「九条の会・わかやま」 476号 発行(2023年3月18日付)

 476号が3月18日付で発行されました。1面は、第105回「ランチタイムデモ」実施、「九条の会呼びかけ人」大江健三郎さん死去、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」135回目のピースアピール、、毎月3日のスタンディング宣伝 有田川町・有田市、「おおさか総がかり関西集会」に500人超、【書籍紹介『憲法の破壊者たち』 自民・国民・維新・勝共・日本会議の改憲案を検証する  です
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第105回「ランチタイムデモ」実施



 すっかり春の陽気となった3月15日、回を重ねて105回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が実施され、60人の市民が参加しました。
 天気は良かったものの、風が強く、最後尾から前の方に向かってマイクで発声されたコーラーの声が、途中で「風に吹き消され(?)」前の方まで届かないという思わぬアクシデントもありました。今回のコーラー役は小野原聡史弁護士が担当し、「憲法違反の軍拡反対」「平和外交で日本を守ろう」「トマホークの爆買いするな」など、最新の課題も織り込みつつ、「平和憲法は世界の宝」と訴えました。



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「九条の会呼びかけ人」大江健三郎さん死去

 「九条の会」呼びかけ人・大江健三郎さんが3月3日、死去されました。88歳。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。生前(2014年)に東京新聞に訴えられていたことをご紹介します。(東京新聞2023年3月13日付)



 政府が言う「積極的平和主義」は、憲法9条への本質的な挑戦だ。米国の戦争の一部を担う立場に変えていこうとするために「積極的平和主義」という言葉をつくった。だから、何よりも特定秘密保護法が必要になる。
 集団的自衛権を行使できることを日本の態度とするなら、米国が起こしうる軍事行動に踏みとどまる建前を失う。どういう戦闘が行われるか、戦況はどうなるか。米軍と自衛隊のやりとりは何より秘密でなければならない。秘密保護法を一番要求しているのは米国だろう。
 日本政府は「積極的平和主義」を内外に宣伝している。最初、それは誰にも滑稽な言葉だった。しかし、半年、1年とたつと、国民は慣れて反発しなくなった。政府が国家の方針として提示し続ければ常態となる。市民は抵抗しなくなるということではないか。いま日本は、かつてなかった転換期にあると感じる。
 「積極的平和主義」という言葉に対比すると、いままで日本が取ってきた態度は憲法9条に基づく「消極的平和主義」になる。日本は平和を守るために戦うとは決して言わなかった。軍備を持たない、戦争はしないと世界に言い続けた。平和という場所に立ち止まる態度だ。僕は尊重されるべき「消極的平和主義」だと考えている。
 「積極的平和主義」は言い換えれば「消極的戦争主義」になる。米国の戦争について行く。戦場で肩を組んで行けば「消極的」か「積極的」かは関係なくなってしまう。自衛隊員が1人でも殺される、あるいは自衛隊員が1人でも殺すことになれば「消極的戦争主義」というフィクションも一挙に消えてしまう。憲法9条を残したまま、すっかり別の国になってしまう。後戻りはできない。それは明日にも現状になる。
 僕が12歳のときに憲法ができた。学校で9条の説明をされて、もう戦争も軍備もないと聞いて、その2年前まで戦争をしていた国の少年は、一番大切なものを教わったと思った。自然な展開として、作家の仕事を始めた。9条を守ること、平和を願うことを生き方の根本に置いている。われわれは戦後70年近く、ずっとそうしてきた。次の世代につなぎたい。僕も、すぐ80歳。デモに参加すると2日間は足が痛むが、集会で話すこともする。そのような自分ら市民を政府が侮辱していると感じるから。「戦後の精神」を持ち続ける老人でいたい。

