突き抜ける。圧倒的なまでの快楽にカスパルは泣き叫び、寝台に顔を擦り付けながら身悶えるしかなかった。
「ぅあ……ぁ……」
 蕩けた頭で男の方へと視線を向けると、男はカスパルの目の前で性器を取り出していた。赤黒く脈打つ長大なそれは、カスパルの未熟な性器とは別のもののようである。
 男の性器を見ているだけでカスパルの喉がごくりと鳴り、口の中に唾液が溜まっていく。あれを挿入されたときの快楽を思い出し、カスパルの腹の奥がきゅうっと疼いた。
「物欲しそうな顔をしているな」
 男の言葉にカスパルは唇を噛み締めた。図星を突かれたことへの羞恥心と悔しさが入り交じり、カスパルの目に涙が滲む。そんな様子を男は楽しげに眺めながら、自身の肉棒を見せつけるように扱いてみせた。
「奉仕はできるか?」
「ほう……し……?」
 言葉の意味がわからず首を傾げるカスパルに、男は呆れた様子で溜息をつく。
「これを舐めて、気持ちよくさせるんだ」
「っ……」
 男の言葉を理解した瞬間、カスパルの顔が真っ赤に染まった。だが男に逆らうことは許されないため、カスパルは意を決して男の股座に顔を寄せる。
「うっ……」
 間近で見る男の性器にカスパルは眉をひそめた。雄の臭いが鼻をつき、思わず顔を背けそうになる。それでもカスパルは恐る恐る舌を出し、亀頭をぺろりと舐め上げた。
「んっ……ぅ」
 舌先で触れると男の性器がぴくりと震え、長大なそれが更に質量を増す。その反応に驚きつつも、カスパルは舌全体を使って亀頭や竿に唾液を塗りつけていく。
「んっ……ふ、ぅっ……」
 舌に感じる生温い感触に顔を顰めながらも、カスパルは懸命に奉仕を続けた。
 竿の部分に舌を這わせながら根元まで口に含み、唇をすぼめて吸い上げるように頭を上下させる。先走りが滲む割れ目をぺろりと舐め上げると、塩辛い味が口の中に広がった。
「んぶぅっ……ん、んぅっ」
 喉の奥に亀頭が突き当たるたびにえづきそうになりつつ、カスパルは必死に奉仕を続ける。
 じゅぽじゅぽと音を立てながら激しく吸い上げると、口の中で陰茎が膨らんでいくのがわかった。カスパルは喉の奥まで使って愛撫をし、ときおり口を離して裏筋や雁首にも舌を這わせる。
「んぶっ! んぼぉっ! がぽっ!」
 男が腰を揺すると喉奥に亀頭が叩きつけられ、胃液が逆流してくる感覚に襲われた。だが、今のカスパルはそれすらも快感へと変換される。
 カスパルは無意識のうちに自分の性器を敷き布に擦りつけ、腰を揺らしながら必死に快楽を得ようとしていた。
「誰が自慰を許可した? 気持ちよくなりたいならきちんと奉仕しろ」
「んぶっ!? 」
 男はカスパルの後頭部を押さえつけて激しく腰を打ちつけてくる。
 喉奥まで男根を突き立てられ、呼吸を阻害される苦しさにカスパルは涙を流した。だがそれでも体は興奮しており、股間の昂りは先程よりもさらに大きさを増している。
「ん゛ッ! おごぉっ! んぉおお゛ッ!」
 男の性器が引き抜かれるとカスパルの口はめくれ上がり、先走りと唾液が混ざった粘液が糸を引いた。亀頭で口の奥を突かれるたびに喉が収縮し、その締めつけによって更に男根の硬さが増していく。
「出すぞ、全部飲み干せ」
「んぐっ……んぶぉっ!?」
 男がそう宣言した直後、熱い液体がカスパルの喉奥に吐き出された。勢いよく噴き出た精液は喉の奥に直接流し込まれ、嚥下する以外に手段はない。
「んっ……んくっ……」
 カスパルは必死になって男の精液を飲み干し、尿道に残った残滓まで吸い尽くすように唇で扱いた。
 白濁液が口の中を満たしていき、青臭い苦味が広がり鼻腔から抜けていく。胃の中に納まった男の精液にさえ感じてしまい、カスパルはぶるりと身を震わせた。
「よし……挿れてやるから自分で脚を抱えていろ」
