「九条の会・わかやま」 492号 発行(2023年10月10日付)

 492号が10月10日付で発行されました。1面は、「九条の会」が「10・5大集会」開催 岸田改憲・軍拡阻止の世論喚起を、沖縄で新たな全県的「反戦組織」が発足 「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」、九条噺、2面は、96回目のスタンディング宣伝、「憲法9条を守る交流集会・和歌山」、書籍紹介『日本は本当に戦争に備えるのですか?』  です。
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[本文から]

「九条の会」が「10・5大集会」開催
岸田改憲・軍拡阻止の世論喚起を




 「九条の会」は10月5日、東京「なかのZERO」大ホールで「10・5九条の会大集会―大軍拡反対! 憲法改悪を止めよう」を開きました。19時からの集会は1200人を超える参加者で超満員となり、岸田政権下で軍拡・改憲の「戦争する国」か、憲法の人権と民主主義が生かされる「平和な国」かの岐路に立つ今、改憲策動や軍拡を阻止するため「戦争ではなく、平和を」の声をあげ、世論を喚起していこうと呼びかけました。
 呼びかけ人で作家の澤地久枝さんは、「大江健三郎さんがお亡くなりになり、呼びかけ人は私だけになってしまった。日本が戦争する国へと変わってしまう政治状況に危機感を持つ人たちが増え、いま日本全国にある『九条の会』が最後の砦のように日本国憲法を守っている。1ミリも譲れない」とあいさつ。その上で「たとえ小さな組織であっても、岸田政権に対して間違えていると表明していく必要がある」と訴えました。
 全国首長九条の会共同代表の松下玲子武蔵野市長は、「戦争も核もない平和な未来をつなげていくために9条を守り生かし、育んでいきたい」と語りました。
 小森陽一事務局長は、「岸田政権は、あらゆる手段を使って、日本を軍事大国化することに必死になっている」と話しました。
 田中優子・前法政大学総長(九条の会世話人)は、「岸田首相の軍拡・改憲に反対する声を!」と題して講演。「岸田首相の改憲・軍拡に反対する声を拡げよう。そのために勉強しよう、言葉にしよう」と訴えました。
 中野晃一・上智大学教授(市民連合運営委員)は、「改憲 軍拡ではなく『安心供与』を」と題し、敵基地攻撃能力保有、改憲・大軍拡・大増税の危険な道を阻むために、「憲法9条と13条(個人の尊重、幸福追求権)の連係」が大事だと語りました。

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沖縄で新たな全県的「反戦組織」が発足
「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」




 専守防衛に反するとの指摘がある安保関連3文書の閣議決定や、自衛隊の南西シフトを受けて、沖縄では全県的な反戦組織「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が発足、9月24日にキックオフ集会が開かれた。11月23日に那覇市内で1万人規模の県民大会を開き、党派や世代を超えた全国的な運動を目指す。沖縄発の平和運動に、首都圏から呼応する動きも始まっている。
 会は60以上の市民団体などで構成。沖縄市で開かれたキックオフ集会には約800人が集まった。共同代表で前南城市長の瑞慶覧長敏さんは、「戦争をさせないという一点で集められた会。11月以降も集会を重ねていく。沖縄だけでなく県外、世界との連帯を深めて平和を発信していく」と決意表明した。
 昨年12月に閣議決定された安保関連3文書は敵基地攻撃能力の保有などを明記。与那国島を皮切りに南西諸島の島々に陸上自衛隊駐屯地が開設され、奄美大島、宮古島、石垣島にはミサイル部隊も配備された。
 共同代表の具志堅隆松さんは「相手を攻撃できる基地があれば攻撃の対象になる。本土の人は、台湾有事が起きれば地域紛争で終わらないことを想像してほしい。沖縄に配備されたミサイルを撤去してほしい。そうでないと私たちの生存が危うくなる」と訴える。
 平和ガイドの平良友里奈さんは「基地の反対運動は争いがある怖いものというイメージもあったが、この状況で若い世代が参加しないのはまずいと思った。11月に向けて、多くの若い人が参加しやすいきっかけ作りをしたい」と語った。(東京新聞9月26日付)

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【九条噺】

 9月25日、日本の探査機「はやぶさ2」のように小惑星に着地して石や砂などを採取したNASAの探査機「オシリス・レックス」のカプセルが、アメリカ・ユタ州で回収された。小惑星の試料を地球に持ち帰るのは日本の「はやぶさ」と「はやぶさ2」に次いで3例目だ▼16年に打ち上げられた「オシリス・レックス」は地球からおよそ3億㎞離れた小惑星「ベンヌ」に着地して、表面の石や砂などを採取したあと、地球に向かって飛行していた▼「ベンヌ」は「りゅうぐう」とそっくり同じソロバン珠のような形状をしているが、「りゅうぐう」より直径1/2、体積は1/8だそうで、将来地球に衝突する可能性がある小天体だそうだ▼今回採取できたサンプルは約250gと推定され、「はやぶさ2」は5.4gだったが、多くのサンプルが採取できたことは、太陽系の成り立ちや地球の生命の起源の解明にも、地球衝突回避のために重要な情報提供も期待される▼NASA惑星科学部長は、小惑星からの「サンプルリターン」のミッションを成功させている日本の探査機「はやぶさ2」のチームからさまざまなことを学んだと、「はやぶさ2」チームの協力に感謝を述べている▼今後は、日本も参加してサンプルを分析し、「りゅうぐう」の成果に、「ベンヌ」の科学的成果も加わるだろう。宇宙環境の理解と生命の起源を知るには、さらに遠くまで行かなければならないのだろう。今回の成果はそのための橋頭保だろう。(南)

