「九条の会・わかやま」 478号 発行(2023年4月14日付)

 478号が4月14日付で発行されました。1面は、第106回「ランチタイムデモ」実施、「くしもと9条の会」講演会&総会開催 、九条噺、2面は、専守防衛は「海外派兵しない」か? 過去の自民政権は「敵基地攻撃しない」だった 東京新聞3月28日付、【事前告知】青法協憲法記念行事 憲法を考える夕べ  です
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第106回「ランチタイムデモ」実施



 4月12日、あいにくの朝からの雨模様に加え、衆議院補選が公示され、和歌山市議選も間近に控えているという、何かと慌ただしい時期で、参加者数が過去最低を更新するのではないかと心配されましたが、厚い雨雲に覆われていたものの、雨はほとんど降らず、106回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が実施されました。50人の市民が参加して、和歌山市役所前から京橋プロムナードまでを行進しました。
 今回のコーラーは由良登信弁護士で、「憲法守らぬ政府はいらない」「憲法9条、平和の砦」「9条つなごう、子や孫に」「軍事費拡大、生活破壊」「敵基地攻撃、日本が戦場」といった自作の(?)コールで元気に参加者を先導しました。
 次回は5月15日(月)です。



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「くしもと9条の会」講演会&総会開催



 3月19日、「くしもと9条の会」は記念講演会・第9回総会を開催しました。
 オープニングセレモニーとして恒例になっている楽器演奏では、昭和世代が親しんだ5曲が演奏され、タイムスリップしました。その後、和歌山信愛女子短期大学副学長の伊藤宏先生が「日本国憲法が必要な時代~自民党改憲草案に潜む戦前~」と題しての講演を33名の参加者にしていただきました。
 メディア論が専門の先生が初めて憲法について話されたのは、新宮だったそうです。映画「ゴジラ」を切口に憲法9条を読み解くというような内容で、地元新聞に大きく載ったことでその講演が評判となり、憲法の講演依頼が次々と入るようになった。そんな中、俳優の宝田明さんから直筆の手紙が届き、和歌山市で対談が実現し、反戦の熱い思いを聞くことができた。宝田さんの遺志を受け継ぎこれからも平和や憲法を語っていきたいと話されました。
 専門家でないからこそ、分かりやすい言葉でパワーポイントを使いながら語る先生。ゴジラへの愛を時々織り交ぜながら飽きさせません。前文の主語が日本国憲法では「日本国民は」、自民党改憲草案では「日本国は」となっていることを指摘され、自民党は天皇を戴く国を中心に据えて改憲案を展開していると問題点をズバリ指摘。また、憲法作成時の首相・幣原喜重郎が9条について、「戦争をやめるには武器を持たないことが一番の保証になる」と語っていることを紹介されました。当時は日本全体が平和を求め、武器を持たないという思いが満ちていたことを知ることができました。映画の中で最初ゴジラが歩いた場所だけ建物が壊れる状況だったのに、最新兵器で攻撃した結果、ゴジラの反撃で街全体が焼け野原になってしまった。武力を使うことでさらに強い武力で対抗するという構図が際限なく続くということがわかる事例だと説明され、そして日本の防衛費が増え続け、22年度は文教予算とほぼ同じ、5兆3687億円にもなっており、大変危険な状況になっていると指摘されました。
 最後にアフガニスタンで井戸を掘り、水路を拓いていた中村哲さんを紹介されました。「平和とは? 外交とは?」について問い直したいと思う講演会でした。
 その後の総会は、参加者が少なくなりましたが、23年度の活動方針や役員体制などが承認され終えることができました。(事務局長・上柳博さんより)