 男は満足げに口角を吊り上げ、カスパルの口腔から性器を引き抜いた。カスパルは言われるがまま膝を抱きかかえ、自ら秘部を晒すような体勢になる。
「ふーっ……ん、はっ……」
 呼吸のたびにひくつく後孔が曝け出され、男の視線を感じて更にひくついた。腸液と潤滑油が入り混じった液体を垂れ流しながらぱくぱくと口を開くそこは、男根を誘うように蠢いている。
「あっ……」
 男は性器の先端をあてがうと、焦らすように後孔の周りを擦り始めた。
 じわじわと入り口を刺激され、カスパルの口から切なげな声が漏れる。早く欲しいとねだる肛門は艶めかしくひくつき、腸壁がうねるように動いて男の性器に吸い付いた。
「あッ……はや……くっ」
 亀頭で何度も入口を引っ搔かれ、もどかしさにカスパルの腰は淫らに揺れる。くぽくぽと音を立てながら何度も浅く出し入れされると、肛門が徐々に開いて亀頭を包み込んだ。
「あぅ……ん、ぁっ……」
 柔らかくなった後孔が亀頭を飲み込み、カスパルの口から甘ったるい吐息が漏れる。しかし男はそこで挿入を中断し、ゆっくりと性器を引き抜いていった。
「あっ……あぁ……」
 あと少しで亀頭が抜けるというところで動きを止められ、カスパルは切なげに眉尻を下げる。乱暴なほどに激しく突き上げてほしいという欲求が湧き上がってくるが、男はなおももどかしい愛撫を続けた。
「んぁっ……あッ……」
 浅いところだけを執拗に擦られ、カスパルは無意識に腰を揺らしてしまう。もっと奥まで入れてほしいと訴えかけるように内壁をうねらせながら、甘い吐息を漏らし続けた。
 男はそんなカスパルの反応を楽しむかのように緩慢な抽挿を繰り返すばかりで、一向に深くまで挿入してこようとはしない。
「ふーっ……ふーっ……」
 腸壁が蠢き男の性器を締め付けるたびに、じんとした甘い疼きがカスパルの下半身を襲った。もどかしさに頭を掻き乱され、カスパルは媚びるような視線を男に向ける。
「どうした?」
「んっ……」
 男の問いかけにカスパルは小さく首を横に振ったが、その瞳の奥には隠し切れない情欲の色が見え隠れしていた。
 早くもっと深いところをめちゃくちゃに突いてほしい。カスパルは羞恥を押し殺しながらおずおずと脚を抱え直すと、自身の臀部を摑むようにして広げてみせた。
「っ……おく、に……」
 尻たぶを開いたことで後孔が引っ張られ、亀頭を咥えたままの入口がくぽくぽと開閉する。そこは腸液と先走りで濡れそぼっており、鮮やかな赤色を晒しながら挿入を待ちわびるように蠢いていた。
「はや……く……」
 カスパルは切羽詰まった声で訴えるように呟くが、男は意地の悪い笑みを返すばかりだ。そしてそのまま性器を引き抜くような素振りを見せると、カスパルは慌てて制止の声を上げた。
「っ……や、やっ、まって……待ってくれ……なんでも、するから……頼むから……」
「なんでもする? 本当か?」
「する、から……はやく……っ」
 恥も外聞もなくカスパルは男に懇願する。もはや矜恃など欠片も残っておらず、ただ目の前の快楽を得ることしか考えられなかった。
「お゛ッ……! お゛ぉおおっ!」
 男は満足げに笑い、体重をかけて一気にカスパルを貫いた。
 待ち望んでいた衝撃にカスパルは目を見開いて仰け反り、だらしなく舌を突き出して雄叫びを上げる。男の陰毛が臀部に当たる感触すらも心地よく感じられ、目の前が明滅するほどの快感に襲われた。
「んぉお゛ッ! お゛ほぉっ!」
 ごりゅっと腹の奥を突かれるたびに視界に火花が飛び散り、体の奥底から湧き出す衝動によって意識を失いそうになる。腸壁は精液を求めて搾り取るような動きを繰り返し、男のものを離すまいときつく絡みついた。
「もっど、もっどおぐぅっ! ……んぉおっ!」
 男の律動に合わせるようにカスパルの口から嬌声が溢れ出す。絶頂寸前の状態で焦らされ続けていた体は貪欲に快楽を求め、より深い結合を求めて自ら脚を広げてしまう。
