「九条の会・わかやま」 511号 発行(2024年07月13日付)

 511号が7月13日付で発行されました。1面は、若者憲法集会開催 デモには1200人 東京・銀座、仲代達矢さん 空襲の体験を語り戦争反対を訴える(2)、九条噺、2面は、“うれしい出来事”、言葉「小選挙区制」、書籍紹介『小選挙区制の弊害』中選挙区連記制の提唱  です。
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若者憲法集会開催 デモには1200人
東京・銀座 日本を戦争国家にするな




 岸田政権による「戦争国家づくり」に反対し、憲法を生かした政治の実現を求めて6月30日、「若者憲法集会2024」が東京・有楽町・朝日ホールで、約800人が参加して開催されました。集会のメイン企画では、九条の会事務局長・小森陽一さんが講演、関連企画が行われました。
 集会後、銀座で行われた「若者憲法デモ」には全国から集まった1200人の参加者(主催者発表)が、「軍事費ではなく教育・福祉を」などのプラカードを掲げながら、リズムにのせて「日本を戦争国家にするな」「憲法変えるな憲法生かせ」と声をあげました。沿道から手を振る人やスマホを向ける人など、大きな注目を集めました。
 北海道の大学生は、政府は社会保障や教育にお金をかけずに軍事費を増やしており、国民を見ていないと指摘。「全国の青年の話を聞いて、自分の地元でも頑張りたいと思った」と話しました。
 栃木県の青年は、政府が混迷する世界情勢を利用して軍事力を増強する道に踏み出そうとしていることに黙っていられなかったと強調。「参加して、決して悲観してはいけないと思った」と話しました。
 愛知県の大学生は、敵基地攻撃能力の保有や大軍拡が平和につながるとは思えないと批判。「誰かの犠牲の上に成り立つ平和を私たちは望んでいない。私たちには平和のうちに生きる権利がある」と訴えました。
 大阪府の青年は、子どもやお年寄りが犠牲にならない戦争はないと、ウクライナやガザへの侵攻で改めて分かったと指摘。「多くの人が夢や希を突然に奪われた。憲法9条を持つ日本が平和の先頭に立つべきだ」と語りました。



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仲代達矢さん、空襲の体験を語り戦争反対を訴える(2)

 俳優の仲代達矢さんが12歳の時に体験した山の手空襲を語り、戦争反対を訴えられています。「東京新聞5月21日付」の記事を2回に分けてご紹介します。今回は2回目。



◆戦争で命を落としたのは兵隊だけではない
 少女と会った場所は定かではないが、青山学院大を過ぎて渋谷駅へ向かう途中だったと記憶している。「手をつないですぐ焼夷弾が『バーン』と。急に軽くなって手だけになっていた」と思い返す。「捨てちゃったんですよね。せめて手だけでも手厚く葬ってあげられていたら」と後悔を口にした。
 たくさんの人たちが亡くなる中で、生き永らえていることを申し訳なく思うこともあったという仲代さん。「もらった命、余命なんだと。命ある限り、燃やしたい」と演劇に打ち込んできた。キャンパスから出てくる学生たちを見つめながら、「絶対に戦争の犠牲にはなってほしくないですね」とうなずいた。
 仲代さんは今春、空襲による障害者への一時金や実態調査を柱とする救済法の制定を目指す「全国空襲被害者連絡協議会」に賛同。「軍人関係などには恩給が出ていて、民間人はその対象にならないというのは、被害者を無理やり線引きするところがあり、納得できない」とする文章を寄せた。
 「来年は戦後80年。空襲被害者がこんな状態に置かれているのは本当に情けない」とする仲代さん。そのきっかけは山の手空襲の体験といい、「兵隊として出向いて命を落とした人だけが被害者ではない。私たちも雨あられのように降る焼夷弾の中を逃げ、多くの人が死んだ」と強調した。
◆91歳「命ある間に…」の思いは切実に
 文章を出した理由をあらためて尋ねると、「私も90歳を超え、あと何年という年齢になってきた。空襲で被害に遭った方と同じです。『命がある間にこれだけはやっておきたい』との思いが切実に迫っているんです」と胸中を明かした。
 出演したNHKドラマ「大地の子」で題材となった中国残留孤児にも触れ、「自らなりたくて、なったわけではない。国の『戦争』という政策が生んだ。空襲被害者も同じです」と訴えた。「当時は女性に選挙権がなかった。国民が国を選んだとの理屈は通らない」とも説く。
「これだけはやっておきたい」ことのもう一つが、名誉館長を務める能登演劇堂(石川県七尾市)で10月に予定する『肝っ玉おっ母と子供たち』の上演だ。
 独のベルトルト・ブレヒトの作品で、1988年、2017年に続く3度目となる。軍隊相手に行商をしながら生きる3人の子の母親が主人公で、戦争に行かせたくない一心で行商をするものの、3人の子は結局戦争の犠牲になる。それでも、戦争を相手にした商売をやめられない悲哀を込めている。
◆伝えたいことは「戦争反対」そして「和顔愛語」
 能登半島地震の影響で延期になる可能性もあるが、「平和の尊さ、どんな苦境でも力強く生きるたくましさを感じられると思う。被災して心を痛めている方々にも来てもらいたい」と話した。
 ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦争に終わりは見えない。演劇を通して「反戦」を訴え続けてきた仲代さんは「戦争だけは絶対に参加しない方がいい。一番被害を受けるのは、殺し合いをさせられる市民ですからね」と語る。
 南青山での取材を終え、世田谷区の閑静な住宅街にある「無名塾」まで見送った。いま改めて世の中に一番伝えたいことを尋ねると、間髪入れずに「戦争反対です」。そして、最近気に入っている言葉として「和顔愛語(わげんあいご)」を教えてくれた。仏教の言葉で、和やかな顔で愛情ある言葉で人に接することを説いているそうだ。
 「人には優しくする。戦争って恨み言から始まるから。甘い考え方かもしれませんが、一人一人がそんな行動を取れたら、戦争なんて起きないんじゃないのかな」。(おわり)

