よびかけ人のメッセージ
[石橋芳春・JA紀の里代表理事組合長]
 私は憲法第9条を改定してはいけないと思っています。その理由は、改定論のねらいは、自衛隊を海外で戦争できる軍隊にすることであり、今日の日本の得ている世界的信用は、第9条で戦争を違法化していること、平和を守り、明るい方向を指し示すものとして高い信用を得ていると思います。 過去の経験から、経済発展と、平和を守る事こそ我国の信用を高める事です。
[井上光雄・元和歌山県教育長・1914年生]
 戦争は悲惨なものです。子どもたちや孫たちの世代には、戦争のない平和な世の中で過ごさせたいものです。日本が「憲法9条」をまもって、平和国家でありつづけることを願います。 ※2008年3月9日逝去されました。
[宇江敏勝・作家]
 自民党新憲法草案には「自衛軍を保持する」とし、さらに国際紛争にかかわる旨が明記されています。これはアメリカ軍に加担して、世界じゅうに戦争を輸出することを意味します。九条の「戦力は、これを保持しない」の条文を変えないことは、世界じゅうに平和を輸出する道です。
[江川治邦・元和歌山ユネスコ協会事務局長・1939年生]
 和歌山空襲で焼夷弾の中を一晩中逃げ惑った。戦争による犠牲と破壊に争いの無意味さを実感した。日本の平和憲法はこの戦争体験から生まれたと思う。ユネスコもこの大戦の反省から生まれ、異文化間対話による多文化共生をめざし世界遺産を展開している。私達の紀伊山地の霊場と参詣道は世界の平和共存を促す発信基地であり、九条を具現化する責務を担う。この地域は世界遺産条約がめざす非武装で戦闘が行なえない聖域と銘記したい。
[尾添仁・わかやま市民生活協同組合理事長・1947年生]
 戦後60年たった今、310万人を犠牲にしたあの戦争の記憶がうすらいできています。そして3年前に制定された「有事関連3法」、2年前の「自衛隊のイラクへの派遣」、最近では戦争をしない、軍隊をもたないという「憲法9条の見直し」など、ジワジワと戦争に導こうとする動きを感じます。9条の見直しの次にくるのは「徴兵制」か…などと穿って考えてしまいます。多くの戦争犠牲者のもとに、その反省にたって制定された尊い憲法9条は変えてはいけません。
[西畑(瓦野)昌治・和歌山県保険医協会理事長・1941年生]
 自民党憲法草案は、憲法第9条2項に自衛軍を明記した。国際平和に寄与すると言いつつ海外派兵を常態化し、アメリカの侵略戦争に常時加担することになる。また前文にて、国民主権と平和主義、基本的人権の尊重を記してはいるが、たとえば、第3章では、国民の権利は、常に公益及び公の秩序に反しないように、権利を行使するとなっている。現憲法の公共の福祉に反しない限りとは異なることに注意しなければならない。公益及び公とは国民を超越した国家のことであり、国民の権利は国家に属するものとして定義されている。このように各章において、国民主権、平和主義、基本的人権は現憲法とは似て非なるものに改変されている。このような憲法改悪は絶対許してはならない。
[楠本熊一・和歌山県立医科大学名誉教授]
 戦争には仕掛ける戦争と仕掛けられる戦争とがある。仕掛ける戦争は憲法9条で禁じている。仕掛けられる戦争については受けて立つことを憲法で禁じていない。国民の安全や国土を護る自衛隊の存在を禁じていない。また国民の基本的人権については、その享有を妨げられないと憲法11条で規定している。よって、豊かな国土と国民の生活や健康を護る上では現行の憲法で充分に機能しているではないか。改定すべき点は毫も存在しない。※2019年3月22日逝去されました。
[副島昭一・和歌山大学教授・1943年生]
 自分の人生とほぼ重なって生き続けてきた現憲法は私にとって空気のような存在で,普段はそれほど重要性を意識することなく過ごしてきました。しかしそれをなくそうとする動きが強まる中で,その意義を改めて認識しなおしています。日本国憲法は戦争の惨禍から人々を救うために生み出された叡智の結晶です。日本だけでなく世界史的意義を持ったこの憲法を守り,かがやかせ,後の世代に引き継いでいくのは,21世紀初頭に生きている私たちに課された務めだと思います。