「んぉっ! お゛ぉおおッ! あ゛っ、あ゛ぁあっ!」
 どちゅんどちゅんと激しく突き上げられ、カスパルは体を痙攣させながら身悶える。結腸をこじ開けるように亀頭の先端で抉られ続ければ、あまりの快楽によって頭の中が真っ白になった。
「あ゛ーっ! あ゛ぁああっ! お゛ぉっ! おぐッ……おぐっ、やめでぇえええっ!」
 結腸の入口に亀頭を押し当てられたままぐるりと腰を回されると、それだけで意識が飛びそうなほどの衝撃に襲われる。ごりごりと鈍い音を立てながら何度も奥まで犯され、カスパルは喉を反らして悶絶した。
「あ゛ーっ! あ゛ぁっ! イグッ……いっぐぅうううっ!」
 カスパルは体を弓なりにしならせ、涙と唾液を垂れ流しながら絶頂を迎えた。だがそんなことはお構いなしといった様子で男は抽挿を続け、執拗に結腸を責め立ててくる。
「あひっ! あ゛っ! あ゛ぁあッ! イグッ! イッでるっ、イッでるがらぁっ!」
 絶頂を迎えた状態で更に責められ続け、カスパルは半狂乱になって泣き叫んだ。腸壁全体を余すことなく擦られながら結腸の弁を叩かれ、カスパルの視界がちかちかと明滅する。
「お゛っ、お゛ぉおっ! んぉおお゛ッ!」
 激しい抽挿にカスパルの後孔は捲れ上がり、結合部からは泡立った腸液がぶびゅぶびゅと噴き出した。カスパルは太腿を痙攣させながら再び絶頂を迎えるが、それでも男は動きを止めようとしない。
「あひっ……! たずげっ……んお゛ぉっ! お゛ぉおおッ! おごぉおっ!」
 強すぎる快楽はもはや苦痛でしかなく、カスパルは目の前の男の体に縋るように手を伸ばす。しかしその手はにべもなく振り払われ、男は更に激しく腰を打ち付けてきた。
「お゛……っ!?」
 ばちゅんっという音と共に結腸の弁を突き破られた瞬間、カスパルの頭の中で何かが弾けた。脳髄まで響くような衝撃と快楽にカスパルは目を見開き、舌を突き出しながら全身を硬直させる。
「んぉお゛っ! お゛ぉっ! あ゛ぁーっ!」
 体の内側から爆発するような快感と、脳髄まで焼き尽くされるような熱さがカスパルを襲う。結腸を貫いたままぐりぐりと腰を回される痛烈な刺激に、カスパルの視界と意識は次第に混濁していった。
「おごっ! お゛ぉおおッ! んぎぃいいッ!」
 結腸の弁をこじ開けられたまま激しく腰を動かされ、カスパルはあまりの衝撃に白目を剥いた。もはや自分が何をされているのかもわからず、ただ暴力的な快楽を受け入れるしかない。
「お゛っ……あ゛っ……」
 やがてカスパルは白目を剥いたまま失神し、じょぼじょぼと音を立てながら小便を漏らした。しかし男はそれを気にした様子もなく抽挿を続け、結腸に亀頭をねじ込み続ける。
「ぁ……お゛っ♡ あへっ……♡」
 完全に意識を失った状態でも体は快楽を拾っているらしく、カスパルの陰茎からは粘ついた体液が漏れ出していた。ぱんっぱんっという肌を打つ音と共に結腸を犯され続け、口からは喃語のような声が漏れ続ける。
 失神してもなお犯され続けたカスパルが解放されたのは、それから数時間後のことだった。

 男はようやく満足したのか、最後に一度カスパルの中に射精してから性器を引き抜く。
 散々犯された身体は痙攣するばかりで動かず、脚を閉じる力も残っていない。男に貫かれていた穴は未だに口を開けたまたひくついており、注ぎ込まれた子種を溢れさせていた。
「なんでもする……か。それは楽しみだな」
 男はカスパルの譫言を反芻しながら口元に笑みを浮かべる。
 自分が口にした言葉の意味をカスパルが知ることになるのは翌日からのことだった。







 それからというもの、男はカスパルを部屋の外にも連れ出すようになった。
