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[本文から]
年頭に当たり
「九条の会・わかやま」呼びかけ人・副島昭一さん
今私たちの住む世界はどこに向かっているのでしょうか。イスラエルはガザ地区パレスチナ人に対し不法・残虐極まりない虐殺を繰り返し、これに対する国連の決議や国際司法裁判所の決定を無視し続け、米国はイスラエル支持と武器援助を続けています。これに対する国際的制裁能力は失われていますが、この力を失わせている元凶は米国およびヨーロッパ諸国のイスラエル支持政策です。第二次世界大戦後培われてきた世界の平和維持機能は今重大な局面を迎え、国際的法秩序の崩壊ともいえる様相を見せています。その中で日本は唯一の被爆国、そして平和憲法を持つ国としての役割を果たしているのでしょうか。
世界の国々の国内政治については民主主義的形式を通じて独裁政権への移行の傾向を見ざるを得ません。米トランプ政権は行政のみならず、司法も支配下に置こうとしています。この点では習近平やプーチン政権と共通な面を持ち始めていると見なせましょう。日本でも安倍政権がその性格を持ち始め、菅、岸田政権でこの傾向は強まっていましたが、昨年の総選挙の結果は政府与党が過半数を割りこの動きに一定の歯止めをかけるとともに、改憲勢力が3分の2を下回ったことは改憲反対の立場からみると大きな成果でした。しかし野党がすべて改憲反対でまとまっているわけではなく引きつづき警戒が必要でしょう。
民主主義の形骸化の危険は常にあります。ヨーロッパ諸国も経済の停滞を背景に極右勢力が台頭し、移民排斥=排外主義の流れが生まれています。この動きの中にも独裁への予兆を感じます。韓国の非常戒厳令も独裁化への動きでしたが、韓国民衆はこれを阻止しました。抗議に集まった多数の人々の姿を見て、韓国に根付いている民主主義の底力を強く印象づけられました。日本被団協のノーベル平和賞受賞も明るいニュースでした。被団協代表委員の格調高い受賞挨拶は多くの人々に勇気と感銘を与えたと思います。
私は機会があれば各地に建てられた九条の碑を訪ねています。昨年は岐阜県郡上市立正寺、山梨県北杜市、東京都府中市の9条の碑に赴きました。その前にたたずむたびに地域の人々の戦争反対と平和への願いを感じます。
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年賀状
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「9条を守ろう」那賀郡の会が映画会「戦雲」を開催
12月22日には、紀の川市と岩出市の旧6町全てでスタンディング行動
那賀地方の「9条の会」では毎年「9条まつり」を行っていますが、2024年はそれに代わり12月8日(日)に『戦雲(いくさふむ)』の映画上映会を開催しました。
冒頭、今年原水爆の禁止世界大会に参加した青年の報告がありました。韓国での戒厳令発令の直後であったこともあり、「軍隊というものは国民市民にも銃を向けることもありうるのではないかと思った」など、若者の感性の鋭い発言に参加者は勇気をもらいました。ちなみにこの日の映画会参加者の最高齢者は98歳の女性で、「これ(憲法9条)だけは外せないのよ」と語ってくれました。
国会での改憲勢力は過半数を下回りました。憲法9条は平和を脅かす策動に歯止めをかける力があります。草の根からの運動を広げていきたいと思います。映画の後、事務局から行動提起がありました。12月22日、紀の川市と岩出市の旧6町全てでスタンディング行動を行うというもので、参加呼びかけをしました。(事務局・土橋要治さんより)
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【九条噺】
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した▼ノーベル委員会は「日本被団協やその他の被爆者の代表者らによる並外れた努力は、(核兵器は二度と使われてはならないという)核のタブーの確立に大きく貢献した」だが、「だからこそ、この核兵器使用のタブーがいま、圧力の下にあることを憂慮する」と述べた▼「核のボタン」を握るロシア・プーチンやイスラエル・ネタニヤフらにより、「核のタブー」は壊されつつある。日本被団協受賞はそんな時だからと言える▼70年前に作られ、「ふるさとの街やかれ/身よりの骨うめし焼土に/今は白い花咲く/ああ許すまじ原爆を/三度許すまじ原爆を/われらの街に」、2番は「…われらの海に」、4番は「…世界の上に」と筆者らも歌った歌は、今も歌い続けられているのだろうかと思っていたら、日本被団協の田中煕巳代表委員は、「団歌と言っていい」とうれしい説明▼そんな中、石破首相は核兵器禁止条約への署名・批准は「極めて困難だ」と明言した。「拡大抑止を否定するという考えを持たない」と強調し、核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加すら「いかなる役割を果たすことができるかを考えないで、参加するもしないもない」と述べた▼一体どこの国の首相なのかと言いたい。これだけ多くの原水爆被害者を出した日本は、世界に対して核兵器廃絶の行動の先頭に立つべきなのは当然だ。「名誉ある国」にならねばならない。(南)
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太平洋戦争勃発の日 街宣活動
みなべ「九条の会」
みなべ「九条の会」は太平洋戦争勃発の日、12月8日に街宣活動を実施しました。「今日12月8日は太平洋戦争が始まった日です。1941年、日本がハワイの真珠湾を攻撃、泥沼の戦争へと突入しました。この戦争によって、アジア・太平洋地域の国々で2100万人を超す死者を出し、日本でも戦死者と空襲などによる民間人の死者を合わせ310万人が犠牲となったのです。みなべ町でも、清川で83人、高城で75人、上南部で189人、旧南部町で467人、合わせて814人もの方が戦死されています。これは忌まわしい歴史の事実です。今日の日本の平和を考える上で忘れないようにしたいものです。戦後日本は憲法9条によって一度も戦争をしていませんと訴えました。
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第126回「ランチタイムデモ」実施
歳末の、しかも厳しい寒さの中、50人の市民が参加して、126回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われました。
今回のコーラーは海堀崇弁護士でした。前回、突発的な拡声器トラブルのため、先月のコーラーを泣く泣く断念した海堀弁護士の「敗者復活戦」であり、無事ゴールの京橋プロムナードまで、「憲法を壊すな/9条を壊すな」「憲法守れ/9条守れ」「9条を子どもたちに残そう」と元気にコールしながら先導されました。
来月以降の予定は、第127回 2025年1月23日(木)、第128回 2025年2月21日(金)となっています。いつものように正午和歌山市役所前集合、12時20分にスタートです。
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書籍紹介 『被爆者からあなたに』
ふたたび被爆者をつくらないために――被害の実相を訴え続けてきた被爆者たちが次世代に伝えるメッセージ。
Ⅰ 原爆は人間に何をもたらしたか
Ⅱ ふたたび被爆者をつくらないために
・被害者自らの立ち上がり日本被団協結成
・原爆被害者援護法の要求と原爆二法成立
・一九七七年NGO国際シンポジウム――被爆者運動飛躍の契機
・「基本懇」の「受忍」論と「原爆被害者の基本要求」
・核兵器は廃絶するしかない―被団協独自の国際活動
・日本被団協と国連
・「受忍」できない原爆被害―「国家補償」を求めて
・ヒバクシャ国際署名――核兵器禁止条約への道
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著 者:日本原水爆被害者団体協議会 編
判 型:A5判並 88ページ
定 価:680円+税
発売年月日:2021年07月06日
出 版 社:岩波書店 ブックオーダー係
電話 04-2951-5032 FAX 04-2951-5034
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朝日新聞世論調査(12月16日)
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