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【九条噺】

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本チームは、ダルビッシュ有、大谷翔平など大リーガーも参加して盛り上がり、3月16日イタリアを下し、準決勝に進出した▼世界的なスポーツ大会では、19年9月のラグビーワールドカップ日本大会と22年11月のFIFAワールドカップ・カタール大会を思い出す▼ラグビーワールドカップ日本大会では日本が格上のアイルランドとスコットランドに勝利しただけでなく、国歌・代表歌を歌う時にマスコットキッズがその国の歌をその国の言葉で歌ったのを始め、スタンドでも日本人が他国の歌を歌って応援した。また豪雨で試合が中止になったカナダ代表は釜石で泥かきボランティアまで行った▼FIFAワールドカップでも日本は、強豪ドイツ、スペインに勝ち、予選を突破したが、決勝トーナメントでクロアチアにPK戦で敗退した。試合後、三苫選手が号泣するのを見て、筆者も涙が出た▼国際大会の主催者団体は、オリンピックはIOC、ラグビーはワールドラグビー、サッカーはFIFAで、個々の国やチームから独立した団体が実施している。ところがWBCはMLB(大リーグ)とMLB選手会が作ったアメリカの団体が実施し、大会収益の66%がMLBに行くという▼そこを改善し、全力を尽くして戦っている各国の選手や必死に応援している各国のファンのためにも、真に世界に認められる「ワールド大会」の名にふさわしい大会にしてもらいたいものだ。(南)

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みなべ「九条の会」135回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は3月4日、岸田内閣の敵基地攻撃能力保有や軍事費増額反対を訴えようと、135回目のピースアピールをスーパー前で実施しました。  「岸田内閣は敵基地攻撃能力を持とうとしています。これは『専守防衛』を投げ捨て、先制攻撃をするものです。そして軍事費を今の2倍の5年間で43兆円にするため増税しようとしています。これでは我々のくらしも経済も立ちいかなくなります」と訴えました。



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毎月3日のスタンディング宣伝
有田川町・有田市




 和歌山県有田川町吉備と有田市箕島で3月3日に恒例の毎月3日のスタンディング宣伝が行われました。今回は有田市箕島にも広げて実施したものです。吉備では参加者33人が吉備庁舎下の交差点で、箕島では27人が参加し、合計60人の参加となりました。今回は初めて参加した人も数名ありました。箕島は九条の会や新婦人の会有田市支部の呼びかけで参加した人が多かったようです。日本共産党の小西敬民市会議員がマイクを持って道行く人に訴えてくれました。少し風が冷たかったのですが、いいお天気で日差しに春を感じながらの宣伝行動になりました。(有田共同センター・五島栄次さんより)



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「おおさか総がかり関西集会」に500人超



 2月12日、「軍拡、改憲よりくらし、平和 おおさか総がかり行動2・12関西集会」が大阪市中央公会堂で行われ、500人超が参加しました。
 主催者を代表して「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」共同代表・中北龍太郎さんがあいさつ。五野井郁夫さん(高千穂大学教授・政治学者)が安保条約の歴史にふれながら安保関連3文書の問題点について講演を行いました。
 立憲野党からのアピールでは、立憲民主党衆議院議員・森山浩行さん、日本共産党参議院議員・山下芳生さん、社会民主党副党首・大椿裕子さん、れいわ新選組豊中市政策委員・山田さほさんが連帯あいさつをしました。
 立憲4野党代表と会場参加者全員で大軍拡NOの思いを込めポテッカーを掲げました。東京の総がかり実行委員会から戦争をさせない1000人委員会・平和フォーラムの谷雅志さんから「大軍拡NO、全国連鎖集会」の取り組みと決意が語られ、最後に丹羽徹大阪憲法会議幹事長が閉会の挨拶を行いました。(「憲法しんぶん速報版1349号」より)

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【書籍紹介『憲法の破壊者たち』
自民・国民・維新・勝共・日本会議の改憲案を検証する



 自民党と公明党の破壊(壊憲)および改憲論に加え、自民党以外の改憲政党の改憲論を取り上げ、改憲の建前と本音を明らかにし、改憲論の中身の問題点・危険性を指摘。広報資金問題にも触れる。私たち国民は、国会で改憲勢力が3分の2を占めた今、あらためて憲法第9条改憲がアメリカの要求であることに加え反社会的団体の要求であるという事実も直視して、改憲政党が提案する改憲の問題性・危険性を冷静に確認する必要がある。
第1部 自民・公明政権による壊憲と自民党改憲案
第2部 国民、維新、勝共連合、日本会議の改憲案と公明の加憲論
第3部 憲法改正国民投票運動における公平・公正でない広報資金問題
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著者:上脇博之(神戸学院大学法学部教授)
判型:194ページ  定価:1,400円+税
発売年月日:2022年12月10日
出版社:日本機関紙出版センター
    TEL:06-6465-1254 FAX:06-6465-1255
 

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