「九条の会・わかやま」 479号 発行(2023年4月23日付)

 479号が4月23日付で発行されました。1面は、総がかり「19日行動」に1100人、「任期延長改憲論」は危険 「災害などへの備え」口実に 飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」136回目のピースアピール、戦後の憲法はあえて緊急事態を規定しなかった 日本共産党 山添拓氏の発言要旨、【事前告知】 2023 We Love 憲法 ~五月の風に~(5月20日・土)  です
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

総がかり「19日行動」に1100人



 総がかり行動実行委員会は4月19日に国会議員会館前で、「4・19国会議員会館前行動」を行い、1100人が参加しました。岸田政権は、防衛力の財源確保に関する特別措置法案、入管法改悪法案、原発推進法案、マイナンバー法改定案などの悪法を次々と強行しようとしています。23日投票の統一地方選挙後半戦で、「大軍拡・大増税反対、改憲反対、くらしを守る政党の議員を勝利させよう」と決意を固めあいました。共産党・赤嶺衆議院議員、沖縄の風・高良参議院議員、社民党・大椿参議院議員、立憲民主党・近藤衆議院議員があいさつしました。
 総がかり行動実行委員会共同代表の藤本泰成さんが主催者あいさつ。「私たちは、憲法に抵触する法案に反対してたたかってきた。憲法に立ち返り時代をつくり直さないといけない。政治を変えないといけない。将来のためにがんばっていこう」と呼びかけました。
 4人の市民が発言。看護師でライターの宮子あずささんは、Colaboが不当な嫌がらせを受けていることについて発言。原子力規制を監視する会の小川幸子さんは「国は、福島原発事故は終わっていないのに、運転期間の延長、汚染水の海洋放出などを強行しようとしている。GX推進法を止めよう」と訴えました。日本山妙法寺の武田隆雄上人は、大軍拡に反対する渋谷ハチ公前の連続祈祷行動を報告。「丁寧に対話すると理解してくれる。諦めずにひるまずに声をあげ続ける」と話しました。移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平さんは、「誰一人取り残さない法案になっていない。排除の論理であり、人権保護と真っ向から対立する」と訴えました。
 憲法共同センター共同代表の岸本啓介さんが行動提起。「統一地方選挙後半戦は立憲野党勝利のために奮闘しよう。5月3日の憲法大集会を大きく成功させよう」と呼びかけました。(憲法共同センターNEWS4月20日号より)

    -------------------------------------------------------------------

「任期延長改憲論」は危険
「災害などへの備え」口実に
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)




 衆議院では3月2、9、16、23、30日と憲法審査会が開催されました。憲法審査会で自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会の「改憲5会派」は、災害などの緊急事態によって選挙ができない場合に備えるとして、国会議員の任期延長を可能にする憲法改正を主張しています。
 憲法では、衆議院議員は4年(45条)、参議院議員は6年(46条)と任期が定められています。災害などが発生して選挙ができない場合でも国会機能の維持は必要であり、「任期延長の憲法改正が必要だ」と改憲5会派は主張します。このうち維新、国民、有志は改憲条文案を「3月中」に出す構えでした。
 「国会機能維持が重要」と言いますが、その前に、国会は市民の生活を守る「仕事」を本当にしてきたでしょうか? 新型コロナ感染拡大の下、政府や国会は迅速な対応ができず、多くの市民が仕事を失い、特に若い女性の自殺が増加しました。
 市民の命と暮らしを守る法律さえ制定しなかったのに、自分たちは選挙を延期して国会議員に居座り続けられる「任期延長の改憲論」を主張するのは虫が良すぎるのではないでしょうか? 改憲などの前に、災害時にも選挙を行える公職選挙法の改正、憲法53条の「臨時会」、54条の参議院「緊急集会」で対応することこそ検討すべきです。
 「任期延長改憲論」は、9条改憲と「戦争できる国づくり」の「呼び水」となる危険性があります。
 3月の憲法審査会でも自民党は「9条改憲」も必要と主張しました。しかし、憲法9条を改正しても「戦争できる国」は完成しません。戦争遂行のためには、負傷兵の手当を医師や看護師に命じたり、市民から土地や食料などを取り上げたり、反戦運動を禁じる手段も必要だと改憲派は考えています。
 こうした手段を持ち、真に「戦争できる国」にするためには、法律と同じ効力を持つ「緊急政令」を制定する権限を内閣に認めることが必要となります。戦争遂行には多くの予算が必要になるため、国会の議決がなくても予算を決められる権限(緊急財政処分)を内閣に認めることも必要となります。そのための「緊急事態条項」の導入が必要になるというわけです。
 ただ、ナチスドイツのヒトラーが「緊急事態条項」を悪用して「独裁体制」を確立し、世界を戦争に巻き込んだ歴史から、市民の中に「緊急事態条項」に警戒する雰囲気もあります。
「緊急事態条項改憲」は、「9条改憲」の「呼び水」に
 そこで、自然災害などを口実に任期延長の改正が必要だとし、それで対応できない場合は、緊急政令」と「緊急財政処分」を内閣に認める「緊急事態条項」の導入が必要 ―― と自民党は主張しているのです。
 「国会議員の任期延長改憲なら問題ない」と考えるのは間違いです。この改憲は「緊急事態条項」、ひいては9条改憲の「呼び水」となる危険性があることを知っておいてください。
(機関紙連合通信社4月5日付)

