[品川正治憲法講演・質疑要旨 2007.6.2 和歌山]
    作成:南本勲 九条の会・わかやま事務局 (会紙38号より)

戦争で儲かる人が戦争を起すのだ
私は決して経済界の中で孤立していない

品川正治氏の憲法講演会の質疑応答

     6月2日、和歌山市のプラザホープで「九条の会・わかやま」「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の共催による経済同友会終身幹事・品川正治氏の講演会「戦争・人間・憲法九条」が開催されました。講演の内容については前号(37号)でお知らせしましたが、講演後の質疑応答の内容を、第二弾としてお知らせします。

◆国民の出番と言われるが、若い人たちに理解を広げる方法は?

 私も「今の若い人たちにどこまで自分の問題として考えてもらえるのか」という問題意識を持っている。もう少し功利的に説得した方がいい場合もあると思う。それは「戦争で儲かる人がいる」ということを教えることだ。世界に紛争はあるが、それを戦争にしないというのが日本国憲法だ。ところが、紛争を戦争にした方が儲かる勢力がおり、それは武器商人、石油資本、軍産複合体とかだが、これらがそれぞれの国の権力をもっている。9条改悪の背景には彼等が戦争をしたがっていると説明した方が分り易い。さらに、今「戦争請負業」というものもある。イラクでは米兵よりも死傷者が多いだろう。彼等は戦争がなければ事業が成り立たない。戦争で儲かる人が戦争を起すのだ。

◆国際開発センターとは?

 アフリカ、東南アジア、中南米の貧困者救済事業をしている。政府と難民のどちらが正しいかを問わず、今一番困っている人から助けることにしている。日本の外務省とは対立する考えだろう。国際開発センターが仕事をする上では、憲法9条2項は非常に大事な役割を果たしている。

◆日本の経済界には品川さんと同じように考える人はいるのか?

 「私は決して経済界の中で孤立していない」とはっきり申し上げたい。
 大阪倶楽部、関西倶楽部、工業倶楽部などで経済人を相手に今日と同じような話をし、拍手を受ける。批判的な質疑でやり込めようというのもあったが、企図した執行部に批判が向いてしまい、質疑打ち切りになったこともある。経済同友会での反応は今日の皆さんの反応と同じだ。
 もっと客観的に考えると、日本の産業構造は6割がサービス産業で、99%が中小企業だ。企業社会というものはヒエラルキー(階層構造)が出来ており、大企業と中小企業の経営者の声は1対1ではない。しかし、国民投票では1対1だ。そこに私は期待をもっている。
 私に孤立意識は全くない。

◆何故、今日本の政治家、経済人が憲法を変えようとしているのか?

 多くの問題があるが、ひとつは中国の台頭だ。中国は政治大国だ。しかし、経済的に日本と競うとは経済人は誰も思っていなかった。中国とアジアのヘゲモニー(主導権)を争うためには、日本も対等な形で論議できる体制をつくりたいと考えており、平和憲法を武器にしてやるのではなく、平和憲法があることが日本の国の欠陥だという考えを持っている。その辺が私の考えと異なるところだ。
 中国は今、極めてていねいな外交をやっている。中国は成長したといっても、まだまだ近代化では遅れている。日本は近代化はとうの昔に終えている。その日本が「もっと近代化」と言い、中国は「現代化」と言っている。「現代の問題は何か」というアプローチをしているのだ。
 中国に対する経済人の考えは「投資を守りたい」「急変されては困るので対等に論議したい」「ASEANを、中国ではなく、日本の方に向かせたい」というものだ。もし、日本が本当にそういうやり方で中国とやり合おうとすると、「日本の後にアメリカがいるから」とASEAN諸国は全部そう見るだろう。経済界は「読みが浅い」としか言いようがない。

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