「九条の会・わかやま」 507号 発行(2024年5月25日付)

 507号が5月25日付で発行されました。1面は、死にたくなければ政治家を選べ 「We Love 憲法」で前泊博盛氏講演、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第20回総会開催 小松浩氏が記念講演、九条噺、2面は、第119回「ランチタイムデモ」実施、みなべ「九条の会」146回目のピースアピール、朝日新聞世論調査(5月21日・岸田内閣支持率) です。
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死にたくなければ政治家を選べ
「We Love 憲法」で、前泊博盛氏講演




 5月18日、和歌山市プラザホープで開かれた「We Love憲法」集会で、前泊博盛氏(沖縄経済大学教授)が「標的の島沖縄からの警鐘~異次元の軍拡と日米安保~」と題して講演をされ、沖縄での大軍拡の実態、対中強硬論の危険性などを述べ、戦争しない政治への転換を次のように訴えられました。
 岸田内閣は2022年12月「安保3文書」を「閣議決定」し、23年度から5年間に43兆円(GDPの2%)の「異次元の軍拡」を始めた。23年度だけで前年比3倍の8千300億円もの弾薬を発注・製造・貯蔵した。さらに踏み込んで24年4月の日米首脳会談で、有事に自衛隊が米軍の指揮下に入ることを宣言した。
 沖縄では、米海兵隊辺野古基地が国の「代執行」で建設を強行され、辺野古弾薬庫や嘉手納弾薬庫で核貯蔵庫建設の動きが指摘される。自衛隊の「南西諸島シフト」でミサイル部隊配備や軍事施設強化が進められ、復帰後52年間で自衛隊施設は3ヵ所から56ヵ所に増えた。施設工事や隊員・家族関連の新しい公共事業と期待したが、ミサイル部隊は敵攻撃の標的になるため家族は来ず失敗。米軍再編の中で駐留米軍は常駐なき巡回型になり、自衛隊を沖縄に貼り付ける。核兵器の沖縄配備の危険もある。
 台湾有事と言うが、アメリカはロシアと中国の封じ込めの手段に、ロシア人同士(ウクライナとロシア)、中国人同士(台湾と中国)の殺し合いを利用する。中国が台湾進攻をするとすれば「①争乱、②独立の動き、③米日などの干渉」の場合だ。アメリカの干渉こそ危険だ。在日米軍の地位協定は、日本の対米従属の深さを表す。同じ敗戦国のドイツ、イタリアさえ米軍基地を主権の下に置くが、日本は主権がない。沖縄では米軍ヘリが小学校の上を飛ぶことや、水源汚染に抗議できない実態だ。
 大学生と討論した米軍基地の指揮官は「我々は国民の生命と安全のため努力しているが、政治家が殺し合いをさせる。死にたくなければ政治家を選べ」と語った。戦争しない政治をする政治家を選ばなければいけない。
(柏原)

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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第20回総会開催
小松浩氏が記念講演


 「守ろう9条 紀の川 市民の会」は5月12日、和歌山市・河北コミュニティセンーで第20回総会を開催しました。
 総会では、立命館大学教授(憲法学)で「京都憲法会議」幹事の小松浩さんが、「大軍拡、戦争に向かう国にしていいのか~憲法9条を生かした平和外交を~」と題して講演をされました。


(原通範代表の挨拶)

 開会に当り代表の原通範さんは、「岸田首相は、自衛隊は米軍と独立していると言っているが、自衛隊が米軍の指揮下に入って、シームレスで一体となり米軍の司令の下に統一された戦争体制を作り上げようとしている。戦闘機も開発し輸出も加速することになってきた。憲法改正をする前に戦争をしていくようになってきている。戦争阻止は2024年の私たちの戦争阻止の声にかかっている」と挨拶されました。



 続いて、記念講演に移り、馬場潔子さんが講師プロフィールを紹介しました。小松浩さんは用意されたレジュメに沿って約1時間30分の講演をされました。


(小松浩氏の講演)