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【九条噺】  春の彼岸も過ぎ、和歌山城の桜も散り、本格的な春の到来となったが、ここで彼岸にちなんで9条の大切さを改めて確認したい▼「彼岸」は辞書によれば仏教語で、迷いの世界の此岸(しがん)から悟りの世界の彼岸に至る「到彼岸」に由来する。到彼岸を祈る仏教行事が彼岸会だ。平安初期には鎮魂のため国分寺で彼岸会をさせる太政官の命令があった。江戸時代には、彼岸の中日の春分と秋分に日没が真西になり西方極楽浄土を連想させるので、浄土真宗の法要、民間の先祖祀りとして盛行した▼さて、此岸から彼岸に到るには川という一線を越える必要がある。アメリカ黒人霊歌「こげよマイケル」にも同じ趣旨が見える。「川は深く広い、ハレルヤ。ミルクと蜂蜜が向こう岸に、ハレルヤ。ヨルダン川は冷たく寒い、ハレルヤ。体を冷やすが魂はそうじゃない、ハレルヤ」と▼「一線を越える」とは、「守るべきことを破る。してはならないことをする」ということだ▼悟りの彼岸や極楽浄土への道なら良いが、最近の岸田大軍拡政権や改憲勢力の動向には寒気を覚える。敵基地攻撃能力(反撃能力)を掲げての高額なミサイル等の購入、南西諸島の基地強化、各地の司令部地下化などに予算を注ぎ込み戦争をする国への道を進んでいる。一部野党も憲法に非常事態条項を主張、戒厳令に道を開くものだ▼憲法9条の戦争放棄、戦力不保持の旗は痛められたが、海外派兵・武器輸出を許さないなどを大切に、川を越えさせまい。(柏)

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専守防衛は「海外派兵しない」か? 過去の自民政権は「敵基地攻撃しない」だった
東京新聞3月28日付


 岸田政権は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を安全保障政策の大転換と認めながら、憲法に基づく基本方針「専守防衛」は堅持すると主張している。過去に「相手国の基地を攻撃しないこと」という専守防衛の明確な政府見解が出ているが、岸田政権は「『海外派兵』は許されないということだ」との解釈を持ち出した。
◆専守防衛の変質が止まらない
 「専守防衛」の具体的な説明には、72年の田中角栄首相の国会答弁がある。田中氏は「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、わが国土とその周辺で防衛を行うこと」と明言した。
 共産党の志位和夫委員長は今年1月の国会審議で「専守防衛の考え方は敵基地攻撃と両立しない」と矛盾を追及した。すると岸田文雄首相は田中氏の答弁について「武力行使の目的で武装した部隊を他国へ派遣する『海外派兵』は一般的に憲法上許されないことを述べたものだ」と説明。自衛隊を海外派兵する場合は「相手の基地を攻撃すること」に該当するが、相手の攻撃を防ぐために長射程ミサイルを用いるのは「専守防衛の範囲内」と主張した。
◆菅内閣当時の岸信夫防衛相が
 岸田政権の見解は、70年代の政権の積み上げと継承を否定することにつながる。田中氏の答弁に先立つ70年、中曽根康弘防衛庁長官が専守防衛について「本土ならびに本土周辺に限る。攻撃的兵器は使わない」などと説明。三木武夫内閣当時の75年に刊行された「行政百科大辞典」でも、田中氏の答弁とほぼ同じ内容が記載されている。
 21世紀に入っても、この解釈は引き継がれた。04年度に防衛研究所がまとめた専守防衛に関する研究で「田中氏の答弁は、防衛上必要であっても敵基地攻撃を実施することを否定している」と認定している。
 一方、今国会での首相答弁と同じ見解は、20年11月に菅義偉内閣の岸信夫防衛相が示していた。この時期は、安倍晋三氏が敵基地攻撃能力の保有検討を求める談話を発表して首相を退任した後で、保有を見据えて説明を準備した可能性がある。
◆元内閣法制局長官「論理的に無理がある」
 政府の説明の変化を追及した立憲民主党の小西洋之参院議員は、「歴史の歪曲だ」と非難。志位氏も「時の政府が責任を持って答弁したものを投げ捨てるなら、立憲主義が成り立たなくなる」と批判した。
 阪田雅裕元内閣法制局長官は本紙の取材に、田中氏の答弁について「憲法9条の下の『必要最小限度の実力行使』を担保するものだった」と指摘。岸田政権の見解に関しては「上陸して攻撃するのとミサイルで攻撃するのと何が違うのか。牽強付会も甚だしい。論理的に無理がある」と酷評した。



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【事前告知】 青法協憲法記念行事
憲法を考える夕べ
4月28日(金)開場17:30 開演18:00
和歌山県民文化会館 小ホール




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(2023年4月13日入力)
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