江戸切子(えどきりこ) 小林硝子工芸所


小林英夫さん"(大正12年、1923年生)
が江戸切子を作り始めて既に62年。戦後まもなく、江戸切子の名工であった父菊一郎さんと共に江東区猿江(さるえ)に小林硝子工芸所を開き、25歳という若さで家業を継いだ。 以来、工芸展の審査員、監査委員などの重責をこなしながらも、まだまだ現役で作り続ける一方、後進の育成にも実に精力的に取り組んでいる。
江戸切子は、その名が示すように、西洋のカット技術から進化を続け、伝統的な江戸期の意匠を随所に取り入れた日本の硝子工芸品だ。 時代の波と共に日本的な模様がすこぶる現代的デザインにリメイクされいている昨今、なかなか情緒ある原型を味わうことは難しくなってきた。 しかし、小林さんは原型の品格、落ち着きそして安らぎを留めたまま、現代の趣向に合うような作品を作り続けている。
後継者不足が心配される伝統産業の現場だが、三代目・長男淑郎さん(東京カットグラス工業協同組合理事長)、四代目・孫の昂平さん(本年大学卒業)がしっかりと伝統を受け継いでいる。

昭和55年 第27回日本伝統工芸展 奨励賞受賞
昭和56年 宮内庁お買い上げ(皇太子御外遊時) 
平成元年 東京都優秀技能者知事賞を受賞(東京マイスター)
平成 3年 労働大臣より卓抜技能賞『現代の名工』授与
平成 7年 江東区無形文化財指定
平成 9年 東京都技能継承推進者認定
平成11年 日本ガラス工藝協会'99日本のガラス展優秀賞受賞
       黄綬褒章受賞

〈日本工芸会正会員、日本ガラス工芸協会正会員〉

これまでに伝統工芸武蔵野展の審査員、日本伝統工芸展の監査委員なども務めた。
現在も、日本ガラス工芸研究所講師、横浜朝日カルチャーセンター講師(35年)
2010年夏以降、工房にて継続)、江東区森下文化センター講師(18年)など、多忙を極める日々を送っている。
これまで、9人の生徒が日本伝統工芸展で入賞。また、日本では珍しい女性の切子作家も2名輩出。

平成16年 日本橋三越本店にて、第3回個展(傘寿記念)
 
 米寿記念の個展が楽しみです!


小林さんの工房に初めて伺ったのは10年近く前だった。
江戸切子の第一人者、と事前に紹介されていた為、私はすこぶる緊張していたのを覚えている。
しかし、その緊張感は小林さんとお会いして瞬く間にほぐれた・・・「
何という穏やかな笑顔!

一番印象に残ったのは切子を製作する手許を照らす
裸電球。ちょっと意外な感じる光景だが、この光が製作する上で重要なのだそうだ。切子の微妙な陰影を演出するからだ。その一つ一つの陰影を見逃さずに緊張した作業が続く。

工房には、かつて使われていた夥しい数の道具が保存されている。機械、研磨機などがどんどん進化していく中、多くは処分されていくらしいが、小林さんは愛しむように大切に保存している。

傍らには、当時修行中の小川さん(現在作家として独立)がまるでお孫さんのように寄り添っていた。
柔和なお二人と楽しい会話が続く和やかな工房、しかし製作する時の張り詰める様な緊張感ーこれがもの作りの現場なのだと感動した。

                                                  


切子に射す光はその彫りによって微妙に変化する。まばゆい虹のような色合いを見せるかと思えばまた一方で妖しい影も作り出す。小林さんは、自分の作品には隠れた仕掛けがある、と少年のような悪戯っぽい表情で言った。切子を手に取り、愛しむように眺めれば、そんな素敵なものが見えてくるに違いない。




小林さんの切子に出会うスポット



小林切子会 小林さんから直接切子作りが学べる Go!

小林硝子工芸所 小林さんの作品が見れるGo!




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