「九条の会・わかやま」 499号 発行(2024年1月17日付)

 499号が1月17日付で発行されました。1面は、2024年 岸田軍拡に反対し 憲法改悪を阻止しよう! 「九条の会・わかやま」事務局、新年3日からスタンディング、みなべ「九条の会」142回目のピースアピール、九条噺、2面は、激震走る自民党派閥の裏金疑惑 弁護士・宇都宮健児氏(『週刊金曜日』編集委員)、言葉 イスラエルの「ガザ侵攻」、書籍紹介 『中村哲という希望』  です。
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[本文から]

2024年 岸田軍拡に反対し、憲法改悪を阻止しよう!
「九条の会・わかやま」事務局


 ロシアのウクライナ侵攻に続いて昨年はイスラエルの「ガザ」侵攻が起り、涙なしでは見られない光景が連日テレビで放映される状況の中でも、岸田政権は安倍政権を超える軍拡を進めています。
 従来の日本の防衛政策は「専守防衛」で、「集団的自衛権行使禁止」「海外派兵禁止」「他国に脅威を与える攻撃的兵器は持たない」としてきました。
 安倍政権は、14年に集団的自衛権の政府解釈を行使容認に改変し、15年には安保法制制定へと進みました。そして、18年には憲法9条の2に自衛隊明記という明文改憲を持ち出しました。しかし、市民と野党の共闘で明文改憲策動は挫折させることができました。
 今、岸田政権は安倍政権以上の軍拡に進んでいます。それはバイデン政権による軍事同盟の強化路線に関わっているものと思われます。岸田首相は安倍首相のような露骨な野望を持たず、アメリカの言いなりで、アメリカには使いやすいコマのように見えますが、岸田政権の軍拡は安倍政権を超える新たな段階に踏み込んでいます。
 憲法を蹂躙する「戦争する国・日本」への改造のひとつが「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有であり、23年度の防衛費は6兆7880億円と、対GDP比1%枠を大きく突破しています。大軍拡を賄うために、大増税、国民負担の増加、くらしの破壊が進められています。
 岸田首相は「来年秋までの改憲実現」と言っています。岸田政権は、なぜ明文改憲に前のめりなのか? 自民・公明に加え改憲政党維新の会・国民民主党があるためです。
 中国が日本に攻めて来ることを心配する向きがありますが、それは台湾をめぐる米中戦争に日本が加担する時だけです。台湾有事をつくらせないことこそ日本の役割りです。
 78年間、平和憲法を維持してきたことに確信を持ち、政権交代を実現することにより、9条を活かした平和国家・日本へと進めましょう。

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新年3日からスタンディング



 毎月3日にスタンディング行動を行っている和歌山県の有田共同センターは、2024年1月3日もスタンディング行動を実施しました。
 いつもの有田川町吉備庁舎下の交差点で26名が参加して行われました。
 参加者はみんな元気に通り過ぎる車に「パレスチナに平和を!」などをアピールしました。
 15年に始まったこの行動は、今年で10年目に入りました。来月の2月3日は100回目を迎えます。

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みなべ「九条の会」142回目のピースアピール



 1月14日、東吉田交差点前で142回目のピースアピールを実施しました。10名の参加でした。前日は、北風がとても強く心配をしましたが、朝の冷え込みは強かったものの、風がなく穏やかな天候となり良かったです。
 ここのところ、アピールの音声は録音したものを使っていたのですが、以前のように参加者がマイクを握り自らの声でアピールしました。

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【九条噺】

「キックバック」という言葉が連日新聞・TVに出て来る。英語で書けば「kick back」。直訳すれば「蹴り返す」。スポーツ用語でなく、「リベート」のような意味だとか▼ビジネスの世界では、自分の商品やサービスを取り扱ってくれる販売店に販売を奨励する目的で渡す「謝礼金」「報奨金」のことで、「一定期間内に一定数量以上の販売を達成した場合、売上金額の何%かを販売奨励金として戻す」といった内容の契約を販売店側と約束しておくことで行われるという▼政治資金パーティーは政治団体(今回は自民党の派閥)が活動資金を得るために開く。政治資金規正法は収入から経費を差し引いた残額を政治活動に充てることを認めているが、1回のパーティーで20万円を超す支払いを同一の個人や法人などから受けた場合は、政治資金収支報告書に支払った側の名前や住所を記載しなければならない▼パーティー券は通常1枚2万円。1人(1社)で1枚買うこともあれば複数枚買うこともあり、販売枚数と購入者数の比率は年によってばらつきがあるのは当然だ▼安倍派はここ数年、パーティー券の販売枚数に対する購入者数の割合が0・675と毎年同じになっていることが分かった。政治資金収支報告書に架空の購入者数を記入、つまり適当に過少記載して実態をごまかし、キックバックを増やして、それが議員の裏金になっていたようだ▼政治資金パーティーも含め、企業・団体からの政治献金は全面禁止とすべきだ。(南)

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激震走る自民党派閥の裏金疑惑
弁護士・宇都宮健児氏(『週刊金曜日』編集委員)




