「九条の会・わかやま」 497号 発行(2023年12月20日付)

 497号が12月20日付で発行されました。1面は、言論は無力ではない・「守ろう9条 紀の川 市民の会」志田陽子氏③、第114回「ランチタイムデモ」実施、九条噺、2面は、日高川9条の会 講演会開催・由良登信弁護士「台湾有事を回避せよ」、太平洋戦争勃発の日にチラシ配布と街宣活動・みなべ「九条の会」、那覇で県民平和大集会 参加者1万人以上・沖縄の軍事化に反対 「対話による平和を」、毎日新聞世論調査(12月17日)・岸田内閣の支持率の推移  です。
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[本文から]

言論は無力ではない

 11月11日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第20回憲法フェスタ」が開催され、武蔵野美術大学教授・志田陽子氏が「平和への自由と表現の自由~私たちの知る権利と語る権利は?」と題して講演をされました。講演要旨をレジュメから3回に分けてご紹介します。今回は3回目で最終回。

志田 陽子 氏 ③



 市民が主体的に学びの場を持つために精神の自由、とりわけ「表現の自由」が必要です。自国の人権状況に気づくこと、海外の人権状況に気づくこと、そのどちらも、報道や市民集会などを通じて伝達されます。私たちは、それらの問題を知ることができなかったら、その問題に気づくことができません。「人権保障こそ安全保障」の視点に立ってみたとき、私たちが「知らなかった、気づかなかった」という状態に置かれることが、私たち自身のリスク・不利益となります。
 「言論は、現実社会の出来事に対して無力だ」と言われることがありますが、そんなことはありません。実は言論の力は大きいので、有事の際には抑え込まれるのです。逆に、言論の力が人の生命を守った事例もあります。ガンジー、マンデラ、マララ・ユスフザイさんといった人々は、反対派から何度も命を狙われ、身柄拘束を受けたり銃撃を受けたりしながらも、国際世論の力によって生き延びました。世界の人々の人道感覚と言論の力が組み合わさって、「人間の安全保障」の力を発揮した例と言えます。
 「表現の自由」、「学問の自由」、「報道の自由」に共通する重要な役割は、「必要なときにアラートを鳴らすことのできる社会であること」です。これが今、正常に作動しているでしょうか。冷笑・嘲笑によって塞がれてしまう場面が多過ぎるのではないでしょうか。自分たちの安全な生活を真剣に考えるならば、真摯な情報発信をする人々や、生活生存にかかわる事柄を真剣に訴えている人々の声を、民主主義のプロセスから排除しないこと、冷笑によって無力化しないことがまず大切です。大きなこと、目に見える成果は出せなくてもいいのです。平和への意思を妨げるものを取り払って、「平和への自由」をまっすぐに共有することができるだけでも、状況は格段に違ってくるのではないでしょうか。(おわり)

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第114回「ランチタイムデモ」実施



 前日には初雪も観測され、寒さ厳しい12月18日、第114回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、50人の市民が参加しました。
 この日のコーラーは重藤雅之弁護士で、和歌山市役所前から京橋プロムナードまで、「戦争する国絶対反対」「憲法守れ、憲法壊すな」「憲法9条子どもに残そう」「戦争ない国子どもに残そう」などとコールしながら先導しました。
 2024年も3月までの実施日程は既に決まっており、寒い時期ですが、主催者は多くの参加を期待しています。日程は、1月22日(月)、2月22日(木)、3月22日(金)で、いずれも、いつものように市役所前出発12時20分です。



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【九条噺】

 冬が訪れ、「サザンカ咲いた道・落ち葉焚き」と来れば、焚火でさつま芋を焼くのが、かつて子供の娯楽だった。おやつや副食にも蒸し芋が出た▼現代でも焼き芋は大人にも人気がある。スーパーで袋入りが売られ、移動販売の焼き芋屋もある。オーブンを使って自分で焼く人もいる。筆者も芋を入手できる時期は焼いておいて朝食に少しずつ食べる▼すると家人との会話で、昔の芋はこれ程甘くなかったことがよく出る。それもそのはず、筆者が美味しい銘柄をインターネットで研究し、近所のスーパーを回って見つけてくるからだ▼家人がたまに農協で芋を買ってくることがある。農協には色々な種類があるそうで、地元の特産を作ろうと品種改良を試みているらしいが、それらは別の調理をした方がよいのだろう。きんとん、芋あんパン、スイートポテトサラダにしたら美味しかった▼品種改良は色々な作物で行われ、昔はなかった糖度の高い西瓜、大きく甘いリンゴも現れた。これらは私たちの生活に楽しみを与えてくれる。引き続き頑張って良い作物を提供してくれればと思う。しかし優れた作物を作るのでも、一代雑種(一代目の出来は良いが、自家採種できず、農家はまた一代目を買わざるを得ない)は種苗会社の利益本位、遺伝子組み換えは健康不安の問題がある。安全重視で行きたい▼世界から恐怖と欠乏をなくすことを願い、美味しく健康に役立つ食品のある幸福を追求したい。そのためには何より平和が大切だ。(柏)

