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ウクライナ侵略の終結は、日本国憲法の「諸国民の公正と信義に信頼」を参考に
4月28日、和歌山県民文化会館で青年法律家協会和歌山支部主催の「憲法記念行事・憲法を考える夕べ」が開催され、早稲田大学教授・水島朝穂氏が講演されました。
水島朝穂・早稲田大学教授
水島朝穂教授は、「いま、日本国憲法の存在価値とは 『ウクライナ戦争』『台湾有事』『安保三文書』から考える」と題して講演され、参加者からの質問用紙への回答も含め、次のような内容を話されました。
戦争はいつか終るが、ウクライナ戦争はミンスク合意の意義を評価すべきで、停戦を考えるとき日本国憲法の「諸国民の公正と信義に信頼」が参考になる。ミンスク合意は、メルケル独首相らが尽力し、「ロシア語を話す東部ドンバス地域の高度な自治」「ウクライナはNATOに入らない」等で両国が歩み寄った。しかし、反対するウクライナ西部の世論に従ってゼレンスキー大統領が破棄した。
一方、ウクライナ東部でのネオナチ的な一部部隊による住民虐殺は事実で、もし地元からの要請でロシアが警察的出動をしたのなら一応理解出来るが、ロシアは北から首都キーウに侵攻して政権転覆をはかったため、侵略者になった。ロシアの侵攻から間もなく、トルコの仲介で両国は停戦交渉をしたが、ジョンソン英首相がブチャ虐殺でロシアを猛非難して中断した。背後でバイデン米大統領が戦争長期化を望んでいたからと推測される。
この戦争は、どちらかが勝つことはない。戦争を終わらせるためには、国連とかOSCE(欧州安全保障協力機構。北米、中央アジア含む57カ国)等、当事国も入った広い場で、当事国が敵対しないような方策を考えるべきだ。中国、アフリカ、ブラジル等の中立的な国の意向も参考にすべきだ。「安全保障」とは危険をリアルに遠ざけることであり、根拠のない不安を煽って危険を呼び込む「安心保障」ではない。
日本政府は「台湾有事」に備えるとして南西諸島に基地増強を進めている。しかし、中国が台湾に武力侵攻して一体化する「台湾有事」は現実性があるのか。中国はリスクを避けてソフトな一体化を目指すはずだ。「台湾有事」で不安を煽る話は根拠がない。一方、日本が南西諸島に基地増強をすれば、中国側の対抗武力を呼び込む危険がある。今日4月28日はサンフランシスコ講和条約で、かつて沖縄が本土から切り離された日だ。その沖縄で今回の基地強化に反対の声が高まっている。
岸田政権は、敵基地攻撃能力を容認し、防衛予算を拡大する「安保三文書」を閣議決定した。これまでの専守防衛を捨てる大きな変更だ。国会では憲法審査会を動かして改憲の実績作りを目指している。我々は、不安を煽る危険な「安心保障」を否定し、諸国民の公正と信義に信頼するリアルな「安全保障」と平和を求めよう。
水島教授は分かりやすく明るい口調で語りかけられ、マスコミやネットに流れる話とは違う面を学べた講演でした。(柏原)
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『新たな戦前』止めよう 憲法大集会に2万5千人
東京都の有明防災公園で開催された「新たな戦前にはさせない!守ろう平和といのちとくらし2023憲法大集会」には、2万5千人が参加しました。「総がかり行動実行委員会」共同代表の高田健さんは「岸田政権は専守防衛を放棄し、敵基地攻撃能力保有など戦争準備をしている。任期中に改憲すると言っているが、絶対に止めないといけない」と訴えました。
集会に参加した立憲民主党の西村智奈美代表代行は、憲法53条にもとづく臨時国会の召集要求に政府が毎回のように応じていないとして、「政権は憲法の国会中心主義に対する重大な侵害を繰り返している」と指摘。「憲法を守らない政権に改憲を発議する資格はない」と批判しました。共産党の志位和夫委員長は「岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有で憲法9条の精神をかなぐり捨てている」と指摘。「平和も暮らしも壊す岸田政権の大軍拡ストップの一点で、立場を超えて大同団結し、この憲法記念日を出発点にして、国民的大運動を起こそう」と訴えました。れいわは櫛渕万里共同代表、社民党は福島瑞穂党首が出席し挨拶しました。
室蘭工業大の清末愛砂教授(憲法学)は、敵基地攻撃能力を盛り込んだ安保関連3文書は「憲法を無視し、解釈改憲で大軍拡の道を開いた。5年間で43兆円の防衛費計画は、9条を無視し、軍事的優位性を確保することを『防衛』の名のもとで正当化するものだ。『新たな戦前』を避けるため、つながりの輪を広げよう」と呼びかけました。
集会では「憲法9条を掲げ、世界の市民とともに反戦・平和のたたかいに取り組む」などとする集会宣言も読み上げられ、参加者の拍手で確認。集会後には、パレード・デモが行われ、参加者は「改憲反対、大増税・大軍拡やめよ」とアピールしました。
