「九条の会・わかやま」 512号 発行(2024年08月03日付)

 512号が8月3日付で発行されました。1面は、第121回「ランチタイムデモ」実施、憎しみは憎しみを生む。戦争の犠牲者は「殺された人」「遺族」「殺した人」だ(ダニー ネフセタイ氏)、時事通信世論調査(7月12日)岸田内閣支持率、九条噺、2面は、「和歌山市ひがし9条の会」が第17回総会開催、「解釈改憲」から10年 訴訟全国ネットワークが院内集会、みなべ「九条の会」147回目のピースアピール  です。
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第121回「ランチタイムデモ」実施



 酷暑の7月23日、先月「10周年記念デモ」を成功させた「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、40人の市民が参加しました。
 コーラー担当は阪本康文弁護士でした。「集団的自衛権は憲法違反」「憲法9条を守る政府を作ろう」「平和憲法を未来に」「子どもたちに平和憲法を残そう」などのコールで、行進をリードしました。



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憎しみは憎しみを生む。戦争の犠牲者は「殺された人」「遺族」「殺した人」だ



 7月27日、プラザホープ(和歌山市)で「平和のための戦争展わかやま2024」が開催され、ダニー・ネフセタイ氏(1957年イスラエル生まれ。空軍で3年間兵役を務める。1979年退役後、アジアの旅に出て日本各地を旅する。日本語を深く勉強し、神奈川県の家具会社に勤める。その後埼玉県皆野町に引っ越し、現在は注文家具、遊具、木工小物などを製作。戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、活動を続けている)が、講演「なぜ戦争は起こるのか~対話から考える平和の道」で次のように話されました。
 高校卒業して徴兵制(男女とも)でイスラエル軍入隊。エリートの戦闘機パイロットを目指すも訓練で失格、悲しかったが今考えると幸運だった。退役後アジアを回って日本に定着し、家具職人修行して木工房を営む。「平和・脱原発など世の中を良くすることも、次世代に渡せる物づくりも共通」と気づき、学んだ日本語を生かして講演や著作も行っている。
 ガザの惨状は、今回ハマスのテロ攻撃に反撃して始まったとイスラエルは言うが、根深い歴史がある。ユダヤ人がローマ帝国に負けて流浪し、ナチスによるホロコーストに遭う。生き残った人々がシオニズム運動でパレスチナに祖国回復を求めて移動した。そこにはアラブ人がいた。数度の中東戦争を経てイスラエル(ユダヤ)が領土を拡大し、アラブはイスラエル領内のパレスチナ自治区(ガザとヨルダン川西岸地区)に封じ込められた。イスラエルの教科書の地図には西岸地区の境界が示されずイスラエルの一部と錯覚する。「入植」と言うがアラブ人の土地を奪ってユダヤ人の農地にしている。農作業するアラブ人に石を投げたり、大切な木を切ったりの嫌がらせが横行する。イスラエル軍の力が背景にある。西岸地区はいたる所で武装イスラエル兵士が警戒し市民を逮捕する。逆にイスラエルの横暴に対して、パレスチナ側の自爆テロや簡易ロケット弾攻撃がしばしば行われて来た。しかし衝突でイスラエル人が死んだり人質になると、イスラエルが数倍のアラブ人市民を殺す報復が繰り返されてきた。
 日本に来て考えたことは、「自分が憧れた戦闘機は、人殺しと物を破壊するしかできない機械」「軍隊は、①良い側(味方)悪い側(敵)を差別、②上の命令に従う、③解決は武力」ということ。私がイスラエルの戦闘機乗りになっていたら上の命令で子供のいるビルを爆撃したかもしれない。
 テロ行為は武力では止められない。憎しみは憎しみを生むからだ。戦争の犠牲者は「殺された人、遺族、殺した人(PTSD)」だ。それは「戦争という時、政治家の誤判断、プロパガンダ」の犠牲だ。
 武力以外の解決はできる。1978年にサダト(エジプト)、カーター(米)、ベギン(イスラエル)が握手した(後にノーベル平和賞)。戦争は永遠に続く気がするが、やめれば何故争ったか思い出せない。50年前はガザのフェンスは無く自由に行き来できた。1998年にガザ市とテルアビブ市の姉妹協定が結ばれた。こう話すと「戦争は人間の本能では? 抑止力は必要」と質問される。歴史の授業は戦争の歴史が多いせいだ。しかし、世界で戦争している国は2~4%で他は戦争していない(第1次・第2次世界大戦を除く)。戦争は止められる。
 講演後の質疑応答で、アメリカがイスラエルを支援する理由については、①ユダヤ人に同情、②戦争継続による軍需産業の利益獲得を上げられました。(柏原)

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時事通信世論調査(7月12日)