[高木歓恒・僧侶,元和歌山県PTA会長・1950年生]
 人の生きる権利を、誰が奪うことができるのか。差別や暴力のない平和な社会を願うものにとって、戦争放棄を明文化した憲法第9条は、絶対に守らなければならない憲法である。戦争放棄は人類すべての願いでありたい。この憲法こそが、世界に冠たる文化国家としての日本の象徴であり、進むべき羅針盤であろう。戦争はすべてのものを破壊する。戦争からは何も生れない。今、改憲の愚行を許してはならない。
[高木訷元・仏教史学者]
 1974年5月18日、仏陀をまつるブッダプルマニのこの日に、「ブッダ スマイルズ」(ブッダ微笑めり)というメッセージがインドの女宰相インディラのもとに届いた。それはインドで核実験の成功を知らせる暗号だったのだ。まかり間違えば、全人類を滅亡しかねない核兵器への開発のための実験の成功に、「仏陀微笑めり」とは何事ぞ!!この地球上から、すべての核兵器はもとより、あらゆる兵器が姿を消したときにこそ、仏陀ははじめて真に微笑みたまうのだ。
[多田道夫・和歌山大学名誉教授・1926年生]
 国家とか国民とかを據り所とする考えは過去のものになりつつあります。今後世界の人々がこうした考えをのり越えて進まなければ地球に未来はありません。今、日本を軍隊を持つ国にする動きが加速していますが、世界が向かう方向に逆行する愚行だと思います。軍隊は国家国民を死守するシステムなのですから。半世紀も前に世界にさきがけて軍隊を捨てた日本が今になって軍隊を持とうとするのは世界に対する裏切りではありませんか。 ※2008年6月2日逝去されました。
[月山和男・月山病院院長]
 私は兵士として、戦場へ行ったこともなく、その悲惨さについて身をもって体験したことはありません。それでも学徒動員での軍需工場で、グラマン機の機銃掃射に逃げまどい、7月には和歌山市大空襲で母と共に焼夷弾が降り注ぐ中、あちらこちらに逃げ回った末、廃墟に化した我が家にたどり着いた悲しみ、今でも夢にうなされます。こうした悲しみ、苦しみは、子供や孫に味わせたくありません。戦争のない 平和 が何時までも続く事を願っています。 ※2014年11月12日逝去されました。
[月山桂・弁護士・1923年生]
 戦争の起る恐れや脅威をいたずらに、過大に強調することは戒めよう。防衛の名の下に戦力保持の必要や国の交戦権を認めたり、国民の人権感覚の希薄化や自由と人権の制限を招くことになる恐れがある。それより、戦争の悲惨さを想い起し、平和の大切さ、基本的人権尊重の必要を強調することに努めよう。二度と戦争を起さないために。 ※2018年11月1日逝去されました。
[中西重裕・建築家]
 「憲法九条」を守るということは、戦争について知ることであり、伝えることであると考えている。わずか60年前に家族や友人が戦争の犠牲になった。そして近隣の国々に多くの犠牲者をだした。和歌山市も空襲によって歴史あるまちだけでなく人々の心まで破壊された。今の和歌山市を見ればコミュニティーがなくなることが地域づくりにどれほど影響を与えるかよくわかる。地域でしっかりと学ぶことの大切さを伝えたい。
[花田惠子・NPO和歌山有機認証協会副理事長]
私は戦場を知らない
でも私は 荒んだ戦場で家を焼かれ足をもぎとられ
愛する我が子の命を奪われた母の悲しみや絶望を想像することができる
そしてまた私は
いつかその悲しみを乗り越え憎しみの連鎖を断ち切り
平和な未来を築こうとする人間の叡知をも信じることができる
[福幸吉・福外科病院院長,和歌山県保険医協会名誉理事長,核戦争防止和歌山県医師の会顧問・1927年生]
 憲法9条の改変をめぐる動きが強くなり、大変な時代を迎える危険にさらされています。戦争を知らない人々が大多数を占める現在、 そして相変らず世界各地での紛争や戦争、核兵器問題を見るにつけ、世論の動向が心配な昨今です。私は1927年(昭和2年)の生まれで、幼少年時代は満州事変、支那事変そして第2次大戦と戦争に明け暮れた青春時代でした。1945年の敗戦、戦後の苦難の道の事よりは戦争が終わり、やっと平和と自由になれたことがうれしかったことを鮮明に思い出します。明治以来戦争に明けくれた日本にとって、一大転機となって生れた新憲法です。改憲は絶対にすべきものではありません。私共は1988年より、医師の立場より核戦争防止和歌山県医師の会の中で、戦争と核兵器廃絶を訴え続けています。人間の英知を信じたい。 ※2016年10月23日逝去されました。