(「憲法しんぶん速報版」5月4日号より)
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【九条噺】
いまさらながらではあるが「三権分立」は中学生の時代に習った。「立法」「行政」「司法」の三権がそれぞれ独立し、互いに牽制し合う立場にある▼「行政」「司法」は「立法」に従属するものではないが、「立法府=国会」は国の最高機関とされる。それは、主権者国民から直接選ばれた国会議員によって構成されているからだ▼2016年安倍首相は「私は立法府の長」と発言したが、単なる失言ではなく、本当にそう思っていたのではないかと思えてくる。というのは、近年「立法府」が決めた法律の解釈を「行政府=内閣」が勝手に変更することがしばしば行われている。「憲法9条の下での海外派兵」「『専守防衛』の下での敵基地攻撃の実施」、最近では「放送法の『政治的公平』に関する政府解釈変更」等々、枚挙に暇がない▼憲法73条には「内閣は、法律を誠実に執行し……」とある▼「行政府=内閣」は、国会の意思を誠実に執行しなければならない立場にあるのに、国会が決めた法律の解釈を内閣が勝手に変更し、ねじ曲げてよいはずはない。それは「三権分立」を定めた憲法に違反する行為で、立憲主義を破壊するものと言わなければならない▼そもそも、憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めている。「憲法を尊重し擁護する義務を負」わねばならない国務大臣や内閣が憲法の定めに反することをして許されるはずがないのだ。(南)
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JR和歌山駅前で宣伝行動
憲法記念日の5月3日、JR和歌山駅前で、「憲法記念日宣伝行動」が行われ、100人の市民が参加しました。平和委員会・伊藤氏、県地評・琴浦氏、戦争をさせない和歌山委員会・裏野氏、弁護士9条の会・豊田弁護士、県民の会・坂本氏、立憲民主党・山本市議、共産党・奥村県議、改新クラブ・藤本県議らの方々が次々と、「平和を守り抜こう」と訴えました。また「うたごえオールスターズ」のメンバーが平和の歌を披露しました。
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言葉 「専守防衛」と「敵基地攻撃」
日本国憲法9条2項は「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とする。これを素直に読めば、「軍事力は持たない」ということだ。しかし、日本は他国から攻撃されることは絶対にないとは言えないし、国民に対し、攻撃されても座して死を待てとは言えない。そこで「専守防衛」が言われるようになった。
1970年に、佐藤内閣の中曽根防衛庁長官のもとで刊行された、最初の防衛白書には、「わが国の防衛は、専守防衛を本旨とする」と明記し、「専守防衛の防衛力は、わが国に侵略があった場合に、国固有の権利『自衛権』の発動により、戦略守勢に徹し、わが国の独立と平和を守るためのものである」と指摘し、「専守防衛は、憲法を守り、国土防衛に徹するという考え方である」と述べている。これ以後、「専守防衛」は、わが国の防衛政策の基本になっている。
1959年の伊能繁次郎防衛庁長官答弁は、「他に全く方法がない」と認められる場合に限り、敵基地攻撃は「法理的には可能」としているが、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは憲法の趣旨ではない」、すなわち大陸間弾道弾や戦略爆撃機、攻撃型空母などの兵器の保有は「憲法違反」と整理している。この解釈に立てば、敵基地攻撃能力の保はできる訳がない。
ところが、岸田政権は敵基地攻撃能力の保有を安全保障政策の大転換と認め、「専守防衛」は堅持すると主張しながら、過去に「相手国の基地を攻撃しない」という専守防衛の明確な政府見解が出ているのに、「『海外派兵』は許されないということだ」との「新」解釈を持ち出してきた。
阪田雅裕元内閣法制局長官は、「専守防衛」は「憲法9条の下で『必要最小限度の実力行使』を担保するものだった」と指摘し、岸田政権の「新」解釈に対して、「上陸して攻撃するのとミサイルで攻撃するのと何が違うのか。論理的に無理がある」と酷評する。
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【事前告知】守ろう9条 紀の川 市民の会第19回総会
講演 今こそ憲法9条を輝かせよう
~「敵基地攻撃」で戦争をする国になってはならない~
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)
6月11日(日)13:30~
河北コミュニティセンター
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