「九条の会・わかやま」 484号 発行(2023年7月2日付)

 484号が7月2日付で発行されました。1面は、八重山諸島へのミサイル配置は安保政策の大変化(飯島滋明氏 ①)、第108回「ランチタイムデモ」実施、九条噺、2面は、「大池遊園」で交流ハイキング実施 和歌山障害者・患者九条の会、日経新聞世論調査(23年6月26日)あなたは岸田内閣を支持しますか しませんか。  です。
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八重山諸島へのミサイル配置は安保政策の大変化

 6月11日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第19回総会」が開催され、名古屋学院大学教授(憲法学)・飯島滋明氏が「今こそ憲法を輝かせよう~「敵基地攻撃」で戦争をする国になってはならない~」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。
飯島滋明氏 ①



 今ここの1階でマイナンバーカードの受付をしていた。マイナンバーカードは銀行口座などの経済的情報に紐付けされてしまうと、この人は裕福かどうかが分かる。そうすると、裕福でない家庭には自衛隊員募集が行われ、経済的徴兵制が出来上がってしまう。自衛隊も人手不足の最たるものだ。マイナンバーカードがあれば対処できてしまう。私は憲法審査会のメンバーにこんな問題があると話した。
 手許の地図は南西諸島の地図だが、台湾から110㎞離れたところに与那国島がある。その隣に石垣島があり、宮古島があり、沖縄本島がある。さらに奄美大島があり、馬毛島があるという位置関係にある。10年前の話をすると、自衛隊は宮古島にしかいなかった。今はどうなっているかというと与那国島にもいて、今年になり石垣島にはミサイル部隊が置かれ、或いは置かれようとしている。与那国島は台湾と110㎞しか離れていないので、台湾が見える島だ。宮古島は奄美大島とともに19年にミサイル部隊が置かれた。馬毛島も今工事をやろうとしている。10年前は宮古島には航空自衛隊しかいなかったが、今これらの島にミサイル部隊が置かれようとしている。これを中国から見たらどのように見えるのか。これらの島にミサイル部隊を置くというのは、中国の艦船を太平洋に出さないためだ。ミサイルは地対艦だから地上から艦船や潜水艦を攻撃するもので、射程距離200㎞程度のものだったが、それが射程距離1000㎞のミサイルになるかもしれない。当然のことながら中国本土に届く。16年に自衛隊を置いた時には、さすがにこのようなミサイル部隊を置くことは中国に対して刺激が大き過ぎるだろうと、やめていたが、町長がOKを出してしまい、町議会でもめている。与那国島にミサイル部隊を置くと決めたのは、22年に岸田政権が決めた「安保3文書」だ。ミサイル部隊を置くことが、日本を守るためのものなら、仕方がないとも言えるかもしれないが、これは日本の防衛とは関係がない。敵基地攻撃能力、防衛予算については、56年鳩山内閣の時から敵基地攻撃能力は言われていた。もし、日本に攻撃してくる可能性があるならば、それを攻撃するのは自衛の範囲内だと言っている。しかし、その頃はそのような兵器はなかったので、仮の話だった。その時から「敵基地攻撃能力」と言われていたが、言い方がよくないと、「反撃能力」と言い換えようということになった。内容は同じで日本が攻撃されるよりも先に攻撃してしまう、そういう内容を持つのが「反撃能力」だ。「敵基地攻撃能力」の攻撃対象範囲は56年の時や03年の時はあくまでミサイルを飛ばす相手の基地だった。今回、自民党は指揮統制機能を含むと言っている。狙いは北朝鮮のミサイルではない。ただ、さすがに中国とは言えなかった。指揮統制機能を日本に当てはめれば、防衛省などにもなる。中国に当てはめれば、北京ということになる。この軍事費に関しては5年以内にGDP比2%を目指すと言っている。日本維新の会も22年5月に同様の提言を憲法審査会で言っている。今、立憲と共産党が衆院では反対している。賛成する人は国会議員の任期をいざという時に延長するという憲法改正を言っている。衆院は4年間、参院は6年間と憲法に書いているが、その時に危機があったらどうする、選挙も出来ないだろう。だから、そういう場合は任期延長も出来ると言う。  また、憲法の平和主義を放棄しても良いのか。オーストラリア国立戦争記念館では、連合国軍はともに巨大な悪を打ちのめしたと書いている。巨大な悪とは、オーストラリア本土を初めて攻撃した日本のことだ。巨大な悪はどのようなことをしたのか。例えば、シンガポールの旧フォード博物館には日本の侵略は恐怖の再生だと書かれ、強姦、「慰安婦」、「さらし首」や銃剣で突き刺したことなどが書かれている。16年2月にはオーストラリアのテレビで、日本軍「性奴隷」のことが放映された。安倍元首相は日本の戦争に対して脅威の押し付けはなかったと主張していたが、全くのうそだ。
 日本の侵略戦争によってアジア・太平洋戦争では、近隣諸国の民衆2~3000万人の犠牲者が出ている。殺されてはいないけれど性奴隷のような人もいる訳だ。日本人の戦死者は約310万人。第2次世界大戦では5~8000万人の犠牲者がいると言われている。こうした侵略戦争を起こした権力者や軍の上層部は「公教育」や「家」制度、「靖国神社」を利用して「愛国心」を植え付け、国のために死ねと強要しながら、自分たちは真っ先に逃げた。45年8月9日、満州にソ連が侵攻した。軍人や役人はすぐに逃げ、老人、女性、子供は取り残され、ソ連軍に蹂躙された。満州にソ連軍が侵攻した時の草地作戦大佐は「軍は国家を守るための作戦を優先する。国民の面倒などみていられない。それが戦争」と言っている。満州をつくった人たち、岸信介は満州に関して戦後はA級戦犯容疑者だったが、アメリカと交渉して後に総理大臣にまでなってしまった。軍隊は国民を守るものではない。
 沖縄戦の時は、県民には徹底抗戦し、母親を殺すことまで命じた権力者は、東京から長野県の松代に逃げる準備をしていた。45年3月、軍上層部、権力者は沖縄県民には命をかけて戦えと言った。結果、沖縄県の公式見解でも9万4千人の犠牲者、県民4人に1人の犠牲者が出た。(つづく)

