「九条の会・わかやま」 485号 発行(2023年7月10日付)

 485号が7月10日付で発行されました。1面は、「和歌山障害者・患者九条の会」が17周年の集い開催 お楽しみ企画も堪能、日本国憲法の平和主義は 自国の安全を他国に守ってもらうという消極的なものではなく 積極的な行動を要請している(飯島滋明氏 ②)、九条噺、2面は、毎月3日のスタンディング宣伝、総がかり「19日行動」に1300人   です。
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「和歌山障害者・患者九条の会」が17周年の集い開催
お楽しみ企画も堪能




 7月2日、和歌山市ふれ愛センターで17周年の集いを行いました。  総会では22年度活動・決算報告、23年度活動方針・予算・役員提案が承認され、新しく役員に入られた方から挨拶がありました。



 総会後はお楽しみ企画と題して、文化的な行事が行われました。
 まず最初は美憂亭八苦(ビューティー・パック)さんの落語です。演目は「動物園」です。物語の成り行きに、はらはらどきどきしながら、ユーモアあふれる演出を楽しみました。
 次は「童謡を歌うつどい実行委員」の井澤慶三さんと奥様の出演です。「四季の歌」「みかんの花咲く丘」「青い空は」などをみんなで歌いました。「みかんの花咲く丘」は静岡県が舞台とか。紀州のみかんを歌った曲は「毬と殿様」だそうです。井澤さんは「平和でなければ好きな歌を自由に歌えません」と話されました。
 最後は本会世話人代表の佐無田義己さんによる弾き語りです。オリジナル曲も披露されました。そして「今の時代、九条の会が大きな価値をもっている。絶対に戦争をさせないという強い信念をもって活動していきたい」と力強い閉会挨拶で会を締めくくりました。
 平和なひとときを堪能し、また歌を歌うなどの日常が4年ぶりに戻ってきたことにも大きな喜びを感じました。(事務局・野尻誠さんより)

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日本国憲法の平和主義は、自国の安全を他国に守ってもらう
という消極的なものではなく、積極的な行動を要請している


 6月11日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第19回総会」が開催され、名古屋学院大学教授(憲法学)・飯島滋明氏が「今こそ憲法を輝かせよう~「敵基地攻撃」で戦争をする国になってはならない~」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は2回目。

飯島滋明氏 ②



 権力者はどうしたのか。沖縄戦が始まったのは45年3月だ。権力者はその前の10月、東京から長野県に逃げようとした。
 権力者、軍の上層部は戦争を始めるが、いざとなれば責任は取らない。だから、政治家、権力者には戦争をさせないというのが、憲法の平和主義だ。憲法前文には「日本国民は、……政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と、国民は政府に戦争はさせませんよと言うのが前文だ。憲法9条も主語は「日本国民は」となっており、「日本国民は、……国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、……永久にこれを放棄する」と宣言する。こうした憲法を変えて、「戦争できる国づくり」認めても良いのかということだ。戦争に行かない政治家や幹部自衛官は憲法改正や海外派兵に賛成の主張が多い。しかし、戦争で犠牲になるのは派遣される一般自衛官や市民だ。15年の安保法制の時も、派遣される自衛官は残される妻や子を考えると、とても死ねないと言っている。
 日本防衛なら命をかけて戦うが、日本防衛ではなく、何故海外に行かなくてはならないのかというのが、一般の自衛官の意見だ。戦前、中国での南京事件に関わり、戦後自衛官になった人もいる。この人たちは南京で中国人がどのように殺されたかを見ており、自分たちはあのような殺され方をされたくないと強く思っている。だから海外に行くのはごめんだと思っている。一般の自衛官は自衛隊が憲法に書きこまれることに大反対している。本当に自衛隊のことを考えるのであれば、海外派兵などに賛成してはいけない。自衛隊に入りたくて入った訳ではないという人が沢山いる。生きるためだという。だから北海道や九州出身が多い。
 そうは言ってもロシア、中国、北朝鮮は脅威ではないのかという話もある。今日のウクライナは明日の東アジアだという話もある。本当にロシア、中国、北朝鮮は戦争をしようと考えているのか。大都市に人口が集中する日本で戦争は可能か。日本は核の飽和状態で、原発再稼働は支離滅裂だ。サイバー攻撃で日本は壊滅的破壊を受ける。戦争など考える方がよほど平和ボケだ。戦争にならないように、平時からの平和創造のための外交や経済的結びつきを強める「国際協調主義」が必要だ。
 芦辺信喜先生、高橋和之先生の書籍には、「日本国憲法の平和主義は、自国の安全を他国に守ってもらうという消極的なものではなく、積極的な行動をとることを要請している。そのような積極的行動をとることの中に日本国民の平和と安全の保障がある」と述べられている。
 もし、ロシアが核を使ったら地球の温度は世界で10度下がり、食料問題で餓死する人が出て来る。食料自給率39%の日本は大きな影響を受ける。昨年2月24日にロシアはウクライナを侵略したが、それを許しているのはロシアが核兵器を持っているからだ。だから、運動として核の廃絶を訴えていかねばならない。ロシアは昨年2月24日の前の段階で10万の軍隊を集めている。何故日本やアメリカはその段階で止めなかったのか。その前段階で平和憲法を持つ日本は止めるべきだったと言いたい。
 鹿児島県の特攻基地知覧で「特攻の母」と言われた鳥濱トメさんは「隊員の多くは戦争をしてはならない。平和な日本であるように、と言っていた」と発言している。その中には16~17歳の子供もいる。これが戦争だ。戦争を起こした人や特攻を命じた人は、隊員は自ら死んでいったと、自分たちの責任を回避している。死んでいった人たちは本当に国のために死んでいったのかを考える必要がある。
 「敵基地攻撃能力」の問題については、昨年4月、まだ安倍首相の時代の自民党の文書のやり取りを紹介したい。「敵基地攻撃能力」という表現は受けがよくないので、「反撃能力」という言い方にした。「反撃能力」というと、やられたらやり返すという意味を感じる人は少なくない。しかし、そうではない。ミサイルを撃たれる前に発射拠点や司令部を攻撃することだ。やられる前にやってしまうのが「反撃能力」で、国民を欺くものだ。これは日本が攻撃されていなくても、アメリカが攻撃され、「日本の存立が脅かされる(存立危機)事態」で自衛隊が先に外国を攻撃することになり、アメリカの戦争に日本が加担し、先に外国領域を攻撃する危険性がある。15年に国会で法定になった時、安倍首相などは、法的には可能だが、外国を攻撃出来る兵器は持っていないから大丈夫だと言っていた。それが22年の「安保3文書」になる。そのためにはお金が必要、それをやっているのが、岸田自公政権だ。15年に安保法制を作った時、法的には外国を攻撃してもよいとはなったが、兵器は持っていなかったので、実際にはできなかった。存立危機事態は、日本は攻撃されていないが、アメリカが攻撃されようとした時、細かく言うと着手ということになり、アメリカも攻撃されていないかもしれない。着手の例としてよく真珠湾があげられる。日本海軍が真珠湾に向かって飛んでいる間はまだ真珠湾を攻撃している訳ではない。この段階を着手という。ハワイに向かって飛んできている時はまだ攻撃していなくても国際法的には着手とされる。存立危機事態の時、アメリカ軍に対する攻撃の着手があった、アメリカが攻撃されていないかもしれないのに、日本が手を出してしまう可能性がある。これは明らかに国際法違反だ。(つづく)