[藤藪庸一・教会牧師・白浜レスキューネットワーク代表]
 皆さん、コスタリカを知っていますか?中南米のテロ組織の多い地域で軍隊を持たないことを宣言し、近隣諸国や諸勢力との間に平和を築きあげた国です。現在は警察官が少しいるだけで治安も安定しています。「悪」には「悪」でしか対応できないのでしょうか?「悪」には「厳罰」でしか対応できないのでしょうか?世界には「平和」を愛する心で「悪」を受け止めた国があるのです。軍隊を捨てた国があるのです。そういう戦いもあるのです。
[牧宥恵・画僧]
 日本の地名は善良な市民たちの手で、民主的な手続きを経て、公然と大規模に破壊されている。これはある意味、バーミヤンの大仏破壊より恐ろしい。」(片岡正人『市町村合併で「地名」を殺すな』より) この中にある地名を憲法に置き換えて読んでみる。正にこういう時代に立っている状況が見えてくる。笑止千万と言われようが時代錯誤と言われようが僕は「非武装中立」を唱えて行こうと思っている。憲法の改悪の嵐の中でこの非武装中立を根本に据える「九条」こそが仏教徒としての理に叶っているからである。それ以外の何物でもない。釈尊の非暴力主義、不戦主義を貫いてこその仏教徒であると自覚している。大義名分の「自衛(専守防衛)」を「軍」に変えてまで「国際支援」という名で交戦をしようと思わない。仏教徒であるならば国家間に限らず武力のない平和共存を目指すべきであろう。仏教徒が守らなければならない五戒(パンチャ・シーラ)は全くもって平和五原則を遵守している。 一.不殺生(生き物を殺さない)―相互の領土の保全・主権の尊重。 二.不偸盗(ふちゅうとう。盗みをはたらかない)―不可侵。 三.不邪淫(男女の道を乱さない)―国内問題不介入。 四.不妄語(嘘をつかない)―平等と共生。 五.不邪見(正しい智慧)―平和共存。 特に不殺生戒は釈尊の言葉にあるように、「自分(あらゆる生物)の命が殺められるのが誰でも嫌なようにそれを他人にしてはならない。」(『法句経』)と説く。「この国を守る為」という美名の為に武力で生命を奪ってはいけない。その為に作った憲法「九条」を僕らが壊してはいけない。仏教とはこの教えと覚悟を持って布教すべきであろうと僕は考えている。 「死んで神様といわれるよりは生きて馬鹿だと言われましょうネ。」(加川良「教訓Ⅰ」より) 僕も恰好好い戦い方より、恰好悪いかも知れないけれど生命を守る教えを採ります。
[室井修・和歌山大学名誉教授]
 後世に禍根を残さないように : 9条を中心にした憲法「改正」の動きが強まっている中で、太平洋戦争末期、私の兄も含め満20歳に達した多くの学生が徴兵制により戦場に送り出され、志半ばに命を奪われていったことが思い出されます。私の兄が広島で被爆し、私の疎開先に白衣で帰ってきたものの、1週間で、もだえるようにして亡くなったことが、今も脳裏に焼きついています。後世に禍根を残さないよう平和と人権を守るための声をさまざまな立場から声を上げる必要があると思います。 ※2007年12月8日逝去されました。
[森川隆之・和歌山大学名誉教授]
 サイレンがなり響き、防空壕に逃げこんだ時の恐怖感、食べるものがなかった時代の空腹感は、今でも体にしみついています。当時私は5才、生まれ育った富山にも大空襲があり、生きることに精いっぱいの時代でした。今、自由に音楽活動のできるこの時代、平和であればこそと思っています。 
[梅田恵以子・随筆家]
[岡本基・元和歌山市議会議長]
[鈴木俊男・弁護士]
 「日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、あらゆる努力を」という「九条の会」のアピールに賛同します。

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