 カスパルは表向きは男の小間使いとして身辺の世話をさせられたが、脚を開けと命じられれば脚を開き、屋外だろうが馬車の荷台の中だろうが男の性器を受け入れた。木にしがみついた体勢で背後から貫かれ、直腸に尿を注がれて便器にされることもあった。
「小用がしたくなったな」
 男がそうつぶやけばカスパルは男の前に跪き、性器を咥えて尿を口内へと迎え入れる。注ぎ込まれる尿によって頬を膨らませながらもそれを嚥下し、口の端から溢れたぶんは手で掬って舐め取った。
「美味いか?」
 カスパルは頷きながら性器の先端にちゅっと吸い付き、尿道に残った尿までをも吸い上げる。それからすべて飲み干したことを伝えるために、口を開いて男に口内を見せつけた。
「少し零れているな」
「あッ……」
 男の言葉にカスパルはびくりと肩を震わせる。すべて飲み干したつもりだったのだが、溢れた少量の尿が服の生地を汚していたらしい。
「どうやら折檻が必要なようだな。尻を出せ」
「……は、い」
 カスパルは言われるまま下衣を脱ぎ、四つん這いになって尻を突き出す。男は乗馬用の鞭を取り出すと、萎えてぶらさがっているカスパルの性器に向けて振り上げた。
「いぎっ……!」
 ひゅんっと風を切る音と共に鋭い痛みが走り、カスパルの喉から引き攣った悲鳴が漏れる。それに構わず二度、三度と続けて鞭を振るわれ、性器を鞭打たれる痛みにカスパルは苦悶の声を上げた。
「あ゛っ! あ゛ぁあっ!」
 男の容赦のない一撃を受けるたびにカスパルの体がびくりと跳ね上がる。周囲にいる使用人たちは慣れたものらしく、一連の行為を気に止めることもなく自身の仕事を遂行していた。
「あ゛ぎっ……んぎいぃっ!」
 一際強く鞭打たれた瞬間、あまりの激痛にカスパルの性器から尿が噴き出した。排泄すら男の監視下にあるカスパルはそれまで排尿を我慢しており、一気に噴き出した大量の尿が床を黄色く染めてゆく。
「また漏らしたのか? 自分で出したものだろう。自分で綺麗にするんだ」
 男はカスパルの後頭部を靴で踏みつけて尿溜まりに顔を押し付けさる。カスパルは命じられるまま舌を伸ばし、ぴちゃぴちゃと音を立てて自らの尿を飲み始めた。
「早くしろ、日が暮れるぞ」
「ふぐっ……!」
 剥き出しになっていた肛門に杖の先端を突き込まれ、硬く冷たい異物の感触にカスパルは呻く。
 肛門性交に慣れたカスパルにとって、挿入の痛みはさしたるものではなかった。だが、尻だけを上げた体勢で肛門を物のように扱われるという屈辱は彼をひどく苛んだ。
「早くしろと言ってるだろう」
「いっ……! くぅ、うっ……」
 男は杖の先端でカスパルの肛門を抉り、ぐりぐりと押し広げるように刺激する。カスパルは羞恥に耐えながらも必死に舌を伸ばし、自らの小水を舐め取っていった。
「次は何をすべきかわかっているな?」
 やっと尿を飲み干すと今度は別の命令が下りる。
 何を要求されているか察したカスパルは、腰を高く上げたまま自らの尻たぶを左右に広げた。使い込まれて赤黒くなった粘膜が外気に晒され、ひくひくと物欲しげに蠢いて男を誘う。
「どうかオ……私のここに、旦那様の子種をお恵みください……」
 尻穴を開いて懇願するカスパルの姿を眺めて男は口元を歪めた。慣れない敬語を使い、挿入をねだるカスパルの性器は鞭打たれたにも関わらず勃起している。
「粗相をした罰だ、今日はこれを咥えていろ」
「あっ……!?」
 カスパルの肛門にねじ込まれたのは性器ではなく浣腸器だった。浣腸器の中に注がれていた薬液がカスパルの腹の中へと注ぎ込まれ、直腸を逆流する感覚に思わずえずくような声が漏れてしまう。
「お゛っ……あ゛ぁあ……」
 拡張された肛門と浣腸器の隙間から薬液が噴き出し、カスパルはぶるぶると身体を震わせながら排泄感に身悶えた。
