林立する千束稲荷大明神の真っ赤なのぼり。
のぼりに誘われ、神社に吸い込まれて行きそうな魅力的な光景です。
鳥居にもしめ縄でしっかりと地口絵が飾られています。
よく見ると、行灯の側面には奉納した企業や個人の名前がついています。
猫をしょうとておせなかを (回向しょうとておせなかを)
夏茄子かんじょう(益々繁盛) かくあれば小あり(楽あれば苦あり) ひょうたんからごまがでる(瓢箪から駒が出る)
杵をしょうたも今唐人(昨日剃ったも今道心) 稲もかれればぼうにかける(犬も歩けば棒に当たる)
寒じるよりふぐがやすい(案じるより産むが易い) おしとりでおさむしかろう(お一人は淋しかろ)
鯛はいいものつかいもの(旅は憂いもの辛いもの) 新聞かんぶん(ちんぷんかんぷん) 北条高時けんぶ舞(北条高時天狗舞)
ふじは名どころ(宇治は茶所) 玉子の舞(玉藻の前) はこのごとくにござ候(かくの如くに御座候)
虎ないて酒のましょ(捕らまえて酒呑ましょ) 箱根八里は熊でもこすが(箱根八里は馬でも越すが)
清盛が出て来て浜の夕涼み(蝙蝠が出てきた浜の夕涼み) 今坂くうも口なれど(今さら言うのも愚痴なれど)
大目の小僧だ(近江の小藤太) ひょうたんの玉や玉や(評判の玉屋玉屋) とんび一羽でおめでとう(今日はおめでとう)
午後5時過ぎ、辺りが夕闇に包まれ始める頃、チラチラと行灯が輝きだし…
何とも滑稽な地口絵が、一転美しい不思議な空間を作り始めました。
明かりに照らされると彩色が一層鮮やかになりました。
これは凧絵師さんの使う染料を用いているからだそうです。
上部に描かれた赤と青の波線は、まるで絵を覆うように妖しげに漂っています。
今回見逃した方は、浅草の伝法院通りに常設されている地口行灯をご覧下さい。
やはり、お稲荷さんのお祭りで見るものは格別ですが、気分だけは味わうことが出来ます。
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