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第108回「ランチタイムデモ」実施



 6月23日、第108回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、60人の市民が参加しました。
 9年前(2014年)の6月23日は第1回デモが行われた日であり、1945年6月23日は、沖縄の凄惨を極めた地上戦が、20万人の犠牲者を出して終結した日・沖縄慰霊の日でもありました。
 阪本康文弁護士のコールに合わせ、「憲法9条は世界の宝」「9条を守る政府を作ろう」「集団的自衛権は憲法違反」「敵基地攻撃能力も憲法違反」と唱和しながら、ゴールの京橋プロムナードまで元気に行進しました。
 ゴール後、阪本弁護士から、今日がランチタイムデモ9周年であり、沖縄慰霊の日でもあることが指摘され、「沖縄戦の悲劇を二度と繰り返さぬように力を合わせよう」という呼びかけがありました。 次回は7月20日(木)です。



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【九条噺】

 我が家の庭に「カリン(花梨)」という樹がある。桜や桃と同じ時期にピンクの可愛い花が開花する。ところが、カリンは花の開花時期には既に葉も開いており、花と葉が同時期になるので、桜や桃のように花は目立たない▼今年は昨年にも増して多くの花が咲いていたようだ。どうも1年毎に花の多い年と少ない年があるようで、ということは、今年は多くの果実が期待できるということか▼カリンはバラ科カリン属の樹木で、中国が原産とされる。果実は10~11月頃に熟し、古くから薬用として用いられてきた。果実はやや縦長で表皮の色は明るい黄色で、梨ぐらいの熟した果実の表面はつるっとしており、いかにも美味しそうに見えるが、生のまま果実をかじると非常に渋く、果肉は繊維質で固く、口に残ってとても食べられるものではない。ジャムなどへの加工もできない▼しかし、最大の特徴は、果実の部屋中が満たされるほどの芳しい甘酸っぱい香りだ。筆者宅でも果実を室内に置いておくだけで、部屋中に香りが漂う▼カリンの果実は、のどに有効な成分を含んでおり、果実酒や砂糖漬けに加工され咳止め等に利用されている。芳しい甘酸っぱい香りが特徴なので、果実をそのまま芳香剤としても楽しめる▼「貸し(樫)はしても、借りん(カリン)」と、借金をしないですむという意味で、樫は家の表に、カリンは裏に植える習慣のある地方もあるという。この何とも面白い果実を多くの人に知ってもらいたいと思う。(南)

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「大池遊園」で交流ハイキング実施
和歌山障害者・患者九条の会




 和歌山障害者・患者九条の会は5月28日(日)、21名が参加して交流ハイキングを行いました。行き先は紀の川市の和歌山電鉄貴志川線の大池遊園、晴れ渡った絶好の日和、JR和歌山駅に集合する組と大池遊園駅に現地集合組とに分かれての参加です。和歌山駅から貴志川線を利用して約25分。のどかな田園風景が広がります。タマ駅長で全国的に有名になった貴志川線、今回障害者の団体が利用するに当たり、乗務員が一人乗車して声かけをしてくれるなど、配慮と気配りに心が暖かくなりました。
 さて、大池遊園に到着して現地集合組と無事合流した私たちは、遊園の花田屋さんの前の芝生にシートを拡げ、まずは参加者の自己紹介です。どんな方が参加しているのか。視覚障害者にとってはとても重要な一コマです。お弁当の後は、手探りゲーム、会の世話人の佐無田さんのギター伴奏で「みんなで歌声」と続き、日差しの熱さも感じながら楽しい時間が流れます。現地では、花田屋さんに駐車場も貸していただきお世話になりました。
 今回は「学習会ばかりだと難しいので、みんなで自由に交流する機会もほしい」との会員の声を受けて実現した企画です。ひさびさに出会う方もいて、梅雨入り前の平和な一日を満喫することができました。(事務局・野尻誠さんより)

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日経新聞世論調査(23年6月26日)
あなたは岸田内閣を支持しますか、しませんか。




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(2023年7月1日入力 7月7日修正)
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