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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第19回総会開催
飯島滋明氏が対面で講演を実施
「守ろう9条 紀の川 市民の会」は6月11日、和歌山市・河北コミュニティセンターで第19回総会を開催しました。
総会では、名古屋学院大学教授(憲法学・平和学)で「戦争をさせない1000人委員会」事務局次長の飯島滋明さんが2018年の憲法フェスタに引き続き来和の上、「今こそ憲法9条を輝かせよう~「敵基地攻撃能力」で戦争をする国になってはいけない~」と題して講演をされました。
(原通範代表の挨拶)
開会に当り代表の原通範さんは、「自公政権に維新の会と国民民主党が一緒になり、様々な形で平和と人権を揺るがす悪法を国民不在の形で進められている。27年までの5年間で43兆円という大軍拡・敵基地攻撃能力保有が大増税で進められようとしている。こうした敵基地攻撃能力保有の問題点は何かを飯島先生にお話いただき、私たちは今後どのように運動していくべきかを考えたい」と挨拶されました。
(宇田ともえさんの司会)
続いて、記念講演に移り、宇田ともえさんが講師プロフィールを紹介しました。飯島滋明さんはプロジェクターで40枚の写真や文字情報のスライドを映写しながら約1時間30分の講演をされました。
(飯島滋明氏の講演)
講演の概要は、与那国島、石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島、馬毛島の南西諸島・九州に自衛隊が配備・強化されている。これは日本がアメリカの軍事戦略を担わされているものだ。与那国島は台北まで110㎞に過ぎず、台湾海峡有事の戦略拠点になる。
安保3文書の改定は戦後の我が国の安全保障戦略を実践面から大きく転換するもので、アメリカは自衛隊がアメリカの代わりに戦い、また型落ちした兵器を爆買いするから歓迎している。
22年4月、自民党は、「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に変更し、その対象範囲はミサイル基地に限定せず、指揮統制機能なども含むとしている。防衛費は、5年以内にGDP比2%を目指すとしており、維新の会も同様の発言をしている。
憲法の平和主義、国連憲章の「武力不行使の原則」を放棄していいのか。スイス・ジュネーブの「国連人権理事会資料室」、オーストラリアの「国立戦争記念館」、シンガポールの「旧フォード博物館」などでは、旧日本軍の蛮行を展示している。アジア・太平洋戦争では日本の侵略戦争で近隣諸国の民衆2~3千万人が犠牲になっており、日本人の戦死者も約310万人と言われている。第2次世界大戦では5千万~8千万人の犠牲者が出たと言われる。こうした非人道的な侵略戦争を起こした権力者や軍上層部は「公教育」「家制度」「靖国神社」を利用し、国民に死を強要しながら、いざとなれば自分たちは真っ先に逃げた。
こうした悲惨・無責任な戦争を二度と権力者や軍上層部にさせないために、憲法では前文や9条で徹底した平和主義をとっている。こうした憲法を変え「戦争できる国づくり」を認めてもいいのか。
ロシア・中国・北朝鮮は本当に脅威なのか。本当に戦争をする気があるのか。「戦争は外交の失敗」と定義されている。攻められないようにするのが外交の力だ。と語られました。(講演要旨は次号以降に何回かに分けて掲載を予定しています)
(萩田信吾さんの活動報告)
続いて、宇田ともえさんを議長に選出し、総会議事に移り、萩田信吾さん(事務局長)から、「2022年度の活動報告」と「決算報告」がありました。「活動報告」では、「第18回総会」と「第19回憲法フェスタ」についての報告、会員拡大や署名・宣伝活動などについて報告があり、
(金原徹雄さんの情勢報告)
続いて金原徹雄さん(運営委員)から、「私たちを取り巻く情勢」が、原通範さんから、「2023年度取り組み課題」の提案と「予算案」の提案があり、その後、「運営委員」の推薦があり、いずれも承認されました。最後に金原徹雄さんの閉会挨拶があり、総会は無事終了しました。
(原通範さんの課題の提案)
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「九条の会」全国交流集会を開催
大軍拡反対、憲法改悪を止めよう!