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96回目のスタンディング宣伝



毎月3日の有田川町の行動は96回目を迎えました。丸8年継続、9年目になり、10月3日は26名が参加しました。参加者は、国会前で93歳の澤地久枝さんも参加されていることに勇気づけられています。



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「憲法9条を守る交流集会・和歌山」

 岸田政権は、昨年12月に新たな「安保3文書」を閣議決定し、「敵基地攻撃能力」を保有し、日米が協力して台湾有事に軍事的対応をする方針を明らかにし、5年間で43兆円の防衛予算を組もうとしています。
 「九条の会」(東京)は8月3日「市民の総決起の秋を創ろう」との声明を出し、10月5日に東京で大集会を開催し、11月には全国各地で創意を凝らした行動を行うことを呼びかけました。
 この趣旨に賛同し、和歌山県下で9条を守る運動を続けておられる皆様が一堂に会し、現在の9条をめぐる情勢を確認し合い、取り組んでいる運動の情報交換をし、運動を強化し、決意を新たにする場を設けることになりました。是非とも多数の皆様に「交流集会」にご参加いただきたくご案内いたします。
【開催日時】2023年10月28日(土)
      午後2時~4時
【場  所】和歌山県勤労福祉会館プラザホープ
      和歌山市北出島1丁目5-47



JR和歌山駅より
徒歩:国体道路を南へ約15分
バス:西口バスターミナル1番のりばから「紀三井寺・医大・マリーナシティ行き」に乗車、「北出島」停留所下車すぐ
【開催内容】
(1)うたごえ9条の会有志による演奏
(2)憲法9条をめぐる現在の状況についての報告
    九条の会事務局長小森陽一氏(録画)
(3)各団体の活動報告と今後の活動計画・決意
(4)集会決議
【連絡先】和歌山合同法律事務所(弁護士:戸村祥子)
     TEL:073-433-2241, FAX:073-433-2767

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書籍紹介 『日本は本当に戦争に備えるのですか?』



 22年12月に閣議決定された安保三文書は、敵基地攻撃 能力の保有、5年間の防衛費を総額43兆円とするなど、戦後日本の「専守防衛」を大転換させるものとなります。本書はその問題点・危険性を明らかにする書です。
 ジャーナリスト・布施祐仁さんは、政府が実際に想定しているのは「台湾有事」だとし、そこに日本の自衛隊が米軍と一体となって「参戦」しようとしていることの危険性に警鐘を鳴らします。そして台湾と中国、そしてアメリカとの現在のリアルな関係を明らかにし、最も懸念されることとして偶発的な衝突の発生をあげます。そうなった場合、日本の南西諸島、日本全土に広がる米軍基地・自衛隊基地も戦場となり、住民にも大きな被害を及ぼす可能性を指摘しています。
 憲法学者の志田陽子・武蔵野美術大教授は4つの視点で考察・問題提起しています。①日本が安保法制制定で集団的自衛権も行使できるようにし、敵基地攻撃能力で近隣諸国に睨みをきかせることは地域の緊張をいっそう高める。②防衛のあり方も憲法の考え方に則って、それが必要なのか(立法事実論)、必要だとしてもどこまで認められるのか(比例原則論)という観点からの検証がされるべき。③安保三文書が、あまりに国民の議論や国会を軽視して決定された。④安保三文書の決定は財政民主主義もないがしろにするものだった。
 国際政治学者の三牧聖子・同志社大准教授は、安保三文書も安全保障における「日米の一体化」の中で決められている。バイデン米大統領は日本の防衛力強化を歓迎するとしていますが、いまアメリカ国内にその軍事覇権主義に対する懐疑や批判が大きくなってきていること、またグローバルサウス諸国、新興国の中で、いま大国とは一線を画す動きが広がってきており、日本はアメリカ一辺倒ではない外交ビジョンを確立すべきことを提唱しています。
 政治学者の岡野八代・同志社大教授は、立憲主義・民主主義の歴史を振り返りながら、国家と戦争の密接な関係性なども問題提起。国際社会で横行している暴力をなくすためには、人々が政治から見捨てられている、あるいは関心をもたされていない、そうした状況に対して身近なところから自由と命を守れと声をあげていくことが肝要ではないかと呼びかけています。
 望月衣塑子・東京新聞記者は、安保三文書をめぐる主要紙の報道のスタンスを分析し、防衛力強化への岸田政権の前のめりの姿勢をメディアの報道が後押ししている面があるとして警鐘を鳴らしつつ、ジャーナリストと市民、専門家が連帯する重要性を説いています。
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 著者
  岡野 八代氏 (同志社大教授・政治学)
  志田 陽子氏 (武蔵野美術大教授・憲法学)
  布施 祐仁氏 (ジャーナリスト)
  三牧 聖子氏 (同志社大准教授・国際政治学)
  望月衣塑子氏 (東京新聞記者)
 判型:B6判 200ページ  定価:1,650円(本体1,500円+税)
 発売年月日:2023年4月17日
 出版社:㈱大月書店 TEL 03-3813-4651

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(2023年10月09日入力)
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