 やがて浣腸器が肛門から抜かれ、排泄感に耐えかねたカスパルは腹を押さえながら蹲る。括約筋に力を込めて排泄を堪えようとするが、すっかりと緩んだ肛門からは少しずつ薬液が噴き出した。
「私がいいと言うまで漏らすなよ。そのまま四つん這いで自室まで戻れ」
「は、い……」
 排泄を堪えたままよろよろと歩き出し、カスパルは男の前を辞した。腹の痛みは徐々に苛烈になってゆき、尻からは薬液が漏れ出している。
「んぉっ……!」
 自室に戻る途中、腸内に残っていた薬液が下りてきたらしく、肛門からぶぴゅっと薬液が噴き出した。周囲にいる使用人たちはそれを気にすることもなく、カスパルの横を素通りしてゆく。
「あ゛っ、あ゛ぁっ……!」
 ぶぴゅっ、ぶぴゅっと断続的に薬液を噴き出しながらカスパルは廊下を進む。その足取りはおぼつかず、ときおり足を止めては尻穴を締め付けて排泄感に耐えていた。
 ようやく自室に辿り着いた頃には腹の痛みは限界にまで達していた。カスパルは脂汗を流しながらも浴室に向かい、必死に肛門を締め付けて便意に耐える。
「お゛っ……んぉっ……!」
 自室という密閉空間で緊張が解けたのか、カスパルの肛門からはやがて便混じりの薬液が噴き出した。カスパルはたまらずその場に蹲り、腹を抱えながら激痛に身悶える。
「うぐっ……くぅ、ん……!」
 ぶぴゅっ、ぶぶっという汚らしい破裂音と共に、カスパルの肛門から便混じりの薬液が噴き出す。それと同時に腹からはゴロゴロと低い音が響き、限界を迎えたことを訴えていた。
「んぎぃいっ! あ゛ぁっ……!」
 一際大きく腹が痛み、ついに堪えきれなくなったカスパルはその場に蹲ったまま脱糞した。ぶばっと音を立てて溢れ出した軟便が床に広がり、排泄物特有の悪臭を撒き散らす。
「あ゛っ……んぉっ……」
 ぶぼっ、ぶぼっと空気混じりの排泄音を響かせながら、カスパルは脱糞の快楽に酔い痴れた。一度排泄を始めた肛門はもはや閉じることはなく、ぶぴぃっと音を立てながら軟便をひり出し続ける。
「んぉっ、お゛っ……おおぉっ……!」
 ひときわ太い便が肛門を通り抜けると同時に、カスパルは絶頂を迎えていた。床に広がった排泄物の上にじょぼじょぼと尿を漏らしながら、射精を伴わない絶頂に身を震わせる。
「私がいいと言うまで漏らすなと言ったはずだが?」
 背後から声をかけられ、カスパルはビクリと肩を跳ねさせる。恐る恐る振り返るとそこには男が立っており、排泄物で汚れたカスパルの姿を冷ややかな目で見つめていた。
「あっ……」
「仕置きが必要だな」
 男はそう言って杖を大きく振り上げる。そしてカスパルの臀部に何度も振り下ろし、容赦なく殴打した。
「あ゛っ! あ゛ぁっ!」
 殴打される衝撃によってカスパルの尻穴からぶぴゅっと軟便が噴き出し、勢いよく飛び散った排泄物が男の足元を汚していく。それに構わず男はなおも激しく殴打を続け、カスパルの皮膚が裂けて血が滲み出してきたところで手を止めた。
「あっ、あっ……!」
 カスパルは尻を高く上げた状態で床に突っ伏し、ビクビクと体を痙攣させる。男はそんなカスパルの髪を鷲掴みにして無理やり上体を起こさせた。
「口を開けろ」
 男はカスパルの顔を上に向けさせて口を開かせる。そして自身の性器を取り出すと、カスパルの口内へとねじ込んだ。
「んぶっ……お゛っ……!」
 喉の奥まで犯されながら、カスパルはくぐもった悲鳴を上げる。男の陰毛が鼻先に当たるほど深く突き込まれ、呼吸すらままならない状態で激しい抽挿が始まった。
「んぐっ! おごっ……! お゛おぉっ!」
 男はカスパルの頭を片手で掴み、性具のように激しく前後させる。喉を塞がれたまま激しく頭を前後させられ、カスパルの喉奥でぐぽっぐぽっと音が鳴り響いた。
「お゛っ! おごぉっ! んぶっ! おぼぉっ!」
 男の性器に喉を塞がれたまま、カスパルは濁った声を上げ続ける。