「九条の会」は5月28日、日本教育会館で「大軍拡反対、憲法改悪を止めよう!『九条の会』全国交流集会~大江健三郎さんの志を受けついで~」を開催しました。全国32都道府県、29の分野別の九条の会から、会場一杯の約300人が参加しました。岸田政権が安保3文書に基づき「敵基地攻撃能力」の保有、GDP比2%、5年間で43兆円の大軍拡を進めるもとで、軍事費確保特措法、軍事産業支援法などが参議院で審議されているという、緊迫した状況のなかで、憲法9条を守ろうといきいきと活動する草の根の運動の経験を交流しました。
3月3日に亡くなった九条の会呼びかけ人の大江健三郎さんの思いを受け継ぎ運動を進めていく決意が表明されました。
はじめに、腰痛で欠席した澤地久枝さんに代わって、小森陽一事務局長が開会あいさつ。小森氏は主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)について、被爆地・広島で開催しながら、G7から「核抑止力」論を全面的に正当化する「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が出されたことは断じて許せないと厳しく批判。「これが9条改憲を明言する岸田政権の本質だ」と述べました。その上で、「岸田政権の大軍拡政策に対する反対の声を大きくあげ、運動を進めていくことが求められている」と訴え、「大軍拡の中身が、『専守防衛』を捨てて、憲法の平和主義を踏みにじり、国民の暮らしや経済を無視して軍拡大増税を進めるものであるということを多くの国民に明らかにしていくために、『九条の会』の運動を大きく広げていこう」と呼びかけました。
その後、全国から23人の方が各地のとりくみを語り、交流しました。
滋賀県米原市長の平尾道雄さんは、戦没者の名前を記銘した「忠魂碑」を、軍人・軍属だけではないすべての戦争犠牲者を追悼する平和のモニュメントとし、沖縄・糸満市の「平和の礎」のようなものとして米原市に建立する取り組みを進めていると報告しました。「九条の会は、日本を戦争させてはならないという圧倒的な数がある。この力を国民の声として、今こそ地方から。そして都市から、人々の暮らしの中からつくっていく」と抱負を語りました。
渓流釣りの仲間でつくる「渓流九条の会」の渡辺政成さんは、2008年に「右手に釣り竿、左手に憲法、平和でなければ釣りができない」というスローガンで全国の釣り仲間に呼びかけて、約100人近くが集まったことを紹介。自然環境保護の問題とも結んで、そして楽しく活動していると話しました。
京都府の「田辺九条の会」の辻垣健次さんは、地元で問題になっている長射程ミサイルを保管できる「祝園弾薬庫」の建設について報告。隣町の精華町に弾薬庫ができれば真っ先に攻撃対象となるし、幅広い世代間反対運動を築き、政府・自衛隊に、弾薬庫について説明せよと迫っていく構えで、7月には精華町の議員を呼んで「九条の会」で学習会を開くと語りました。
各地からの報告の後、世話人の愛敬浩二早稲田大学教授、浅倉むつ子早稲田大学名誉教授、池内了名古屋大学名誉教授、翻訳家の池田香代子さん、弁護士の伊藤真さん、清水雅彦日本体育大学教授があいさつし、改憲・大軍拡に歯止めをかける「九条の会」の重要な役割を語りました。
最後に、事務局の高田健さんが、「文字通り『九条の会』にとって正念場だ。改憲派の企てを阻止するために世論を高め、運動を強め、たたかいを大きく進めよう。今日を『九条の会』再出発点にしよう」と呼びかけ、会場から大きな拍手が湧き起こりました。(「憲法しんぶん速報版1379号」より)
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【九条噺】
「ティア(Tier)1」という言葉をご存知だろうか。「ティア」は一般的には「層」や「列」や「段」を表す言葉だが、ここで言うのはラグビー界の話だ▼「ティア」は世界のラグビー界の階級のようなもので、現在3段階に分かれている。単に強さだけでなく、伝統や格式を考慮して分けられているそうだ▼「ティア1」はトップクラスの伝統国で、イングランド、ニュージーランド、南アフリカなど10カ国が認定され、日本は今まで「ティア2」とされていた。ところが5月11日、ワールドラグビー(WR:ラグビーの国際統括団体)理事会は、「ティア1」10カ国に日本を加えて「ハイパフォーマンス・ユニオン」という名称に変更すると決めた▼日本は15年のW杯イングランド大会で南アフリカに劇的な勝利をし、19年の日本大会ではアイルランド、スコットランドの「ティア1」に勝利して実力を見せた。それ以外にも、マスコットキッズや選手、観客の対応、さらに台風への対応など、世界から賞賛を受けた。今回の決定はそれらも考慮されたものだろう▼従来、伝統国や地域を中心に発展してきたラグビーの環境を、開かれたものに変えるのがWRの狙いだろう。日本は世界での存在感が増し、日本代表強化の利点も増える▼本年9月にW杯フランス大会が開催される。プールDの中で対戦する4カ国の中に、「ティア1」のイングランド、アルゼンチンがいる。W杯日本大会以上の成績、「4強進出」を果たしてほしい。(南)
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世論調査結果(ANN 6月11日)
岸田内閣の支持率
6月:支持する(青)36.9%(-4.4%)、支持しない(赤)37.7%(+4.1%)
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