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【九条噺】

 面白いアニメ動画を紹介された。かわいい猫やひよこが「介護予防、歩こう、動こう」と歌い踊る「シニアサンバ」という題で、郷ひろみ「お嫁サンバ」の替え歌だ。この年齢になると身につまされる歌詞で、紹介してくれた太極拳サークルのメンバーの意図が良く分かる▼その一節で「減らさないで俺の年金。政府はいつもミステリー。増やさないで医療費負担。これ以上は払えません」と声を上げているのに、強く共感した▼そこで『年金者しんぶん』特集号(6月15日)を手に取って勉強してみた。全日本年金者組合政策委員会委員の廣部正義氏の寄稿「年金積立金の活用で物価上昇を上回る年金増額はできる―『運用益』を国民に還元せよ」が内容だ▼2021年度の積立金残高は約246兆円。資産運用額は224・7兆円で、収益額は年間約6兆円。この収益から年金給付に繰り入れられたのは、厚生年金へ年平均9千346億円、国民年金へ年平均1千735億円だ。この収益を活用すれば保険料負担軽減や物価上昇を上回る年金額引き上げが可能だと言う▼24年度に年金支給額は2・7%引き上げられたが、「マクロ経済スライド」により、物価上昇率、名目賃金上昇率より低く調整され、実質は目減りだ。介護保険料など引かれる物は増える。「マクロ経済スライド」の効果は21年度330億円に過ぎず、廃止しかない。年金積立金残高を取り崩せば廃止できる▼年金目減りの岸田大軍拡ストップで健康な老後を。(柏)

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“うれしい出来事”



 嵯峨嵐山駅、遅い桜も散った4月中旬。世界中の観光客が駅舎から溢れ出てくる中、私たちはその日も定例の9条宣伝をしていました▼そこにトコトコと近づいてきたインドネシアからの留学生(上の写真)。「一緒に宣伝に加わってもいいですか?」とにっこり。「このプラカードは自作で、いつも持ち歩いていて奈良、大阪、京都でこうした行動があると参加しています」と▼「日本は広島、長崎、沖縄の上陸を経験しているのに何故アメリカの言いなりなの?軍事費にどうしてお金を沢山出すの?」彼女は日本語が堪能で真っ直ぐな質問を私たちに投げかけ、30分間宣伝に加わってくれました▼この日も多くの観光客が私たちの訴えを見て聞いて共感のポーズを示してくれます。子ども連れの母親は「この子も署名できますか?」と▼肌の色も国籍も違う私たち、言葉も通じない中での一期一会ですが、こうして『戦争はダメ!』と意思を伝え合い共感し、嵐山の地で笑顔を交わしていると思うと細胞が踊り出すような感動がありました。(A&K)(【京都】「嵯峨・広沢・嵐山9条の会ニュース」6月号より転載)

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言葉「小選挙区制」

 小選挙区制は狭い選挙区で1人だけ当選する制度だ。導入されて30年が経った。金権政治打破と二大政党制の実現が主な目的だと言われた。  当時の中選挙区制はやや広い選挙区から3~5人の当選者を選出するので、自民党内で争いが起り、派閥を中心とした金権政治を生んだと言われた。小選挙区制では、自民党候補者同士の争いは起きず、政策本位、政党本位の選挙が行われ、政権交代が容易になるという主張もされた。
 しかし、小選挙区では政党助成金を党が配るため、党の代表や幹事長に権限が集中し、機嫌を損ねると公認やポストがもらえず、意見が違っても反対し難くなり、一強と言われる安倍政権のような形になった。二大政党制も実現できなかった。
 小選挙区制では一位なら30%の得票でも当選し、残りの多数の票は無視される。多数の死票が出るのは、制度導入以前から指摘されていた。自民党は半数以下の得票で6割の議席を獲得している。民意を反映した政権交代は、この制度でより遠のいている。
 国会議員は、国政の審議に当たる職責を担う者で、小さな地域の代表者ではない。民意を国会議員の議席に反映させるのは比例代表制しかない。

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書籍紹介 『小選挙区制の弊害』中選挙区連記制の提唱



なぜ、経済の劣化、社会の劣化、家庭の劣化に有効な対応が出来ない政治になってしまったのか!?
 政治家の劣化を生んだ小選挙区制度の欠陥を明らかにし、政治の大転換を促す新たな選挙制度を提言する!
 小選挙区制の導入から30年。自民党の長期政権を生んだ小選挙区制変える「中選挙区連記制」を具体的に示した初めての書。
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著者:田中秀征(細川護熙政権首相特別補佐、元経済企画庁長官、福山大学客員教授)
判型:四六判 172ページ
  定価:1500円+税
発売:2024年5月30日
出版:旬報社 TEL:03-5579-8973 FAX:03-5579-8975

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(2024年07月12日入力)
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