 呼吸すらままならず意識が朦朧としているにも関わらず、喉でも快感を得られるように躾られたカスパルは快楽に陶酔していた。カスパルの股間は再び熱を持ち始め、だらだらと先走りを零し始める。
「ほら、喉でイッてみろ。できるだろう?」
「んごっ! おっ、お゛ぉっ!」
 頭を片手で掴んだまま激しく腰を打ち付けられ、カスパルは白目を剥きながら体を痙攣させた。喉奥を突かれるたびに胃液が逆流して嘔吐感にえづくが、それでも男の言いつけ通りに喉を締め付けて自ら快感を得ようとする。
「んぶぅっ! おぼぉっ!」
 男が一際強く腰を打ち付けた瞬間、カスパルは絶頂を迎えた。全身をビクビクと震わせ、塞がれた喉の隙間からくぐもった悲鳴を上げる。
「んぶっ……お゛ぇっ……!」
 口内から性器を引き抜かれると同時にカスパルは大量の胃液を吐き出した。びちゃびちゃと音を立てて吐瀉物が床に広がり、ツンとした臭いが周囲に漂う。
「これが帝国の六大貴族の末路だと思うと愉快で仕方がないな。娼婦のほうがまだ上品なくらいだ」
「……ッ」
 汚物にまみれたカスパルを見下ろしながら男は満足げに笑みを浮かべる。
 男の玩具であるこの青年が、かつて帝国の将であり、大貴族であったことを知る者は屋敷にはほとんどいない。使用人たちにとってのカスパルは、たびたび入れ替わる主の玩具のひとつに過ぎないのだ。
 使用人たちが彼を気にかけることがあるとすれば、この玩具がいつまで保つかということくらいだろう。玩具の末路は精神を病んで廃人になるか、体を壊されて死ぬかのどちらかだ。
 今日も玩具は主の欲望のままに弄ばれ、無残に破壊されてゆく。

 数節後――屋敷の地下にひっそりと存在する一室にカスパルは移動させられていた。そこにはカスパル以前の玩具たちも収容されているらしく、数人の青年が壁に埋め込まれて尻を突き出した状態にされている。
「これ、本当に使っていいのか?」
 地下室を訪れた使用人の男は、並んだ尻を眺めながら連れ立っていた男にそう訊ねた。
「主人が遊び飽きた玩具を置いてるだけの物置だ、使っても誰にも文句は言われねえよ。たっぷり躾られてるからな、どんな命令にも従うし、何つっこまれても感じるぜ。こいつなんかはまだ新しいからいい反応するし……」
「んうっ!」
 男はそう説明しながら、カスパルの肛門に蓋をしていた栓を掻き回す。カスパルの尻は男の言葉通り既に性器として完成されており、乱暴な愛撫でも快感を拾うようになっていた。
「なんだよ、この栓?」
「穴が緩いから漏らさないように蓋をしてるんだよ。日に何度か担当のやつが排便させて回るんだ」
 カスパルを初めとした性奴たちは尻だけでなく、性器にも器具をはめられて排泄を管理されていた。食事をするときも体は固定されたままのため、口だけを使って家畜のように食べるのである。
「うげ、俺そんな担当にされたらやってけねえよ」
「担当のやつはそういうのが好きみたいだぜ? 出が悪いやつには浣腸したりしてさ、随分と楽しんでるみたいだ。小便させるときは牛の乳を絞るみたいにしてよ」
 会話中も男の手は止まらず、カスパルは「おっ♡ お゛っ♡」と断続的に喘ぎ続けた。男はカスパルの性器にはめられていた器具も外し、若々しい雄を枷から解放してやる。
「何してもいいんだな。じゃあ、これ突っ込んでみてもいいか?」
 もう一人の男はそんなカスパルの様子を見てほくそ笑むと、懐から空の酒瓶を取り出してその口を肛門にあてがった。連れ合いの男はそれを止めず、むしろ愉快そうに行為の続きを待っている。
「お゛っ……あ゛っ……!」
「おー、入ってく入ってく」
 少し力を込めただけで、カスパルの肛門は酒瓶の口を飲み込んだ。男はそのままぐりぐりとねじるように酒瓶を押し込み、太い部分までを完全に体内へと埋めてしまう。