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日高川9条の会 講演会開催
由良登信弁護士「台湾有事を回避せよ」




 日高川9条の会は、12月9日、農業環境改善センター大会議室で、総会も兼ねて、弁護士の由良登信氏を迎え「戦争をしないために」と題した講演会を開催しました。
 由良弁護士の講演は、現在の世界情勢、アメリカの世界戦略の中の日本、9条改憲の動きを柱として時系列に、とても詳しくお話しいただきました。
 「敵基地攻撃能力の保有」と「防衛費の拡大」はなぜ推し進められているのか、背後のアメリカと日本の政権の動きも交え細かく分析していただき、納得のお話でした。軍備増強、実力組織としての自衛隊で平和を維持することはできない。台湾有事への日米共同行動となると日本は巻き込まれて日本列島が戦場となってしまうことが実感できました。やはり外交によって平和を守るしかない。平和を望むこと、戦争はダメだということは、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区への侵攻などの悲惨な状況を、現在進行形で見て誰しもが願うことです。武力では平和は訪れません。
 由良弁護士は「改憲派も草の根運動に力を入れ出した。国民投票にさせないことが重要。国民投票のための広報が圧倒的に不利になっている。いろんな取り組みを楽しく、長く続けよう」と締め括られました。(事務局長・井口健さんより)

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太平洋戦争勃発の日にチラシ配布と街宣活動
みなべ「九条の会」




 みなべ「九条の会」は82年前の太平洋戦争勃発の日、12月8日に新聞へのチラシ折り込みと街宣活動を実施しました。
 「今日12月8日は82年前に太平洋戦争が始まった日です。日本がハワイ真珠湾を攻撃し泥沼の戦争へと突入しました。この戦争によって、日本国民をはじめ、アジアの多くの人々に地獄の苦しみと犠牲を与えました。昨年2月のロシアのウクライナ侵攻、今年10月のイスラエルのガザ攻撃で子どもや一般市民に大きな犠牲を出しています。軍事力を持てば優位に外交を進められるというのではなく、相手を安心させてこそ、互いを尊重できる外交に繋がります。これを実行できるのは憲法9条を持つ日本です。76年続いてきた憲法9条は大事に守りましょう」と訴えました。
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折込みチラシ(表裏2面のうちの1面)



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那覇で県民平和大集会 参加者1万人以上
沖縄の軍事化に反対 「対話による平和を」




 日米両政府による沖縄の軍事化に反対し、対話による平和の構築を世界へと発信する「11・23県民平和大集会」が23日、那覇市の奥武山公園陸上競技場で開催され、主催者発表で1万人以上が参加した。
 沖縄が二度と戦争の被害者にも加害者にもならないようにと願いを込め宣言「全国と全世界と団結して戦争を止める決意を内外に発信する」を採択した。
 22年に政府が安保3文書を閣議決定した後、南西諸島で自衛隊を強化する動きに対し、危機感を抱く市民でつくる「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が主催した。同会の主催する1万人規模の集会は初めて。
 玉城デニー知事は「子どもたちの未来が戦争の未来であってはならない。今、私たちが求めている平和の思いを、全国で、全世界で共有するために行動し、声を上げていこう」と訴えた。
 主催者を代表し、瑞慶覧長敏共同代表は「平和をつくるための心を一つにしよう。私たちは絶対に諦めない」と呼び掛けた。
 集会に先立ち音楽コンサートが開かれた。集会後は、那覇市のパレット市民劇場で国内外からの参加者を交えた集会も開催された。
 集会と同時間帯に、石垣市の新栄公園で「島を戦場にさせない市民の会」が開催した住民大集会には、主催者発表で120人が参加した。
(琉球新報11月24日付)

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毎日新聞世論調査(12月17日)



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(2023年12月19日入力)
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