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【九条噺】

 先日、名古屋学院大学教授・飯島滋明氏がマイナカードは銀行口座などの経済的情報に紐付けされ、この人は裕福かどうかが分かる。裕福でない家庭には自衛隊員募集が行われ、経済的徴兵制が出来上がってしまうと指摘された▼マイナカードのトラブルは毎日のように発生し、コンビニでの証明書の誤発行や、健康保険証が一体化した「マイナ保険証」で別人の情報がひもづけられる事例が続出し、カード返納が始まっているという▼マイナカードの取得は任意で、返納や再取得も本人の意思で可能だそうだが、最大2万円のマイナポイント取得の上で返納することに、SNSでは「ポイントも返せ」といった批判も上がっているとか▼筆者はカードを取得していない。確定申告の時にナンバー記入を求められたことがあったが、「記入しません」で済んできた。本人確認を求められる場面は年に1~2度あったが、健康保健証やパスポートで問題がなかった▼マイナカードの最大の問題は健康保険証が結び付けられ、カードを取得せざるをえなくなることだ。JNN世論調査では健康保険証への結び付けを73%が「延期・撤回せよ」と回答し、トラブルへの政府の対応は72%が「適切でない」、カード利用の拡大に「大いに不安・ある程度不安」が74%にもなっている▼今の健康保険証で何の問題があるのか。国民は誰も困っていない。困っているのは、マイナカードを無理やり進めようとしている岸田政権、官僚、財界だけだ。(南)

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毎月3日のスタンディング宣伝

2015年から始まった、毎月3日の行動が、7月3日も蒸し暑い中、23名が参加して元気に行われました。





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総がかり「19日行動」に1300人



 総がかり行動実行委員会は6月19日、「安保3文書撤回!軍拡増税反対!南西諸島のミサイル配備反対!改憲発議反対!暮らしをまもれ!6・19国会議員会館前行動」を行い1300人が参加しました。市民と野党の共闘の力で岸田政権を退陣に追い込んでいくため奮闘することを決意し合う行動となりました。
 立憲民主党・打越さく良参議院議員、共産党・小池晃参議院議員、沖縄の風・高良鉄美参議院議員、社民党・大椿裕子参議院議員があいさつ。韓国の19日行動のメッセージが紹介されました。
 憲法9条を壊すな実行委員会の菱山南帆子さんが主催者あいさつ。「岸田政権が悪法の数々を強行したが、すべてが戦争につながる悪法だ。憲法を変えさせてはいけない、戦争する国にさせてはいけない。市民と野党の共闘を継続させ、一緒にやっていかなければ勝てない。私たちの未来がかかっている。手をたずさえてたたかっていこう」と呼びかけました。
 改憲問題対策法律家6団体連絡会の田中隆弁護士は、憲法審査会での審議状況について報告。移住者と連帯する全国ネットワークの山岸素子さん、安保法制の廃止をめざす中野アピールの川名真理さんが訴えました。
 憲法共同センターの高橋信一憲法会議事務局長が行動提起を行いました。(憲法共同センターNEWS6月20日号より)

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前(485)号の記事「大池遊園」の訂正
(誤)前田屋さん → (正)花田屋さん

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(2023年7月9日入力)
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