 酒瓶をまるまる一本咥え込まされたカスパルの尻穴は、無惨に拡張されながらもそれをしっかりと咥え込んで離さなかった。透けた瓶の底からは腸内の様子が見て取れ、赤く熟れた内壁を男たちの前に晒している。
「嬉しそうに咥え込んでやがるな。ほら、動いてみろよ」
 男に命じられ、カスパルは酒瓶を咥え込んだまま腰を振りたくった。肛門から酒瓶を生やしたまま尻と性器を揺らすカスパルの滑稽な姿に、男たちはげたげたと笑い声を上げる。
「知ってるか? こいつ、もともとは帝国の貴族なんだってよ。それもただの貴族じゃねえ、軍務卿の息子だ。上から数えたほうが早いくらいのお偉いさんだぜ」
「これが? 嘘だろ、家畜よりみっともねえじゃねえか」
 カスパルの痴態を笑いものにしながら男は酒瓶で肛門を掻き回す。ぐぽっ、ぶちゅっと汚らしい水音を立てながら酒瓶を出し入れされ、カスパルは快楽に蕩けた表情を浮かべた。
「お゛っ、あ゛ぁっ! あ゛ーっ!」
「こいつもう飛んでやがるぜ。ほら、もっと鳴け」
 男は酒瓶を握って強く押し込み、尻肉を叩くようにして激しく抽挿を繰り返す。カスパルは人の言葉を忘れたかのように獣じみた声を上げ、腰をがくがくと震わせた。
「なんだ、もうイきそうなのか? おらっ、イってみろよ!」
「お゛っ、あ゛ぁっ! あ゛ぉおぉっ!」
 男は笑いながら勢いよく酒瓶を引き抜く。ぐぽんっという音と共に肛門が捲れ上がり、カスパルは全身を痙攣させながら絶頂を迎えた。一度も触れられていない性器からは粘度のない体液がぱたぱたと飛び出し、カスパルの太腿を伝って床へと落ちてゆく。
「すげえな、ほんとにこんなのでイけるのか」
「なあ、次はこれを入れてみようぜ」
 味をしめた男たちは地下室にあった蝋燭や箒などを次々とカスパルの肛門にねじ込んだ。強引な挿入によってカスパルの肛門はふちが切れ、蝋燭の火にあぶられた粘膜は糜爛したが、男ちは構わずそこを玩具にし続ける。
「あ゛っ、あ゛ぁっ! あ゛ーっ!」
 尻穴に数本の蝋燭をねじ込まれながら、カスパルは被虐の悦びに全身をガクガクと痙攣させた。限界まで拡張された肛門は皺が全て伸び切り、摩擦によってぽってりと腫れ上がっている。
「お゛ほぉっ♡ んお゛ぉっ、おお゛ぉッ!」
 男が勢いよく蝋燭を突き込むと同時に、カスパルの性器からびゅるっと白濁が噴き出した。もはや精液とも呼べぬ濃度の体液を吐き出しながら、カスパルは快楽に体を痙攣させる。
「あ゛っ……あへっ……♡」
 やがてカスパルは笑いながら喃語のような喘ぎ声を零す以外の反応を示さなくなった。拳大に開いた肛門からは腸壁が覗き、垂れ下がった性器からは透明な体液を垂れ流している。
「あー、もう壊れたんじゃねえのこれ」
 男は開きっぱなしの肛門を眺めながら平手でカスパルの尻を勢いよく叩く。痛みも快感と化したカスパルはそれにすら歓喜の声を上げ、餌をせびる犬のように唾液と先走りをダラダラと溢れさせた。
「壊れてても穴が使えるなら便所くらいにはなるだろ」
「じゃあ、便所にもならなくなったらどうするんだ?」
「四肢を切断したやつを犯したり、首を絞めながら犯すのが趣味な連中もいるだろ? そういうやつらに売っぱらうんだよ。死体を犯すのが好きなやつだっているしな。使い道はいくらでもある」
 男はカスパルの肛門に再び栓をしながら説明する。カスパルはそれにすら反応して腰を揺らし、ぶびゅっと汚らしい音を立てながら精液を噴き出した。
 性器と化した肛門への暴虐と、かつての尊厳を粉々に破壊される日々。そして、いつか来る破滅の未来に怯えながらも、カスパルは歪な笑みを浮かべることしかできなかった。



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