 自民党派閥の政治資金パーティをめぐる収入の過少記載や裏金疑惑が発覚し、自民党と岸田政権に激震が走っている。
 とくに自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)は、直近5年間でノルマを超えてパーティ券を販売した所属議員にキックバック(還流)した裏金の総額が約5億円に上るといわれている。いずれも派閥や議員側の政治資金収支報告書には収支の記載がないといわれているので、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)となることは明らかだ。
 岸田文雄首相はこの問題の対応策として当初各派閥へのパーティ自粛の指示、自身の岸田派離脱を打ち出したが、最近では安倍派所属の閣僚や副大臣、党幹部を交代させる方向で調整に入ったといわれている。
 現行の政治資金規正法は、政治家個人への献金は「賄賂」になりやすいので、企業・団体献金を受けられる政治団体を政党と政党の政治資金団体、政党支部に限っている。ところが、政治資金集めのパーティ券は、派閥や議員個人の政治団体でも企業・団体に購入を求めることができる。そして、パーティ券の大半は企業・団体が購入しているのが実態といわれている。
 リクルート事件をはじめとする政治腐敗を解消する目的で1994年に成立した政党助成法による政党助成制度は、企業・団体献金を制限するかわりに政党に対し、国が助成する制度である。
 助成金の総額は国民一人あたり年間250円で決められた額で、2023年の政党交付金の総額は約315億円であり、自民党にはこのうち約159億円が、立憲民主党には約68億円が交付されることになっている。政党助成制度は、企業・団体献金の廃止をにらんだものであったが、前述したとおり政党や政党の政治資金団体、政党支部への企業・団体献金は残された。そして今回問題となっている政治資金パーティの実態は、形を変えた企業・団体献金となっているのである。
 国民の政治不信は極限に達している。岸田首相は、この問題に正面から取り組むべきだ。安倍派所属の閣僚や党幹部を交代させるだけでは問題の解決にならないことは明らかだ。企業・団体によるパーティ券の購入を含む政治献金の全面禁止、収支報告の透明化、罰則の強化など政治資金規正法の抜本的な改正に乗り出すべきだ。
(『週刊金曜日オンライン』23年12月22日付より)

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言葉 イスラエルの「ガザ侵攻」

 イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃は大きな犠牲をもたらし、ますます深刻さを増している。そもそもパレスチナ問題・「ガザ侵攻」とは何なのか。
 2世紀にローマ帝国に敗れて世界に離散したユダヤ人は19世紀以降、パレスチナを「約束の地」とみなして移住を進め、そこに住んでいたアラブ系のパレスチナ人と対立してきた。1947年、イギリスの委任統治下にあったパレスチナを▽ユダヤ人国家▽アラブ人国家▽国際管理地区(エルサレム)の3つに分割する決議が国連総会で行われた。これに基づき、翌年にユダヤ人国家としてイスラエルが建国宣言をしたが、人口で3分の1のユダヤ人に57%の地域を与えるというものだった。パレスチナ人やアラブ諸国はこれを容認せず中東戦争が勃発した。4回の中東戦争を経て、米国の支援を受けるイスラエルは徐々に占領地を広げ、多くのパレスチナ人が難民となった。というのがパレスチナ問題だ。
 1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が調印したオスロ合意により、ヨルダン川西岸とガザ地区はパレスチナ自治区となった。イスラエル軍は境界を管理。ガザは「天井のない監獄」と呼ばれる。
 ハマスは2006年のガザ議会選挙で過半数を獲得、ハマス主導の自治政府が成立した。ハマスはイスラム教の教えを厳格に守り、ガザ地区を中心にパレスチナ解放を訴えている政治勢力だ。ハマスの武力行使は容認できないが、それを名目に非情な「ガザ侵攻」を続けるイスラエルを容認することはできない。
 イスラエル軍によるガザへの空襲や地上侵攻で、既に2・3万人以上の死亡が発表されている。国際人道法は武力紛争の際の原則や規則を網羅したもので、ジュネーブ諸条約は、民間人を攻撃対象とすることを禁じ、また、軍事目標に対する攻撃でも巻き添えによる民間人の死傷が過度となることは「無差別攻撃」として禁止されると規定している。岸田政権はアメリカに追従するのではなく、憲法9条をもつ国として恒久的停戦に最大限の努力をするべきだ。



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書籍紹介 『中村哲という希望』



今、戦争の足音が聞こえてくる時代に、中村哲医師の平和主義こそが私たちの希望となる----。
評論家・佐高信とジャーナリスト・高世仁が、“日本国憲法を実行した男”中村哲を縦横無尽に語り合う。
【目次】
第1章 戦わないために闘う
第2章 テロリズムとグローバリズム
第3章 「義」に生きる
第4章 平和とは戦争がないことではない
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著者・編者:佐高信・高世仁
判   型:220ページ
定   価:1,600円+税
発売年月日:2023年12月25日
出 版 社:㈱旬報社
電話03-5579-8973/FAX03-5579-8975

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