    -------------------------------------------------------------------

【九条噺】


(キイジョウロウホトトギス)

 NHKテレビ小説『らんまん』が始まった。筆者は花が好きで、牧野富太郎の名前はよく知っている。その牧野をモデルにしているというので毎日熱心(?)に見ている▼1週目を見ていると、テーマが「バイカオウレン」となっていた。これは何だと思ったら、ひとつの花が毎週のテーマになるようだ。「バイカオウレン」は「梅花黄蓮」で2月頃に咲くキンポウゲ科の花だそうだ。2週目は「キンセイラン」で、これも見たことがなかったが、「金精蘭」でラン科エビネ属の花だそうだ▼冒頭の配役などの紹介画面の背景に「キイジョウロウホトトギス」らしい花が見え、和歌山の花も紹介されるのかと思ったが、そうではなく、これは土佐の「ジョウロウホトトギス(上臈杜鵑草)」で、和歌山とは近縁の別種とのこと。同じユリ科ホトトギス属だが、学名は少し異なる▼ところで、「上臈」とは何かご存知か。「貴婦人」のことだ▼「キイジョウロウホトトギス」は紀伊半島に自生するのでこの名がある。古くから鑑賞価値の高いものとされ、『紀伊続風土記』に「黄杜鵑草(きのほととぎすそう)那智山中に産する奇品なり」とあるのは本種のこととされる。花言葉は「あなたの声が聞きたくて」だそうだ▼今後も週のテーマは「ササユリ」「ドクダミ」「キツネノカミソリ」……と続くそうだ。花は平和の象徴だ。美しい花と楽しい話の展開を期待する。(南)

    -------------------------------------------------------------------

みなべ「九条の会」136回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は4月8日、統一地方選挙中の土曜日、何かと忙しい中、136回目のピースアピールを実施しました。大変風が強く、幟を持つのも大変な日でしたが、9名の参加で実施しました。
 「岸田政権の大増税と社会保障の改悪は、憲法9条の理念から逸脱し、専守防衛の考え方を完全に否定しています。この軍拡は日本の安全を守るものではなく、逆に日本を戦争に巻き込むものです。戦争の準備でなく、平和のための準備こそ大切です。それは、平和的な外交ルールを進めることです。憲法9条を持つ日本はそのイニシアティブを果すことができます」と訴えました。



    -------------------------------------------------------------------

戦後の憲法はあえて緊急事態を規定しなかった
日本共産党・山添拓氏の発言要旨


 東日本大震災でもコロナ禍でも、憲法に緊急事態条項がないために対応できなかったという事態は起きていません。ロシアのウクライナ侵略を契機に、有事に備えよとあおる議論が盛んになされますが、戦争をさせないことこそ政治の役割であり、憲法を生かす政治への転換が求められます。
 日本国憲法は、基本的人権を保障し、三権分立や地方自治の保障などにより国家権力を制限しています。自民党改憲案の緊急事態条項は、大規模災害などの際、法律ではなく閣議決定による政令で国民の権利を制限できるとするもので、憲法停止条項にほかなりません。緊急事態条項は、日本でも世界でも濫用された歴史があります。戦前、最も民主的と言われたワイマール憲法の下で、大統領非常権限が乱発され、国会の立法権が奪われ機能不全となり、ナチス・ヒトラーの独裁政権に道を開きました。
 明治憲法の緊急勅令は、緊急事態の名の下に、国民の運動を弾圧する道具として使われたほか、議会で否決された法律を通すためにも使われました。こうした濫用の危険と隣り合わせであるからこそ、戦後の憲法はあえて緊急事態条項を規定しませんでした。行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくした、特別な必要があれば臨時国会を召集し、衆議院が解散中であれば参議院の緊急集会を招集すれば足りる、特殊な事態には平常時から法令等の制定により濫用されない形式で完備しておくことができると答弁しています。
 緊急集会が衆議院解散の場合のみを規定していることから任期満了の場合に対応できないとの議論がありますが、任期満了による総選挙は過去に一例しかありません。全国的に選挙ができなくなるケースをことさら想定し、憲法の基本原理を脅かすことがあってはなりません。(憲法しんぶん速報版4月10日号より)

    -------------------------------------------------------------------

【事前告知】 2023 We Love 憲法 ~五月の風に~
5月20日(土) 開場13:00 開演13:30
メディアアートホール 県立図書館2F
http://home.384.jp/kashi/9jowaka/tirasi/23welove.htm



    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2023年4月22日入力、24日修正)
[トップページ]