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【九条噺】

 東京都知事選挙では残念ながら蓮舫氏は当選できなかった▼そのことについて連合の芳野友子会長は、「共産党が前面に出すぎて、蓮舫氏が共産党の候補者のように見えてしまった。票が逃げたのではないか」などと言っているそうだ▼連合傘下の「連合東京」は知事選で小池百合子氏の支援を表明。芳野会長も、小池氏について「全体的に連合東京の政策に理解をいただき、評価できる。関係性も良いのではないか」などと絶賛していた。そんな人間が対立候補の選挙結果についてとやかく言う資格はないし、全く失礼な話だ。立憲・岡田克也幹事長も共産党との連携が「足を引っ張ったとは思っていない」と述べている▼二位になった石丸伸二氏は「既存政党に属さない人間が東京の知事になれば世界が一変する」などと訴えたが、具体性は何もなく、ボランティアとともにSNSやライブ配信を通じて「顔」を売ることだけに専念した▼SNSに罪はなく、便利なツールであるが、要は、上手に使いこなすのも、踊らされるのも私たち人間だ。私たちひとりひとりが意識して、フィルターバブル(インターネットの検索エンジンにより、利用者が望む情報ばかりが選択的に提示されて、望まない情報から遠ざけられ、思想的に社会から孤立する現象)の壁を打ち破っていかない限り、石丸氏のような候補者が当選してしまう▼今回は当選に至らなかったが、我々は真面目に地道に政策を訴えていかなければならないだろう。(南)

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「和歌山市ひがし9条の会」が第17回総会開催

 「和歌山市ひがし9条の会」は6月29日、東部コミュニティセンターで第17回総会を開催しました。



 オープニングでは紙芝居「のばら」を観ました。原作は、102年前に小川未明が書いた作品ですが、大きい国がいきなり小さい国を攻めるという内容が、今とそっくりなことに不安を感じました。
 続く総会では、高齢化で会員が減少する中、加入の呼びかけが緊急の課題となっていること を確認しました。
 記念講演は、「戦争と日本のジェンダー」で、講師は日野のぞみさんでした。「ジェンダー」とは政治的に作られた性差で、固定的な思い込みや偏見がまわりにあふれている。「イクメン」や、「山ガール」と言っても「山ボーイ」とは言わない。男女で「対(つい)の言葉」がないものは要注意とのことでした。
 日本の男女平等の達成率は146カ国のうち118位で、特に政治・経済面で遅れているという報道はよく見聞きしています。
 日本のジェンダーの歴史を古代から現代まで、わかりやすく説明をされました。現在の家庭内でも家事労働は女性中心になっており、男性も生活技術を身につけて(一人残された時困らないように)家庭内での民主主義の確立を! 「生活技術の獲得は自己の解放」、この言葉を皆で考え、実践していきたいと思います。

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「解釈改憲」から10年 訴訟全国ネットワークが院内集会
とりもどそう 立憲主義と平和憲法!




 2014年7月1日、安倍内閣はこれまで認められなかった他国のための集団的自衛権の行使が容認されるとする閣議決定を行い、国会を無視し憲法改正手続きも経ないまま解釈改憲を強行しました。あれから10年。7月10日、「安保法制違憲訴訟全国ネットワーク」と「総がかり行動実行委員会」は参議院議員会館講堂で、「市民集会 とりもどそう立憲主義と平和憲法」を行いました。立憲民主党の福山哲郎参議院議員、日本共産党の山添拓参議院議員、社会民主党の福島瑞穂参議院議員、立憲民主党の小西洋之参議院議員があいさつしました。
 基調報告を伊藤真弁護士が行いました。「党派性に縛られることなく、空前の規模で多様な国民・市民が立ち上がり支えてきた。裁判を通じて、裁判官にその役割を訴え続けることができた。法令違憲判決はないが、明確な合憲判決も出させていない」と、訴訟の到達点と課題を指摘。「必要なこととなすべきこと」として、「敗訴判決はけっして運動の負けではない。諦めたらそこで終わり。どこまでも諦めずに声を上げ続けることが重要」と指摘しました。「過去の日本の戦争、ウクライナ、ガザの戦争から教訓を得て、平和憲法の理念をいかすことこそが、この国にとって最も現実的な未来であることを訴え続けていかねばならない」と強調しました。

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みなべ「九条の会」147回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は、7月20日午前10時から約2カ月ぶりにピースアピールを東吉田交差点で実施しました。梅雨がまだ明けてもいないのに、真夏のような太陽の日差しを受けながら、道行く人や車に憲法の大切さを訴えました。とても暑かったのですが、日陰に入ると風が少しあり助かりました。いつもは1時間の行動ですが、熱中症になっては大変と、少しだけ早く切り上げ、参加者で集合写真を撮り、ピースアピールを終えました。

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(2024年08月01日入力)
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