 講演の概要は、「今年4月の日米首脳共同声明は、未来のためのグローバル・パートナーと、かつてないレベルに引き上げ、敵基地攻撃能力保有、軍事費2%への引き上げを歓迎している。22年12月の安保3文書は安保政策の大転換なのに国民の意思を問うていない。敵基地攻撃能力の保有は専守防衛に反する大転換なのに憲法問題はスルーしている。個別的自衛権の行使として敵基地攻撃を言うが、何時をもって相手国のミサイル攻撃が発生したと立証できない。にもかかわらず攻撃すれば、先制攻撃=国際法違反となる。本当に危機はあるのか。中国とは尖閣問題はあるが、日本と戦争をしたいのか。北朝鮮は日本に向けてミサイルを撃っている訳ではない。集団的自衛権は国連憲章51条で認めてはいるが、「他衛」権だ。ありそうに見えるのは「台湾有事」だが、存立危機事態として日本が参戦すれば、アメリカの戦争に日本が巻き込まれ、南西諸島が攻撃され、ひいては全土が攻撃されることになる。攻撃されないためにはどうするかは外交努力しかない。1949年の世界人権宣言は「平和のための人権・民主主義」と言っている。「平和こそが人権の基礎」「人権としての平和」を守りたい。維新による改憲のあおりなど危険な側面が続いている。民意が国会に届かないのは小選挙区制のせいだ。9条擁護のためにも選挙制度改革を位置づける必要がある」と語られました。(講演要旨は次号以降に何回かに分けて掲載を予定しています)


(議長の宇田ともえさん)


(萩田信吾さんの活動報告)

 続いて、宇田ともえさんを議長に選出し総会議事に移り、萩田信吾さん(事務局長)から、「2023年度の活動報告」と「決算報告」がありました。「活動報告」では、「第19回総会」と「第20回憲法フェスタ」についての報告、会員拡大や署名・宣伝活動などについて報告がありました。続いて金原徹雄さんから「私たちを取り巻く情勢」の報告があり、原通範さんからは「2024年度取り組み課題」「予算案」の提案と「運営委員」の推薦があり、いずれも承認されました。最後に金原徹雄さんの閉会挨拶があり、総会は無事終了しました。


(金原徹雄さんの閉会挨拶)

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【九条噺】

 4月の日米首脳会談で、岸田首相が国賓待遇でもてなされたためかどうかは知らないが、膨大な日米の軍事協力が盛り込まれた日米軍事同盟の歴史的な大変質の方針が打ち出された。中国との覇権争いのために、「グローバルパートナー」と称して日本を主力に位置づけ、本格的に中国との覇権争いに動員する狙いだろう▼その最重要項目は、米軍・自衛隊の司令部機能の強化だ。「平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能とするため」に「それぞれの指揮統制枠組みを向上させる」としている▼そのキーワードは「シームレスな統合」だ。これは、「平時」から「有事」まで、あらゆる段階で切れ目なく、事実上、一つの軍隊として行動することを意味している。「シームレスな統合」を進める上で、自衛隊が装備面でも情報面でも、圧倒的な実力を持つ米軍の事実上の指揮下に組み込まれることになるのは不可避だろう▼日本が導入を決めた敵基地攻撃能力の運用にあたり、攻撃目標を定めるための情報は米側に頼らざるをえない▼従来、日米の軍事的役割は「矛」と「盾」と言われてきた。「矛の米国には他国領土攻撃を委ね」、「盾の日本は専守防衛に徹する」だった▼ところが今、日本は「矛」の役割まで押し付けられようとしている。事実上の統合司令部化が進んだ際、こうした戦争への動員を日本が拒否できるのか。日本はこれまで米国の戦争に一度たりとも反対していない国だ。(南)

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第119回「ランチタイムデモ」実施



 5月22日、「プレ10周年」となる119回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、60人の市民が参加しました。
 コーラーは重藤雅之弁護士で、「憲法壊すな、憲法守れ」「戦争ない国子どもに残そう」「憲法9条子どもに残そう」などのコールで京橋プロムナードまで先導しました。
 次回(6月24日)は、いよいよ2014年6月23日に160人の参加者で、第1回ランチタイムデモを行った記念すべき「10周年記念デモ」となります。
 「目指せ120人!」「目指せ160人!」を合い言葉に、是非周りにお声がけいただき、ふるってご参加くださいと主催者は訴えています。

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みなべ「九条の会」146回目のピースアピール



 5月12日、みなべ「九条の会」は146回目のピースアピールを実施しました。朝からどんよりとした天気で、実施できるか心配していましたが、アピール中時々雨がぱらついたものの、予定通り11時前まで道行く皆さんに訴えることができました。終了直前にたまたま通りかかった芳養九条の会(田辺市)の会員の方も記念撮影に参加してくれました。

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朝日新聞世論調査(5月21日)



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(2024年05月24日入力)
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